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6・せつない喪主席
- 1. せつない喪主席
せつない喪主席
ある男性が亡くなりました。 奥様は数年前に亡くなっていたので、喪主は独身の一人息子・ご長男が務める事に。
こう書くと普通に聞こえるかもしれませんが、ご長男は生まれつき重度の知的障害を持っていて死を理解する事は出来ない方でした。
葬儀はご長男の後見人が施主となって行われました。 故人様が、自分が亡くなった後の事を案じて申請していたんです。
専任されたのは弁護士さんで、すでに入院生活をしていたお父様に最初はまるで信用してもらえず大変苦労したと聞かせてくれました。
それでも何度も通って少しづつ信頼関係を築き、亡くなる前には 「これで安心して逝ける・・・。」 と言ってもらえたそうです。
後見人である弁護士さんはクリスチャンだったのですが、葬儀はお父様の信仰していた仏式で行われました。
そして・・・お父様の生前の意志により、介護人に付き添われたご長男が車椅子で喪主席につきました。
亡くなったお父様は・・・後見人の弁護士さんには安心したと言いながらも、実は心残りだったのかもしれません。
なぜ自分の寿命が先につきてしまうのだろうか。 この子を看取る事が親としての自分の使命ではないのか。
でも、親が先・・・子が見送る・・・せつないですが、この順番が守られました。
成年後見人制度には色々な問題もあるようですが、確かに必要とされるケースもあります。
今回の場合も、お父様は知的障害を持つ子供を親戚の誰かに預け・任せる事は出来なかったそうです。
これからは、お父様の代わりに後見人である弁護士さんがご長男を守っていく事になります。
後見人の弁護士さんは 「お父様が亡くなってから・・・これからが私の本当の仕事になるんだ。」と話していました。
2011 お葬式相談センターくにたち 杉村由佳