2019年度プレゼミ B4向け研究指導用の資料

1. プレゼミ研究サバイバルコラム集
人と音の情報学研究室
山本 雄也

2. 研究・サーベイ
ことはじめ
LSPC 新M1
山本 雄也

3. アジェンダ
• そもそも研究ってなんじゃい
• サーベイとは
• 論文の構成・種類
• 論文の探し方
• 論文の読み方
• 論文のまとめ方

4. 研究とは？
１．「問い」をたてて
２．「自分なりの主張」をして
３．「主張を支える論証」をすること

5. Ex. 問い・主張・論証
１．音痴の人とそうでない人で不快に感じる音は違うか？
２．一部違うものもあった！
３．なぜならアンケート調査の分析の結果から・・・

6. ダメな例
１．空は青い？
２．青い！
３．なぜなら空を見上げたら青かったから

7. 研究がみたすべき条件
「問い」「主張」「論証」のいずれかに
独創性（自分が新たに考えたもの）がある

8. 独創性はどうやって出すか？
はじめの一歩は今までの研究を知ること
⇓
知ったうえで自分ができることを探すこと

9. サーベイ
What
• 既存の文献（論文・書籍など）を網羅的に調査すること
Why
• 専門知識の勉強
• テーマ決めのきっかけ探し
• 自分の研究の新規性・優位性の証明 etc...

10. 論文の構成
研究論文の構成はIMRAD方式
Abstract
Introduction
Method
Result
and
Discussion
Conclusion

11. 論文の構成
Abstract
• 論文全体の要約
• 本文とは独立
• ここだけ読んでも言いたいことが伝わる（はず）
Introduction
• 目的達成のために何をするか導入
• 研究背景・目的・関連研究など

12. 論文の構成
Methods
• 研究手法
• 目的を達成するための方法の説明
Results
• 研究結果
• Methodsを実際やってわかった事実のみが書かれている

13. 論文の構成
Discussion
• 考察
• 結果にどんな意味があるか？
• 結果から言えること、考えられる可能性など
Conclusion
• まとめ・今後の課題
• 最後にひとまとめ
• Abstractと同じになることも

14. 論文の種類
原著論文（Journal Paper）
• 学術論文誌に載っている論文
• 最新の研究成果を伝えるために投稿されたもの
• 査読あり
サーベイ論文（Survey, Review）
• 特定のテーマに基づき既存の研究をまとめた論文
• 分野やテーマの現状・動向を知ることができる

15. 論文の種類
学位論文（Thesis）
• 博士論文のことを一般的に指す
• 修士論文・卒業論文も含まれる？
• 自分の研究成果に対するサーベイ論文
会議論文（Conference Proceedings）
• 学会で発表される論文
• 査読の有無は学会による

16. 論文の探し方
• 学術用の検索エンジンを使う
• Google Scholar
• ACM Digital Library
• IEEE Xplore
• Reserchgate など
• 国際会議の会議録から探す
• 気になる著者のウェブサイトから探す
• 他の論文から探す
など

17. Google Scholarで論文を探す
←気になるキーワードを入れる
他の論文からどれだけ引用されているか

18. 会議録から探す
最近はWEB上に会議論文をまとめている会議も多い
音楽
• ISMIR（音楽情報検索）
• SMC（アプリ）
• ICMPC（音楽認知）
• ICMC（音楽制作系）
• NIME（新楽器）
音
• DAFx(オーディオ)
• ICASSP(音信号処理)
• Interspeech(声)
• ICAD(可聴化)
その他
• NIPS(DNNとか)
• ICML(機械学習)
• MMM（マルチメディ
ア）
• CHI(インタラクション)

19. 論文の読み方
速読と精読 2つを使い分け
1．速読 広く・浅く
少しでも関係ありそうな論文をざっと目を通す
テーマの概要をつかむ
2．精読 狭く・深く
自分の研究に最も近い論文を厳選
優位性の確保

20. 論文の読み方
1．最初と最後に目を通す
Abstract→Introduction→Conclusionの順がオススメ
その研究が何をしたのかざっくり知る
読んで中身を知りたくなったら次へ

