事業推進の軸を明確にし、最短距離でのグロースを目指すために、事業ビジョンとしてのWHYを言語化する必要性についてまとめました。 （01Boosterさんのメンタリングプログラムの中で行ったワークショップのうち、講義パートのみを抜き出したものになります）

1. [01Booster]
WHYを言語化しよう
事業推進の軸を明確にし、最短距離でのグロースを目指す。
2018/4/4
Hiroyuki Arai / @hiroyukiarai / hiroyukiarai.jp

2. 本プログラムのテーマ
2

3. クレージーな人たちがいる
反逆者、厄介者と呼ばれる人たち
四角い穴に 丸い杭を打ちこむように
物事をまるで違う目で見る人たち
彼らは規則を嫌う 彼らは現状を肯定しない
彼らの言葉に心をうたれる人がいる
反対する人も 賞賛する人も けなす人もいる
しかし 彼らを無視することは誰もできない
なぜなら、彼らは物事を変えたからだ
彼らは人間を前進させた
彼らはクレージーと言われるが 私たちは天才だと思う
自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが
本当に世界を変えているのだから

4. 本気で「世界を変えられる」と
自分の可能性を信じよう
4

5. イノベーションとパッション
5

6. 何故、日本でイノベーションが
うまれないのか
6
Innovation & Passion

7. 戦後日本は、イノベーター大国だったが...
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
1953
1955
1957
1959
1961
1963
1965
1967
1969
1971
1973
1974
1976
1978
1980
1982
1984
1986
1988
1990
1992
1994
1996
1998
2000
2002
2004
2006
2008
2010
2012
2014
雇用者 家族従業者 自営業主
総務省 労働力調査 長期時系列データ「従業上の地位別就業者数」
http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.htm
1953年には、
起業家が50%超
2014年は、
ほとんどがサラリーマン
7

8. 国際比較による日本人の強みと弱み
成長力
プロセス改善力
プロダクト開発力
（人財の事業成長意欲）
は、今でも圧倒的に高い
GEDI
http://thegedi.org/tool/
人財
技術吸収力
（人財のスキル/能力）
も、比較的高い
強み 弱み
機会感知力
創業力
(人財の行動力）
が、圧倒的に低い
ネットワーキング力
文化的サポート
創業機会
（社会環境）
は、比較的低い
ポテンシャルはあるのに、イノベーションが起こせない…
8

9. 何故、イノベーターがいなくなってしまったのか
Time
Scale
創業初期
(Seed Stage)
創業期
(Early Stage)
成長期
(Middle Stage)
成熟期
(Later Stage)
衰退期
(Shrink Stage)
事業の成長ステージ
創業期に必要なのは、
機会探知と価値創造
成長期から成熟期に至るにつれ、
企業の目的は「利益の追求」になる。
そのとき必要なのは、業務平準化・効率化・合理化
9

10. 何故、イノベーターがいなくなってしまったのか
Time
Scale
創業初期
(Seed Stage)
創業期
(Early Stage)
成長期
(Middle Stage)
成熟期
(Later Stage)
衰退期
(Shrink Stage)
事業の成長ステージ
創業期に必要なのは、
機械探知と価値創造
成長期から成熟期に至るにつれ、
企業の目的は「利益の追求」になる。
そのとき必要なのは、業務平準化・効率化・合理化
どんな事業も必ず、成熟期・衰退期をむかえる。
日本のトップ企業はすでにそのステージをむかえている。
イノベーター不在は必然
10

11. イノベーションを起こすために
必要な人財とは
11
Innovation & Passion

12. 事業の成長ステージによって異なる必要なエース人財
Time
Scale
創業初期
(Seed Stage)
創業期
(Early Stage)
成長期
(Middle Stage)
成熟期
(Later Stage)
衰退期
(Shrink Stage)
事業の成長ステージ
世界を変える
革命家 (WHY型)
成長を目指して
カイゼンを繰り返す
モノづくり人材 (WHAT型)
仕組みを整えるマネージャー (HOW型) と
指示の下、粛々と業務をこなすオペレーター
12

