More Related Content Similar to オントロジー工学に基づくセマンティック技術(1)オントロジー工学入門 (20) More from Kouji Kozaki (20) オントロジー工学に基づくセマンティック技術(1)オントロジー工学入門2. 自己紹介
◼ コミュニティ活動
2019/6/5 2
研究成果として
公開中のソフト
◼ 古崎(こざき)晃司@koujikozaki
◼ 所属:大阪電気通信大学・教授
◼ 専門:オントロジー工学(情報科学・人工知能)
=“かしこい”コンピュータ(ソフトウェア)を作る
→学問にとどまらず,
世の中で使われる技術を作りたい
LOD技術普及の
ためのコンテスト
(2011~)
シビックテック
(市民×IT)活動
セマンティックウェブとオントロジー(SWO)研究会
の特別企画(2011~)
4. オントロジー研究の動向
◼ 1992- オントロジー研究の黎明期
◼ 知識の共有と再利用ワークショップ(KBS研究会,1992)[1]
◼ An Ontology as “An explicit specification of a
conceptualization”(Gruber,1993)
◼ 2001- セマンティックウェブ
◼ Semantic Web Working Symposium (2001)
◼ 1st International Semantic Web Conference(ISWC2002)
◼ セマンティックウェブとオントロジー(SWO)研究会(2002-)
◼ 2007- Linked Data
◼ DBpedia(2007-)
◼ LODクラウド(2007-)
◼ LODチャレンジ(2011-)
◼ 2012- Knowledge Graph
◼ Google Knowledge Graph開始(2012)
2018/8/7 4
[1]元田 浩,溝口 理一郎,西田 豊明 :知識の共有と再利用のワークショップ報告,
人工知能学会誌,8(5),pp.666 – 671,1993.
5. 古崎の研究テーマ
◼ 1992- オントロジー研究の黎明期
◼ 1997卒論:ネットワークベースのオントロジー共同構築環境の試作
◼ 1999修論:「関係」記述に関する基礎的考察に基づくオントロジー
構築・利用環境の開発
◼ 2001- セマンティックウェブ
◼ 2002博士論文:ロール・関係概念理論に基づくオントロジー記述環
境の開発と利用に関する研究
◼ 2004:オントロジー構築利用環境「法造」(正式版)の公開
◼ 2002-2007:ナノテクノロジーオントロジー
◼ 2006-継続中:臨床医学オントロジーの構築と利用
◼ 2007- Linked Data
◼ 2007-継続中:サスティナビリティ・オントロジーの構築
◼ 2011-LODチャレンジ
◼ 2012- Knowledge Graph
◼ 2012-2017 生物規範工学オントロジーの構築
◼ 2014-継続中:ライフサイエンスのLOD/オントロジー
2018/8/7 5
6. 古崎の研究テーマ
◼ 1992- オントロジー研究の黎明期
◼ 1997卒論:ネットワークベースのオントロジー共同構築環境の試作
◼ 1999修論:「関係」記述に関する基礎的考察に基づくオントロジー
構築・利用環境の開発
◼ 2001- セマンティックウェブ
◼ 2002博士論文:ロール・関係概念理論に基づくオントロジー記述環
境の開発と利用に関する研究
◼ 2004:オントロジー構築利用環境「法造」(正式版)の公開
◼ 2002-2007:ナノテクノロジーオントロジー
◼ 2006-継続中:臨床医学オントロジーの構築と利用
◼ 2007- Linked Data
◼ 2007-継続中:サスティナビリティ・オントロジーの構築
◼ 2011-LODチャレンジ
◼ 2012- Knowledge Graph
◼ 2012-2017 生物規範工学オントロジーの構築
◼ 2014-継続中:ライフサイエンスのLOD/オントロジー
2018/8/7 6
オントロジー構築ツール
+基礎理論
各種領域での
オントロジー構築
Linked Open Data
とオントロジー
7. その他のオントロジー構築実績
◼ 2002-2007 ナノテクノロジーオントロジーの構築
◼ NEDO「材料技術の知識の構造化」
◼ 2006-継続中 臨床医学オントロジーの構築
◼ 共同研究:東京大学医学研究科
◼ 2007-2009 サスティナビリティ・オントロジーの構築
◼ 共同研究:大阪 大学サスティナビリティ・サイエンス研究機構(RISS)
◼ 2007-2010 文科省:統合データベース整備事業・統合医科学データベース
の構築
◼ 共同研究:東京医科歯科大学・大阪大学大学院医学系研究科
◼ 2008-2012 蛋白実験プロトコールオントロジーの構築
◼ 共同研究:大阪大学蛋白質研究所(文科省:ターゲットタンパクプロジェクト)
◼ 2008-2010 バイオ燃料オントロジーの構築
