Electronic Health Record(EHR)の実装は1990年代より始まり、2010年代より一部の先進国
で実運用が進められている。シーガイアミーティングでは2006年よりEHRをテーマとして開催し、日本におけるEHR構築について議論を重ねてきた。
今回は、国内外におけるEHRの動向を踏まえて、未来でも過去でもない、EHRの今について検討する。
Electronic Health Record(EHR)の実装は1990年代より始まり、2010年代より一部の先進国
で実運用が進められている。シーガイアミーティングでは2006年よりEHRをテーマとして開催し、日本におけるEHR構築について議論を重ねてきた。
今回は、国内外におけるEHRの動向を踏まえて、未来でも過去でもない、EHRの今について検討する。
22. 17.医師が足りない!
~過労と低報酬~
2004年 O E C D 主要国における1人当たり年間診療回数
16.0
14.0
12.0
12 0
2004 Doctors' consultations
Number per capita
10.0
8.0
6.0
・2004年度の一人当たり年間診療回数は、日本が13.8回で、
OECD平均6.7回の2倍以上である。また、特に主要国の中では群
を抜いている。
・医師の絶対数が少ないのに加え 医師一人にかかる負担も大
医師の絶対数が少ないのに加え、医師 人にかかる負担も大
きい。医師数と診療回数だけを見ても、日本の医師にのしかかる
負担はOECD平均の3倍程度となり、ここから医師の労働環
境の悪さによる過労と不足の根本的な構図が見えてくる。
4.0
2.0
0.0
Canada Finland France Germany Japan
United United OECD
Kingdom States Average
(出展)OECD Health Data 2008 より作成
(出展)OECD Health Data 2008 より作成
(10万円)
250
医師の年収
また日本では開業医と勤務医の報酬には大きな差があ
る。
諸外国と比べても開業医の報酬は高く、勤務医の報酬は低
い。
過剰労働なのに低報酬+
刑事罰・巨額の損害賠償
による威嚇効果
200
医療従事者の医療行為の
消極性・保守性
150
100
50
0
一般診療所の院長
一般病院の医師
(出展)厚生労働省『2007年度医療経済実態調査』
医療技術を発展を阻害
医療の萎縮化!
22
23. 18.病院もベッドも充分にある
~過剰な病院・病床数~
病院数と一般診療所数の年次推移
120,000
80,000
60,000
40,000
病院
一般診療所
般診療所
20,000
20 000
16.0
2006 Total hospital beds
Per 1 000 population
14.0
12.0
2006 Acute care beds
Per 1 000 population
10.0
6.0
とはいえ、まだ先進諸国に比べた絶対数、そして10万人あたりの
病院数は圧倒的に多い。人口1000人あたりの病床数は、OECD諸
国の中でも、日本は群を抜いてトップである。
100床あたり医 100床あたり
師数
看護職員数
2006年度人口1000人あたりの病床数
8.0
0
(出展)厚生労働省「平成19年 医療施設(動態)調査」より作成
2004年
一般診療所数が緩やかに増加しているのに対して、総病
院数は1990年代から大幅に減っている
100,000
19
87
19
89
19
91
19
93
19
95
19
97
19
99
20
01
20
03
20
05
20
07
10,200
10,000
9,800
9,600
9,400
9,200
9,000
8,800
8,600
8,400
8,200
100床あたり病院職
員数(常勤)
アメリカ
73.3
237.9
イギリス
57.5
227.7
イタリア
103.9
166.4
306.7
62
286.6
379.3
ドイツ
39.5
113
フランス
44.9
100.1
日本
14.3
63.2
2.0
0.0
Finland France Germany Italy
Japan Norway United United OECD
Kingdom States AVERAGE
(出展)OECD Health Data 2008 より作成
イタリアでは1つの病床に対して1人の医師がついている
状態なのに、日本では14人の医師が100の病床をカ
バーしている!
