More Related Content Similar to FINOLAB Insurtech meetup (20) More from Masakazu Masujima (10) FINOLAB Insurtech meetup2. FINOVATORS の紹介
FinTech エコシステムの形成を志す専門家集団によるプロボノ活動
Financial + Innovators = FINOVATORS
【 MISSION 】
☑ FinTech スタートアップ企業へのメンタリングによる起業・成長加速を
支援
☑ パブリックセクターへの提言(政府行政・自治体・行政)
☑ 海外 FinTech 業界団体との連携による世界的な金融イノベーションの推
進
オープンスペース
会員ラウンジ ライブラリー
イベントスペース
会員ラウンジ
FINOLAB 受付
会員ラウンジ キッチン
オープンイノベーションかつ金融業に対応したオフィスオープンイノベーションかつ金融業に対応したオフィス /650/650 坪坪 (( 参考参考日本最大の金融街大手町の中心に所在の日本最大の金融街大手町の中心に所在の FINOLABFINOLAB に本店登記に本店登記
東京駅
3. 自己紹介
増 島 雅 和(ますじま まさかず)
森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士
2001 弁護士登録
2006 米国ウィルソン・ソンシーニ法律事務所(シリコンバレーオフィス)
2007 ニューヨーク州弁護士登録
2010 金融庁監督局銀行第一課( RRP 担当)兼保険課
日経 CSIS バーチャルシンクタンク・フェロー
イニシアチブ: 金融の力で我が国産業構造のイノベーションを加速する“ Startup Innovators” 主
宰
http://startupinnovators.jp/
2013 経済産業省 新事業創出支援関係者会議 委員
2015 IMF外部カウンセル(米国 FSAP :金融破綻処理法制担当)
日本クラウドファンディング協会理事、日本ベンチャーキャピタル協会顧問、 FINOVATORS 代
表、日本ブロックチェーン協会アドバイザー、仮想通貨事業者協会理事、ブロックチェーン推進
協会アドバイザー 等
2016 経済産業省 FinTech 研究会 ブロックチェーン研究会 委員
内閣官房 IT 総合戦略本部 シェアリングエコノミー検討会合 委員
5. FinTech – unbundle, then rebundle の世界
情報産業における情報流通のディスラプションという点で、メディア・コンテンツビジネスと金融ビジネスは同じ文脈にある
< 銀行業の場合>
口座管理機能
為替機能
貸付機能
回収機能
運用機能
販売機能
(窓口)
顧
客
顧
客
顧
客
運用
機能
回収
機能
貸付
機能
為替
機能
口座
機能
貸金サービス
資金移動サービス
資産運用サービス
口座プラットフォーム
マーケティング マーケティング マーケティング マーケティング
コンテンツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ
unbundling
rebundling
6. FinTech – unbundle, then rebundle の世界
情報産業における情報流通のディスラプションという点で、メディア・コンテンツビジネスと金融ビジネスは同じ文脈にある
< 保険業の場合>
rebundling
販売機能
引受機能
支払機能
運用機能
顧
客
顧
客
顧
客
支払機能
引受機能
販売機能
運用機能
販売機能 販売機能
引受機能 引受機能
支払機能 支払機能
運用機能 運用機能
顧
客
顧
客
顧
客
unbundling
?
8. FinTech は国際競争
FinTech は、次世代金融のビジネスモデルの主導権をめぐる国際競争の様相を呈してい
る
メディア・コンテンツ産業におけるディスラプションと同じ構造にある、というこ
とは、付加価値の大半をキャプチャーする海外のプラットフォームビジネスが日本
を席巻するシナリオがありうるということ。
データ蓄積とその分析技術で先行する GAFA(Google, Amazon, Facebook, Apple) や
BAT(Baidu, Alibaba, Tencent) による金融業への進出
海外で先行してビジネスモデルを確立した FinTech 企業の日本市場への上陸
我が国では 2015 年初頭-半ばに FinTech の狙いに気づき、業界団体を立ち上げ、
業界や省庁を巻き込んで All Japan で巻き返しを図っており、今年になって実務面
・法整備面でようやく海外との時差が解消されつつある状況
FinTech インキュベーションオフィス「 FINOLAB 」 @ 大手町
FSA による FCA 、 MAS との FinTech 推進に向けた MOU の締結
銀行、クレジットカードへの API レイヤーの導入
全銀協、東証、 FSA 、日銀それぞれがブロックチェーンの研究プロジェクトを立ち上げ
9. 保険は周回遅れ
2015 年 3 月 Daily FinTech 記事
InsuranceTech is not as developed as other parts of the Fintech market. It feels more like
Fintech around 2011, when a lot was happening but few people were observing what was
happening.