◼ 環境省:Hc-082「アジア太平洋地域における地球温暖化の持続可能な発展のため
のバイオ燃料利用戦略に関する研究」(研究代表者:東京大学・武内和彦教授)
◼ 2009-2011 災害リスクオントロジーの構築
◼ 共同研究:防災科学研究所
◼ 2012-2017 生物規範工学オントロジーの構築
◼ 科研新学術領域
◼ 2013-2015 情報リテラシーリスクオントロジーの構築
◼ 共同研究(科研費):山形大学
2018/8/7 7
8. 現在進行中の研究内容
◼ ①オントロジー工学の基礎理論
◼ 基礎理論:ロール理論【JAIST,立命大】
◼ 構築方法論:オントロジー洗練支援,半自動構築
◼ ②オントロジー構築・利用ソフトウェアの開発
◼ オントロジー構築ツール「法造」および利用API
◼ Linked Open Data (LOD)関連ツール
◼ ③各領域でのオントロジー・LODの構築,および応用システム開発
◼ サステナビリティ・サイエンス(環境分野)オントロジー【地球研】
◼ 生物規範工学オントロジーに基づくDB【科学博物館,JAIST,立命大】
◼ 臨床医学オントロジーの構築と利用【東大,JAIST】
◼ バイオインフォマティクスDB・オントロジー【NBDC, JST, DBCLS, 理研】
◼ 行政オープンデータの活用・地域課題解決【大阪府下の自治体,他】
2018/8/7 8
【 】:主な共同研究・連携先
12. オントロジーの定義
◼ 哲学用語:「存在論」
◼ 人工知能分野
◼ 「概念化の明示的記述」
(An explicit specification of conceptualization)
by T. Gruber(1993)
◼ オントロジー工学
◼ 人間が対象世界をどのように見ているかという根
源的な問題意識を持って物事をその成り立ちから
解き明かし,それをコンピュータと人間が理解を共
有できるように書き記したもの
(『オントロジー工学』:溝口理一郎)
2019/6/5 12
13. 知識記述とオントロジー
◼ 知識記述(モデル化)
◼ 知識処理には,対象世界のモデル化(知識記述)が必要.
◼ 知識の共有・有効活用には,一貫性をもったモデル化が重要.
◼ オントロジーの役割
◼ 対象世界をどのように捉えたか(概念化したか)を明示し,
一貫性を持って知識(インスタンスモデル)を記述するための
共通概念や規約(記述ルール)を提供する
2019/6/5 13
対象世界
<item rdf:about="http://www.kanzaki.com/bass/">
<title>コントラバスの話</title>
<link>http://www.kanzaki.com/bass/</link>
<description>
コントラバスに関する基礎知識、
エッセイなどを集めた 楽しくてためになるセクション
</description>
</item>
<channel rdf:about="http://www.kanzaki.com/info/rss.rdf">
…省略…
<items> <rdf:Seq>
<rdf:li rdf:resource="http://www.kanzaki.com/bass/"/>
…省略…
</rdf:Seq></items> </channel>
オントロジー
知識
(インスタンスモデル)
知識記述
(モデル化)
概念化
15. オントロジーの構成
◼ オントロジーの構成
◼ 対象世界を説明するのに必要な「概念」
◼ 概念間の「関係」
◼ 概念定義の内容
◼ ラベル(,コメント)
◼ 上位概念/下位概念
◼ 部分概念
◼ 属性
◼ 公理
2019/6/5 15
自転車
サドル
ハンドル
前輪
is-a関係
part-of関係
attribute-of関係
秋田犬 土佐犬
犬
ほ乳類
猫
動物
サイズ:26×2.3
色: 赤
変速:24段変速
・前輪とハンドルは
連動している.
・前輪≠後輪
その他の関係
18. 分類視点の明確化の例:車両
◼ 例1)概念(分類)階層のみ ◼ 例2)概念の定義を追加
2019/6/5 18
車両
-二輪車
-自動二輪
-自転車
-三輪車
-
…
車両
-二輪車
→車輪の数 =2
-自動二輪
→動力源 =エンジン
-自転車
→動力源 =人
-三輪車
→車輪の数 =3
-
…
各概念の意味の
違いは暗黙的
各概念の意味の違い
が明示化される
26. 考え方のポイント
◼ 「麺料理」と「麺」の区別が出来ているか?
◼ 「料理としての麺」と「食材としての麺」は異なる.
◼ 「料理としての麺」 は“「食材としての麺」を材料(部分)として
持つ”
◼ 自然言語で「ラーメン」や「うどん」と言ったときは,両者を区
別していない.
◼ 「とんこつラーメン」や「きつねうどん」は, 「料理としての麺」
を指している.
◼ それらの上位概念としての「ラーメン」や「うどん」と,
◼ それらの部分(材料)としての「ラーメン」や「うどん」
を考えると,それぞれ別の概念であることが分かる.
