施設の安全性と
住民の生活権
礒野弥生
東京経済大学現代法学部
シンポジウム:
 中間貯蔵施設の問題点と課題を考える
2015.05.17
中間貯蔵施設
2011年08月26日 放射性物質汚染対処特措法成立
2011年08月28日 菅首相、福島県知事に中間貯蔵施設設置要請
2011年10月29日 中間貯蔵施設ロードマップ:2012年度内場所選定
2011年11月   細野原発・環境大臣、双葉郡内に中間貯蔵施設設置
2012年8月19日 福島県内候補地公表
  中間貯蔵施設の規模 容量:約1,500万∼2,800万m33、
  敷地面積:約3∼5	
  km2
なぜ、中間貯蔵施設か
中間貯蔵施設ありきでここまできたのでは?
  この場所で30年間保管することの意義:意味が変わってきてい
ないか。  根本的疑問 当初と現在で再点検する必要は?
現在の必要量の調査をどの程度しているか。
  必要量とは何か。国の考え方に矛盾はないか。
仮置き場は、搬出後どの程度で再び利用されるか。原状回復のための
除染土壌等も中間貯蔵施設へ?
保管期限の切れた仮置き場の土壌等はそのまま放置して良い?
  搬出するまでの安全な保管管理が必要
課題を考える
住民との対話に乏しい
ブルドーザー方式の施設設置
一方的な条件提示とみなし同意
特措法で国の設置・管理責任としたにしても、
原因者である東電と
原子炉メーカーの
顔が見えない
工程表
実際は工程表どおりにはいかない
双葉町が合意したのは2015年1月
大熊町が合意したのは2014年12月
地元調整とは?
不同意の地権者・寮長住民住民、条件付き同意の地権者が多
く、本格建設工事には至っていない。 
この形だけはつけたい?
地元調整として出された条件
⑵交付金(3010億円):県:双葉・大熊両町:生活再建(両町は国か
ら直接850億(基金)、県から+150億円:計1000億円) 
⑴30年後には、県外搬出
(1)中間貯蔵施設等に係る交付金(仮称):中間貯蔵施設の整備等に伴う影響の緩和のため、生活再建・地域振興
に取り組むために必要な幅広い事業を実施するため、自由度の高い交付金 (1,500億円)を新たに創設。
(2)原子力災害からの福島復興交付金(仮称):原発事故による影響を強く受けた被災地域の復興や風評被害対策
をはじめとした福島県全域の復興を効果的に進めるための事業等に利用できる (1,000億円)を新たに創設。
(3)福島第一原子力発電所に係る電源立地地域対策交付金:福島第一原子力発電所の事故による廃炉という特
殊事情に鑑み、現行の特例措置(毎年67億円)を増額(+17億円)し、30年間継続して交付(総額で510億円の増額)。
⑶安全協定、住民票、お墓の移転・墓参援助
 高度な処理・処分が必要とされる比較的高濃度のものの量は少なくなり、比較的低濃度のも
のの量が多くなる。例えば、1,000万m³以上を占める8,000Bq/kg以下 の物の濃度は、約4割(正
確には、0.3856倍)の3,100Bq/kg程度以下と、環境省はいう。
交付金の使われ方
福島県は4月から、交付金の一部を活用し、修学旅行に来る他県の学
校にバス代を補助する事業を始める。(産経)
風評被害?の緩和策?
こういうことに使うの?
まずいですよね。
県の焼け太り?
住民を出しに?
2町以外の町との公平性?
県に交付金が入るということ
県の使い方:要監視
交付金の課題
1 真に住民のためになる使い方をどう提案できるか
3 どのような形でそれを実現できるか
2 交付金を考えるときの住民とは誰か
中間貯蔵施設の内容
・受入・分別施設:重量計算、放射線測定を行う・放射性物質の濃度や、可燃・不燃等に応じた分別を行う
• 貯蔵施設 :土壌や廃棄物を貯蔵し、飛散や地下水汚染を防止する
• 減容化施設:除染で発生した草木・汚泥等の焼却炉 :その他の減容化施設(ふるいわけ
などを今後検討)
• 常時モニタリング施設:空間放射線や地下水のモニタリング(監視)
• 研究等施設:貯蔵する土壌や廃棄物の減容化技術、高濃度分離技術等の研究開発・実
証  ???
