1. こちらからあちらへ
ご長男夫婦と一緒に暮らしていた９０代のお母様。 ご長男がご自宅での介護を続けて5年経っていました。
その日はクリスマスイブでした。 朝食を終えてご長男の奥様は今夜のための買い物へ。
家にはご長男とお母様2人きり。 お昼になって、普通の食事が出来ないお母様にご長男が栄養剤をあげようとしたのですが、
お母様がキチンと口を開けてくれないのでこぼれてしまいました。 話しかけながら口元を拭こうとすると・・・ 冷たい！
慌てて顔や体に触れてみると、氷のように冷たくなっていたそうです。
ご長男は「さっきまで反応があったのに・・・気が付かないうちに死んでしまった・・・」そう思い、
「さっきまで反応があったのに・・・気
反応があったのに・・・ かないうちに死んでしまった・・・」
急いで掛かり付けのお医者さんに連絡をして来てもらいました。
診察を終えたお医者様からはこんな言葉が・・・「お母さんは今亡くなっていってる最中です。しっかり見送ってあげてください。」
「 さんは今亡くなっていってる最中です しっかり見送ってあげてください
今亡くなっていってる最中です。 見送ってあげてください。」
もうほとんど呼吸はしていませんでしたが、お母様はまだ生きていたんです！
あまりにも冷たくなっていたので、亡くなったんだとばかり・・・ ご長男の早合点でした。
ご本人も家族も、過度の延命治療は望まないという方針でしたので、そのまま看取る事になったそうです。
それからユックリと・・・ 心音が弱く・・・ そして少なくなって・・・ こちらから・・・ あちらへ・・・
最期までしっかり見送る事ができたそうです。
その後、奥様が買い物から帰るよりも先に担当者が家に着き打ち合わせとなりました。
少し気が動転していたご長男は打ち合わせが終わるまで奥様へ連絡するのをスッカリ忘れていました。
そして「かみさんがケーキ買ってきちゃうんだよなぁ。 参ったなぁ～！」
「かみさんがケーキ買ってきちゃうんだよなぁ。 ったなぁ～！」
。 参 ～！」と苦笑い。
奥様が帰ってきてから、クリスマスケーキはお母様の枕元にもお供えされたそうです。
5年の自宅介護は確かに大変でしたが、お母様は最期まで頭はシッカリしていたそうで
毎日楽しく話す事が出来たのが救いだとおっしゃっていました。
ご自宅で子供に見守られながら、ユックリとあちらへ旅立ったお母様。
3人で食べる最後のクリスマスケーキになってしまいましたが、きっととても美味しく幸せだったでしょうね。
2011 お葬式相談センターくにたち 杉村由佳