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わたべ経営支援事務所 代表 渡部和義
長期的にお客様に支持され
広い視野でビジネスを行う
経営者になるために
知っておいて損はない
たった1つのツール
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1
はじめに
経営の強化は一部分のみの強化だけではその効果に限界があるだけではなく、
既存の部分とのバランスが悪くなるリスクがあります。
これまでの企業は販売、生産、人事、財務、開発といった組織の一部の機能の
強化を優先することで自社の改革を行ってきましたが、その有効性が薄れつつ
あることは明白です。
たとえば、我が国の“ものづくり大国“の一端を担っていた国内電機メーカー
の凋落は、金融情勢(為替の大幅な円安や株価の上昇)により一服感はありま
すが、ビジネスそのもののモデルチェンジへの注力は道半ばです。
機能一部分のみの変革はプロセスイノベーション、製品のみの変革はプロダク
トイノベーションという言葉が使われますが、いずれも「対処療法=その場し
のぎの対処」でしかなく、「根治療法=すべてを根本から見直す」ことにはつな
がっていないのです。
対して、よく話題に上る Apple 社はどうでしょう。
最近でこそ、一時の圧倒的な勢いは見られないものの、世間に完全に定着した
iPhone シリーズは、これまでの電話の概念を打ち破るツールとなりました。単
なる電話の域を超え、iTunes 等の音楽配信やゲームといった娯楽ツールとの組
み合わせによる“サービス提供のプラットフォーム”としての役割も果たしな
がら、一大コンテンツとしての地位を築き上げました。
これはユーザーのあるべき姿の変遷を描き、その変遷に応じてどのようなツー
ルやコンテンツを提供するか、そこから得られる収益の仕組みをどうするかと
いう根治療法的アプローチがもたらした結果であることはあなたもよくご存じ
のことと思います。
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2
この根治療法、つまりビジネスを根本から組み立て直すために、お客様に新た
な価値の創造・提供を行うことを「ビジネスモデル・イノベーション」である
といわれています。
私が関わった企業へのサポートにはこの対処療法ではなく、根治療法を少しず
つ継続して長期間行っていきましょうということを申しあげております。
つまり、ビジネスモデルの再構築を行うことで、お客様に共感される価値を提
供していきましょうということです。
具体的には、お客様から自社の取り組みに共感してもらい、その取り組みがも
たらす価値づくり(=共創)に参加してもらうということです。これはビジネ
スで成功するためには必須なのです。
逆に言いますと、この取り組みに着手できない企業は伸び悩むことになります
し、実際にそのような企業を残念ながら数多く見てきたことも事実です。
このレポートにおいては、事業活動を行っている企業にとって、
 ビジネスの中長期視点の重要性を知ってみませんか?
 ビジネスモデルの全体俯瞰可能性を知ってみませんか?
 実際にビジネスモデルの再構築を行ってみませんか?
 お客様に共感される価値づくりを再度行ってみませんか?
を提案しており、そのために、私と一緒に共通言語を持ちましょう
ということを述べております。
ぜひ、このレポートを通して、あなた自身が手を動かしビジネスモデルを描い
ていただき、あなたのビジネスがお客様からの信頼、長期継続的関係が実現し、
安定的なビジネス活動の展開に向けてお役にたつことができれば幸いです。
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第1章
業績が上がらない、お客様から支持されない企業に共通すること
私は中小企業診断士として 2008 年に開業してから
毎年平均して120件ほどの経営相談件数を経験してきました。
相談されたときの企業の状況は様々で、
「いまは好調だけどさらに発展を目指して
事業に取り組みたい」と意欲的で意識の高い
企業もあった一方で、
「業績が上がらない、お客様から
支持されないので、現状を打開したい」
という相談の企業も数多くありました。
そこで、後者の企業の傾向を分析してみました。
その1:ブレる
儲かりそうに見える商機に飛びついてしまい、
結果利益を取れないばかりか、経費や時間ばかりが
嵩んでしまう。
さらに、取引先からは安価な言い値で
取引を求められ、「都合の良い相手」
としてしか見られず、上と下という
関係のまま、疲弊する
その2 :迷う
経営方針のビジュアル化をしていないため、
経営者の頭の中ではわかっていることでも、
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4
外注パートナーや自社のスタッフには
意図が通っておらず、混乱を招く。
混乱した状況は取引先にも見透かされ、
対等な取引、信頼関係の構築に至らない。
その3:見落とす
大きな資金が動くことを計画で予測できず、
結果、資金繰りが狂う、事業活動に支障をきたす
その4:目先に走る
その1と関連しますが、中長期的な視野に立った
行動がいつまでも取れず、不安を抱えたまま活動をする。
結果、短期的な視点での経営しかできない
といったところでしょうか。
では、なぜそのようなことが起こってしまうのでしょうか?
まずは、私がサポートする企業に
なってほしい姿について説明しましょう。
それは、
「その企業のお客様と長期継続的に良好な関係を保ち、
それにより業績の向上を1年に10%程度、継続する」
ということです。
なので、前提となるのは「視野の持ち方」なのです。
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「はじめに」で述べた「自社の一部分のみの強化」と、
本章にて述べた「短期的な視点」をまとめますと・・・
業績が上がらない、お客様から支持されない企業は、
端的にいえば、
「時間に対する視野が浅く、
特定部分の強化のみに目が行ってしまっている」
ということです。
その結果、方針がブレたまま、目先の儲けのみに
注力することとなり、経営判断に迷いがでたり、
重要な事象を見落としたりすることになるのです。
中長期の視野を持つ重要性は、マーケティングの雄
として知られるジェイ・エイブラハムが
「長期戦略がなくてはならない。(中略)成功は、
長期の戦略を持ち、知り、それに従うことで
初めてやってくる。」
という言葉を著書で残していることから、
その重要性は証明されています。
また、SEO 対策やチラシといった“部品”の
強化を否定するわけでもありません。
しかし、これらの強化により、経営全体の
仕組みも変更することが必要になるにも
関わらず、その変更がないまま“部品”の
強化に取り組むことで、経営全体に“歪み”
を招きます。
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結果、成果の限定性から抜け出せずにいるのを
幾度となく見てきました。
ビジネスとはお客様の価値観や経営環境の変化に対し、
ヒト、資金、ノウハウといった自社の経営資源を
適応することにより、経営全体のバランスを
とっております。
お客様から長期継続的に支持されている企業の特長は、
現状に満足することなく、
3年先の事業を描いている
ことにあります。
つまり、中長期的な歩みを志向し、
全体の目配りができているのです。
では、これまで述べてきた内容で、
企業はどのように中長期的な全体像を
描こうとするでしょうか?
解決策の一つとして、その中長期的な“計画”
として構築しようと考え、“事業計画”という形で
文書化することがあります。
しかし、取り組んでみて、次の悩みに襲われます。
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目的を見誤っていませんか?
よく、事業計画書というもので株主や取引先に
プレゼンする場面があります。
この事業計画書は数十ページにもわたる
膨大な資料を使って語られることが多いです。
作る側も読む側も労力を有します。
事業計画を作成する際に行き詰まる 3 つのことは、
その1:本当に表明したい方針がぼやける
ページを重ねるうちに、自社のお客様に
提供する価値というものが
よくわからなくなってしまい、
シンプルさがなくなってしまう・・・
その2:作ることが目的となってしまう
作成だけで全力を使い果たしてしまい、
成果を出すために必要な、行動への
エネルギーの注力ができなくなってしまう・・・
作成のプロセスは社員たちとの
コミュニケーションをおろそかに
してしまうので、社員の理解も得られない
その3:しっくりこない・不安である
作った計画が、本当に将来の自社の発展に
つながっている内容なのか、
しっくりこないうえに、不安を感じる ・・・
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そして、内容が複雑となり、社員たちが
理解しにくく、納得感が不足する内容と
なってしまい、「あってないようなもの」に
なってしまう・・・
つまり、“絵に描いた餅“になってしまうことで、
実行・検証されないまま持ち腐れとなってしまい、
「計画なんてない方が良い」という認識に
つながっていくのです。
そこで、事業計画“書”ではなく、
事業の“プラットフォーム”を
備えておく必要があるのです。
ここでのまとめ
 視野を目先ではなく、中長期的に持つことがマインドとして大事である
 計画では、社員不在の取り組みとなり、絵に描いた餅になってしまう
 結果、会社として目先の儲けにとらわれ、経営にブレや迷いが生じ、顧客
からの共感を得られない
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第2章
中長期視点、全体俯瞰のプラットフォームとしてのビジネスモデル
では、事業のプラットフォームとはどのようなものか、
お伝えしますと・・・
このレポートのテーマである「ビジネスモデル」を
指します。
経営者と共に社員全員が自社のビジネスモデルを
認識し、日常の活動に反映していきましょう
ということなのです。
前章のとおり、“計画”は経営陣のみが作ることが多く、
社員には“雲の上”のようなものになってしまいます。
そのような計画ならば、あっても実現性がない、
ない方が良いというのはその通りです。
しかし、自社のビジネスモデルを社員全員で
主体的に、かつ試行錯誤しながら構築・認識し、
共有することが、納得感とモチベーションを
醸成します。
さらに、取り巻く環境が早く複雑に変化する
中でも迅速に対応し、かつブレなく迷わないという、
一見、二律相反と思われがちな事業活動を
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実現することになります。
この“ブレなく迷わない“が、お客様の共感を
得ることとなり、支持につながっていくのです。
ところで、先ほどからビジネスモデルという言葉を
聞いてピンとこない方もいるかもしれません。
ここでは、「そもそもビジネスとは何か?」を
明らかにしながら、「ビジネスモデルとは何か」
についてお伝えします。
ビジネスとは?商品とは?
あなたは「ビジネス」の意味をシンプルに考えてみたことはありますか?
ここで大事なのは“シンプルに”ということです。
あなたのビジネスは商品を仕入れる、あるいは生産して、
お客様に販売するということで売上による収入を得て、
仕入れたり、作ったりしたときに発生した費用を
支払っていると思います。
では、販売するとは何でしょうか?
仕入れる・生産するとは何でしょうか?
これらのことを共通言語としてあなたとともに
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認識を一致できればと思います。
その前提として、あなたが普段の活動でお客様に
販売する“商品”について考えるところから始まります。
では、あなたは、商品とはどのようなものだと考えますか?
多くのマーケターが唱え、私もそう思うのですが、
商品の定義とは、
お客様にとっての解決手段
となります。
詳しく言うと、
あなたがお客様に解決手段=商品を提供することによって、
お客様の願望を叶えたり、悩みを解決することに貢献するもの
なのです。
たとえば、経営サポートを行って実際にあった例として、
例1
商品=解決手段:地域の木材を活用したフローリング材
解決されること:自然の中に住んでいるかのような住み心地の実現
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例2
商品=解決手段:スキンケア化粧品
解決されること:みずみずしい肌ツヤの実現
例3
商品=解決手段:宿泊サービス
解決されること:翌日の出張への活力を蓄えることができる
といったことがあげられます。
もっと掘り下げますと、
解決手段とは、
お客様にとって「よかった!」という感情を
もたらす「価値」であると言えます。
購入するお客様は、商品そのものというより、
この「価値」に対してお金を払うのです。
つまり、
販売する・・・・・・・・価値を伝達する
仕入れる・生産する・・・価値を創造する
ということになります。
つまり、ビジネスとは
価値を創造し、伝達することでお客様の
願望の実現や悩みの解消に貢献し、
長期継続的に信頼を得る
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ことなのです。
そして、ビジネスが成功するためには、
お客様にとっての価値とは何かをあなた自身が
常に問い続けながら、不足することなく創造し、
余すことなく伝達すること
が必要となります。
ビジネスモデルとは何か?
ここまでの説明でビジネスとは?という
あなたと私の共通言語の構築を行ってきました。
それでは、このレポートのメインテーマである、
ビジネスモデルとは何か?