• 情報公開センター :施設の運営について透明性を確保し、広く情報発信する
1型
8000ベクレル以
下だから
環境汚染は気に
ならない?
Ⅲ型
安全性と施設の建設
施設の運用についての監視とともに、施設が適切に
建設されているか、を監視する必要はないか。
8000ベクレル以下(1型)の施設がこれでよいか。
← 設計の問題、8000Bqをどのように考えるか。
その他の施設のあり方:含焼却施設
その際の関係住民:漁業関係者は?
輸送と施設
利害関係人を、輸送と施設を分けて考える問題
施設は、設置場所の妥当性の一部として、輸送による影
響が問題となる。沿道住民の影響を施設設置に際して、
配慮する必要。
委員会は両者立ち上げられたが、住民との関係では、別
途に説明。
輸送の安全性・環境影響について、誰が監視するのか。
工程表は
2045年?
焼却・分別・貯蔵
最終処分
2015年
30年後に搬出するといっているが、・・・
 「中間貯蔵・環境安全事業株式会社法」では、「国は、
中間貯蔵開始後30年以内に、福島県外で最終処分を完了
するために必要な措置を講ずるものとする。」(3条2項)
  必要な措置とは?
何を県外で最終処分?
土地購入・建設
終わっている
はずだった?
県外搬出までの流れ
これ、どういうこと? また弱いところを探す?
要注意
高濃度の
ものが再
移動?
中間貯蔵施設になにが搬入されてきたか
  放射性物質汚染対処特措法との関係
8000ベクレル
100ベクレル
100,000ベクレル
指定廃棄物(特定地域について、特定の施設から、
or 種類)、国の責任で処理(仮設焼却炉・処分場)
特定一般廃棄物(一般廃棄物焼却炉・処分場)

特定産業廃棄物(産業廃棄物焼却炉・処分場)
中間貯蔵施設で保管 ➕除染土壌等
Cs:100/kgベクレル以下(原子炉等規制法61条の2に規
定する精錬事業者等の資材に含まれる放射性物質等の確
認に関する規則第2条):特定廃棄物(原子炉等規制法
:発生施設内で濃縮・減容、固形化等の処理を行った後、
処分場に移送し、最終的に陸地に埋設処分を行って人間
の生活環境から隔離)
30年後の帰還困難区域の中間貯蔵物の放射線量
 支援チームは、帰還困難区域の線量につ
いて、半減期や風雨により放射性物質が減
る「自然減衰」の効果に加え、環境省が昨
年度実施した区域内でのモデル除染の実績
などから、除染で線量を54∼76%減ら
せると推計。さらに、人が実際に被曝する
個人線量は、空間線量の7割と仮定した。
 その結果、昨年11月に年100ミリシー
ベルトあった地点の木造家屋に住む成人が、
1日のうち6・5時間を屋外で過ごす場合、
被曝線量は2021年に除染無しで年24
ミリ、除染すれば年6∼12ミリに減ると
推計された。
   朝日新聞デジタル2014年6月24日
5万ベクレル
10万ベクレル超
だった保管物
10万ベクレル以下
だった保管物
8000ベクレル
一般廃棄物処分場で
処理(特措法)
?ベクレル:再利用可
住民の考える30年後と環境省が考える30年後
は同じか。どう擦り合わせていくのか。
少なくとも、県民・地元住民は、中間貯蔵された土壌等はすべて県外搬出と
理解しているだろう。
しかし、
8000ベクレル以下何ベクレルになればリサイクル、リサイクル利用は敷地内
でも可?
8000ベクレルー?ベクレルは、通常の県内処分場?
