手術を要した
小児高温液体熱傷
についての検討
JCHO 中京病院 救急科
黒木 雄一 宮尾 大樹 中島 紳史
大須賀 章倫 上山 昌史
利益相反(COI)開示
筆頭演者氏名: 黒木 雄一
全ての項目において該当なし
はじめに
• こどもがヤケドする原因はバラエティに富んで
おり,すべての原因を網羅する予防策を立てる
ことは困難である
• フォーカスを絞った予防策を考える必要がある
目的
小児熱傷患者のうち,特に手術を要する
患者の予防策を立てる
対象
当科に入院した6歳以下の熱傷患者(2011年4月~2019年3月)
N=105
火焔熱傷
n=3
高温液体熱傷患者
n=102
除外
方法
植皮手術または瘢痕形成手術を要した群:S群
vs
保存的治療にて上皮化・治癒が得られた群:C群
Surgery
Conservative
患者背景
S 群
n=28
C 群
n=74
p value
月齢
中央値 [最小, 最大] 14 [1, 58] 16 [6, 81] 0.41
性別_男
数(%) 22(78) 49(66) 0.33
転院
数(%) 19(67) 31(41) 0.02
高温液体種類
0
20
40
60
80
100
S C S C S C S C
熱湯 スープ お茶・コーヒー 油
% p=0.03
高温液体容器
0
20
40
60
80
100
S C S C S C S C S C
電気湯沸器* やかん 食器
% p<0.001
鍋 風呂
*電気ケトルまたは電気ポットをまとめて電気湯沸器と記載
0.001 0.01 0.1 1 10 100
電気湯沸器の湯
やかんの湯
魔法瓶の湯
お椀のスープ
鍋の湯
鍋のスープ
お椀の湯
要手術保存治癒
OR=6.11(95% CI: 2.0-19.6)
初期治療で使用された外用剤
0
20
40
60
80
S C S C S C
ワセリン類* ゲーベンクリーム エキザルベ
% p=0.02
*白色ワセリン,バラマイシン軟膏,アズノールなどワセリン基剤のもの
多重ロジスティック回帰
OR 95%CI P value
電気湯沸器 6.56 2.00-21.6 0.001
転院 2.39 0.81-7.01 0.11
クリーム剤* 1.96 0.63-6.04 0.24
*ゲーベンクリームとエキザルベ
電気湯沸器による熱傷
 特に電気ケトルによる熱傷は日本小児科学会によるInjury
Alertで報告されている.
 電気ケトルや電気ポットの熱湯は90℃以上と高温であるため,
熱傷が深達化しやすく,手術が必要になる可能性が高くなると
考えられる.
深達化熱傷→植皮手術を要した電気ケトルからの湯こぼれ
今回の結果を踏まえての予防策
就学前のこどもがいる家庭では電気ケトルや電気
ポットを使用しない
電気ケトルや電気ポットをテーブルや床の上に置
かない
南アフリカで用いられている電気ケトル用ストラップ
Burns 2018
• 手術を要した小児高温液体熱傷について
検討した.
• 電気ケトルや電気ポットからの湯こぼれ
事故対策が最も効果的な予防策と考えら
れた.
結語

小児高温液体熱傷の深達化 ~電気ケトル・電気ポットは危ない!~