“Insurance is conspicuous by its absence from the Fintech scene in London and it’s a mystery
to me why it has such a low profile given the massive opportunity in this sector”.
2017 年 3 月 Daily FinTech 記事
InsurTech is in it’s Cambrian explosion phase with lots of funding action.
日本の InsurTech は、世界の流れから 2,3 年の遅れ
スタートアップ企業名 地域 VC 調達額(百万米ドル) セグメント
Zhong An 中国 900 生命保険
Oscar 米国 727.5 医療保険
Zenefits 米国 583 保険販売
Metromile 米国 205 自動車保険
Accolade 米国 163.34 医療保険
Collective Health 米国 125 医療保険
Bright Health 米国 80 医療保険
Lemonade 米国 60 P2P 保険
Trov 米国 46.27 損害保険
CXA シンガポール 25 福利厚生
Knip スイス 18.3 保険販売
Friendsurance ドイツ 15.3 P2P 保険
Praedicat 米国 12 大規模災害リスク分析
QuanTemplate 英国 10.25 保険データ分析
Bought By Many 英国 9.14 P2P 保険
<VC 調達額トップ 15InsurTech スタートアップ >
10. 対策その1:まずはアジェンダの共有を
アジェンダ1:規制や業界慣行は InsurTech の流れを止めることができない
保険業界とスタートアップ業界でアジェンダを共有することがまずもって必要
< 間違った理解 >
保険の規制は厳しく、従前の業界慣行を踏まえると日本には海外の InsurTech のビジネスモデ
ルは入ってこられない。だから InsurTech は脅威にはならないしチャンスにもならない。
< なぜ間違っているのか >
規制は保険制度の利便性向上と顧客保護のためにある
InsurTech は、新しいテクノロジーによって圧倒的な顧客体験とコスト効率性を同時に実現することを目指
す
⇒ 規制は既存の事業者やビジネスモデルの防波堤にはならない
イノベーションへの抵抗や様子見は、事態を「より悪く」する
変化の基盤は極めて客観的な「技術」にあり、技術の普及は政治ではとめられない
⇔ 音楽、動画、書籍などコンテンツ業界の過ちを繰り返してはならない
外圧で押されれば日本政府は抵抗できない
立ち遅れれば、先にビジネスモデルを確立した海外勢による外圧により市場開放させられ、草刈り場に
⇒ 保険業界は日米保険協議でこのことを学習済み
金融庁自身が FinTech を後押ししている
FinTech の「ユーザーファースト」の立ち位置は金融庁が進める顧客本位の業務運営そのもの
11. 対策その1:まずはアジェンダの共有を
アジェンダ2: InsurTech を進めるためにはオープンイノベーションが不可欠
保険業界とスタートアップ業界でアジェンダを共有することがまずもって必要
< 間違った理解 >
日本企業もテレマティクス保険やウエアラブル端末を用いた医療保険の開発に取り組んでいる
から InsurTech に遅れていない
< なぜ間違っているのか >
クローズドイノベーションでは InsurTech の果実をキャプチャできない
データの持つ正の外部性の特性
•規模の経済性:大量のデータを集めれば集めるほど価値が生まれる
•範囲の経済性:データが多様であればあるほど価値が生まれる
⇒ 様々な事業者と提携して、より多くの、より多様なデータを収集、解析することによってのみ、テクノロジーの
果実を真にユーザーに還元することができる
スタートアップとの協業がないと、真にディスラプティブなサービスは作れない
ディスラプティブイノベーションは狙ってできるものではなく、試行錯誤の中からしか生まれない
イノベーションの成功確率を上げるためには、最小コストでうまく行かない例を可能な限り多く試すこと
⇔ 大企業 :人件費が高い、評判棄損のコストが高い、決裁システムが複雑で意思決定に時間
スタートアップ :人件費が安い、失敗による評判棄損のコストが低い、小組織で高速 PDCA が可能
