More Related Content
Similar to 20170926_ICON技術セミナー3_石坂 (20)
More from ICT_CONNECT_21 (17)
20170926_ICON技術セミナー3_石坂
- 5. 技術標準仕様 : 国際規格か独自規格か
• 教育は、ほかの分野と比べても、制度や文化に大きく依存する ⇒ 国際的
な標準化が難しいという声がある
• 教育に関する技術標準規格は、データのやり取りの方法の規定が基本
やり取りされるデータの規定 : データセットやボキャブラリと呼ばれる
もの
やり取りの方法の規定 : APIなどと呼ばれるもの
• やり取りされるデータは、その国や州の教育制度や文化によって異なる
⇒ 独自に規定する必要がある (例 : 単元ID, 学習者ID, 教科のリスト, 評
価の方法)
• やり取りの方法は、教育制度や文化に大きくは左右されない
⇒ 国際規格を活用できる (IMSの規格など)
• この2つが当初から分離されている規格が、もっとも採用しやすい
• やり取りの方法は、 技術の発展に従って改変していく必要があるが、そ
の作業を国際機関にある程度依存できる : 日本からの声を反映させる必
要もある
5
- 6. データセット、ボキャブラリ、データ標準
• 各国の教育で、例えば教科があることは共通しているが、教科の名前は
必ずしも共通ではない
イギリス : 英語、数学、理科、地理、歴史、デザイン・技術、コンピューティング、…
日本 : 国語、算数、理科、社会、音楽、体育、総合的な学習の時間、…
• 相互運用性の確立には、用語やID体系などの共通化、標準化も重要
• 学習、教育、研修のための技術情報を扱うISO/IEC JTC1 SC36では、8
つあるWGのうち、最初のWG1の担当がボキャブラリ (用語)
WG1 ボキャブラリ
WG2 協調、知的技術
WG3 学習者情報
WG4 学習管理
WG5 品質保証
WG6 プラットフォーム、サービス、仕様統合
WG7 文化、言語、利用者機能対応
WG8 学習分析
6
- 7. 海外の教育に関するデータ標準の例
USのCommon Education Data Standard (CEDS)
https://ceds.ed.gov/
• P-20W (未就学児童教育から企業内研修まで) のすべての教育分野を対象
にした、用語統一の連邦プロジェクト
• 連邦政府、州の教育省、教育委員会、標準化団体、企業、大学の研究者
など100名以上の代表が集まって検討
• Data Modelと呼ばれる膨大な量の用語のリストを整理して公開
欠席の理由とそのコード、大学の役職名、2文字の州の略称、…
• 現在バージョン7をレビュー中
イングランドのCommon Basic Data Set (CBDS)
https://www.gov.uk/government/publications/common-basic-data-
set-cbds-database
• 教育省が規定して公開
7
- 11. SIS (Student Information System)
• 主にUSから始まって広がった、生徒の情報を管理するシステ
ム
• 児童生徒に関する基礎的な情報の蓄積場所
氏名、住所/連絡先、親や家庭
学年、クラス、受講授業
出欠や宿題の提出、テスト結果など : grade book
(Common Coreなどの) 公的テストのデータ
スクールバス、ミールチケット
進路、親とのやり取り
上級機関へのレポート
11
- 12. SIS (Student Information System)
• USではほとんどの学区に普及
• 本質はRDB
入力のフォームと、出力のクエリー
• USでは5-6社で寡占
• 教員、学校管理者、児童生徒、保護者、学区や州の担当者な
ど、立場に応じたアクセス制御と表示のカスタマイズが可能
(ダッシュボード機能)
• SIS上に蓄積されたデータを分析するツールが進化し、傾向
の把握やつまずきの発見だけでなく、中退防止などさまざま
に活用
• その延長上にadaptive learningの考え方が出てきた
12
- 14. MIS (Management Information System)
• UKではSISに相当するシステムをMISと呼ぶ
• Capitaという会社の
SIMSという製品が、
シェア82%と寡占
• イングランド教育省は
学校向けにMISの選び方
ガイドを提供している
14
- 16. LMS (Learning Management System)
学習管理システム
• コースを管理し、学習をサポート
履修、時間割
教材管理、課題/提出管理
講義ごとの成績
• 従来は閉じたシステムだったが、近年はWebを活用したもの
が主流
• オープンソースも多数
Moodle, Sakai
16
- 17. DLP (Digital Learning Platform)
• 最近の新しい概念
• 学びのためのデジタルなプラットフォーム
• Webを活用し、部品をつなげる形で構成する考えが主流
• IMS GLCも協力し、EDUCAUSEがNGDLE (Next
Generation Digital Learning Environment) の概念を提唱
し、この考えが現在発展中
• https://library.educause.edu/~/media/files/library/201
5/4/eli3035-pdf.pdf
17
- 18. NGDLE (Next Generation Digital
Learning Environment)
• 次世代デジタル学習環境
• 5つのキーワード
Interoperability and Integration
(相互運用性と統合)
Personalization
(個に合わせた)
Analytics, Advising, and Learning Assessment
(分析、アドバイス、評価)
