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クリエイティブ・コークッキングの思想と実践【卒論発表】

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【みんなで創造的に料理を楽しむ】という意味を持つ【クリエイティブ・コークッキング】という概念についての包括的な議論を行います。その思想的背景から、効能、制作物、ワークショップ案、実践例を紹介していきます。
今までは【つくる側】と【たべる側】の二元論で語られ月であった料理ですが、それを逆説的に捉え、複数人で一緒に料理をしたとき、そこにはたくさんの良い効果が見られました。一緒に料理をすることによって、人びとの中が深まってチームワークが磨かれ、また料理中の発想や問題解決は創造的な思考を鍛えます。そして何より、誰かと一緒に料理をすることは楽しく、それは新しいかたちの「遊び」としても機能します。
【料理】はそれ自体が特徴的なコンセプトでありながら、他のどんなテーマとも相性がよいものです。教育やビジネス、地域などの分野と組み合わせることによって、コークッキングは無限大の可能性を秘めています。

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クリエイティブ・コークッキングの思想と実践【卒論発表】

  1. 1. 創造社会を支える新しい料理のあり方について: クリエイティブ・コークッキングの思想と実践 伊作太一 井庭崇研究会 2014年度卒業研究
  2. 2. 背景 【創造社会の到来】 「創造社会は、人々が自分たちで自分たちの 認識・モノ・仕組み、そして未来を創造する社会である」 (井庭崇, 2013) 【Fabムーブメントの活性化】 「個人による自由なものづくりの可能性を拡げ、 『自分たちの使うものを、使う人自身がつくる文化』 を醸成する」 (FabLab JapanのWebより)
  3. 3. 背景 物質的なものの「消費」や、情報の「発信」から、 「つくる」ことへ価値の遷移がおきている。
  4. 4. 問題 「『つくる人』と『つかう人』の極端な分断」が生じている (田中浩也, 2012)
  5. 5. 問題 「『つくる人』と『たべる人』の極端な分断」が生じている 料理を 料理は「仕事」や「家事」として捉えられがち
  6. 6. 「料理」という日常的な創造行為から 「つくること」に対する人々の意識を変えてゆく 【コークッキング】は「料理」をより身近な行為にする
  7. 7. みんなで料理をすること 【コークッキング】
  8. 8. 「ひげみのやってる料理会ってなんか特別感があるよね」
  9. 9. ▼ Crea%ve
  10. 10. クリエイティブ・コークッキングの実践を通した • クリエイティブ・コークッキングの思想の探究 • 【クリエイティブ・コークッキング・パターン】の制作 • コークッキング・ワークショップ案の構築・実践 【卒業研究】
  11. 11. • 料理をつくってたべることを一つの「あそび」として楽しむ。 • 協働作業を通して、仲が深まったりチームワークを高めたりする。 • 何をつくるか考え、手を動かす中で、創造力の向上を図る。 • 料理方法や、その周辺のコンセプトを探究することで学びがおこる。 【クリエイティブ・コークッキング】
  12. 12. • 様々な熟達レベルの混在による自然な教え合い・学び合い • 初心者の導線づくり・不安の解消・成功体験の付与 • さらなる料理への挑戦の掻き立て 料理法の習得・上達 コークッキングの効能①
  13. 13. • 「たこパ」「鍋パ」 の発展形 • カラオケや居酒屋などと同じ気軽さの新しい「遊び」 • 工夫をし、つくり、完成させることを気軽に楽しめる • 【クッキングボックス】という新しい場所の可能性 「遊び」としての料理 コークッキングの効能②
  14. 14. • 料理を介した自然なコミュニケーション • 「おいしいものをたべる」という共通の目的の存在 • 料理を完成させる達成感の共有 • 各参加者それぞれの貢献がプロダクトに反映される • 普段は見られない一面を発見し、より深くお互いを知る • おいしい料理による褒め合い、ポジティブな雰囲気 料理によるチームビルディング コークッキングの効能③
  15. 15. • 食材の使い道やメニューを考える • 料理中の問題に臨機応変に対応する • 手を動かしながら試行錯誤ができる • 発想を直接プロダクトに落とし込みやすい • 「もっとおいしくするには」という思考の縛り 料理による創造性の発育 コークッキングの効能④
  16. 16. コークッキングを創造的に 実践するためのアイデア集 【クリエイティブ・コークッキング・パターン】 発想の手助けや問題発見解決の ための知見が「パターン」に
  17. 17. 【クリエイティブ・コークッキング・パターン】 33.即興の料理 02.あたたかい雰囲気01.コークッキング 03.料理の探究 04.キッチン・キャプテン 05.リトルキャプテン 06.いただきますのゴールライン 07.クッキングカルテ 08.最初のチップ・イン 09.道具の点呼 10.ひと声予防 11.こまめのお皿洗い 12.賢い手ぬき 13.キッチン井戸端会議 14.台所教室 15.気持ちの隠し味 16. 料理の命名 17.おいしい盛りつけ 18.セイチーズ!! 19.食べはじめの感謝 20.褒めの連鎖 21.クロージングサイン 22.食材の宝さがし 23.ワンポイント束縛 24.季節のヒント 25.はてなの眼鏡 26.ひらめきの持ち帰り 27. 無茶な料理 28.かたちクッキング 29.余りものプロデュース 30.料理の進化 32.自分の味31.エコフレンドリー・クッキング 「料理」に関する パターン 「雰囲気」に関する パターン 「探求」に関する パターン 00.クリエイティブ・コークッキング
