UMETRICS
(概要)
2015年1月STAR METRICSから分離独立したUMETRICS(Universities: Measuring the ImpacTs of Research on Innovation, Competitiveness, and Science)はミシガン大学に拠点 を設け、より多くの大学間の運営データ共有を目指している。全米の大学は4800近くあるが、トップレベルの大学は120大学程であり、その全てが政府の研究開発費を受けている。したがってUMETRICSはこの120大学を網羅することを目指している。また、目立った動きでは、国勢調査局(Census Bureau)の持つ雇用と家計データ(Longitudinal Employer-Household Dynamics)や職歴データ、新規公開株のデータといった社会経済的データと共に、特許局のデータベース、出版物や引用数のデータを連携させることで、研究開発投資の社会における成果を多角的に捉えようとしている。以下はUMETRICSが発表したデータ連結のデザインである。
データには、UMETRICSに参加した機関の研究者のみがアクセス出来るが、UMETRICSチームが研究者の研究対象を精査し必要と思われる範囲のデータのみを共有する方針である。UMETRICSについては、現在一般に公開されているデータはない。
(成果)
2015年12月UMETRICSのデータ(従来のSTAR METRICSのデータと国勢調査局センサスデータの連結)を使った初めての研究成果がサイエンス誌に掲載された。
公的および民間の研究投資が行われたプログラムの博士課程の学生が労働市場でどのような待遇をうけているか、雇用機会と給与にどのような影響があるのかを分析したもので、STAR METRICSレベルⅠの当時から蓄積した研究者個人のデータ(例えば、研究資金の受託履歴、研究における雇用関係、成果としての論文や特許等)とセンサスデータ(雇用や待遇に関する情報、企業情報等)がUMETRICSにより連結したため、博士号所得者の卒業以降の動向を90日ベースで追跡できるようになった(センサスは90日間隔なので転職しても追跡が可能)。本論文では、博士号取得者を雇用した企業の特性や勤務地、雇用条件の分析を行っており、学位取得後、どの地域でどのような企業や大学で就職し(もしくは起業し)、どのような待遇でどのような仕事に就いているかを知ることが出来るようになった。また博士号取得者の専門分野による給与や待遇の違い等も明らかにしている。
これにより、将来画期的なイノベーションが起こった時に、どのような学歴・キャリアパスを通ってきた人材により、イノベーションが引き起こされたかを掴めるようになる道筋が出来た。またどのような分野の博士号所得者が、どういった産業や企業で働いているかを知ることが出来、今後、研究開発投資の経済的・社会的インパクトを知るための基礎となると考えられる。この論文は、サイエンス誌で12月10日に公表されたが、11日にはワシントンポスト紙やネイチャー誌で詳しい内容が報じられている。
RISISの参加団体は9カ国13大学・研究所であり主幹事はパリ大学東校である。
(フランス)
パリ大学東校 Université Paris-Est Marne-la-Vallée(UPEM) – Institut Francilien Recherche, Innovation et Société
(イタリア)
イタリア学術会議持続的経済成長研究所 Consiglio Nazionale delle Ricerche (CNR) – Research Institute on Sustainable Economic Growth
ミラノ工科大学経営経済学および工業エンジニアリング学部 Politenico di Milano (POLIMI) – Department of Management Economics and Industrial Engineering
ルガーノ大学 Università della Svizzera italiana (USI) – Unit on Performance and Management of Research and Higher Education Institutions
(オランダ)
アムステルダム自由大学ネットワーク・インスティチュートVU University Amsterdam – The Network Institute (VUA)
ライデン大学科学技術研究センター Leiden University (UL)– Centre for Science and Technology Studies
(ドイツ)
ドイツ国立情報学研究所 Institute for Research Information and Quality Assurance (IFQ)
(イギリス)
マンチェスター大学イノベーションリサーチインスティチュートThe University of Manchester – Manchester Institute of Innovation Research (UniMan)
サセックス大学科学技術政策研究所 University of Sussex (UoS)– Science and Technology Policy Research
(オーストリア)
オーストリア工科大学 Austrian Institute of Technology (AIT)
(ノルウェー)
北欧イノベーション・リサーチ・教育研究所 Nordic Institute for Studies in Innovation, Research and Education (NIFU)
(スペイン)
スペイン国立研究協議会 Spanish National Research Council (CSIC) – Institute of Public Goods and Policies & Instituto de gestió n de la innovació n y del conocimiento
(イスラエル)
サミュエル・ニーマン研究所 Samuel Neaman Institute for National Policy Research (SNI)