という共通言語を共有しましょう。
著作「ビジネスモデル・ジェネレーション」
(アレックス・オスターワルダー&イヴ・ピニュール著、
小山龍介訳、2012、翔泳社)では、
ビジネスモデルとは、
どのように価値を創造し、顧客に届けるかを
論理的に記述したもの
という定義になっております。
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私の定義もほぼ同じなのですが、
これもあなたとの共通言語として
シェアできればと思います。
ビジネスモデルとは、
お客様にとっての価値の創造と、
その価値をお客様へ伝達する
“プロセスや仕組み”を説明するもの
です。
本章では、共通言語として、「商品とは?」、「ビジネスとは?」そして「ビジネ
スモデルとは?」の3つをシェアしたうえで、このレポートの続きを共に歩ん
でいければと思います。
ここでのまとめ
 ビジネスモデルを社員全員で構築・認識し、共有することが、ブレなく迷
わない事業活動を支えるとともに、お客様からの信頼の第一歩となる
 商品とは、「お客様にとっての解決手段」
 ビジネスとは、価値を創造し、伝達することでお客様に貢献し、信頼を長
期継続的に得ることである
 ビジネスが成功するためには、お客様にとっての価値を不足することなく
創造し、余すことなく伝達すること
 ビジネスモデルとは、お客様にとっての価値の創造と、その価値をお客様
へ伝達する“プロセスや仕組み”を説明するもの

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第3章
あなたのビジネスモデルを構築できる「ビジネスモデル・キャンバス」
では、ビジネスモデルをどうやって構築するのだろう?
と疑問に思っているあなたに
「ビジネスモデル・キャンバス」を紹介します。
ビジネスの個々のプロセス、領域そして要素を
全体像として1面に表現しているものです。
Key
Partners
パートナー
Key
Activities
主要活動
Value
Propositions
価値提案
Customer
Relationships
顧客との関係
Customer
Segments
顧客セグメント
Key
Resources
必要な経営資源
CHannels
チャネル
Cost
Structue
コスト構造
Revenue
Streams
収益の流れ
http://www.businessmodelgeneration.com/を参考に作成
といっても、いきなりこのキャンバスを説明しても、
全体像やつながりが分からないということが
考えられますので、「構造」について解説します。
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「2つのプロセス」、「4つの領域」、「9つの要素」から構成される
まずは、第2章のおさらいをしましょう。
ビジネスモデルとは、
お客様にとっての価値の創造と、
その価値をお客様へ伝達する
“プロセスや仕組み”を説明するもの
と定義しました。
ビジネスモデル・キャンバスとは、
この定義したビジネスモデルを
視覚的に表現したツールである
といえます。
その内容は、
「お客様にとっての価値の創造」
「その価値のお客様への伝達」
という「2つのプロセス」として分類されます。
そして、これら2つのプロセスをさらに細かく分けます。
2つのプロセスを支える「4つの領域」として、
「提供価値」、「顧客接点」、「経営基盤」、「財務的仕組み」
として分類されます。
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そして4つの領域をさらに細分化し、
「9つの要素」があります。
具体的には次のマル内の数字が要素に該当します。
1.顧客価値 ・・・①
2.顧客接点
(1)顧客セグメント・・・②
(2)チャネル ・・・③
(3)顧客関係の仕組み・・④
3.経営基盤
(1)主要な経営資源・・・⑤
(2)主要な事業活動・・・⑥
(3)主要パートナー・・・⑦
4.財務的仕組み
(1)収入の流れ ・・・⑧
(2)コスト構造 ・・・⑨
に分類されます。
この分類を図にしました。
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から構成される
価値提供
(価値提供の手段とし
ての製品・サービス)
顧客接点経営基盤
財務的仕組み
顧客価値
収入の流れコスト構造
主要
パートナー
主要資源
主な
事業活動
販売
チャネル
顧客関係の
仕組み
顧客
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価値を“作り出す” 価値を“届ける”
「2つのプロセス」 「4つの領域」 「9つの要素」
ここで大事なのは、
9つの要素が結び付きあっている、
特に顧客価値を中心に、創造、伝達に
必要な各要素が結び付いている
という点です。
顧客価値の創造は、
企業が持つ強みや強みを活かした活動を
通して行われる。
顧客価値の伝達は、
顧客層に届く経路をたどりながら、
顧客層との関係を構築したうえで行われる。
これらの過程で収入や費用が発生する。
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という構造をイメージできるようにしています。
この「2つのプロセス」、「4つの領域」、「9つの要素」と
それぞれの関連性を知っておくことが必要となります。
これら3つを1枚のキャンバスで表現できる、
つまり、ビジネスの全体像をたった1枚で
俯瞰することができます。
「たった1枚」、「全体像の俯瞰」という点は、
第1章で述べた
中長期的視点のもと全体のバランスを
目配りすることを可能にするとともに、
数10ページの事業計画書を作成する
ストレスから解放されます。
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9つの要素の解説
では、ここからは9つの要素について解説していきます。
各要素をビジネスモデル・キャンバスに凡例を落とし込んでみました。
KPパートナー
自社にない
リソースを提
供
KA主要活動
ビジネスの成果に不可欠
な活動
VP価値提案
ユーザーが商品・
サービスを選ぶ理由
となる価値
CR顧客との関係
心理段階と提供ツールや
仕掛け
CS顧客セグメント
価値提供先
KR必要な経営資源
ビジネスの成果に不可欠
な経営資源
CHチャネル
商品・サービスを知り、入
手する経路
CSコスト構造 活動・リソースに必要なコスト RS収益の流れ 価値提案により獲得する収益
http://www.businessmodelgeneration.com/を参考に作成
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ビジネスモデルキャンバスの9つの要素
注:末端の
ユーザーを
想定する
店舗 通販
営業
展示会広告
卸問屋
商品・サービス
購買 製造 出荷
販売 A・S R&D
管理 人事
労務
調達
財務
人材 店舗 工場
機材
人脈
ノウハウ ブランド
情報
資金
製造
協力会社
物流会社
販売代理店
研究機関
認知 関心
継続
シェア
購入
ツール・
仕掛け
検討
初期導入収入 継続収入
定額
課金
従量
課金
メンテ料
ライセンス料 F・E B・E
開発費 製造費 人件費 宣伝費
開発費
比率
製造
原価率
労働
分配率
宣伝費
比率
ベネ
フィット
特徴
ストーリー
資金提供者
①価値提案
ビジネスモデルの成否のカギを握るのは、この価値提案です。
●ページで述べたとおり、
商品とはお客様にとっての解決手段であり、
解決手段とは、お客様にとって「よかった!」
という経験・感情をもたらす「価値」である
ということを思い出してみましょう。
このお客様にとって「よかった!」というものを
「ベネフィット(便益)」という言葉で言い換える
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ことができます。
そして、このベネフィットを証明するものが、
あなたのビジネスにおける強み=特徴
ということになります。
よくあるのは、この強みがベネフィットに
転換できていない、つまり、独りよがりに
なってしまっている点です。
あなたのビジネスで保有する特徴が
お客様にとってのベネフィットを
満たすものとなっているか考えてみましょう。
さらに、ベネフィットと特徴が
お客様の共感を決定づけるには、
多くの時間と労力が必要となります。
この時間と労力を物語のように語れるように
してみませんか?
よく、優良企業の歴史や、ヒット商品の開発秘話が
インターネットやテレビで発信されていますが、
目にする顧客(予備軍)がその物語性に引き込まれ、
共感することで、実際に購入してみようという
きっかけになることを狙っています。
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つまり、共感を呼ぶ最後のひと押しとして、
ストーリーという要素が価値提案の中に
含まれていると、お客様の納得感や共感といった、
不安がない状態が得られます。
このことにより、お客様との長期継続的な関係に
結び付く可能性が広がるのです。
まとめますと、価値提案は3つの要素から
構成されます。
 ベネフィット
 特徴
 ストーリー
これらの構築をお客様との対話の中で
行っていくことが、あなたのビジネスが
成功にグッと近づくことにつながります。
②顧客セグメント
どんなに価値提案が優れていても、それに共感する
お客様が存在していなければ、ビジネスは存在しません。
価値提案する前に、
“欲しそうなお客様の集まり”が
存在するかということを見つけて
いかなくてはならないのです。
では、“欲しそうな“とはなんでしょうか?
これが、ずっと述べている、「お客様が解決したいこと」となります。
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そして、セグメントというのは、
英語で“区切り“といいます。
ビジネスにおいては、
ニーズ・ウォンツ、趣向、行動といった、
共通した価値観、見方、態度を見せるグループ
ということです。
まとめますと、
共通の解決手段を求めているグループ
といえます。
価値提案する前提として、
この顧客セグメントを定めていくこと
が重要になります。
実際にビジネスモデルを組み立てる手順は、
「顧客セグメントを定める⇒価値提案を構築する」
となります。
③チャネル
顧客セグメントに対し、提案する価値を
届けるルートをいいます。
大事なのは、
提案した価値を顧客セグメントに知ってもらい、
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実際に購入・活用してもらい、良かった!