21. 論文の読み方
2．図・表に目を通す
Methodsの図表→Resultsの図表
その研究の雰囲気をつかめる
（つかめないのは読みにくい論文）
速読ならここまででおｋ
自分の研究に関係してきそうなら次へ

22. 論文の読み方
3．精読する
Methods→Results→Discussionも読む
わからないところは飛ばすなり、あとで誰かに聞くなり
全部を一度で理解するのは無理

23. 論文のまとめ方
落合メソッド
どんなもの？
先行研究と比べてなにがすご
い？
技術や手法のキモはどこ？
どうやって有効だと検証した？
議論はある？
次に読む論文は？

24. Ex. 論文のまとめ方
Deep Learningによるとんかつの自動生成 [2018,Kawashima]
どんなもの？
• GANを用いてとんかつを生成
先行研究と比べてなにがすごい？
• 今までは豚肉と衣が必要だったけど、
それらなしで生成できた
技術や手法のキモはどこ？
• 森山らのとんかつデータセット
• Style-GAN
どうやって有効だと検証した？
• 従来法との生成速度の比較実験
議論はある？
• 森山とんかつデータは偏っていて過学習
次に読む論文は？
• 山本「カレーうどんの自動生成」
• 小島「オーボエリードの自動生成」

25. サーベイの発表
• なんでこの論文を選んだかを明確に
• 重要なポイントが伝わるように、分かりやすく
• 自分の解釈・感想も大事に

26. やってTRY！

27. 参考文献
• 研究分野をサーベイする
https://www.slideshare.net/iTooooooooooooT/itolab-how-
to-survey-2017
• 先端技術とメディア表現1 #FTMA15
https://www.slideshare.net/Ochyai/1-ftma15
• IMRAD
https://ja.wikipedia.org/wiki/IMRAD
• 2018年度プレゼミスライド
https://drive.google.com/drive/folders/1wA1ZkkWVuaiz4mU
OmaqhCBDG-p7fcbIq
• 90分でコツがわかる！論文＆レポートの書き方

28. 研究サバイバルコラム＃２
〜質問のすすめ〜

30. 質問するメリット
1. モヤモヤを無くせる
2. あとに発表する場合は質疑の練習になる
3. 議論が活性化される

31. 質問の場数を踏む
↓
研究の改善点をつく質問が
できるようになる
↓
その研究が進む！

32. 発表には質問を
していこうぜ！！

33. 研究サバイバルコラム＃３
～サーベイのその先へ～

34. 研究のサイクル
サーベイ
手法の考案
実験
分析・考察
執筆・発表
フィードバック
ここ

35. サーベイのその先へ
サーベイをいろいろやってきたぜ！
・・・でも、ここからどう進めばいいの？

36. 自分の研究を生む
気になる先行研究があったら手を動かす！
1. 似たような問題設定→自分の問題ではどうか？
2. 使えそうなパーツ→取り入れてみる
3. そもそも実態がわかってない→3人くらい調査しよう

37. Ex.山本の場合
• リサーチクエスチョン
「歌うのが難しい曲の特徴ってなんだろう？」
• サーベイした結果
1. ピアノの難易度 [藤井 ‘16]
2. コレスポンデンス分析
3. 「歌の難易度で正解データはない」という事実

38. １．似ている問題設定
• Ex. ピアノの難易度→歌の難易度も出せるか？
ふむふむ、この方法で
リズムの難易度をきめるのか
よし、これを実装して色んな
歌唱曲の難易度を出してみよう

39. ２．使えそうなパーツ
• Ex. アンケートの項目間の関係を知る必要がありそう
マーケティングリサーチでよく使われている
「コレスポンデンス分析」を見つける
⇓
これ本当に使えんのか？
⇓
持っているデータで試そう！

40. ２．使えそうなパーツ
結果を見て「なるほど、この手法は使えそうだな」
「よくわからん、使えねえ」と、あーだこーだ言う

41. ３．使えるデータがなさそう
サーベイに見切りをつけて
自分の手足でデータを集める
• 実際に音を計測する
• 3人くらいを対象に予備実験をする