ファスト&スロー 第12
章
ー利用可能性ヒューリスティッ
クー堀内 進次
静岡大学 情報学部 情報科学科
2018年5月24日
2017年度読書会
12章の概要
ある事柄についての具体例をいくつか挙げたときの人の
脳の反応について
– キーワード:利用可能性、ヒューリスティック、バイアス
利用可能性ヒューリスティック
利用可能性ヒューリスティックとは
– 「ある事例が頭に思い浮かぶ容易さ」で頻度、規模を判断すること
例:「60歳で離婚する人」,「毒を持つ植物」
これらを記憶から同じような例を呼び出して、スムーズに
呼び出せるようならそのカテゴリは規模が大きいと判断す
る。
利用可能性ヒューリスティック
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利用可能性ヒューリスティック
下の英単語のほうがたくさん単語を作れると感じる。
利用可能性ヒューリスティックも別のヒューリスティッ
クと同様に質問を置き換えている。
– あるカテゴリに対して規模や頻度を見積もるべきときにその事象が思い
つく容易さに置き換えて応えている。
– この置き換えは系統的エラーにつながる
利用可能性ヒューリスティック
利用可能性ヒューリスティックが形成しうるバイアス
– これは「直近で頻度が多い事象」,「自分の身の周りの事象」が関係する。
例:最近で2,3回10代の若者の窃盗事件が起きておりそれが大きな社会問題だ。
去年、自分の周りで一人もインフルエンザにかかっていないから予防接種は
しなくて良いだろう。
利用可能性ヒューリスティック
自分自身のバイアスを意識することで結婚生活や共同プ
ロジェクトがうまくいくようになる。
利用可能性ヒューリスティック
研究事例
夫婦のそれぞれに「家の掃除・整理整頓へのあなた自身の
貢献度はどれくらいですか?」と質問する。そのほか「ゴ
ミ出し」など「社交的な行事」に対しても同様に
貢献度の合計は100%を上回るか下回るか?
利用可能性ヒューリスティック
上回る
– 自分がやったことは相手がやったことよりも容易に思い出すことができ
るから。→自分のほうが貢献していると考える。
– 貢献をしたと感じているときは相手もそう感じている可能性が高い。
利用可能性の心理学
利用可能性
– ある事象が起きる確率や頻度を考える際に、最近の事例や今までの顕著
な事例を思い出し、評価することをいう。
利用可能性の心理学
ドイツのノーバート・シュワルツ氏の実験
2グループにわかれて行われた
質問:
– 1グループ:
– あなたが強く自己主張をした例を6つ挙げてください
– あなたはどれだけ自己主張が強いか自己評価してください
– 2グループ:
– あなたが強く自己主張をした例を12つ挙げてください
– あなたはどれだけ自己主張が強いか自己評価してください
利用可能性の心理学
結果:12個挙げたグループのほうが自分は自己主張が弱い
と判断した。
– 12個思い出すことにこれほど苦労したから自分は自己主張をあまりしな
いと考える。
逆に自己主張をしなかった例を12挙げてくださいという
質問をすると自分は自己主張が強いと考える。
自己主張の例の数に依存せずに内容で自己評価させるに
は
行われた実験
– 具体例を思い出している間にBGMを流し、それが作業に影響を与えると
説明する。第1群では作業効率が上がる、第2群では作業効率が下がると
説明した。
結果
– 作業効率が下がると説明された群には具体例の数による差は見られな
かった。
– 作業効率が下がると説明されていたため、「思い浮かばない」ことに対す
る「意外性」が取り除かれていた。
利用可能性の心理学
事象に思い入れのある人はどのような反応をするだろう
か?
行われた実験
– 身内で心臓病で亡くなった学生、そうでない学生
– 「心臓病に影響する事例を3つまたは8つ挙げなさい」という質問
– 半数は「心臓病になりやすい習慣」もう半数は「心臓病に効果的な習慣」を
挙げる。
利用可能性の心理学
結果
身内に心臓病患者のいない学生
– 生活習慣で8つの危険な事例を挙げることは難しいと考え自分は心臓病と
は無縁だと答えた。
– 予防に効果的な事例を挙げることは難しいと感じた学生は自分は危ない
と答えた。
身内に心臓病患者のいる学生
– 上記とはまったく逆の回答を示した。
利用可能性の心理学
結論
具体例を挙げる容易さはシステム1のヒューリスティック
となり、ここにシステム2が関与して、容易さよりも内容
に集中することができればヒューリスティックを排除す
ることができる。
– システム1に従ってしまう人は利用可能性バイアスにかかりやすい。

Fast and slow20180524