という経験を得てもらうために、
適切な顧客セグメントに届けやすいルートを
探し出し、伝達の仕組みを構築する
ということです。
大きく2つにわけるとすれば、「直接」と「間接」となります。
直接の例は、
「営業部隊による営業活動」、「自社店舗」、
「ウェブ等による通信販売」、「展示会・商談会」等
間接の例は、
「卸売業者への卸売」、「代理店経由の販売」等
が該当します。
④顧客との関係
価値の伝達にあたり、伝達したい
特定の顧客セグメントとの関係を構築しないと、
その価値を理解してもらうことができません。
関係構築には、
「獲得」、「維持」、「リピート」といった段階が
ありますが、これらの段階に誘導する際に
活用する仕掛けを検討し、構築し、実行しながら
改良していくことが、求められます。
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⑤収益の流れ
あなたのビジネスが顧客セグメントに提供した
価値の対価=お金として得ることになります。
逆に言いますと、
お客様がどのような価値にお金を払うのかを
あなたは常に自身に問い続けなくてはなりません。
また、収益の流れは、顧客セグメントの
支払方法等によって異なります。
例えば、提供する価値に対して、
一括して対価を獲得する場合もあれば、
月額に分割し、受け取ることもあるなど、
価値の手段である商品やお客様の支払いに
対する考え方により異なります。
お客様が満足する対価を獲得する方法を
構築することも必要です。
⑥必要な経営資源
あなたがビジネスを行っていれば、
お客様にとってのベネフィットを生み出すために、
活動の源泉=特徴が存在するはずです。
さらには、価値を創り出すために必要な、
資金・人材などの調達活動、チャネルの発掘や、
チャネルを活用した価値伝達といった諸活動も
経営資源なしには不可能であり、
収益を生み出すこともできません。
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経営資源とは、2つに大別されます。
 有形資源(例:人材、資金、生産設備、店舗等)
 無形資源(例:人脈、情報、ノウハウ等)
この有形・無形の資源を活用し、価値を創りだし、
伝達するプロセスを実行していきます。
⑦主要活動
あなたのビジネスが成功するために必要な活動です。
顧客セグメントに対し、価値を提供する、
チャネルの開拓、お客様との関係構築、収益を得る
といった一連の活動の実現のために行うこと
といえます。
そのための前提となる、価値創造としては、
商品を課題解決手段として提供する場合の創造・・・製造
サービスを課題解決として提供する場合の創造・・・問題解決
といった活動が該当します。
⑧主要パートナー
経営資源には限りがあります。
たとえば、人材の数・能力、資金の量、
生産する商品の数、ノウハウの数・高さ等です。
ビジネスモデルの実行・成功に向けて、
あなただけがすべての経営資源を所有し、
すべての活動を行うことはほぼ不可能です。
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そこで、経営資源の補完が必要になるのです。
具体的には、
自社が競争相手や取引先に対するリスクを
減らすために、自社以外の同業者と共同で
仕入・販売することや、生産の外注化
といった例が挙げられます。
⑨コスト構造
ビジネスモデルの実行で発生するコストを記述するものです。
先述の⑥経営資源、⑦主要活動、⑧パートナーの
3つの要素を定義することで、算出することが
可能になります。
そしてそれは、⑤収益の流れとの関係で収益を
どれだけ確保できるかという点にもつながります。
コスト構造の内訳は2つであり、
「固定費」と「変動費」です。
「固定費」は、商品の生産にかかわらず、
一定額が発生する費用です。
例として、人件費や製造装置などに関する費用があります。
「変動費」は、商品の生産に比例して
変動するコストです。
例として、商品の仕入れ、生産に必要な材料費などです。
コスト構造は、重視する点により2つに分類されます。
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それは、「コスト重視」または「価値重視」です。
「コスト重視」は限りなく最小化することに注力します。
「価値重視」はコスト以上に価値を生み出すことに集中するものです。
以上が9つの要素についての解説となります。
9つの要素の組み合わせが最適化されると、
お客様からの共感を得る確率が高まります。
そして、お客様やパートナーといった社外のプレーヤーから、
あなたのビジネスの発展に協力したいという“共創”
の発生につながり、長期継続的な信頼関係が生まれるのです。
その複雑で多岐にわたるビジネスモデルを1枚のキャンバスで
シンプルに表現できる点にビジネスモデル・キャンバスの良さがあり、
あなたのビジネスの発展を加速させるヒントがつまっているのです。
ここでのまとめ
 ビジネスモデル・キャンバスは、ビジネスモデルを視覚的に表現したもの
 ビジネスモデル・キャンバスは「2つのプロセス」、「4つの領域」、「9つ
の要素」とその関連性から構成される
 各要素の解説から、価値提供にすべてつながる
 お客様やパートナーからの共感・共創を生み出す
 ビジネスモデル・キャンバスは1枚のキャンバスでシンプルにビジネスモ
デルを表現できる。
 分厚い事業計画書を作成する労力から解放される
 ビジネスの発展を加速させるヒントが出てくる可能性を秘めている

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29
第4章
ビジネスモデル・キャンバスをよりイメージしやすくできるように
本章では、ビジネスモデル・キャンバスの活用例、活用メリットと活用の留意
点をご紹介し、よりイメージしやすくできるようにしました。
活用例
その1.コスメメーカー
(1)直営店舗を保有するコスメメーカー
KPパートナー KA主要活動 VP価値提案 CR顧客との関係 CS顧客セグメント
KR必要な経営資源 CHチャネル
CSコスト構造 RS収益の流れ
セルフケア
直営店舗
肌の悩み解消
密着
ケアの
習慣ノウハウ
エンドユー ザー
データベース
たのしい肌生活
店舗スタッフ
店舗-工場の連携
店舗運営
商品製造
価値重視
原材料納入業者
店舗貸出者
支持層
リサーチ・企画 来店客の趣向を商
品に反映・提案
名より実
店舗運営コスト
直営店舗は、店舗の家賃、人件費などの運営コストが嵩む反面、来店客から直
接生の声を収集でき、卸売業者の介在がないため、来店客の欲しくなり、かつ
利益率の高い商品の企画・製造販売への自由度が高くなります。
最も重要なのは、そのエンドユーザー(来店客)がデータベースとして資産に
なっている点です。この来店客の声や趣向が、提供価値の構築の参考となり、
商品にコンセプトの一要素として埋め込むことが自由にできます。
これにより、来店客は大メーカーの商品でなくても、自分に適した商品を楽し
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むことが可能となり、より支持層が拡大し、パートナーとして企画に参画して
もらう(共創する)ことで、より長期継続的な支持を得ることになります。
(2)卸売販売をメインにしたコスメメーカー
KPパートナー KA主要活動 VP価値提案 CR顧客との関係 CS顧客セグメント
KR必要な経営資源 CHチャネル
CSコスト構造 RS収益の流れ
セルフケア
卸業者、ドラッグストア
肌の悩み解消
ケアの
習慣ノウハウ
ロット生産設備
たのしい肌生活
衛生管理に長け
た人材
ルートセールス
原材料納入業者
大量生産で
安定供給
リーズナブル
コスト究極化
ロット・効率的生産
薄利多売収入
自社商品を卸売するコスメメーカーは、直営店舗にて販売を展開するメーカー
とはビジネスモデルが異なります。
まず、顧客セグメントについて、卸売・小売業者はリーズナブルな商品を望む
顧客層の声を優先します。
これに対しメーカー側は、直接エンドユーザーにアプローチすることはなく、
卸売・小売業者からの意見が優先されます。これを「ユーザーとカスタマーが
異なる状態」と言います。
実際に使うのはエンドユーザーなのに対し、代金を支払うのはカスタマーと呼
びます。取り上げている例では、ユーザーがエンドユーザー(キャンバス上の
顧客セグメント)、卸売・小売業者がカスタマー(キャンバス上のチャネル)と
なります。
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また、卸売・小売業者はメーカーに対し、卸売単価を販売単価の3割程度にす
ることを要求することが多く、メーカー側もそれに応えようと、生産ロットや
生産方法の効率化によりそれをクリアしようとします。
つまり、直営店舗と異なり、価値よりも価格を重視した商品として、リーズナ
ブルな単価で安定供給することが、エンドユーザーへの提供価値となるのです。
1個当たりの利益は小さくても、大量製造することで利益を多く獲得するよう
な仕組みを構築するのがビジネスモデルとなります。
(1)と(2)はどちらが良いということではありません。お客様は誰か?と
いう定義を行ったうえで、顧客セグメント以外の8つの要素で備えるべきこと
がことなり、バランスのさせ方が異なることを例として示したものです。
その2.教育サービス
(1)子供向け教育サービス
KPパートナー KA主要活動 VP価値提案 CR顧客との関係 CS顧客セグメント
KR必要な経営資源 CHチャネル
CSコスト構造 RS収益の流れ
ネット、媒体、クチコミ
子供の将来の形成
教育人材・ノウハウ 子供を受験合格
させたい“親”
教育
卒業生の親子の
クチコミ
合格という結果
学びたい子供
子供の親への営業
月謝、教材販売
収入
家族ぐるみの密接感家族の幸福
販売促進
教育人材への教
育コスト
子供向け学習塾などの教育サービスを取り上げてみました。
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まず、顧客セグメントについては、先ほどのその1(2)卸売販売をメインに
したコスメメーカーと同様に、ユーザーとカスタマーが異なります。すなわち、
「ユーザー:実際に学習する子供、カスタマー:月謝・教材費を支払う子供の
親」となります。
運営するサービス提供側は、子供への教育サービスの提供のみならず、その親・
保護者との関係構築も運営の成功のカギとなります。つまり、財布の紐を握っ
ている親・保護者の心をつかむ取り組みが必要となるのです。
そのため、提供価値の中心である「合格という結果」とほぼ同じ程度の優先順
位で「(子供の)家族の幸福」が挙げられます。
(2)大人向け教育サービス
KPパートナー KA主要活動 VP価値提案 CR顧客との関係 CS顧客セグメント
KR必要な経営資源 CHチャネル
CSコスト構造 RS収益の流れ
Eラーニング
ビジネス経験豊富
な講師
実践的教育
ビジネス能力
向上
キャリアアップし
た い ビ ジ ネ ス
パーソン
高額な受講料販売促進
スクール
フォローアップ
受講料(継続課金)
教育人材輩出可
能な企業
対して、ビジネススクールや資格取得の予備校などの大人向け教育サービスに
目を向けてみますと、ビジネスパーソンということで、ユーザーとカスタマー
が一致します。
また、提供価値はビジネス能力向上等が一例としてあげられ、実践的な教育サ
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ービスを提供可能な人材の確保が求められます。
ビジネスパーソンは忙しく、学びの時間を確保することが困難なこともあり、
物理的移動を少なくして学ぶことが必要となり、提供経路はリアルの教室もあ
れば、バーチャルの教室としてEラーニング等が有効になります。
その3.飲食店
(1)チェーン型飲食店
KPパートナー KA主要活動 VP価値提案 CR顧客との関係 CS顧客セグメント
KR必要な経営資源 CHチャネル
CSコスト構造 RS収益の流れ
多店舗
セントラルキッチン
均一化された人材・
運営
全国均一の飲食
メニュー
近場でリーズナブ
ルに飲食を楽しみ
たい
薄利多売コスト究極化
好立地店舗
利用利便性
イニシャル・ランニ
ングの資金
チェーン型の飲食店は、楽しみたいときにすぐに楽しめる場所があることがビ
ジネスの成功の前提となります。利用利便性は大きな提供価値の一つとなりま
す。
もちろん、肝心のメニューが味覚を満たさないといけません。チェーン店はこ
れに加え、全国津々浦々にある店舗で均一の味覚を満たしたものが必要となり
ます。
その均一化されたメニューを集中加工するセントラルキッチン方式により大ロ
ットで加工することで、製造・外注コストを抑え、リーズナブルな価格にて提
供することを可能にします。
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また、接客やサービスも均一化し、発生するコストの予測の精度を向上させ、
運営コストの一定化・究極化を図ることにも特徴があります。
(2)独立系大衆居酒屋
KPパートナー KA主要活動 VP価値提案 CR顧客との関係 CS顧客セグメント
KR必要な経営資源 CHチャネル
CSコスト構造 RS収益の流れ
店主・女将の人柄
顧客の好みに
適した料理提供
家庭的・カスタマ
イズメニュー
この店以外では、
飲食を楽しめない
料理以外の付加
価値重視
食 事 以 外 の 情
報・癒しの場
家庭の味を再現
する調理ノウハウ
超密着
得意客のデータ
地域の住民、店舗
等
顧客・地域の
リサーチ・情報提供
選りすぐりの食材提
供業者、市場
おふくろの味を楽しめ、たまたま居合わせた客と懇意になり、一人で来たのに
いつの間にか家にいるかのような雰囲気に包まれ満足するのが、独立系の大衆
居酒屋の提供価値です。
このお店以外では楽しめないという、店への高すぎるほどの忠誠をもっており、
店主や女将もそれに十分すぎるほど、料理、会話、雰囲気で答えている点に特
長があります。
繁盛する店は、その地域でも他業種の店舗や住民の中でも公共財としての役割
を果たし、その地域になくてはならない、つまり、長期継続的な関係継続を個々
の顧客の枠を超えて構築できていることが、ビジネスモデルの根幹をなしてい
るわけです。
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以上、3業種6種類のビジネスモデル・キャンバスをご紹介しました。
さて、あなたにお願いがあります。
紙とペンと付箋を用意いただけますでしょうか?
あなたのビジネスをビジネスモデル・キャンバスで
描いてみてませんか?