  18. 18. 【クリエイティブ・コークッキング・パターン】 ① 料理をもっと身近な行為に コークッキングの場を より良くまわすためのコツやアイデアをまとめたパターン パターン例 ・キッチン・キャプテン ・クッキング・カルテ ・いただきますのゴールライン
  19. 19. 【クリエイティブ・コークッキング・パターン】 ② 料理をとおして育むあたたかい雰囲気 料理をつくる体験による苦労や達成感、「おいしい!」などの 感覚を共有することによって一体感が生まれる。 パターン例 ・台所教室 ・料理の名付け親 ・おいしい盛り付け
  20. 20. 【クリエイティブ・コークッキング・パターン】 ③ 料理を通した探究による創造性の誘発 料理をつくるプロセスの中には様々な発見が散りばめられており、 キッチンは学びの場となる。 パターン例 ・かたちクッキング ・余りものプロデュース ・無茶な料理
  21. 21. コークッキング・ワークショップ クリエイティブ・コークッキングの ワークショップ案と、その実践例をいくつか紹介
  22. 22. コークッキング・ワークショップ 開催例①:娯楽、もしくはチームビルディングを目的としたWS 社員やチームでコークッキングを楽しむことによって、 チームワークを高めたり仲を深めたりすることを目的とするWS
  23. 23. GYOZA WORKSHOP @UDS株式会社
  24. 24. GYOZA WORKSHOP @UDS株式会社 コークッキングで社員同士の楽しい交流の場をつくる 感想 ・初対面であっても、調理という共通の作業(話題)があるのでコ ミュニケー ションのきっかけができる。 ・料理にはさまざまなプロセス、役割、場面があるので、自分 の個性を発揮する場面がある。 ・食べるときも、みなで作ったという達成感がある。自分たち で作ったから、 基本的に「おいしく」感じる。おいしいから こそ、そこでのコミュニケーシ ョンも楽しく感じる。 ・ポジティブな感情 を短時間で相手に伝える機会を得られる。
  25. 25. 開催例②:料理を通して創造的な思考を育むWS 【フードブレンダーWS】 「2つの料理を掛けあわせる」ワークを行い創造的に思考し、 考えついた料理を実際につくる事によってアイデアを具現化する コークッキング・ワークショップ
  26. 26. コークッキング・ワークショップ
  27. 27. FOOD BLENDER WORKSHOP @井庭研
  28. 28. FOOD BLENDER WORKSHOP @井庭研 感想 ・グラタンを当たり前じゃなくて、むしろ不思議な現象と捉え て、それが理にかなう仮説をつくろうとする行為が、アブダ クティブな発想の仕方で、面白かった。 ・ある状態からそうなる理由を逆算して考えることで、学び・ 発見がたくさんあった。 ・タコスででた「色彩が豊かだ」という要素と、グラタンで野 菜を使うのも白いソー スに色をつけるため?という要素が 似ているという共通点に気づく事ができたワー クでした。 グラタン×タコスであたらしい料理案を考える
  29. 29. 遊び・チームワーク・創造性・学びの全ての要素を含んだ、 フィールドワーク型のコークッキング・ワークショップ 【探究フィールドワークWS】 コークッキング・ワークショップ 開催例③:料理の探究を楽しみながら学ぶWS
  30. 30. ①決められたフィールドを自由に散策 【探究フィールドワークWS】 ②散策を通して感じたことを元に料理のコンセプトを作成 ③できあがった新コンセプトを、CoCookingして料理に落とし込む ④食べ終わった後に、学びの振り返りを行う コークッキング・ワークショップ
  31. 31. NAKANO探究ワークショップ
  32. 32. その料理を食べた人に 感じてほしい気分 フィールドワークを通して 得たインスピレーション 実際の料理は どんなものであるか 漢字ピラミッド 漢字三文字を使って インスピレーションから コンセプトをつくる できあがった新コンセプト:
  33. 33. 違うもの同士や人と人の 「繋がり」を感じてほしい 様々な文化が 「集まって」いた 具材を「包む」 ぎょうざをつくる 中野ぎょうざ ( 女子チーム ) できあがった新コンセプト: 集 集 繋 繋 包 包 【シュウケイホウ】 様々な文化の 「調和」を感じてほしい 中野ブロードウェイの 「奇妙」さが印象的だった 具材を「包む」 ぎょうざをつくる 中野ぎょうざ ( 男子チーム ) できあがった新コンセプト: 妙 妙 和 和 包 包 【ミョウワホウ】 中野での実践例
  34. 34. NAKANO探究ワークショップ
  35. 35. 「3つのC」でクリエイティブを振り返る Connecting Dots : どのような新しいつながりの発見があったか Creating New Values:できあがった新しいアイデアや方法 Changing Perspectives:探究を通してどう考え方や行動が変わったか コークッキング・ワークショップ
  36. 36. NAKANO探究ワークショップ Connecting Dots 「新井薬師通りにある 細工の実演。混ぜ込んで、絵柄を組んでい く方法から、餃子の皮に具を練りこんでいくことを思いついた。」 Creating New Values 「料理はつくっている最中でも編集の自由度がある。コンセプト に囚われすぎず、出来映えを調整していくことも大事。」 Changing Perspectives 「日常はコンセプトから形にすることはほぼ無いが、料理ではそれ が可能になることが分かった。」 「3つのC」でクリエイティブを振り返る
  37. 37. 教育:SCHOOL IN THE KITCHEN 料理は、それ自体が特徴的でありながら、他のテーマとの相性も良い 料理を世界を見るレンズにすることで、料理を通して料理以上のことを学ぶ ▼ コークッキングの今後の展望