Collaboration
(協働)
Accessibility and Universal Design
(アクセシビリティとユニバーサルデザイン)
18
- 20. データをやり取りするための規格
SIS ⇔ SIS :
• Schools Interoperability Framework (SIF) by A4LC
• Common Transfer File (CTF) by DfE
SIS ⇔ DLP :
• OneRoster by IMS GLC
• Learning Information Services (LIS) by IMS GLC
LMS ⇔ 外部の学習ツール :
• Learning Tools Interoperability (LTI) by IMS GLC
• Common Cartridge by IMS GLC
LMSなど多様なセンサー ⇒ LRS :
• Caliper Analytics by IMS
• xAPI by ADL
20
- 22. One Roster
• IMS GLCが、主に大学で使われていたLISを簡略化および近
代化して、初等中等向けに作り直した規格
• http://www.imsglobal.org/activity/onerosterlis
• 現在の最新はversion1.1で、version1.2を策定中
• One Roster Provider (SIS) とOne Roster Consumer
(LMSや学習用のアプリケーション) の間で、クラスの情報
(Enrollment)、授業の教材や課題
(Resources)、成績情報 (Results)
をやり取りするための規格
• CSVファイルでやり取りする方法と、
REST APIで動的にやり取りする
方法の両方を規定
22
- 23. One Roster
• IMS GLCとしても、これから普及に力を入れる規格
“One Rosterはまだ急速に発展している。確定ではない。”
Rob Abel, IMS GLC CEO
• One Rosterをそのまま日本で使えるか?
ボキャブラリが北米準拠であり、日本の用語に置き換える必
要がある
「“profiled version” を日本のメンバーとやり取りしながら
開発していくことになる」
Colin Smythe, IMS GLC Chief Specification Strategist
23
- 24. Schools Interoperability Framework
(SIF)
• K-12から生涯学習までのさまざまな教育機関でデータをやり
取りするための規格
• 相互運用性を確保して、次のようなソリューションをもたら
す :
Open Standard
Vendor Neutral
Platform independent
• USから始まり、カナダ、UK、オーストラリア、インドなど
で広く浸透
24
- 25. Schools Interoperability Framework
(SIF)
• 2つの構成要素
地域ごとに定義されている、教育関連データのモデルのためのXMLの
規定 (北米, UK, オーストラリアの3地域のバージョン)
地域に関わらず共通の、教育機関の間でデータをやり取りするための
Service-Oriented Architecture (SOA)
• 教育委員会、州、企業、NPO、さまざまな政府機関など
1000を超えるメンバーで構成されるAccess For Learning
Community (A4L) が規格を制定して運営
(https://www.a4l.org/)
• 多くの教育委員会がシステムの提供企業に対してSIFに準拠
するように要求して普及 : オクラホマなどの州は州法で準拠
を義務化
25
- 26. データをやり取りするための規格
SIS ⇔ SIS :
• Schools Interoperability Framework (SIF) by A4LC
• Common Transfer File (CTF) by DfE
SIS ⇔ DLP :
• OneRoster by IMS GLC
• Learning Information Services (LIS) by IMS GLC
LMS ⇔ 外部の学習ツール :
• Learning Tools Interoperability (LTI) by IMS GLC
• Common Cartridge by IMS GLC
LMSなど多様なセンサー ⇒ LRS :
• Caliper Analytics by IMS
• xAPI by ADL
26
Editor's Notes
- 加藤さんスライド https://www.slideshare.net/ICT_CONNECT_21/20170322icon211, P14, 16, 17, 22, 23, 24
田村さんスライド https://www.slideshare.net/ICT_CONNECT_21/20170322icon211-73457891 P19, 既存規格の利用
- https://www.sifassociation.org/Pages/default.aspx
- https://www.sifassociation.org/Pages/default.aspx
- https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/496385/Factsheet_-_ICT_MIS_System_Considerations_1_.pdf
- https://library.educause.edu/~/media/files/library/2015/4/eli3035-pdf.pdf
https://er.educause.edu/articles/2017/7/the-ngdle-we-are-the-architects