Unity でゲーム制作の方向け。 Unity でサウンド周りを扱うにあたり様々なノウハウを掲載しています。

1. 初心者でもわかる
サウンドプログラミング

2. Who am I ?
氏名：小林慶祐
年齢：大人７歳
出身：北陸先端科学技術大学院大学
ピアノ音の研究など
現在：会社員(スマホゲーム制作等)

3. 正直Unity って便利ですよね

4. Hierarchyにサウンド配置すると
自動的に再生可能な設定に
もちろんコードでも簡単に生成可能

5. でもUnityでも出来ない事や苦手な事ってあるんです

6. Unityが苦手なこと
● イントロ付ループBGM再生
● 部分ループ
● ダッキング <- Unity5では少し改善(SnapShotを使う)
● 同時発音数制御
● 音量評価（ラウドネス計算）<- Unity5ではついに導入
● フェードIn/Out
● グループ単位での音量制御 <- Unity5では改善(AudioMixerの導入)
● etc
何かの都合でUnity4 を未だに使っている人たちにはツライ状況なんです...

7. 今回はUnity4 でも出来るノウハウの紹介です

8. 今回Getできるノウハウ
● 意外にやってないサウンド制御の基本
● 効果音(SE)を聞こえやすくする工夫
● 他の音を鳴らす時のBGM制御の工夫

9. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
意外とやってないサウンド制御の基本
■STOP処理
■フェード実装
■再生タイミングに気をつける
■グループ単位での音量指定

10. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
STOP処理
音鳴らすよ
再生中
あ、終わったわ
STOP
音無いから
停止っと
音鳴らすよ
再生中
途中だけど
曲変えるね
＿人人人人人＿
＞ノイズ発生＜
￣Y^Y^Y^Y^Y￣
停止っと
通常
やりがち

11. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
STOP処理
・音が鳴っている状態で突然STOPすると「プツッ」というノイズの原因になる
・頻繁に発生すると煩わしいです
・急に大音量のノイズになることも
⇨耳に負荷がかかると「聴力の低下」や「難聴」の危険があります

12. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
STOP処理
Q. どうすればいいのか
A. 停止するときは音量が0になってからおこなう
もっと具体的に言えば、短時間のフェードアウトをかけて音量を0にしてから

13. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
STOP処理
音鳴らすよ
再生中
途中だけど
曲変えるね
FO
流れ STOP
PLAYPRELOAD PRESTOP
State
PRESTOP
&
FADING
STOP
STOPステートなら
リソースの破棄などを
行ってもOK

14. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
フェード実装
ネイティブが書けないのならコルーチンで実装すればいいじゃない。
ネイティブなら1サンプル(1/48k ~ 1/44.1k 秒単位) で制御可能
今回はフレーム単位( 0.016[s] ~ 0.03[s]) で制御（ちょっと荒い）
StartCoroutine( Fade( vol_from, vol_to, audioSource) );

15. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
再生タイミングに気をつける
Q. Play() すればいいじゃない
A. 一音のみならOK. それ以外はOUT
Why: 複数音を鳴らす場合、（特に同じ音の場合）
再生タイミングがずれると変にエフェクトがかかってしまう

16. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
どんなことが起きるのか
■再生タイミングがズレる
→エコー、コーラス
→もしフェードアウトしつつならリバーブ
■再生タイミングが徐々にずれていく
→フランジャー

17. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
グループ単位での音量指定
・まず音量には全てを統括する MASTER が存在
・大抵のゲームは「BGM」「SE」「JINGLE」「VOICE」程度
（環境音とかもあるけど）
それぞれにMasterVolume を定義してあげる。
BGMであれば、( 0.0 MASTER_VOLUME * MasterVolume_BGM )
の範囲に音量が収まっていればOK

18. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
グループ単位での音量指定

19. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
効果音を聞こえやすくする方法
■音量制御
音割れしないように何らかの工夫を施す
■同時発音数制御
同時に鳴らす事のできる数に制限を加える

20. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
音量制御
● 基本的に音量の最大値は1.0
● 1.0 を超える音量は1.0に抑えられる
→ 波形が変化する
→ 音が歪んだり、ノイズが入ることもある
→音割れの原因
音は基本的に波形の加算。
大量に音を鳴らすと上記問題が生じる

21. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
音量制御
元波形
３つ重ね
２つ重ね
４つ重ね
波形を維持できていない

22. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
音量制御
■実現方法
音量抑制率α[0.0 1.0]を定義
前の音を volume * α
次鳴らす音を volume * ( 1-α )とする
■問題点
・急に前の音の音量が変わって、違和感が出る可能性がある
・αが高いと次鳴らす音が十分目立たない可能性もある

23. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
同時発音数制御
初代ポケモンのHPが低くなった時に「ピコピコ」うるさくなるアレ
元々コンシューマーなど、ハードに音をならすチャンネル数の上限がある場合に、どう対
処するかというところからきている。

24. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
同時発音数制御
■実現方法A
1. まずは最大同時発音数M を定義
a. 同時にM個のオーディオ再生用オブジェクトを生成（要はオブジェクトプール）
2. 発音数がMを超える時
a. 一番再生タイミングが古い Audio をSTOPし
そこのチャンネル（オブジェクト）を使って再生
b. 鳴らさない
c. 優先度(Priority)が設定されている場合は、その優先度に合わせて適切な再生オブジェクトを見つ
ける。あれば再生、なければ再生しない

25. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
同時発音数制御
■実現方法B
・同じ音(SE)がある一定時間内に複数
再生される場合2個目以降を無効
■実現方法C
・予め大量の音が鳴るとわかっている場合、律儀に一つ一つ再生せず、
用意してある「たくさん音が鳴っている音ファイル」を再生する

26. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
他の音を鳴らすときのBGM制御方法
■ダッキングをしてみよう

27. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
ダッキングとは
ある音を鳴らす時に、その音が聞こえやすくなるようBGM等を抑制する処理
DTM でよく聞く「サイドチェーン（コンプレッサー）」もダッキングの一種。
サイドチェーンはダッキングの抑制度合いを別の音が決めるというもの

28. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
実際のゲームでのイメージ
Scene A: バトル中
Scene B: 会話パート
音量
時間
0
Scene A
Scene B
Start
Scene B
End
Scene A
Start
FO FI
Scene B
SceneA
この下げた分
聞き取りやすくなる

29. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
ダッキング
■実現方法
Unity5 のスナップショットを使う or それっぽい動作を作ろう
■それっぽい動作を作る場合
1. ダッキングが必要なシーンでBGMをある程度までフェードアウト
2. そのシーンが終了したら元の音量までフェードイン

30. 基本 SEの工夫 BGMの工夫
ダッキング
Q. 実際ダッキングを行うとしてどれくらい下げればいいのさ？
A. サウンドデザイナーさんに聞きましょう
プログラマーはあくまでもダッキングを可能にするシステム設計がお仕事。
具体的な調整はサウンドディレクターやサウンドデザイナーさんと相談しながら行う
のがBEST.
Q. うち、サウンドデザイナーさんがいないのですが...
A. CRI・ミドルウェアさんの言葉を借りるなら「気持ち抑えているかな」程度
(UNITE での講演より）

31. まとめ
● 意外にやってないサウンド制御の基本
- 再生タイミング、終了タイミングに気をつけよう
- フェード実装で幅が広がる
- グループ単位の音量制御を行えるようにしよう
● 効果音(SE)を聞こえやすくする工夫
- 音量制御
- 同時発音数制御
● 他の音を鳴らす時のBGM制御の工夫
- ダッキング

32. ありがとうございました