キャンバスは手書きで紙に書いた後、付箋を各要素に
貼りつけていってあなたのビジネスの仕組みを
整理してみましょう。
これまで解説した内容を参考に、
実際に手を動かし、その内容を振り返りながら、
あなたのビジネスモデルを描いてみてくださいね。
ビジネスモデル・キャンバスを紙に描き、付箋を使ってあなたのビジネスモデルを
描いてみましょう。
ワーク
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ビジネスモデル・キャンバスを活用することで得られるメリットと活用する際の留意点
実際にワーク取り組んでみて、いかがだったでしょうか。
ここでは、あなたがビジネスモデル・キャンバスを
活用することで、得ることができるメリットと
活用する際の留意点について、お伝えします。
メリットは「1枚」、「共通言語」そして「イノベーション」
ビジネスモデル・キャンバスは1枚のキャンバスで
経営全体を俯瞰できるツールです。
メリットは、
 参加者全員がキャンバスにフォーカスすることができ、
余計なものに散漫されず、集中して議論できる
 キャンバスの持つ共通言語(このレポートで触れた
商品、ビジネス、ビジネスモデルの定義など)により、
参加者の共通認識ができる
 意見のぶつけ合いからまとまりまでのプロセスを
参加者同士で共有できる
 部門間の意見の溝がどんどん埋まっていき、
全社一体的な取り組みの醸成につながる
があげられます。
これらに加えて、
 経営の現在の「分析」と未来への「構築」が
1枚のキャンバスの中で直感的に理解できる
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 1枚のキャンバスをホワイトボードにて活用し、
参加者が起立した状態で議論を行うと、
頭だけではない身体の活用により、
自分自身の脳の活性化を図ることができる
 既存の発想にとらわれない、斬新なアイデアや
解決策が“ふっ”と出てきやすい
といった、イノベーションについて考える環境が整う点も
大きなメリットがあるのです。
活用の留意点は、「変更継続」、「目的共有」そして「共創」
ビジネスモデル・キャンバスを活用するメリットがある一方、
活用方法を誤ると、その効果は減少します。
そのため、留意点としては以下の点が挙げられます。
 自社の能力向上、市場の変化に伴い、時系列で
キャンバスをアップデートする必要があります
(現時点はスナップショットでしかない)。
これは、あなたのビジネスを取り巻く
環境変化に対して、すでに述べた
9つの要素のどの部分を改善することで
適応させるかという点と、
イノベーションでどの部分の変化を
起こすことで、新たな価値を
環境に提案するかという点があげられます。
 議論はブレーンストーミングが原則ですが、
まとめるファシリテーター役も必要となります。
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ブレーンストーミングは、どんなことでも
良いので意見を出し合い、参加者は
その意見に対して否定の姿勢を
取ることなく、承認し、
より良い方向性を模索する
という手法です。
コーチングの分野の主要素として、
「受容」と「承認」がありますが、
まさにこの受容と承認をベースにして
議論を行うことが必要です。
また、メリットで述べた、意見のぶつけ合いから
まとまりという概念は、「発散」と「収束」
ということになりますが、
ブレーンストーミングは「発散」にあたります。
これに対し、「収束」は参加者全員で
意見を出し合いながらまとめていくことが
理想ですが、現実的ではないことも事実です。
あらかじめ、まとめ役・進行役を決めておく、
つまり、ファシリテーター役を必要
となるわけです。
このことで、ビジネスモデル・キャンバスを
使った議論のメリットを最大限に
発揮していきましょう。
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39
 始めに、キャンバス作成の目的を
共有する必要があります。
これは、「議論のゴールは何か?」を
決めるということであり、キャンバスの
作成に特化したことではありませんが、
共通認識を形成するにあたり、
ゴールの設定は重要です。
長時間にわたる「自社のイノベーションの再構築」
でも良いですし、「顧客セグメントの再定義」や
「価値提案の微調整」、「主要活動の見直し」
といった要素別の再定義の議論に絞るのも
良いですので、参加メンバーにはあらかじめ
キャンバス作成の目的をしっかりと
伝達したうえで、議論に参加してもらうことが
良い成果につながることは確かです。
 部門の異なる社員が参加することは
当然として、顧客やパートナーとの
共同でビジネスモデルを
構築することを考えてみましょう。
ビジネスモデル・キャンバスの
良いところは、これまで自社が
いかに抜きんでるかということに
主眼を置かれているフレームワークと
異なり、「自社に加え、お客様やパートナー
といった一見社外のプレーヤーも
自社の“ファミリー”として捉えている」
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40
ことにあります。
可能ならば、お客様やパートナーにも
あなたのビジネスモデルの構築に
参加してもらいましょう。
それが共創への第一歩となります。
そうすることであなたのビジネスと
お客様・パートナーとの Win-Win の
関係構築につながっていくことに
なるでしょう。
ここでのまとめ
 ビジネスモデル・キャンバスの活用例を見て、視覚的に理解のしやすさを
実感し、あなたのビジネスのビジネスモデル・キャンバスを作成してみま
しょう。
 ビジネスモデル・キャンバスのメリットは「1枚」、「共通言語」、「イノベ
ーション」にあります。
 ビジネスモデル・キャンバス活用の留意点はの「変更継続」、「目的共有」、
「共創」を念頭に置くことにあります。
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41
第5章
あなたのビジネスがお客様から信頼され、
長期継続的に発展するために必要な5つのツール
これまで、ビジネスモデル・キャンバスについて、
その内容の解説、活用するメリットなどに
触れてきました。
私は中小企業・個人事業者を中心に、
ビジネスモデル・キャンバスをはじめとして、
視覚化ツールを活用した経営上のサポートを
しております。
サポートをとおして、
中小企業・個人事業者には、コンセプトを明確にし、
それをベースにビジネスモデルを構築していただき、
お客様からの共感を得て、長期継続的な信頼関係の確立を
実現するところに貢献しております。
また、業績の向上を1年に10%程度継続するという
結果にもコミットしたサポートを行っております。
そこで、本章ではビジネスモデル・キャンバスを
含め、視覚化ツールを活用した、
長期継続的発展の5つのツールの概要を
お伝えします。
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42
ツール1:ビジネスモデルづくり~ビジネスを「鳥の目」で俯瞰する~
Key
Partners
パートナー
Key
Activities
主要活動
Value
Propositions
価値提案
Customer
Relationships
顧客との関係
Customer
Segments
顧客セグメント
Key
Resources
必要な経営資源
CHannels
チャネル
Cost
Structue
コスト構造
Revenue
Streams
収益の流れ
http://www.businessmodelgeneration.com/を参考に作成
今までお伝えしてきた、ビジネスモデル・キャンバスです。
あなたが経営者でも、管理職でも、社員スタッフでも、
自らのビジネスを俯瞰し、自身の存在意義をつかむことが必要です。
ツール2:コンセプトづくり~ビジネスを「虫の目」でフォーカスする~
行動、
やりたいこと
ユーザーの観察:なぜ欲しいのか、やりたいこと提案ソリューションのデザイン:何を提供するのか
うれしいこと
いやなこと
うれしいことを増やすもの
いやなことを減らすもの
商品や
サービス
http://www.businessmodelgeneration.com/を参考に作成
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43
あなたのビジネスで提供する商品とは、
「お客様にとっての解決手段」です。
解決手段の内容がお客様にとっての価値となります。
その価値を見い出すためには、
虫の目、つまり、お客様の願望や悩みに
よりフォーカスする、観察することが必要です。
その観察結果から出された解決内容が、
コンセプトと呼ばれるものです。
そのコンセプトを練り上げるために
「バリュープロポジションキャンバス」
を活用して一緒に考えていきます。
ツール3:顧客共感シナリオづくり~コンセプトを伝達し共感を得る~
認知
関心
検討
継続
シェア
安定かつ継
続した売上
高の確保
事前
準備
購入
ツール投入
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44
あなたのビジネスで提供するコンセプトは、
適切なプロセスをたどりながら、
適切なツールの投入により、
お客様からの共感を得ることができます。
一緒にプロセス(Process)やツール(Tool)を
一緒に考えてみませんか?
「PTシート」を活用して、
一緒にプロセスを構築し、
ツールを創り出していきましょう。
ツール4:成長シナリオづくり~ビジネスの流れを「魚の目」でつかむ~
あなたのビジネスは、永続的に発展することで、
社会からの共感を得ることができます。
永続的発展のために、ビジネスを取り巻く環境に
対応するビジネスモデルを一緒に考えてみませんか?
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「シナリオプランニングシート」を活用して、
あなたのビジネスの未来を
一緒に創り出していきましょう。
ツール5:ギャップ埋め合わせ~理想の姿への解決策を探る~
あなたのビジネスには理想の姿がある一方、
現状はまだまだ改善の余地があることも考えられます。
また、構築したビジネスモデルを実行・検証、
あるいは改善をする必要も出てきます。
そこで、永続的発展のために理想と現実のギャップを
どのようにして埋めていくか、一緒に考えてみませんか?
その際には、「ギャップイラスト」を活用して、
あなたの課題を少しずつ解決していきます。
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46
サポート業務におけるステップ1~5の活用について
ステップ1~4は、構築・準備
ステップ5は、実行の検証と改善・強化
で活用するものです。
具体的には、
ステップ1と2については、
相談テーマにかかわらず、
お打ち合わせで必ず活用します。
ステップ3については、
ステップ1・2に加え、
顧客創造戦略・戦術を構築したい
という相談に対して活用します。
ステップ4については、
長期継続的な発展を図る際に
活用します。
ステップ5については、
ステップ1~4で構築したビジネスモデル等を
実行した結果の検証やそれに伴う改善・強化策を
導き出すために活用します。
これらのツールを活用して、
以下のサポートメニューをご用意しております。
 個別サポート
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47
個別にコンサルティングを行います。
 スカイプサポート
スカイプにより短時間(40分程度)の
コンサルティングを行います。
 セミナー・ワークショップ
集合型の講習会を行います。
 企業研修
社内研修でセミナー、ワークショップを
行います。
お問い合わせ、ご依頼などは巻末の連絡先に
ご連絡いただけますと幸いです。
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48
おわりに
このレポートは、これまで行ってきた個別サポートや、セミナー等でクライア
ントや受講者にお伝えしてきたものを加筆修正しました。
ご参考になれば幸いであるとともに、ビジネスモデル・キャンバスの構造を知
っていただき、あなたが実際に手を動かして、記載されている内容の意味を実
感できれば、これほどうれしいことはありません。
また、イノベーションについても少しばかり触れました。
個別サポートやセミナー等では、お客様にとっての新たな価値をどのように作
り出すかという「イノベーション」をメインにビジネスモデル・キャンバスを
活用しております。
もし、あなたがご興味をお持ちならば、この無料レポートの入手の際にご登録
いただいた、メールアドレスにお送りするメールマガジンにて、私の考えや情
報、イベント等のご紹介を行います。
また、札幌で行うセミナーやワークショップにて直接お会いして、ビジネスモ
デル・キャンバスの内容や活用方法をお伝えする場もご用意しますので、その
効果を実感していただければと思います。
話は変わりますが、武道や日本文化の世界で、「守破離」という言葉があります。
守・・・型を学ぶ
破・・・実践し、自分のものにする
離・・・型をアレンジして自分独自の型を作る
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ビジネスモデル・キャンバスは、欧米発の理論ではありますが、きわめて日本
的な要素も多く含んだものです。
ぜひ、あなたのビジネスに、
守・・・ビジネスモデル・キャンバスという方を学び、
破・・・実際に手を動かして、あなたのものにして、
離・・・イノベーションを起こし、あなた独自のビジネスモデルを作る
というプロセスをたどることを期待しております。
その第1歩として、このレポートを有効に活用することを期待しております。
それでは、お会いすることを楽しみにしております!
