トランザクションバンキングとはなにか？

1. 「トランザクションバンキング」

2. 銀行は何で儲けているのか？
 銀行の収益は大きく３つに分かれる。
収益を得る手段収益の源泉代表的商品得られる収益
１ 期限の利益を提供時間の経過
貸金
預金
「トランザクション・バンキング」は「役務」に着目する。
金利
２ 役務の提供手間を省く振込手数料
３ 経済的価値の交換市場動向の見解自己売買売買益

3. トランザクション・バンキングとは何か？
収益へのアプローチが、伝統的な銀行業務と異なる。
「リレーションシップ・バンキング」と比較すると分り易い。
リレーションシップ・バンキング
インベストメント・バンキング
１．期限の利益を提供２．役務の提供３．経済的価値の交換
トランザクション・バンキング
２．役務の提供１．期限の利益を提供３．経済的価値の交換
商業銀行業務投資銀行業務
与信受信決済
証券資本取引派生商品
トランザクションバンキングは役務の提供を起点として、３つの収益を獲得を狙う

4. トランザクション・バンキングの比較考察
リレーションシップ・バンキング
事業会社「個社」の特性に注目して、事業会社が必要とする与信、受信を、個
社の業況に合わせて提供し収益を得る。役務はそれらに付随する位置づけ。
また、時間の経過に伴うリスクを管理する。（信用リスク、市場リスク）
トランザクション・バンキング
どの事業会社にも共通する「機能」に注目して、役務を提供する。商品を提供
する時点で収益を得る。役務の提供と共に、与信・受信機能を提供し、収益機
会を拡大する。また、役務提供に対するリスクを管理する。（オペレーショナ
ル・リスク、決済リスク、流動性リスク）

5. トランザクション・バンキングの基本メカニズム
決済機能
債権／ 債務の履行
与信機能
買入金銭債権
受信機能
預金
振替手数料
割引手数料資金調達
 決済機能とは、債権／債務の弁済を金
銭によって行なう際、銀行が資金の口
座異動を行なう機能。
 銀行から見ると、自行内に資金が口座
を異動するだけだが、債権者側に与信
機能をあわせて提供し、弁済を保証。
債務者側には受信としての資金が預入
される。
 このように、決済機能を取掛かりとして、
商業銀行業務３機能を組み合わせるこ
とで、それぞれから収益を得る。
【参考】リレーションシップ・バンキングのメカニズム 与信に注目して、多くの与信を実行する。
決済機能
振込
与信機能
貸付
受信機能
預金
 実行した資金は決済機能により振替、
別名義の預金になる。
 預金は滞留するので、与信の原資となる。
（信用創造機能）
トランザクション・バンキングは、
手数料ビジネスを目指すだけで
なく、商業銀行の機能を活用して
収益を得るドライバーを、与信機
能から決済機能にシフトするとこ
→決済は、単に与信と受信の補完機能という位置づけ。ろにポイントがある。

6. 付加価値の高いトランザクション・バンキングを目指すには？
事業会社の経理・財務業務を銀行がアウトソースする範囲の拡大
① 取扱う勘定科目の拡大
銀行預け金
外貨預け金
売掛金
買掛金
本支店勘定
外貨損益
単式／現金主義簿記
複式／発生主義簿記
 債権／債務が発生する時点から経理処理を
借方貸方
支援する。
部品買掛金
売掛金売上
買掛金売掛金
銀行預け金
 現金相当勘定の片側だけの経理処理を
現状では銀行は提供している。
 単式／現金主義から複式／発生主義へ拡大

7. 付加価値の高いトランザクション・バンキングを目指すには？
事業会社の経理・財務業務を銀行がアウトソースする範囲の拡大
② 取扱う債権／債務関係者の拡大
HQ
JP
SG
EU
US
事業会社
サプライヤー
銀行
商取引
資金授受
BankA/LDN
JapanBank/TKY
BankC/NY
Local/SF
BankB/SG
JP
EU
SG
US
JB/LDN
JB/SG
JB/TKY
JB/NY
HQ
 現地任せの財務業務は現地の銀行に偏りがち
 銀行の海外拠点を銀行の支店網に繋ぐ
 資金移動を減らし、資金効率を上げる
 余資を有利に運用する
 トランザクションをグローバルで囲い込み、銀行に資金を囲い込む

8. トランザクション・バンキングのプロダクト
 経理シナリオを使ってトランザクションバンキングのプロダクトの役割を説明。
Buyer Supplier
借方貸方
部品買掛金
売掛金売上
銀行預け金売掛金
割引手数料
為替売買損益銀行預け金
外貨預け金為替売買損益
買掛金銀行預け金
借方貸方
売掛金売上
部品買掛金
銀行預け金売掛金
割引手数料
買掛金銀行預け金
①債権／債務認識
②債権買取
③回収
照合
照合
A：債権/債務認識時に事業会社より、買
掛金、売掛金データの接受、ならびにシャ
ドウ元帳作成
B：債権債務当事者にて買取対象債権の
照合と承認
C：買取の実施。預金口座へ入金。
D：買取通貨を他の通貨へ両替
E：余資運用のために銀行預け金をアク
チュアルプール口座へ振替
F：買掛債務の返済のため、預金口座から
出金

9. 電文受信
システム構成
事業
会社
事業会社のデータ受信
債権者別
売上元帳
債権者別
買掛元帳
仕向
送金
被仕向
送金
電
文
送
受
回収信
口座引落
SWIFT
参加行
現地
民間集中
現地
D.Dシステム
入金/
回収管理
支払管理
売掛金照合
買取/回収
債権買取入金/支払
債権買取
ﾘｺﾝｻｲﾙ
ﾉｰｼｮﾅﾙｱｸﾁｭｱﾙ
預金
資金移動
対顧FX
約定
外為
外貨異動
約定管理
実行管理