⇒ レガシー転換に時間がかかる中、スタートアップ企業(イノベーションの実現に最適化された組織体)とどのよ
うにコラボレートして InsurTech の果実をキャプチャしていくか
12. 対策その1:まずはアジェンダの共有を
アジェンダ3:現在の InsurTech は、第四次産業革命による保険の革新に突入する準備フェー
ズ
保険業界とスタートアップ業界でアジェンダを共有することがまずもって必要
< 間違った理解 >
海外の InsurTech サービスも大した規模ではなく、 InsurTech はニッチサービスに過ぎない
< なぜ間違っているのか >
ニッチから入るのはスタートアップの基本戦略
「小さな市場で顧客を創造すること」はスタートアップがまず最初にすること
新技術と市場のマッチを高め、安くかつ利便性の高いサービスを作り上げたうえで、既存の事業者のマー
ケットに入っていくというのがスタートアップの常套手段
⇒ 3.5 インチフロッピーディスクの例
InsurTech は、スタートアップの基本戦略を実行する教科書事例に最も適合
銀行・証券に比べて、保険は「実ビジネス」「実生活」で起こるリスクを取扱う分、情報化が遅れがち
今後、実ビジネス、実生活のあらゆる場所にセンサーが張り巡らされ、データ収集と解析が進む
現在の InsurTech スタートアップは、本格的な第四次産業革命時代に備えて、ニッチなマーケットで顧客
をつくり、技術を適用して知見を獲得、ノウハウを磨いているフェーズ
⇒ データは長く行えば行うほどたくさんたまる
技術は指数関数的に進歩するので、既存ビジネスのサービスレベルまでのキャッチアップはそう遠くない
13. 対策その2:課題を共有しよう
原因1:人材のマッチングのむずかしさ
真の課題は InsurTech スタートアップの数の圧倒的不足
InsurTech に取り組むためには、データ収集や分析に関する深い知見を持つエンジニア人材と、保険ビジ
ネスに深い知見を持つビジネス人材の組み合わせが不可欠
流動性の高いエンジニア人材
• 自らのスキルを使えば保険ビジネスを大きく変えられるのではないかと気づいている
• 保険実務に疎く、構想の実現可能性を正確に見積もれない
保険ビジネス人材:
• 「あんしん」を売っているだけに自分の身が安心でない状態には身を置きたがらない
• 独立したとしてもすぐにキャッシュが入ってくる保険販売ビジネスに行ってしまい、売上ゼロでスケール
するビジネスを作り上げる方向にビジネスを振れない
⇔ 機を見て勝負しに行く証券人材との相違
Meetup イベントを通じた出会いによって、起業のきっかけを少しでもつく
りたい!
14. 対策その2:課題を共有しよう
原因2:突破するのが難しそうな厚い規制・実務の壁
真の課題は InsurTech スタートアップの数の圧倒的不足
海外で成功している InsurTech モデルの多くは、現在の日本の規制環境や実務環境のもとでは、そのまま
ではスケールするビジネスとすることが難しいと考えられている。
P2P 保険
インターネット上で団体をつくって保険料を低減するモデル
監督指針による規制のほか、過去の利害調整の結果できたチャネル規制や他の業態との業態調整の結果で
きた実務上の切り分け、規制として明記されていない承認認可の実務などの制約が網の目のように存在し
、試行錯誤すら難しい状態になっている
本来、こうした規制をこじ開けていくのがスタートアップ起業家の役割だが、有能で戦略的な起業家は、
もっとオッズの高い他の分野に行ってしまう
起業家を支えるベンチャーキャピタリストや専門家人材も、まだ保険にまで手が回っていない状況
起業家、キャピタリスト、専門家人材を糾合して状況を打開したい!
15. 次世代の保険ビジネスでも保険大国ニッポンへ!
保険ビジネスは日本が世界に誇れる金融産業
< 世界の生命保険市場国別ランキング
>
第四次産業革命を勝ち抜き、 InsurTech でも世界で勝てる保険ビジネスをつくりた
い!
順
位
国名 2015 年
1 米国 826,618
2 日本 299,018
3 イギリス 222,067
4 フランス 150,674
5 イタリア -
【単位: mil.US$ 】
順
位
国名 2015 年
1 米国 1,196,733
2 ドイツ 115,691
3 フランス 77,734
4 イギリス 77,329
5 日本 74,738
【単位:
mil.US$ 】
< 世界の損害保険市場国別ランキング
>