127
カナダ
491.3
4.0
-
ただでさえ医師が少ないのに病床が多いせいで、100
床あたりの職員数は低すぎる状態になっているのだ!
-
出典:OECD Health Data 2007より作成
注:アメリカ合衆国の看護職員数は、2002年の数字を用いている。
91.6
では病院・病床がこんなに多いなら、
なぜ救急車たらい回し事件などが起こるのか?
23
46. 39.ジェネリック医薬品
~Ⅰ.日本さん、もっと僕を使ってください~
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは?
特許権の消滅には20年~25年ほどかか
り、そのころにはもう新薬は新薬ではない!
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、先
ジ ネリ ク医薬品(後発医薬品)とは 先
発医薬品(新薬)の特許が切れた後に販
売される、先発医薬品と同じ有効成分、同
じ効能 効果をも 医薬品の と。
じ効能・効果をもつ医薬品のこと。
①先発医薬品より安価で、経済的!
患者の自己負担の軽減、
医療保険財政の改善に貢
献!
②効き目や安全性は先発医薬品と同じ!
(出展)IMS Health, MIDAS, New Market Segmentation, RX only MAT Dec 2006
IMS St ateg c Management Review 2006 PERSPECTIVES O THE GLOBAL
S Strategic a age e t e e
006
S C
S ON
G O
PHARMACEUTICAL MARKET
ジェネリック医薬品シェア(数量ベース)
・アメリカ、イギリス、ドイツなど・・・約半分がジェネリック医薬品
・日本・・・2割にも満たない!
日本
2割にも満たない!
日本で普及していない理由
日本では、欧米と同様の基準で
ジェネリック医薬品の性能を審
査!
患者にとっても、医療費削減にも有益な
ジェネリック医薬品だが、
日本では普及していない!
もっと使えば日本はよくなるのに・・・
・安全供給の不安・・・採算性等の問題で、すぐに製造販売が中止になることがある
・品質の不安・・・一部の後発品では溶出性・血中濃度が先発品と異なるのではないか
安
部 後
性
濃度が
・後発医薬品メーカーによる情報提供の不足・・・勉強不足・情報不足
・医師側の知識不足・・・どのジェネリックをどう選べばいいのかという不安やジェネリック医薬品に対する不信感
46
64. 54.アメリカ
〜Ⅰ.保険未加入者と莫大な医療費〜
公的保険は二種類だけ!
政府
Medicare – 高齢者、障害者のための殆ど自己負担のない公的保障
Medicaid – 低所得者を対象とした公的保障 資産も含めた非常に厳しい審査がある
低所得者を対象とした公的保障。資産も含めた非常に厳しい審査がある。
その他の大部分の国民は、
各個人、または雇用先で私的保険に加入する!
公的保険が存在しないため、病気がちな人ほ
ど保険に入ろうとする逆選択が働きやすい!
その結果、保険未加入者が
なんと全体の20%も!
なんと全体の20%も!
Health Insurance Coverage of Adults 19-64
20%
(2008)
Employer
Individual
Medicaid
Other Public
Uninsured
3%
Per capita total expenditure on health (2006)
8000
8%
6714
7000
63%
6%
6000
US $
5000
Kaiser family foundation “Health coverage and uninsured” より作成
http://www.statehealthfacts.org (2010年1月19日にアクセス)
/
4000
2514
2784
Japan
3000
UK
3119
3328
3554
Sweden
Germany
France
2000
1000
0
医療費も莫大に!!
USA
WTO “WHOIS Detailed Data Based Search” より作成 http://apps.who.int/whosis/data/
(2010年1月19日にアクセス)
米国医療は技術が世界で最も高いと言われる 方、様々な批判を受けている。
米国医療は技術が世界で最も高いと言われる一方 様々な批判を受けている
このような状況を打破するため、オバマ大統領は大統領選挙遊説中、
国民皆保険制度創設を宣言した。
64