さっぽろ中小企業経営サポートセンター
わたべ経営支援事務所 代表 渡部和義
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渡部和義(わたべかずよし)自己紹介
経 済 産 業大 臣 登録 中 小 企 業診 断 士(登 録 番 号
405072) 、日本実務能力開発協会 認定コーチ。
1973 年、北海道釧路市生まれ北見市育ち。
北海道大学経済学部経営学科卒。
2007 年、中小企業診断士登録。
2008 年、わたべ経営支援事務所を開業
2013 年、経済産業省・財務省「経営革新等支援機関」に認定、現在に至る。
年間 15 社前後、延べ 120 回の個別経営サポートを行っているが、クライアン
トの顧客に対する提供価値の構築に関するサポートを重視し、それをベースに
したビジネスモデルの再構築を手掛けることをポリシーとしている。
サポート対象企業の9割が黒字経営であり、多くの企業が利益増を継続してい
るほか、取引先との関係を長期間継続することに成功している。
ウェブサイト名:さっぽろ中小企業経営サポートセンター
URL http://www.kw-support.com/
メールアドレス watabe アット kw-support.com
(アットは@に置き換えて入力ください)
2015 年 2 月 15 日 初版発行
長期的にお客様に支持され広い視野でビジネスを行う経営者になるために知っ
ておいて損はないたった1つのツール
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わたべ経営支援事務所 代表 渡部和義
〒001-0010 北海道札幌市北区北十条西 2 丁目 17-1-1007

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長期的にお客様に支持され広い視野でビジネスを行う経営者になるために知っておいて損はないたった1つのツール

  • 1. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. わたべ経営支援事務所 代表 渡部和義 長期的にお客様に支持され 広い視野でビジネスを行う 経営者になるために 知っておいて損はない たった1つのツール
  • 2. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 1 はじめに 経営の強化は一部分のみの強化だけではその効果に限界があるだけではなく、 既存の部分とのバランスが悪くなるリスクがあります。 これまでの企業は販売、生産、人事、財務、開発といった組織の一部の機能の 強化を優先することで自社の改革を行ってきましたが、その有効性が薄れつつ あることは明白です。 たとえば、我が国の“ものづくり大国“の一端を担っていた国内電機メーカー の凋落は、金融情勢(為替の大幅な円安や株価の上昇)により一服感はありま すが、ビジネスそのもののモデルチェンジへの注力は道半ばです。 機能一部分のみの変革はプロセスイノベーション、製品のみの変革はプロダク トイノベーションという言葉が使われますが、いずれも「対処療法=その場し のぎの対処」でしかなく、「根治療法=すべてを根本から見直す」ことにはつな がっていないのです。 対して、よく話題に上る Apple 社はどうでしょう。 最近でこそ、一時の圧倒的な勢いは見られないものの、世間に完全に定着した iPhone シリーズは、これまでの電話の概念を打ち破るツールとなりました。単 なる電話の域を超え、iTunes 等の音楽配信やゲームといった娯楽ツールとの組 み合わせによる“サービス提供のプラットフォーム”としての役割も果たしな がら、一大コンテンツとしての地位を築き上げました。 これはユーザーのあるべき姿の変遷を描き、その変遷に応じてどのようなツー ルやコンテンツを提供するか、そこから得られる収益の仕組みをどうするかと いう根治療法的アプローチがもたらした結果であることはあなたもよくご存じ のことと思います。
  • 3. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 2 この根治療法、つまりビジネスを根本から組み立て直すために、お客様に新た な価値の創造・提供を行うことを「ビジネスモデル・イノベーション」である といわれています。 私が関わった企業へのサポートにはこの対処療法ではなく、根治療法を少しず つ継続して長期間行っていきましょうということを申しあげております。 つまり、ビジネスモデルの再構築を行うことで、お客様に共感される価値を提 供していきましょうということです。 具体的には、お客様から自社の取り組みに共感してもらい、その取り組みがも たらす価値づくり(=共創)に参加してもらうということです。これはビジネ スで成功するためには必須なのです。 逆に言いますと、この取り組みに着手できない企業は伸び悩むことになります し、実際にそのような企業を残念ながら数多く見てきたことも事実です。 このレポートにおいては、事業活動を行っている企業にとって、  ビジネスの中長期視点の重要性を知ってみませんか?  ビジネスモデルの全体俯瞰可能性を知ってみませんか?  実際にビジネスモデルの再構築を行ってみませんか?  お客様に共感される価値づくりを再度行ってみませんか? を提案しており、そのために、私と一緒に共通言語を持ちましょう ということを述べております。 ぜひ、このレポートを通して、あなた自身が手を動かしビジネスモデルを描い ていただき、あなたのビジネスがお客様からの信頼、長期継続的関係が実現し、 安定的なビジネス活動の展開に向けてお役にたつことができれば幸いです。
  • 4. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 3 第1章 業績が上がらない、お客様から支持されない企業に共通すること 私は中小企業診断士として 2008 年に開業してから 毎年平均して120件ほどの経営相談件数を経験してきました。 相談されたときの企業の状況は様々で、 「いまは好調だけどさらに発展を目指して 事業に取り組みたい」と意欲的で意識の高い 企業もあった一方で、 「業績が上がらない、お客様から 支持されないので、現状を打開したい」 という相談の企業も数多くありました。 そこで、後者の企業の傾向を分析してみました。 その1:ブレる 儲かりそうに見える商機に飛びついてしまい、 結果利益を取れないばかりか、経費や時間ばかりが 嵩んでしまう。 さらに、取引先からは安価な言い値で 取引を求められ、「都合の良い相手」 としてしか見られず、上と下という 関係のまま、疲弊する その2 :迷う 経営方針のビジュアル化をしていないため、 経営者の頭の中ではわかっていることでも、
  • 5. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 4 外注パートナーや自社のスタッフには 意図が通っておらず、混乱を招く。 混乱した状況は取引先にも見透かされ、 対等な取引、信頼関係の構築に至らない。 その3:見落とす 大きな資金が動くことを計画で予測できず、 結果、資金繰りが狂う、事業活動に支障をきたす その4:目先に走る その1と関連しますが、中長期的な視野に立った 行動がいつまでも取れず、不安を抱えたまま活動をする。 結果、短期的な視点での経営しかできない といったところでしょうか。 では、なぜそのようなことが起こってしまうのでしょうか? まずは、私がサポートする企業に なってほしい姿について説明しましょう。 それは、 「その企業のお客様と長期継続的に良好な関係を保ち、 それにより業績の向上を1年に10%程度、継続する」 ということです。 なので、前提となるのは「視野の持ち方」なのです。
  • 6. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 5 「はじめに」で述べた「自社の一部分のみの強化」と、 本章にて述べた「短期的な視点」をまとめますと・・・ 業績が上がらない、お客様から支持されない企業は、 端的にいえば、 「時間に対する視野が浅く、 特定部分の強化のみに目が行ってしまっている」 ということです。 その結果、方針がブレたまま、目先の儲けのみに 注力することとなり、経営判断に迷いがでたり、 重要な事象を見落としたりすることになるのです。 中長期の視野を持つ重要性は、マーケティングの雄 として知られるジェイ・エイブラハムが 「長期戦略がなくてはならない。(中略)成功は、 長期の戦略を持ち、知り、それに従うことで 初めてやってくる。」 という言葉を著書で残していることから、 その重要性は証明されています。 また、SEO 対策やチラシといった“部品”の 強化を否定するわけでもありません。 しかし、これらの強化により、経営全体の 仕組みも変更することが必要になるにも 関わらず、その変更がないまま“部品”の 強化に取り組むことで、経営全体に“歪み” を招きます。
  • 7. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 6 結果、成果の限定性から抜け出せずにいるのを 幾度となく見てきました。 ビジネスとはお客様の価値観や経営環境の変化に対し、 ヒト、資金、ノウハウといった自社の経営資源を 適応することにより、経営全体のバランスを とっております。 お客様から長期継続的に支持されている企業の特長は、 現状に満足することなく、 3年先の事業を描いている ことにあります。 つまり、中長期的な歩みを志向し、 全体の目配りができているのです。 では、これまで述べてきた内容で、 企業はどのように中長期的な全体像を 描こうとするでしょうか? 解決策の一つとして、その中長期的な“計画” として構築しようと考え、“事業計画”という形で 文書化することがあります。 しかし、取り組んでみて、次の悩みに襲われます。
  • 8. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 7 目的を見誤っていませんか? よく、事業計画書というもので株主や取引先に プレゼンする場面があります。 この事業計画書は数十ページにもわたる 膨大な資料を使って語られることが多いです。 作る側も読む側も労力を有します。 事業計画を作成する際に行き詰まる 3 つのことは、 その1:本当に表明したい方針がぼやける ページを重ねるうちに、自社のお客様に 提供する価値というものが よくわからなくなってしまい、 シンプルさがなくなってしまう・・・ その2:作ることが目的となってしまう 作成だけで全力を使い果たしてしまい、 成果を出すために必要な、行動への エネルギーの注力ができなくなってしまう・・・ 作成のプロセスは社員たちとの コミュニケーションをおろそかに してしまうので、社員の理解も得られない その3:しっくりこない・不安である 作った計画が、本当に将来の自社の発展に つながっている内容なのか、 しっくりこないうえに、不安を感じる ・・・
  • 9. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 8 そして、内容が複雑となり、社員たちが 理解しにくく、納得感が不足する内容と なってしまい、「あってないようなもの」に なってしまう・・・ つまり、“絵に描いた餅“になってしまうことで、 実行・検証されないまま持ち腐れとなってしまい、 「計画なんてない方が良い」という認識に つながっていくのです。 そこで、事業計画“書”ではなく、 事業の“プラットフォーム”を 備えておく必要があるのです。 ここでのまとめ  視野を目先ではなく、中長期的に持つことがマインドとして大事である  計画では、社員不在の取り組みとなり、絵に描いた餅になってしまう  結果、会社として目先の儲けにとらわれ、経営にブレや迷いが生じ、顧客 からの共感を得られない
  • 10. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 9 第2章 中長期視点、全体俯瞰のプラットフォームとしてのビジネスモデル では、事業のプラットフォームとはどのようなものか、 お伝えしますと・・・ このレポートのテーマである「ビジネスモデル」を 指します。 経営者と共に社員全員が自社のビジネスモデルを 認識し、日常の活動に反映していきましょう ということなのです。 前章のとおり、“計画”は経営陣のみが作ることが多く、 社員には“雲の上”のようなものになってしまいます。 そのような計画ならば、あっても実現性がない、 ない方が良いというのはその通りです。 しかし、自社のビジネスモデルを社員全員で 主体的に、かつ試行錯誤しながら構築・認識し、 共有することが、納得感とモチベーションを 醸成します。 さらに、取り巻く環境が早く複雑に変化する 中でも迅速に対応し、かつブレなく迷わないという、 一見、二律相反と思われがちな事業活動を
  • 11. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 10 実現することになります。 この“ブレなく迷わない“が、お客様の共感を 得ることとなり、支持につながっていくのです。 ところで、先ほどからビジネスモデルという言葉を 聞いてピンとこない方もいるかもしれません。 ここでは、「そもそもビジネスとは何か?」を 明らかにしながら、「ビジネスモデルとは何か」 についてお伝えします。 ビジネスとは?商品とは? あなたは「ビジネス」の意味をシンプルに考えてみたことはありますか? ここで大事なのは“シンプルに”ということです。 あなたのビジネスは商品を仕入れる、あるいは生産して、 お客様に販売するということで売上による収入を得て、 仕入れたり、作ったりしたときに発生した費用を 支払っていると思います。 では、販売するとは何でしょうか? 仕入れる・生産するとは何でしょうか? これらのことを共通言語としてあなたとともに
  • 12. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 11 認識を一致できればと思います。 その前提として、あなたが普段の活動でお客様に 販売する“商品”について考えるところから始まります。 では、あなたは、商品とはどのようなものだと考えますか? 多くのマーケターが唱え、私もそう思うのですが、 商品の定義とは、 お客様にとっての解決手段 となります。 詳しく言うと、 あなたがお客様に解決手段=商品を提供することによって、 お客様の願望を叶えたり、悩みを解決することに貢献するもの なのです。 たとえば、経営サポートを行って実際にあった例として、 例1 商品=解決手段:地域の木材を活用したフローリング材 解決されること:自然の中に住んでいるかのような住み心地の実現