◼ このような,自然言語では混同されている概念を適切に区別
することが,オントロジー構築で重要な考え方.
2019/6/5 26
ロール
と呼ぶ
29. オントロジー構築ツール
◼ オントロジー記述言語
◼ RDF Schema:簡単な語彙定義
◼ OWL:記述論理による詳細なクラス定義
◼ SWRL:セマンティックWebにおけるルール記述言語
◼ オントロジー構築ツール
◼ Protégé (by スタンフォード大学)
◼ 法造 (by 古崎)
◼ TopBraid Composer™ (by TopQuadrant)[商用]
2019/6/5 29
30. RDFSとOWL
◼ セマンティックウェブにおいてオントロジー記述に用いら
れる言語
◼ RDFS(RDF Schema)
◼ クラスおよびプロパティのis-a階層
◼ プロパティの定義域(domain)/値域(range):主語/目的語と
なれるリソースの種類
◼ OWL(Web Ontology Language)
◼ あるクラスの持つプロパティの値域に関する制約
→述語論理における全称記号(∀),存在記号(∃)に相当する表現
◼ あるクラスが持つプロパティの数に関する制約
◼ プロパティの推移律(例:「子孫の子孫」は「子孫」)
◼ ..など,より詳細なオントロジーの記述が可能
2019/6/5 30
31. オントロジーの種類
意味的構成要素による分類
◼ 意味的構成要素による分類
◼ 0)統一された語彙集合/簡単なスキーマ
◼ rdfs:Classやowl:Classによる概念定義の列挙
◼ 1)概念間のis-a関係に基づく階層
◼ rdfs:subClassOf によるクラス階層の記述
◼ 2)is-a以外の関係を含む
◼ プロパティの記述
◼ 制約(Restriction)の記述
◼ 3)意味制約の公理的記述を含む
◼ transitiveProperty,inverseOfといった関係の性質に関
する制約
◼ disjointWith,oneOfといった制約
◼ 4)その他の強い公理を含む
◼ ルール記述言語(KIF,SWRLなど)による強い公理(推
論規則など)をとして記述
2018/8/7 31
RDF(S)
OWL
OWL
+
SWRL
RSS,
FOAF
Webディ
レクトリ
シソーラス
+α(概念構造)
より詳細な制約
を含むもの
厳密な推論規則を含むもの
44. ロール概念とは
◼ 夫婦関係
◼ 夫婦 に おける 夫(妻)の役割 は 人間 が担っている
◼ 学校
◼ 学校 に おける 教師の役割 は 人間が担っている
◼ 自動車
◼ 自動車 における前輪(後輪)の役割 は 車輪 が担っている
◼ 鳥の唐揚げ
◼ 鳥の唐揚げ における具の役割 は 鶏肉 が担っている
ロール概念:
ある“もの”や“人”が特定の状況で「果たす役割」を概念化したもの
夫婦
関係
夫・妻ロール
教師ロール
前輪(後輪)ロール
具ロール
2019/6/5 45
コンテキスト ロール概念 プレイヤー
45. 2018/8/7 46
ロール概念の構成
46
ロール概念
コンテキスト depend on プレイヤー
playing
教員
ロール_1
木村さん
大阪高校
ロールホルダー
教員-1
大阪高校において、木村さんが教員の役割(教員ロール_1)を担ったとき
教員(教員_1)と呼ばれる
学校において、人間が教員ロールを担ったとき教員ロールホルダーと
呼ばれる
ロール概念
コンテキスト
depend on
playable
教員
ロール
人間
学校
ロールホルダー
教員
クラスの世界
インスタンス
の世界
プレイヤー
(クラス制約)
コンテキスト プレイヤー ロール概念 ロールホルダー
55. 全体と部分の相互依存性
2019/6/5 56
◼ 全体の部分依存性
◼ 全体となる概念は,部分(部品)の集合として定義され
例)「テーブル」は,「天板」と4本の「脚」という部品から構成される
◼ 部分の全体依存性
◼ 部分となる概念(部品)は,全体から定義される
◼ 例)「天板」や「足」は,「テーブル」(という全体)の部品である.
◼ 全体から独立した部分の定義
◼ 部分となる概念は,他の箇所で定義された概念を参照して
定義される
◼ 例)ある「板」や「棒」が「テーブル」(全体)となるときは「天
板」や「脚」となる.
◼ →「板」や「棒」が単独で存在するときは, 「天板」や「脚」
ではない.