  38. 38. ビジネス:コークッキングによる人材育成及び採用 ・社員同士の交流 ・人材育成:創造性やチームワークを育てる研修 ・採用過程:コークッキングをするなかで問題解決能力や チームの中での役回りなどが見える コークッキングの今後の展望
  39. 39. 地域活性:コークッキングによる新しいかたちの観光 ・地域の散策や、その地域の人との交流から発想を得て、 メニューを考える ・地元で取れた名産品を使ったコークッキング ・その土地の郷土料理やB級グルメを実際につくって楽しむ コークッキングの今後の展望
  40. 40. 人がコークッキングをするとき、そこには独特で特別な雰囲気が生まれる。 料理を介して人々は自然と温かい雰囲気に包まれ、 おいしいものを食べたいと思う気持ちがみんなを創造的にする。 コークッキングは、「食」や「つくること」と正直に向き合うしくみになる。 まとめ
  41. 41. 1. 『創社会を支えるメディアとしてのパター ン・ランゲージ』(井庭崇, 古川園智樹, 情報管理 vol.55 no.12, 2013) 2. 『自生的秩序の形成のための《メディア》デザイン」(井庭 崇, 『10+1 web site』, 2009年9月号: http://10plus1.jp/monthly/2009/09/post-2.php ) 3. 『【リアリティ・プラス】パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭 崇 他, 慶應義塾大学出版会, 2013) 4. 『FabLife ―デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」』(田中裕也, オライリージャパ ン, 2012) 5. 『SFを実現する』(田中裕也, 講談社新書, 2014) 6. 『状況に埋め込まれた学習―正統的周辺参加』(ジーン・レイヴ, エティエンヌ・ウェンガー, 産業図書, 1993) 7. 『A Pattern Language: Towns, Buildings, Construction』(Christopher Alexander, Oxford University Press, 1977) 8. 『The Timeless Way of Building』(Christopher Alexander, Oxford University Press, 1979) 9. 『The Oregon Experiment』(Christopher Alexander, Oxford University Press, 1975) 10. 『パターン、Wiki、XP:時を超えた創造の原則』(江渡浩一郎, 技術評論社, 2009) 11. 『パターンランゲージ 3.0:新 しい対象 新しい使い方 新しい作り方』, (井庭 崇, 情報処理, Vol.52, No.9, 情 報処理学会, pp.1151-1156, 2011) 12. 『The Production of Houses』(Christopher Alexander, Oxford University Press, 1985) 13. 『The Architect, the Cook and Good Taste』(Petra Hagen, Hodgson Rolf Toyka, Birkhäuser Verlag AG, 2007) 14. 『Human Motivation』(Robert E. Franken, Brooks/Cole Publishing Company, 1982) 15.『The Art of Simple Food: Notes, Lessons, and Recipes from a Delicious Revolution』(Alice Waters, Clarkson Potter, 2008) 16. 『Cooking for Geeks: Real Science, Great Hacks, and Good Food』(Jeff Potter, O'Reilly Media, 2010) 17. 『クリストファー・アレグザンダー:建築の新しいパラダイムを求めて』(スティーブン・グラボー, 工作舎, 1989) 18. 『ファッションフード、あります』 (畑中 三応子, 紀伊國屋書店, 2013) 19. 『探求する力』(市川力, 知の探求社, 2009) 20.『A Technique for Producing Ideas: The Classic on Creative Thinking』(James W. Young, Chicago, Advertising Publications inc., 1940) 21. 『アブダクション:仮説と発見の論理』(米盛 裕二, 勁草書房, 2007) 22. 『奇跡の料理教室』(村田歩, 村田ナホ, 東邦出版, 2013) 23. 『Thinking and Speech』(Vygotsky, L.S., The Collected Works of L.S. Vygotsky, Vol. 1, Problems of general psychology, 1987) 24. 『遊ぶヴィゴツキー:生成の心理学へ』(ロイス・ホルツマン, 新曜社, 2014) 25. 『Mind in society: The development of higher psychological processes』(Vygotsky, L. S., Harvard University Press, 1978) 参考文献
  42. 42. 創造社会を支える新しい料理のあり方について: クリエイティブ・コークッキングの思想と実践 伊作太一 井庭崇研究会 2014年度卒業研究

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