13. 人材の3+1タイプ分類
WHY型
HOW型
WHAT型
(Operator)
モチベーションの源泉
• 世界を変革すること
• 自分の信じる価値を実現
すること
• オペレーションを整え、
平準化/効率化/合理化する
こと
• 最高なプロダクトを創り
あげること
• なし
人財数特徴
• 業務を実行するための目的を明確にし、そ
こに最短距離で進む方法を考える
• 起業家に多い
• 目的よりも手段を重要視
• ロジカルシンキングが得意で、欧米型経営
に傾倒
• 大企業のマネージメントレイヤーに多い
• 目の前のプロダクトをとにかく作る
• 自分が好きなことであれば細部にこだわる
• 研究者に多い
• 仕事にモチベーションは持たない
• 言われた仕事は淡々とこなす
• 社員である必要はなく、派遣で代替可能
少
多
13

14. 事業の成長ステージごとのあるべき組織のエース人財とタイプ構成
創業初期
(Seed Stage)
創業期
(Early Stage)
成長期
(Middle Stage)
成熟期
(Later Stage)
衰退期
(Shrink Stage)
世界を変える
革命家 (WHY型)
成長を目指して
カイゼンを繰り返す
モノづくり人材 (WHAT型)
仕組みを整えるマネージャー (HOW型) と
指示の下、粛々と業務をこなすオペレーター
WHY型
変革期
(Pivot/Disrupt Stage)
WHY型
WHAT型
WHY型
HOW型
WHAT型
HOW型
WHAT型
(Operator) WHY型
＝
変革期には、再びWHY型が必要になるが、
成熟期になるに連れ、WHY型は組織には不要とな
り、
排除されてしまう。
必要なタイミングでイノベーターは
組織にいなくなっている
スティーブ・ジョブスは圧倒的なWHY型人材で価値観をもとに
モノづくりを推進していた。企業が成長し、HOW型人材が必要と
なり、ペプシコーラ出身のジョン・スカリーを招聘することに。
しかし、成熟期にはWHY型はアンマッチとなり、結果的に自分
が創業したAppleを追い出されることとなった。
その後、変革期を迎えたAppleは再びWHY型が必要となり、ス
ティーブ・ジョブスはAppleに返り咲くことになる。その後の
Appleの急成長は知っての通り。
14

15. イノベーションの構成要素
15
Innovation & Passion

16. イノベーションの構成要素
Culture
文化
Concept
コンセプト
Capability
可能性
Products/Services
製品/サービス
スローガン
Idea
アイデア
人事制度
(人事評価/考課、人材配置等)
Vision
ビジョン
Narrative
ストーリー
People
人材
Values
価値観
Practices
慣行
Place
場所
人材採用、人材育成
Persona
ペルソナ
Scenario
シナリオ
Market
市場調査
SWOT
強み/弱み
Business
Model
ビジネス
モデル
本質的に提供したい価値
UX（User Experience）
事業戦略、事業シナジー
マーケティング、プロダクトMarketing
実現方法
Product
製品
Problem
課題
16

17. イノベーションの構成要素
Culture
文化
Concept
コンセプト
Capability
可能性
Products/Services
製品/サービス
スローガン
Idea
アイデア
人事制度
(人事評価/考課、人材配置等)
Vision
ビジョン
Narrative
ストーリー
People
人材
Values
価値観
Practices
慣行
Place
場所
人材採用、人材育成
Persona
ペルソナ
Scenario
シナリオ
Market
市場調査
SWOT
強み/弱み
Business
Model
ビジネス
モデル
本質的に提供したい価値
UX（User Experience）
事業戦略、事業シナジー
マーケティング、プロダクトMarketing
実現方法
Product
製品
Problem
課題
17

18. アイデアの構成要素
WHY
HOW
WHAT 目的:
その事業/プロダクトはユーザにどんな世界
を提供するのか。なぜ存在するのか
プロセス:
その世界を事業/プロダクトでどのように実
現するのか
プロダクト:
その結果提供される事業/プロダクトは何か
18

19. アイデアの構成要素
WHY
HOW
WHAT 目的:
その事業/プロダクトはユーザにどんな世界
を提供するのか。なぜ存在するのか
プロセス:
その世界を事業/プロダクトでどのように実
現するのか
プロダクト:
その結果提供される事業/プロダクトは何か
19

20. イノベーションとは、
世界をどう変えたいかという
情熱(=WHY)からはじまる
20

21. 何故、イノベーションは情熱からはじまるのか
1
2
3
ユーザ：モノ消費からコト消費へ
企業：存在意義はWHYである
チーム：3つのゴールで人はモチベートされる
21