ロール概念を用いることで,これらの違いを適切に概念化できる
56. ロールに基づく全体-部分の概念化
2019/6/5 57
◼ 全体の部分依存性
◼ part-ofスロット(関係)を用いた
概念の意味定義
◼ 部分の全体依存性
◼ part-ofスロット(関係)の定義
◼ 全体から独立した部分の定義
◼ クラス制約による参照
part-of関係を用いた
テーブルの意味定義
全体から独立して
定義された概念
全体に依存した「部分」の定義
全体をコンテキストとした
ロール概念としての扱い
ク
ラ
ス
制
約
に
よ
る
参
照
60. オントロジー利用方法
◼ オントロジーを利用した応用システムの分類[Uschold 99]
◼ (a)neutral authoring
◼ (b)common access to information
◼ (c)indexing for search
◼ オントロジー利用タイプの分類[古崎 10]
◼ (1)共通語彙
◼ (2)検索
◼ (3)インデックス
◼ (4)データスキーマ
◼ (5)知識共有の媒体
◼ (6)分析
◼ (7)抽出
◼ (8)知識モデルの規約
◼ (9)知識の体系化
2018/8/7 61
[Uschold 99] Uschold, M. and Jasper, R.: A Framework for Understanding
and Classifying Ontology Applications, in Proceedings of the IJCAI-99
Workshop on Ontologies and Problem-Solving Methods (1999)
[古崎10] 古崎晃司:オントロジー利用研究の分類と傾向分析, 人工知能学会
誌, Vol. 25, No. 4, pp. 475–484 (2010)
(1)知識記述のための規約
:(a), (1), (4), (8)
(2) 知識の共有・再利用
:(b), (3), (5)
(3) 意味処理
:(c), (2), (6), (7)
68. オントロジー利用研究の分析
2018/8/7 69
◼ オントロジー利用研究の分析
◼ Semantic Webの国際会議(ISWC,ESWC,ASWC)(229件)
◼ 国内の論文(88件)
◼ 分析の観点
(方針)オントロジーの使われ方を中心に分析する.
◼ オントロジーの種類:どのようなオントロジーを利用するか?
◼ オントロジーの利用タイプ:どのような目的でオントロジーを利用する
か?
◼ 対象とするドメイン
最新の情報については下記の書籍を参照
『オントロジーの普及と応用』(人工知能学会:編集,
來村 徳信:編著),オーム社,2012
5章 オントロジー利用研究の分類と傾向分析(古崎晃司)
[古崎10] 古崎晃司:オントロジー利用研究の分類と傾向分析,
人工知能学会誌, Vol. 25, No. 4, pp. 475–484 (2010)
97. 左右対称な構造物の概念化
◼ 問題意識
◼ 解剖学構造には左右対称なものが多い.
◼ それらを適切に概念化するには,どうすればよいか?
◼ 例
◼ 「肺」と言ったとき,どの概念を指す?
◼ 「右肺」と「左肺」を合わせた「全体としての肺」
◼ 「右肺」と「左肺」を抽象化した「肺」
◼ 「腕」,「両腕」,「右腕」,「左腕」の関係性は?
◼ 「5本指(の組)」とそれぞれの「指(親指,人差し指,中
指,薬指,小指)」,それらを抽象化した「指」も対称な
構造として同種の問題
2019/6/5 98
101. 参考資料
◼ 人工知能学会セマンティックウェブとオントロジー(SWO)研究会
◼ http://www.sigswo.org/ 研究会資料公開あり
◼ ISWCサーベイ
◼ 分野のトップカンファレンスISWCの発表論文をSWO研究会有志でサーベイし,
日本語スライドにまとめた資料
◼ ISWC2018サーベイ
https://github.com/sigswo/files/raw/master/SIG-SWO-047-ISWC2018-
Survey.pdf
◼ ISWC2017サーベイ http://id.nii.ac.jp/1004/00009109/
◼ ISWC2016サーベイ http://id.nii.ac.jp/1004/00008619/
◼ 主な関連国際会議
◼ International Semantic Web Conference (ISWC)
http://swsa.semanticweb.org/content/international-semantic-web-
conference-iswc
◼ ESWC(Extended Semantic Web Conference)
◼ The Conferences on Formal Ontology in Information Systems (FOIS)
◼ KEOD(International Joint Conference on Knowledge Discovery,
Knowledge Engineering and Knowledge Management)
http://www.keod.ic3k.org/websites.aspx
2019/6/5 102
102. 参考資料:関連ジャーナル
オントロジー・ナレッジグラフ関連の発表がある主なジャーナル
◼ Journal of Web Semantics
◼ https://www.journals.elsevier.com/journal-of-web-semantics
◼ Semantic Web Journal
◼ http://www.semantic-web-journal.net/
◼ Applied Ontology
◼ https://www.iospress.nl/journal/applied-ontology/
◼ Journal of Biomedical Semantics
◼ https://jbiomedsem.biomedcentral.com/
◼ 人工知能学会論文誌
◼ https://www.jstage.jst.go.jp/browse/tjsai/-char/ja/
2019/6/5 103