パネルディスカッション: Bigdata の利用と産業連関分析 政策研究大学院大学NISTEP一橋大学 原泰史

1. パネルディスカッション:
Bigdata の利用と産業連関分析
政策研究大学院大学
NISTEP
一橋大学
ya-hara@grips.ac.jp
原泰史

2. 本日のプレゼンテーション
1. IoT の技術開発と社会的影響
• 東工大 出口先生
• 利用しているデータ: 帝国データバンクデータから構成したI/O表 [ミクロ -> マクロ]
• 企業会計と社会統計の連動
2. 政策シミュレーターによる科学技術政策の社会・経済的影響力評価の試み
• 慶應大/JST/GRIPS 黒田先生
• 利用しているデータ: (1995-2011年までの実データ, 2050年シミュレーション)I/Oデータ etc… [マクロ,
ミクロ]
• 人口統計, I/Oデータ, 2050年までの政策シミュレーション
3. 08SNA の改訂と R&D 投資資本化の試み
• 内閣府 ESRI 長谷川先生
• 利用しているデータ: GDP統計データ [マクロ]
• 資本サービスの計測, 特許の資本化
4. R&D による知識資産の資本化と産業連関表の改訂および全要素生産性測定
• RIETI/NISTEP/GRIPS 池内先生
• 利用しているデータ: R&D 関連データ (サイエンスリンケージ）[ミクロ]
• R&Dのスピルオーバー, サーベイ調査と特許データの接合, プレスリリースデータ, 特許データ

3. データをつなぎあわせること
• マイクロな世界とマクロな世界
マクロな集約
ミクロ
データ3
ミクロ
データ1
ミクロ
データ2
マクロ
(macro)
メソ (meso)
ミクロ (micro)
• ミクロなデータを繋ぎ
合わせることで、マク
ロな分析に繋ぎ合わせ
る
• メソレベルとマクロ/
ミクロを縦橫につなぐ

4. 分析例: J-global 収録データ(国別) 引用: JSTデータベース

5. Article, 28672296
Proceedings,
7968231
Reports,
134279
Year Book,
48840
, 10308
Review,
8244
Newsletter,
4457
Patents, 1641
Statistics,
1084
Abstract,Index, 417
Dissertation,
38
Bibliography, 4
JPN, 1
Other, 1544
Article Proceedings Reports Year Book
Review Newsletter Patents Statistics Abstract,Index
Dissertation Bibliography JPN
分析例2: J-global 収録データ(種別) 引用: JSTデータベース

6. マクロとミクロデータをつなぎ合わせた
研究開発を行うための主なギャップ
1. 研究者が自由に利用できるデータソースが限られていること
2. データベースの相互接続性が担保されていないこと
3. 分析単位 (企業名, 組織名, 発明者名, 研究者名) ごとに紐付けら
れた一意なIDを用い、それらを接合する必要があること。接合
には名寄せや、データクリーニングなどの作業があり時間を要
すること
4. 科学的発見からイノベーションの実施、市場化に至るプロセス
を確認できないこと
2016/9/2 6

7. データベース同士の接合による
イノベーションプロセスの解析(例.)
論文データベース
特許データベース 製品データベース
ファンディングデータベース
NISTEP
企業名辞書
FMDB
J-GRAD
patR/IIP
Patent DB
PATSTAT
Web of
Science
Catalog Data
POS Data
J-global
2016/9/2 7
• 分析単位(組織名, 研究者名, 発明者
名) 同士の一意なID によるマッチン
グが必要
• 相互接続性の不備(組み合わせ問題)Scopus
KAKEN

8. SPIAS: SciREX 政策形成インテリジェント
支援システム
• 科学技術イノベーション政策の
調査戦略提案の支援ツール
• 政策立案/研究のためのBI
(Business Intelligence) ツール
• Science for Science and
Innovation Policy の実現
• データベースの統合による、イ
ノベーションプロセスの解析の
実現
• ファンディングの「見える
化」、「表出化」
• 基礎研究から応用研究、製品化へ
の流れを可視化することで、各種
政府系ファンドが果たした役割を
明確に描写できる

9. SPIAS機能例
• 科学技術領域ごとに、
• 関連する競争的資金の研究課題
• 関連研究者
• 事業区分別研究費
• 事業区分別研究課題数
• 研究機関別研究費
• 研究機関別研究課題数
などの情報を取得可能
• 手法
• JST/CRDS が提供する科学技術俯瞰領域に
記載された用語・キーワードに基づき、関
連する用語が多数含まれる研究開発領域の
内容を取得
• コサイン類似度, LDA (Latent Dirichlet
Allocation) による語句同士のマッチング
• cos 𝑞, 𝑑 = 𝑖=1
{𝑉}
𝑞𝑖 𝑑 𝑖
𝑖=1
{𝑉}
𝑞𝑖
2
𝑖=1
{𝑉}
𝑑 𝑖
2
• 文章中の後の出現回数、有無をベクトル表
現する。
• 類似する文章は語の出現傾向が類似すると
過程すると、ベクトルの角度が小さいほ
ど、似たような文章であることを意味する
• 文章をベクトル化し, コサイン類似度を計算
することで類似度を測定する
• MeCab による分かち書き
2016/9/2 9

10. SPIAS: 今後の機能拡充予定
• 特許・論文データの追加・拡充
• プレスリリースデータとのマッ
チングによる、イノベーション
動態の解析
• 当該研究領域に関連する研究者
を自動的に表示させるコンシェ
ルジュ機能などの追加
2016/9/2 10
データの内容 データベース名 提供元
政府系ファンディ
ング (科研費/JST
ファンド など)
FMDBデータベー
ス/日本の研
究.com
JST/日本の研
究.com (株式会社
バイオインパクト)
特許 J-global JST
論文 J-global JST
プレスリリース 日経プレスリリー
ス
日本経済新聞
• SPIAS現開発版利用データベース

11. まとめ+今後の課題
• ビッグデータを活用することで、これまで仮定としていた各種パラメータを精
緻化したモデル分析が可能に
• データとエビデンス
• データのカバー範囲を広げる: グローバルな分析調査を可能に
• PATSTAT, Web of Science, Scopus などの活用の検討
• 接続を行う手法の検討
• 既存手法との相互活用
• 精緻に分析することを重視するか、即時性を重視するか
• マクロな視点 <-> ミクロな視点の相互補完
• データを活用する上での、理論モデルの重要性
• マクロデータを経済シミュレーションモデルで活用する方法論の確立の必要性

12. Discussion Point
• マイクロデータをマクロ(I/O)分析へとどのようにして接合するのか？
• ミクロ分析とマクロモデルをどのように”ジョイン”させるのか？
• データを用い「ミクロ的基礎付け(microfoundation)」を実証的に実現する方法
• 経済学として、どのように社会に貢献できるのか？
• Ex. 「科学技術イノベーション政策のための科学」
• http://scirex.grips.ac.jp/

13. ya-hara@grips.ac.jp
2016/9/2 13