22. 1. ユーザ：モノ消費からコト消費へ
1900-1960 Age of Manufacturing
「製造」の時代
1960-1990 Age of Distribution
「流通」の時代
2010- Age of Customer
「顧客」の時代
1990-2010 Age of Information
「情報」の時代
Goods Dominant Logic / モノ消費
• 顧客に提供されるのは製造された「モノ」そ
のもの
• 提供価値は、「モノ」自体の交換価値（value
in exchange）
Service Dominant Logic / コト消費
• 顧客に提供されるのは「サービス」であり、
「モノ」はそれを構成する一要素
• 提供価値は、「サービス」全体の使用価値
（value in use）と、顧客と事業者との関係性
消費行動がWHYとそのストーリーによって喚起される時代に
22

23. 2. 企業：存在意義はWHYである
ビジョン
(WHY)
ミッション
(HOW)
アクション
(WHAT)
バリュー
目指す世界観 / 方向性
• 到達したい目標
• すべての判断の指針
となるべきもの
使命 / 役割 / 目的
• ビジョン到達のため
に実現すべきこと
• そのための役割
行動規範 / 姿勢
• アクションを起こす
ためのベースとすべ
き価値観
企業とはそもそも
ビジョン実現のために存在する。
23

24. 3. チーム：3つのゴールで人はモチベートされる
User
Goals
Business
Goals
Self
Goals
会社の製品やサービスを
利用することで
ユーザが得ることができる
体験価値
チームメンバーが
自らの人生において
到達したい目標
会社が事業を通して
実現したい目標
（ビジョン/ミッション/
売上/利益など）
社会的意義があり (User Goals)、
社会から評価され (Business Goals)、
自らの目標が達成できる (Self Goals)
仕事にこそ
人がもっともモチベートされる
24

25. 3. チーム：3つのゴールで人はモチベートされる
25
WHYを言語化する
WHYを本気で語る
本気で語れば、助けてくれる、協力してくれる人があらわれる
夢を共有する人を増やし、喜びや感動を共有する
それこそが、最高のチームである

26. なにより…
26

27. 人は情熱があると楽しめる。
楽しいと、
自ら学びスキルアップし、ハードワークし、
どんな壁も乗り越えられる。
27

28. 森永製菓創業者 森永太一郎の
セルフゴールとWHY
28
Innovation & Passion

29. 東洋の製菓王「森永太一郎」
森永太一郎（もりなが・たいちろう）
森永製菓創業者
1865年～1937年（慶応元年～昭和12年）。佐賀県生ま
れ。
「事業と公益との融合を以って
一大指標とす」
「商売は正直でなければ栄えない」
29

30. 東洋の製菓王「森永太一郎」
生家は陶磁器の積み出し港として栄えた伊万里で一番の
陶器問屋だった。伊万里湾の漁業権を握る網元でもあっ
たが、父の代には家勢も衰え、6歳の時に父が病死。
財産は人手に渡り、母は再婚。親類の家を転々とする幼
少時代を過ごした。
30

31. 東洋の製菓王「森永太一郎」
WHY
HOW
WHAT
“森永家の再興”Self
Goal
31

32. 東洋の製菓王「森永太一郎」
やがて、伊万里の陶器問屋をしている伯父の山崎文左衛
門に引き取られ、商人の心構え（商売道徳）を教え込ま
れた。
1. どんな場合でも、正当な商品だけを扱い、不正直なものを売買しな
い。
2. 目先の利益に釣られて、粗末な品物を扱わない。
3. 正直と信じてつけた値段は、お客様から何と言われても下げない。
4. 仕事を急がず、10年を一区切りと決めて堅実にやる。
太一郎は文左衛門のもとで商売のイロハを学びメキメキ
と成長していく。文左衛門が学問に理解があったことか
ら、幸い勉強することも許された。負けん気だけは人一
倍強かった太一郎は仕事に勉強にと一心不乱に頑張っ
た。
32