8000ー10万ベクレルだったらエコテック?
  フローチャートはすべて県外搬出を保証していない。
そのとき、原状回復はどこまで可能か、どこまで行うか。
30年間の貯蔵と県外搬出(まとめ)
国の所有地:30年後の土地利用についての裁量権は大き
い。(自治体との協議と言っているが)
利用の仕方によっては、搬出をしなくても十分と考える? 
→ 搬出すれば、穴が開くので、どこからか穴を埋める土
を持ってこなければならない。設置と同規模の工事 → 
全量搬出は机上の空論? それとも新たな土木事業?
県外搬出だけではなく、地域内利用も考えられている。
安全確保の課題
安全協定をより住民の安全に資するものにするた
めに
 安全を確保した上で、住民の常時立ち入り調査
を認める
 住民が推薦する専門家の立ち入りと、そのよう
な専門家を含めた関係者のコミュニケーション
安全の監視だけで良いか
本格建設にはなっていない。
だとしたら、ここで立ち止まって、もう一度どのような施
設(規模、構造)が必要なのか。きちんともう一度議論す
る。
熟議の方式。これまでの委員会の委員+これとは意見を異
にする委員を加え、議論し、住民が聞く
大熊・双葉両町の将来
  住民はどのように考える?
戻る・戻らないで変わってくる。
①もう戻れない土地だから将来も戻らないし、孫・子の代も戻らない。
②長期間にわかって戻れない土地だけれど、遠い将来には孫・子の代に引き渡したい。
③戻れる場所に戻りたい。
 ①、と ②、③では異なる。
二つの課題ーその1
将来土地を子孫に引き渡したい人のために:
  その人たちが健康で良好な環境に住む権利
を実現できる地域づくりの為に何をしておく
か。 
二つの課題ーその2
安定した生活の確保
  :数十年にわたる長期避難と安定した生活
  :別の新たな土地での安定した生活(戻る意思のない人)
  :解除とともに戻って別の場所での安定した生活
 中間貯蔵施設用地の地権者、周辺地域の住民共通の要望であり、
緊急の課題である。
二重の住民票?
 国は、少なくとも大熊・双葉の中間貯蔵施設用地
内住民に、住民票を維持したままでの長期避難(3
0年間)を認め、住民票がないままでも不都合がな
いようにするとの約束。実質二重の住民票。
 大熊町民全体について? 当然でしょ。 
なお、大熊・双葉町民はもちろん、避難指示区域外の避難住民も「F1」
に不安をもっている。だとしたら、これはその人たち全員の課題? 
土地の確保
 将来の住民の「健康な環境に生きる権利」を確保
するためには、戻る意思のない人たちが売りたい土
地の適正管理が必要(用地内外を問わず):何も施
策をとらなければ、周辺地域は産廃施設や放射性廃
棄物関連施設に買い取られる可能性あり。
 戻る意思のない人たちの安定した生活の確保
 この両方の条件を満たすために:   
基金(トラスト)をつくろう
原資:町の交付金、寄付(東電は必須、寄付はしても口は出さない)
土地の買取、管理:適正価格での買取:中間貯蔵施設の安全監視にも
関わる(当面の維持管理は、安全監視と草取り等)
会員:将来の大熊の「健康な環境」の回復を目指すことに共感する人
(住民が主体的に:会員・賛助会員制度)、将来の豊かな海を取り戻
したい人。
県の交付金の拠出+寄付で、県内の避難指示区域内外の戻る意思のな
い人々の土地についても、ドラスト制度つくり、豊かな環境を取り戻
すためのトラスト・ネットワークの可能性は
基金制度:その2
大熊町住民を支える
被害を忘れない(将来の人々に伝える)
そこに確かに暮らしを営んできた人の証を残す
事業
私たちは試されている
「災い転じて福となす」
となるように
みんなで知恵を絞って将来の豊かな地域と生活
を
取り戻しましょう。
ご静聴ありがとうございました。

施設の安全性と周辺住民の生活権