  • 13. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 12 例2 商品=解決手段:スキンケア化粧品 解決されること:みずみずしい肌ツヤの実現 例3 商品=解決手段:宿泊サービス 解決されること:翌日の出張への活力を蓄えることができる といったことがあげられます。 もっと掘り下げますと、 解決手段とは、 お客様にとって「よかった!」という感情を もたらす「価値」であると言えます。 購入するお客様は、商品そのものというより、 この「価値」に対してお金を払うのです。 つまり、 販売する・・・・・・・・価値を伝達する 仕入れる・生産する・・・価値を創造する ということになります。 つまり、ビジネスとは 価値を創造し、伝達することでお客様の 願望の実現や悩みの解消に貢献し、 長期継続的に信頼を得る
  • 14. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 13 ことなのです。 そして、ビジネスが成功するためには、 お客様にとっての価値とは何かをあなた自身が 常に問い続けながら、不足することなく創造し、 余すことなく伝達すること が必要となります。 ビジネスモデルとは何か? ここまでの説明でビジネスとは?という あなたと私の共通言語の構築を行ってきました。 それでは、このレポートのメインテーマである、 ビジネスモデルとは何か? という共通言語を共有しましょう。 著作「ビジネスモデル・ジェネレーション」 (アレックス・オスターワルダー&イヴ・ピニュール著、 小山龍介訳、2012、翔泳社)では、 ビジネスモデルとは、 どのように価値を創造し、顧客に届けるかを 論理的に記述したもの という定義になっております。
  • 15. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 14 私の定義もほぼ同じなのですが、 これもあなたとの共通言語として シェアできればと思います。 ビジネスモデルとは、 お客様にとっての価値の創造と、 その価値をお客様へ伝達する “プロセスや仕組み”を説明するもの です。 本章では、共通言語として、「商品とは?」、「ビジネスとは?」そして「ビジネ スモデルとは?」の3つをシェアしたうえで、このレポートの続きを共に歩ん でいければと思います。 ここでのまとめ  ビジネスモデルを社員全員で構築・認識し、共有することが、ブレなく迷 わない事業活動を支えるとともに、お客様からの信頼の第一歩となる  商品とは、「お客様にとっての解決手段」  ビジネスとは、価値を創造し、伝達することでお客様に貢献し、信頼を長 期継続的に得ることである  ビジネスが成功するためには、お客様にとっての価値を不足することなく 創造し、余すことなく伝達すること  ビジネスモデルとは、お客様にとっての価値の創造と、その価値をお客様 へ伝達する“プロセスや仕組み”を説明するもの 
  • 16. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 15 第3章 あなたのビジネスモデルを構築できる「ビジネスモデル・キャンバス」 では、ビジネスモデルをどうやって構築するのだろう? と疑問に思っているあなたに 「ビジネスモデル・キャンバス」を紹介します。 ビジネスの個々のプロセス、領域そして要素を 全体像として1面に表現しているものです。 Key Partners パートナー Key Activities 主要活動 Value Propositions 価値提案 Customer Relationships 顧客との関係 Customer Segments 顧客セグメント Key Resources 必要な経営資源 CHannels チャネル Cost Structue コスト構造 Revenue Streams 収益の流れ http://www.businessmodelgeneration.com/を参考に作成 といっても、いきなりこのキャンバスを説明しても、 全体像やつながりが分からないということが 考えられますので、「構造」について解説します。
  • 17. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 16 「2つのプロセス」、「4つの領域」、「9つの要素」から構成される まずは、第2章のおさらいをしましょう。 ビジネスモデルとは、 お客様にとっての価値の創造と、 その価値をお客様へ伝達する “プロセスや仕組み”を説明するもの と定義しました。 ビジネスモデル・キャンバスとは、 この定義したビジネスモデルを 視覚的に表現したツールである といえます。 その内容は、 「お客様にとっての価値の創造」 「その価値のお客様への伝達」 という「2つのプロセス」として分類されます。 そして、これら2つのプロセスをさらに細かく分けます。 2つのプロセスを支える「4つの領域」として、 「提供価値」、「顧客接点」、「経営基盤」、「財務的仕組み」 として分類されます。
  • 18. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 17 そして4つの領域をさらに細分化し、 「9つの要素」があります。 具体的には次のマル内の数字が要素に該当します。 1.顧客価値 ・・・① 2.顧客接点 (1)顧客セグメント・・・② (2)チャネル ・・・③ (3)顧客関係の仕組み・・④ 3.経営基盤 (1)主要な経営資源・・・⑤ (2)主要な事業活動・・・⑥ (3)主要パートナー・・・⑦ 4.財務的仕組み (1)収入の流れ ・・・⑧ (2)コスト構造 ・・・⑨ に分類されます。 この分類を図にしました。
  • 19. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 18 から構成される 価値提供 (価値提供の手段とし ての製品・サービス) 顧客接点経営基盤 財務的仕組み 顧客価値 収入の流れコスト構造 主要 パートナー 主要資源 主な 事業活動 販売 チャネル 顧客関係の 仕組み 顧客 Copyright(C) 2014 Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 9 価値を“作り出す” 価値を“届ける” 「2つのプロセス」 「4つの領域」 「9つの要素」 ここで大事なのは、 9つの要素が結び付きあっている、 特に顧客価値を中心に、創造、伝達に 必要な各要素が結び付いている という点です。 顧客価値の創造は、 企業が持つ強みや強みを活かした活動を 通して行われる。 顧客価値の伝達は、 顧客層に届く経路をたどりながら、 顧客層との関係を構築したうえで行われる。 これらの過程で収入や費用が発生する。
  • 20. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 19 という構造をイメージできるようにしています。 この「2つのプロセス」、「4つの領域」、「9つの要素」と それぞれの関連性を知っておくことが必要となります。 これら3つを1枚のキャンバスで表現できる、 つまり、ビジネスの全体像をたった1枚で 俯瞰することができます。 「たった1枚」、「全体像の俯瞰」という点は、 第1章で述べた 中長期的視点のもと全体のバランスを 目配りすることを可能にするとともに、 数10ページの事業計画書を作成する ストレスから解放されます。
  • 21. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 20 9つの要素の解説 では、ここからは9つの要素について解説していきます。 各要素をビジネスモデル・キャンバスに凡例を落とし込んでみました。 KPパートナー 自社にない リソースを提 供 KA主要活動 ビジネスの成果に不可欠 な活動 VP価値提案 ユーザーが商品・ サービスを選ぶ理由 となる価値 CR顧客との関係 心理段階と提供ツールや 仕掛け CS顧客セグメント 価値提供先 KR必要な経営資源 ビジネスの成果に不可欠 な経営資源 CHチャネル 商品・サービスを知り、入 手する経路 CSコスト構造 活動・リソースに必要なコスト RS収益の流れ 価値提案により獲得する収益 http://www.businessmodelgeneration.com/を参考に作成 Copyright(C) 2014 Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 10 ビジネスモデルキャンバスの9つの要素 注:末端の ユーザーを 想定する 店舗 通販 営業 展示会広告 卸問屋 商品・サービス 購買 製造 出荷 販売 A・S R&D 管理 人事 労務 調達 財務 人材 店舗 工場 機材 人脈 ノウハウ ブランド 情報 資金 製造 協力会社 物流会社 販売代理店 研究機関 認知 関心 継続 シェア 購入 ツール・ 仕掛け 検討 初期導入収入 継続収入 定額 課金 従量 課金 メンテ料 ライセンス料 F・E B・E 開発費 製造費 人件費 宣伝費 開発費 比率 製造 原価率 労働 分配率 宣伝費 比率 ベネ フィット 特徴 ストーリー 資金提供者 ①価値提案 ビジネスモデルの成否のカギを握るのは、この価値提案です。 ●ページで述べたとおり、 商品とはお客様にとっての解決手段であり、 解決手段とは、お客様にとって「よかった!」 という経験・感情をもたらす「価値」である ということを思い出してみましょう。 このお客様にとって「よかった!」というものを 「ベネフィット(便益)」という言葉で言い換える
  • 22. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 21 ことができます。 そして、このベネフィットを証明するものが、 あなたのビジネスにおける強み=特徴 ということになります。 よくあるのは、この強みがベネフィットに 転換できていない、つまり、独りよがりに なってしまっている点です。 あなたのビジネスで保有する特徴が お客様にとってのベネフィットを 満たすものとなっているか考えてみましょう。 さらに、ベネフィットと特徴が お客様の共感を決定づけるには、 多くの時間と労力が必要となります。 この時間と労力を物語のように語れるように してみませんか? よく、優良企業の歴史や、ヒット商品の開発秘話が インターネットやテレビで発信されていますが、 目にする顧客(予備軍)がその物語性に引き込まれ、 共感することで、実際に購入してみようという きっかけになることを狙っています。
  • 23. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 22 つまり、共感を呼ぶ最後のひと押しとして、 ストーリーという要素が価値提案の中に 含まれていると、お客様の納得感や共感といった、 不安がない状態が得られます。 このことにより、お客様との長期継続的な関係に 結び付く可能性が広がるのです。 まとめますと、価値提案は3つの要素から 構成されます。  ベネフィット  特徴  ストーリー これらの構築をお客様との対話の中で 行っていくことが、あなたのビジネスが 成功にグッと近づくことにつながります。 ②顧客セグメント どんなに価値提案が優れていても、それに共感する お客様が存在していなければ、ビジネスは存在しません。 価値提案する前に、 “欲しそうなお客様の集まり”が 存在するかということを見つけて いかなくてはならないのです。 では、“欲しそうな“とはなんでしょうか? これが、ずっと述べている、「お客様が解決したいこと」となります。
  • 24. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 23 そして、セグメントというのは、 英語で“区切り“といいます。 ビジネスにおいては、 ニーズ・ウォンツ、趣向、行動といった、 共通した価値観、見方、態度を見せるグループ ということです。 まとめますと、 共通の解決手段を求めているグループ といえます。 価値提案する前提として、 この顧客セグメントを定めていくこと が重要になります。 実際にビジネスモデルを組み立てる手順は、 「顧客セグメントを定める⇒価値提案を構築する」 となります。 ③チャネル 顧客セグメントに対し、提案する価値を 届けるルートをいいます。 大事なのは、 提案した価値を顧客セグメントに知ってもらい、
  • 25. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 24 実際に購入・活用してもらい、良かった! という経験を得てもらうために、 適切な顧客セグメントに届けやすいルートを 探し出し、伝達の仕組みを構築する ということです。 大きく2つにわけるとすれば、「直接」と「間接」となります。 直接の例は、 「営業部隊による営業活動」、「自社店舗」、 「ウェブ等による通信販売」、「展示会・商談会」等 間接の例は、 「卸売業者への卸売」、「代理店経由の販売」等 が該当します。 ④顧客との関係 価値の伝達にあたり、伝達したい 特定の顧客セグメントとの関係を構築しないと、 その価値を理解してもらうことができません。 関係構築には、 「獲得」、「維持」、「リピート」といった段階が ありますが、これらの段階に誘導する際に 活用する仕掛けを検討し、構築し、実行しながら 改良していくことが、求められます。
  • 26. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 25 ⑤収益の流れ あなたのビジネスが顧客セグメントに提供した 価値の対価=お金として得ることになります。 逆に言いますと、 お客様がどのような価値にお金を払うのかを あなたは常に自身に問い続けなくてはなりません。 また、収益の流れは、顧客セグメントの 支払方法等によって異なります。 例えば、提供する価値に対して、 一括して対価を獲得する場合もあれば、 月額に分割し、受け取ることもあるなど、 価値の手段である商品やお客様の支払いに 対する考え方により異なります。 お客様が満足する対価を獲得する方法を 構築することも必要です。 ⑥必要な経営資源 あなたがビジネスを行っていれば、 お客様にとってのベネフィットを生み出すために、 活動の源泉=特徴が存在するはずです。 さらには、価値を創り出すために必要な、 資金・人材などの調達活動、チャネルの発掘や、 チャネルを活用した価値伝達といった諸活動も 経営資源なしには不可能であり、 収益を生み出すこともできません。