33. 東洋の製菓王「森永太一郎」
商人として身を立てる
WHY
HOW
WHAT
“森永家の再興”Self
Goal
33

34. 東洋の製菓王「森永太一郎」
昔お世話になった九谷焼き商店の店主が、問屋と関係悪
化し、取引が中止となり困っていると泣きついてきた。
この商店は主に九谷焼きを外国商館に売っている。そこ
で太一郎は、残った九谷焼きを直接アメリカで売れば手
数料を払わずに済み、その分利益を見込めると考えた。
しかも欲を出し、どうせなら沢山九谷焼きをアメリカに
持っていこうと思い、三千円分の借金をして九谷焼きを
仕入れて多めに持っていった。
ところがいきこんでアメリカに乗り込んだが九谷焼きは
全く売れなかった。しかたなく在庫品をオークション
（競売）に掛けて処分したが、借金だけが残った。
34

35. 東洋の製菓王「森永太一郎」
商人として身を立てる
焼き物の販売
WHY
HOW
WHAT
“森永家の再興”Self
Goal
35

36. 東洋の製菓王「森永太一郎」
借金だけかかえてこのまま日本に帰るわけにもいかな
い。呆然と街を彷徨い歩き、疲れ果てて公園のベンチに
腰を落とした。
そんなとき60歳ぐらいの上品な顔立ちの婦人が話しかけ
てきて、ハンドバックからキャンデーを取り出した。素
直に婦人の好意を受け入れ太一郎は、キャンデーの美し
い包装紙をむいて頬ばった。とろりとした甘味が口中に
広がり「うまい！」と思わず叫ぶ。このような美味しい
菓子を日本では食べたことはなかった。
そしてその瞬間に「洋菓子の職人になろう」という気持
ちが沸き上がってきた。「洋菓子の製造技術を習得して
帰国し、洋菓子を安い値段で日本人に提供したい。この
分野のパイオニアになろう」と太一郎は決意した。
36

37. 東洋の製菓王「森永太一郎」
アラメダのジョンソン・ホームベーカリーを経て、明治
28(1895)年31歳の時にオークランドのキャンディー工場
＆キャンディーストア「ブルーニング社」に入社。
ここでも多くの人種差別の苦難に会いながらも様々な
西洋菓子の製法を身に付け、5年が過ぎ、日本に西洋菓
子を普及させる時期になったと判断した太一郎は帰国の
決心。
明治32(1899)年6月下旬に横浜に到着した。 帰国後
1899年現在の森永製菓の前身となる森永西洋菓子製造
所を東京赤坂に設立した。
37

38. 東洋の製菓王「森永太一郎」
日本の子どもたちを
「菓子」で笑顔にする
洋菓子の製造技術を学び、
日本に導入する
日本でマシマロ、
キャラメルを販売する
WHY
HOW
WHAT
“森永家の再興”
洋菓子職人のパイオニアになる
Self
Goal
38

39. 東洋の製菓王「森永太一郎」
世界中の子どもたちを
「菓子」で笑顔にする
日本で追求した
日本産洋菓子の「味」を
世界に流通させる
森永製菓の洋菓子を
世界で販売する
WHY
HOW
WHAT
“森永家の再興”
洋菓子職人のパイオニアになる
日本の洋菓子を世界へ広める
Self
Goal
39

40. 人は情熱があると楽しめる。
楽しいと、
自ら学びスキルアップし、ハードワークし、
どんな壁も乗り越えられる。
40

41. 41
しっかり心に決めれば、
それだけで目的は半分達成されたも同然である。
きっと成功してみせる、と決心することが、
何よりも重要だ。
— Abraham Lincoln
(第16代アメリカ合衆国大統領)

42. 42
あなたの夢は何か、
あなたの目的は何か。
それが明らかになれば、
必ずや道は開かれる。
— Mahatma Gandhi
(弁護士/宗教家)

43. 最後に
43

44. 44
自
信
分を
じる。
自分は実績が出せていない。
まだ経験がたりない。
能力が追い付いていない。
故に自信などとうてい持つことはできない。

45. 45
自
信
分を
じる。
の可能性を
未来は不確実で不確定です。誰にもわかりません。
だから、自信に根拠などいらないのです。
未来がどうなるかはわからないけど、
未来をどうにかする努力は今できます。
根拠のない自信を持って邁進しましょう。

46. 46
見てみたいと
思う世界を
「創る」ひとに
なりなさい。
— Mahatma Gandhi
(弁護士/宗教家)