  • 27. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 26 経営資源とは、2つに大別されます。  有形資源(例:人材、資金、生産設備、店舗等)  無形資源(例:人脈、情報、ノウハウ等) この有形・無形の資源を活用し、価値を創りだし、 伝達するプロセスを実行していきます。 ⑦主要活動 あなたのビジネスが成功するために必要な活動です。 顧客セグメントに対し、価値を提供する、 チャネルの開拓、お客様との関係構築、収益を得る といった一連の活動の実現のために行うこと といえます。 そのための前提となる、価値創造としては、 商品を課題解決手段として提供する場合の創造・・・製造 サービスを課題解決として提供する場合の創造・・・問題解決 といった活動が該当します。 ⑧主要パートナー 経営資源には限りがあります。 たとえば、人材の数・能力、資金の量、 生産する商品の数、ノウハウの数・高さ等です。 ビジネスモデルの実行・成功に向けて、 あなただけがすべての経営資源を所有し、 すべての活動を行うことはほぼ不可能です。
  • 28. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 27 そこで、経営資源の補完が必要になるのです。 具体的には、 自社が競争相手や取引先に対するリスクを 減らすために、自社以外の同業者と共同で 仕入・販売することや、生産の外注化 といった例が挙げられます。 ⑨コスト構造 ビジネスモデルの実行で発生するコストを記述するものです。 先述の⑥経営資源、⑦主要活動、⑧パートナーの 3つの要素を定義することで、算出することが 可能になります。 そしてそれは、⑤収益の流れとの関係で収益を どれだけ確保できるかという点にもつながります。 コスト構造の内訳は2つであり、 「固定費」と「変動費」です。 「固定費」は、商品の生産にかかわらず、 一定額が発生する費用です。 例として、人件費や製造装置などに関する費用があります。 「変動費」は、商品の生産に比例して 変動するコストです。 例として、商品の仕入れ、生産に必要な材料費などです。 コスト構造は、重視する点により2つに分類されます。
  • 29. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 28 それは、「コスト重視」または「価値重視」です。 「コスト重視」は限りなく最小化することに注力します。 「価値重視」はコスト以上に価値を生み出すことに集中するものです。 以上が9つの要素についての解説となります。 9つの要素の組み合わせが最適化されると、 お客様からの共感を得る確率が高まります。 そして、お客様やパートナーといった社外のプレーヤーから、 あなたのビジネスの発展に協力したいという“共創” の発生につながり、長期継続的な信頼関係が生まれるのです。 その複雑で多岐にわたるビジネスモデルを1枚のキャンバスで シンプルに表現できる点にビジネスモデル・キャンバスの良さがあり、 あなたのビジネスの発展を加速させるヒントがつまっているのです。 ここでのまとめ  ビジネスモデル・キャンバスは、ビジネスモデルを視覚的に表現したもの  ビジネスモデル・キャンバスは「2つのプロセス」、「4つの領域」、「9つ の要素」とその関連性から構成される  各要素の解説から、価値提供にすべてつながる  お客様やパートナーからの共感・共創を生み出す  ビジネスモデル・キャンバスは1枚のキャンバスでシンプルにビジネスモ デルを表現できる。  分厚い事業計画書を作成する労力から解放される  ビジネスの発展を加速させるヒントが出てくる可能性を秘めている 
  • 30. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 29 第4章 ビジネスモデル・キャンバスをよりイメージしやすくできるように 本章では、ビジネスモデル・キャンバスの活用例、活用メリットと活用の留意 点をご紹介し、よりイメージしやすくできるようにしました。 活用例 その1.コスメメーカー (1)直営店舗を保有するコスメメーカー KPパートナー KA主要活動 VP価値提案 CR顧客との関係 CS顧客セグメント KR必要な経営資源 CHチャネル CSコスト構造 RS収益の流れ セルフケア 直営店舗 肌の悩み解消 密着 ケアの 習慣ノウハウ エンドユー ザー データベース たのしい肌生活 店舗スタッフ 店舗-工場の連携 店舗運営 商品製造 価値重視 原材料納入業者 店舗貸出者 支持層 リサーチ・企画 来店客の趣向を商 品に反映・提案 名より実 店舗運営コスト 直営店舗は、店舗の家賃、人件費などの運営コストが嵩む反面、来店客から直 接生の声を収集でき、卸売業者の介在がないため、来店客の欲しくなり、かつ 利益率の高い商品の企画・製造販売への自由度が高くなります。 最も重要なのは、そのエンドユーザー(来店客)がデータベースとして資産に なっている点です。この来店客の声や趣向が、提供価値の構築の参考となり、 商品にコンセプトの一要素として埋め込むことが自由にできます。 これにより、来店客は大メーカーの商品でなくても、自分に適した商品を楽し
  • 31. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 30 むことが可能となり、より支持層が拡大し、パートナーとして企画に参画して もらう(共創する)ことで、より長期継続的な支持を得ることになります。 (2)卸売販売をメインにしたコスメメーカー KPパートナー KA主要活動 VP価値提案 CR顧客との関係 CS顧客セグメント KR必要な経営資源 CHチャネル CSコスト構造 RS収益の流れ セルフケア 卸業者、ドラッグストア 肌の悩み解消 ケアの 習慣ノウハウ ロット生産設備 たのしい肌生活 衛生管理に長け た人材 ルートセールス 原材料納入業者 大量生産で 安定供給 リーズナブル コスト究極化 ロット・効率的生産 薄利多売収入 自社商品を卸売するコスメメーカーは、直営店舗にて販売を展開するメーカー とはビジネスモデルが異なります。 まず、顧客セグメントについて、卸売・小売業者はリーズナブルな商品を望む 顧客層の声を優先します。 これに対しメーカー側は、直接エンドユーザーにアプローチすることはなく、 卸売・小売業者からの意見が優先されます。これを「ユーザーとカスタマーが 異なる状態」と言います。 実際に使うのはエンドユーザーなのに対し、代金を支払うのはカスタマーと呼 びます。取り上げている例では、ユーザーがエンドユーザー(キャンバス上の 顧客セグメント)、卸売・小売業者がカスタマー(キャンバス上のチャネル)と なります。
  • 32. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 31 また、卸売・小売業者はメーカーに対し、卸売単価を販売単価の3割程度にす ることを要求することが多く、メーカー側もそれに応えようと、生産ロットや 生産方法の効率化によりそれをクリアしようとします。 つまり、直営店舗と異なり、価値よりも価格を重視した商品として、リーズナ ブルな単価で安定供給することが、エンドユーザーへの提供価値となるのです。 1個当たりの利益は小さくても、大量製造することで利益を多く獲得するよう な仕組みを構築するのがビジネスモデルとなります。 (1)と(2)はどちらが良いということではありません。お客様は誰か?と いう定義を行ったうえで、顧客セグメント以外の8つの要素で備えるべきこと がことなり、バランスのさせ方が異なることを例として示したものです。 その2.教育サービス (1)子供向け教育サービス KPパートナー KA主要活動 VP価値提案 CR顧客との関係 CS顧客セグメント KR必要な経営資源 CHチャネル CSコスト構造 RS収益の流れ ネット、媒体、クチコミ 子供の将来の形成 教育人材・ノウハウ 子供を受験合格 させたい“親” 教育 卒業生の親子の クチコミ 合格という結果 学びたい子供 子供の親への営業 月謝、教材販売 収入 家族ぐるみの密接感家族の幸福 販売促進 教育人材への教 育コスト 子供向け学習塾などの教育サービスを取り上げてみました。
  • 33. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 32 まず、顧客セグメントについては、先ほどのその1(2)卸売販売をメインに したコスメメーカーと同様に、ユーザーとカスタマーが異なります。すなわち、 「ユーザー:実際に学習する子供、カスタマー:月謝・教材費を支払う子供の 親」となります。 運営するサービス提供側は、子供への教育サービスの提供のみならず、その親・ 保護者との関係構築も運営の成功のカギとなります。つまり、財布の紐を握っ ている親・保護者の心をつかむ取り組みが必要となるのです。 そのため、提供価値の中心である「合格という結果」とほぼ同じ程度の優先順 位で「(子供の)家族の幸福」が挙げられます。 (2)大人向け教育サービス KPパートナー KA主要活動 VP価値提案 CR顧客との関係 CS顧客セグメント KR必要な経営資源 CHチャネル CSコスト構造 RS収益の流れ Eラーニング ビジネス経験豊富 な講師 実践的教育 ビジネス能力 向上 キャリアアップし た い ビ ジ ネ ス パーソン 高額な受講料販売促進 スクール フォローアップ 受講料(継続課金) 教育人材輩出可 能な企業 対して、ビジネススクールや資格取得の予備校などの大人向け教育サービスに 目を向けてみますと、ビジネスパーソンということで、ユーザーとカスタマー が一致します。 また、提供価値はビジネス能力向上等が一例としてあげられ、実践的な教育サ
  • 34. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 33 ービスを提供可能な人材の確保が求められます。 ビジネスパーソンは忙しく、学びの時間を確保することが困難なこともあり、 物理的移動を少なくして学ぶことが必要となり、提供経路はリアルの教室もあ れば、バーチャルの教室としてEラーニング等が有効になります。 その3.飲食店 (1)チェーン型飲食店 KPパートナー KA主要活動 VP価値提案 CR顧客との関係 CS顧客セグメント KR必要な経営資源 CHチャネル CSコスト構造 RS収益の流れ 多店舗 セントラルキッチン 均一化された人材・ 運営 全国均一の飲食 メニュー 近場でリーズナブ ルに飲食を楽しみ たい 薄利多売コスト究極化 好立地店舗 利用利便性 イニシャル・ランニ ングの資金 チェーン型の飲食店は、楽しみたいときにすぐに楽しめる場所があることがビ ジネスの成功の前提となります。利用利便性は大きな提供価値の一つとなりま す。 もちろん、肝心のメニューが味覚を満たさないといけません。チェーン店はこ れに加え、全国津々浦々にある店舗で均一の味覚を満たしたものが必要となり ます。 その均一化されたメニューを集中加工するセントラルキッチン方式により大ロ ットで加工することで、製造・外注コストを抑え、リーズナブルな価格にて提 供することを可能にします。
  • 35. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 34 また、接客やサービスも均一化し、発生するコストの予測の精度を向上させ、 運営コストの一定化・究極化を図ることにも特徴があります。 (2)独立系大衆居酒屋 KPパートナー KA主要活動 VP価値提案 CR顧客との関係 CS顧客セグメント KR必要な経営資源 CHチャネル CSコスト構造 RS収益の流れ 店主・女将の人柄 顧客の好みに 適した料理提供 家庭的・カスタマ イズメニュー この店以外では、 飲食を楽しめない 料理以外の付加 価値重視 食 事 以 外 の 情 報・癒しの場 家庭の味を再現 する調理ノウハウ 超密着 得意客のデータ 地域の住民、店舗 等 顧客・地域の リサーチ・情報提供 選りすぐりの食材提 供業者、市場 おふくろの味を楽しめ、たまたま居合わせた客と懇意になり、一人で来たのに いつの間にか家にいるかのような雰囲気に包まれ満足するのが、独立系の大衆 居酒屋の提供価値です。 このお店以外では楽しめないという、店への高すぎるほどの忠誠をもっており、 店主や女将もそれに十分すぎるほど、料理、会話、雰囲気で答えている点に特 長があります。 繁盛する店は、その地域でも他業種の店舗や住民の中でも公共財としての役割 を果たし、その地域になくてはならない、つまり、長期継続的な関係継続を個々 の顧客の枠を超えて構築できていることが、ビジネスモデルの根幹をなしてい るわけです。
  • 36. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 35 以上、3業種6種類のビジネスモデル・キャンバスをご紹介しました。 さて、あなたにお願いがあります。 紙とペンと付箋を用意いただけますでしょうか? あなたのビジネスをビジネスモデル・キャンバスで 描いてみてませんか? キャンバスは手書きで紙に書いた後、付箋を各要素に 貼りつけていってあなたのビジネスの仕組みを 整理してみましょう。 これまで解説した内容を参考に、 実際に手を動かし、その内容を振り返りながら、 あなたのビジネスモデルを描いてみてくださいね。 ビジネスモデル・キャンバスを紙に描き、付箋を使ってあなたのビジネスモデルを 描いてみましょう。 ワーク
  • 37. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 36 ビジネスモデル・キャンバスを活用することで得られるメリットと活用する際の留意点 実際にワーク取り組んでみて、いかがだったでしょうか。 ここでは、あなたがビジネスモデル・キャンバスを 活用することで、得ることができるメリットと 活用する際の留意点について、お伝えします。 メリットは「1枚」、「共通言語」そして「イノベーション」 ビジネスモデル・キャンバスは1枚のキャンバスで 経営全体を俯瞰できるツールです。 メリットは、  参加者全員がキャンバスにフォーカスすることができ、 余計なものに散漫されず、集中して議論できる  キャンバスの持つ共通言語(このレポートで触れた 商品、ビジネス、ビジネスモデルの定義など)により、 参加者の共通認識ができる  意見のぶつけ合いからまとまりまでのプロセスを 参加者同士で共有できる  部門間の意見の溝がどんどん埋まっていき、 全社一体的な取り組みの醸成につながる があげられます。 これらに加えて、  経営の現在の「分析」と未来への「構築」が 1枚のキャンバスの中で直感的に理解できる
  • 38. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 37  1枚のキャンバスをホワイトボードにて活用し、 参加者が起立した状態で議論を行うと、 頭だけではない身体の活用により、 自分自身の脳の活性化を図ることができる  既存の発想にとらわれない、斬新なアイデアや 解決策が“ふっ”と出てきやすい といった、イノベーションについて考える環境が整う点も 大きなメリットがあるのです。 活用の留意点は、「変更継続」、「目的共有」そして「共創」 ビジネスモデル・キャンバスを活用するメリットがある一方、 活用方法を誤ると、その効果は減少します。 そのため、留意点としては以下の点が挙げられます。  自社の能力向上、市場の変化に伴い、時系列で キャンバスをアップデートする必要があります (現時点はスナップショットでしかない)。 これは、あなたのビジネスを取り巻く 環境変化に対して、すでに述べた 9つの要素のどの部分を改善することで 適応させるかという点と、 イノベーションでどの部分の変化を 起こすことで、新たな価値を 環境に提案するかという点があげられます。  議論はブレーンストーミングが原則ですが、 まとめるファシリテーター役も必要となります。
  • 39. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 38 ブレーンストーミングは、どんなことでも 良いので意見を出し合い、参加者は その意見に対して否定の姿勢を 取ることなく、承認し、 より良い方向性を模索する という手法です。 コーチングの分野の主要素として、 「受容」と「承認」がありますが、 まさにこの受容と承認をベースにして 議論を行うことが必要です。 また、メリットで述べた、意見のぶつけ合いから まとまりという概念は、「発散」と「収束」 ということになりますが、 ブレーンストーミングは「発散」にあたります。 これに対し、「収束」は参加者全員で 意見を出し合いながらまとめていくことが 理想ですが、現実的ではないことも事実です。 あらかじめ、まとめ役・進行役を決めておく、 つまり、ファシリテーター役を必要 となるわけです。 このことで、ビジネスモデル・キャンバスを 使った議論のメリットを最大限に 発揮していきましょう。
  • 40. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 39  始めに、キャンバス作成の目的を 共有する必要があります。 これは、「議論のゴールは何か?」を 決めるということであり、キャンバスの 作成に特化したことではありませんが、 共通認識を形成するにあたり、 ゴールの設定は重要です。 長時間にわたる「自社のイノベーションの再構築」 でも良いですし、「顧客セグメントの再定義」や 「価値提案の微調整」、「主要活動の見直し」 といった要素別の再定義の議論に絞るのも 良いですので、参加メンバーにはあらかじめ キャンバス作成の目的をしっかりと 伝達したうえで、議論に参加してもらうことが 良い成果につながることは確かです。  部門の異なる社員が参加することは 当然として、顧客やパートナーとの 共同でビジネスモデルを 構築することを考えてみましょう。 ビジネスモデル・キャンバスの 良いところは、これまで自社が いかに抜きんでるかということに 主眼を置かれているフレームワークと 異なり、「自社に加え、お客様やパートナー といった一見社外のプレーヤーも 自社の“ファミリー”として捉えている」
  • 41. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 40 ことにあります。 可能ならば、お客様やパートナーにも あなたのビジネスモデルの構築に 参加してもらいましょう。 それが共創への第一歩となります。 そうすることであなたのビジネスと お客様・パートナーとの Win-Win の 関係構築につながっていくことに なるでしょう。 ここでのまとめ  ビジネスモデル・キャンバスの活用例を見て、視覚的に理解のしやすさを 実感し、あなたのビジネスのビジネスモデル・キャンバスを作成してみま しょう。  ビジネスモデル・キャンバスのメリットは「1枚」、「共通言語」、「イノベ ーション」にあります。  ビジネスモデル・キャンバス活用の留意点はの「変更継続」、「目的共有」、 「共創」を念頭に置くことにあります。
  • 42. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 41 第5章 あなたのビジネスがお客様から信頼され、 長期継続的に発展するために必要な5つのツール これまで、ビジネスモデル・キャンバスについて、 その内容の解説、活用するメリットなどに 触れてきました。 私は中小企業・個人事業者を中心に、 ビジネスモデル・キャンバスをはじめとして、 視覚化ツールを活用した経営上のサポートを しております。 サポートをとおして、 中小企業・個人事業者には、コンセプトを明確にし、 それをベースにビジネスモデルを構築していただき、 お客様からの共感を得て、長期継続的な信頼関係の確立を 実現するところに貢献しております。 また、業績の向上を1年に10%程度継続するという 結果にもコミットしたサポートを行っております。 そこで、本章ではビジネスモデル・キャンバスを 含め、視覚化ツールを活用した、 長期継続的発展の5つのツールの概要を お伝えします。
  • 43. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 42 ツール1:ビジネスモデルづくり~ビジネスを「鳥の目」で俯瞰する~ Key Partners パートナー Key Activities 主要活動 Value Propositions 価値提案 Customer Relationships 顧客との関係 Customer Segments 顧客セグメント Key Resources 必要な経営資源 CHannels チャネル Cost Structue コスト構造 Revenue Streams 収益の流れ http://www.businessmodelgeneration.com/を参考に作成 今までお伝えしてきた、ビジネスモデル・キャンバスです。 あなたが経営者でも、管理職でも、社員スタッフでも、 自らのビジネスを俯瞰し、自身の存在意義をつかむことが必要です。 ツール2:コンセプトづくり~ビジネスを「虫の目」でフォーカスする~ 行動、 やりたいこと ユーザーの観察:なぜ欲しいのか、やりたいこと提案ソリューションのデザイン:何を提供するのか うれしいこと いやなこと うれしいことを増やすもの いやなことを減らすもの 商品や サービス http://www.businessmodelgeneration.com/を参考に作成
  • 44. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 43 あなたのビジネスで提供する商品とは、 「お客様にとっての解決手段」です。 解決手段の内容がお客様にとっての価値となります。 その価値を見い出すためには、 虫の目、つまり、お客様の願望や悩みに よりフォーカスする、観察することが必要です。 その観察結果から出された解決内容が、 コンセプトと呼ばれるものです。 そのコンセプトを練り上げるために 「バリュープロポジションキャンバス」 を活用して一緒に考えていきます。 ツール3:顧客共感シナリオづくり~コンセプトを伝達し共感を得る~ 認知 関心 検討 継続 シェア 安定かつ継 続した売上 高の確保 事前 準備 購入 ツール投入
  • 45. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 44 あなたのビジネスで提供するコンセプトは、 適切なプロセスをたどりながら、 適切なツールの投入により、 お客様からの共感を得ることができます。 一緒にプロセス(Process)やツール(Tool)を 一緒に考えてみませんか? 「PTシート」を活用して、 一緒にプロセスを構築し、 ツールを創り出していきましょう。 ツール4:成長シナリオづくり~ビジネスの流れを「魚の目」でつかむ~ あなたのビジネスは、永続的に発展することで、 社会からの共感を得ることができます。 永続的発展のために、ビジネスを取り巻く環境に 対応するビジネスモデルを一緒に考えてみませんか?
  • 46. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 45 「シナリオプランニングシート」を活用して、 あなたのビジネスの未来を 一緒に創り出していきましょう。 ツール5:ギャップ埋め合わせ~理想の姿への解決策を探る~ あなたのビジネスには理想の姿がある一方、 現状はまだまだ改善の余地があることも考えられます。 また、構築したビジネスモデルを実行・検証、 あるいは改善をする必要も出てきます。 そこで、永続的発展のために理想と現実のギャップを どのようにして埋めていくか、一緒に考えてみませんか? その際には、「ギャップイラスト」を活用して、 あなたの課題を少しずつ解決していきます。
  • 47. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 46 サポート業務におけるステップ1~5の活用について ステップ1~4は、構築・準備 ステップ5は、実行の検証と改善・強化 で活用するものです。 具体的には、 ステップ1と2については、 相談テーマにかかわらず、 お打ち合わせで必ず活用します。 ステップ3については、 ステップ1・2に加え、 顧客創造戦略・戦術を構築したい という相談に対して活用します。 ステップ4については、 長期継続的な発展を図る際に 活用します。 ステップ5については、 ステップ1~4で構築したビジネスモデル等を 実行した結果の検証やそれに伴う改善・強化策を 導き出すために活用します。 これらのツールを活用して、 以下のサポートメニューをご用意しております。  個別サポート
  • 48. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 47 個別にコンサルティングを行います。  スカイプサポート スカイプにより短時間(40分程度)の コンサルティングを行います。  セミナー・ワークショップ 集合型の講習会を行います。  企業研修 社内研修でセミナー、ワークショップを 行います。 お問い合わせ、ご依頼などは巻末の連絡先に ご連絡いただけますと幸いです。
  • 49. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 48 おわりに このレポートは、これまで行ってきた個別サポートや、セミナー等でクライア ントや受講者にお伝えしてきたものを加筆修正しました。 ご参考になれば幸いであるとともに、ビジネスモデル・キャンバスの構造を知 っていただき、あなたが実際に手を動かして、記載されている内容の意味を実 感できれば、これほどうれしいことはありません。 また、イノベーションについても少しばかり触れました。 個別サポートやセミナー等では、お客様にとっての新たな価値をどのように作 り出すかという「イノベーション」をメインにビジネスモデル・キャンバスを 活用しております。 もし、あなたがご興味をお持ちならば、この無料レポートの入手の際にご登録 いただいた、メールアドレスにお送りするメールマガジンにて、私の考えや情 報、イベント等のご紹介を行います。 また、札幌で行うセミナーやワークショップにて直接お会いして、ビジネスモ デル・キャンバスの内容や活用方法をお伝えする場もご用意しますので、その 効果を実感していただければと思います。 話は変わりますが、武道や日本文化の世界で、「守破離」という言葉があります。 守・・・型を学ぶ 破・・・実践し、自分のものにする 離・・・型をアレンジして自分独自の型を作る
  • 50. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 49 ビジネスモデル・キャンバスは、欧米発の理論ではありますが、きわめて日本 的な要素も多く含んだものです。 ぜひ、あなたのビジネスに、 守・・・ビジネスモデル・キャンバスという方を学び、 破・・・実際に手を動かして、あなたのものにして、 離・・・イノベーションを起こし、あなた独自のビジネスモデルを作る というプロセスをたどることを期待しております。 その第1歩として、このレポートを有効に活用することを期待しております。 それでは、お会いすることを楽しみにしております! さっぽろ中小企業経営サポートセンター わたべ経営支援事務所 代表 渡部和義
  • 51. Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. 50 渡部和義(わたべかずよし)自己紹介 経 済 産 業大 臣 登録 中 小 企 業診 断 士(登 録 番 号 405072) 、日本実務能力開発協会 認定コーチ。 1973 年、北海道釧路市生まれ北見市育ち。 北海道大学経済学部経営学科卒。 2007 年、中小企業診断士登録。 2008 年、わたべ経営支援事務所を開業 2013 年、経済産業省・財務省「経営革新等支援機関」に認定、現在に至る。 年間 15 社前後、延べ 120 回の個別経営サポートを行っているが、クライアン トの顧客に対する提供価値の構築に関するサポートを重視し、それをベースに したビジネスモデルの再構築を手掛けることをポリシーとしている。 サポート対象企業の9割が黒字経営であり、多くの企業が利益増を継続してい るほか、取引先との関係を長期間継続することに成功している。 ウェブサイト名:さっぽろ中小企業経営サポートセンター URL http://www.kw-support.com/ メールアドレス watabe アット kw-support.com (アットは@に置き換えて入力ください) 2015 年 2 月 15 日 初版発行 長期的にお客様に支持され広い視野でビジネスを行う経営者になるために知っ ておいて損はないたった1つのツール Copyright(C) Kazuyoshi Watabe All Rights Reserved. わたべ経営支援事務所 代表 渡部和義 〒001-0010 北海道札幌市北区北十条西 2 丁目 17-1-1007