More Related Content
More from Yuka Sugimura (16)
1・エピソード集
- 1. くろちゃんとおじいちゃん
2人暮らしの老夫婦・・・おばあちゃんが病院で亡くなりました。
「最期は自宅に帰らせてあげたい」というおじいちゃんの希望で、おばあちゃんのご遺体はご自宅へ。
古い家でしたがとても落ち着く感じの素敵な造りで、リビングからは庭が綺麗に見える御宅でした。
家には1匹の黒猫がいました。 名前は【くろちゃん】。
【くろちゃん】
おばあちゃんがとても可愛がっていた猫で、お元気で家にいた頃は毎日お話しして毎晩一緒の布団で寝ていたそうです。
バタバタと葬儀屋や親族が家にいる間、臆病なくろちゃん
くろちゃんは出てきませんでした。
くろちゃん
皆が帰って静かになってから・・・くろちゃん
くろちゃんは帰ってきたそうです。
くろちゃん
そして、布団で寝ているおばあちゃんの枕元で、いつものように「にゃ~」と鳴いたそうです。
いつもおばあちゃんが「く~ろちゃん」と呼んでくれて「にゃ~」とお話しをするのが
く ろちゃん
おばあちゃんとくろちゃん
くろちゃんだけの決まり事だったんです。
くろちゃん
返事が無いのでくろちゃん
くろちゃんは何度も何度もおばあちゃんに向かって鳴いていたそうです。
くろちゃん
でも、おばあちゃんは呼んでくれません。 いつものようにお布団にも入れてくれません。
くろちゃんは冷たくなってしまったおばあちゃんの額をペロペロと舐めて・・・
くろちゃん
そして諦めたようにおばあちゃんの足元で丸くなって寝てしまったそうです。
くろちゃんが来て「にゃ~」と呼んでくれたそうです。
その日の晩・・・おじいちゃんが1人で寝ている枕元に初めてくろちゃん
くろちゃん
それまでのくろちゃん おじいちゃんにはあまり懐いてくれなくて、
くろちゃんは
くろちゃん
おばあちゃんが入院している間もおじいちゃんの布団に来てくれた事は1度も無かったんだそうです。
「昨日の晩、初めてくろちゃん
くろちゃんとお話しして、初めて一緒に寝ましたよ。これからはくろちゃん
くろちゃん くろちゃんと仲良くするよ。」
くろちゃん
おじいちゃんは嬉しそうに・・・でも少し寂しそうに話してくれました。
その後葬儀は行わずに、おじいちゃんや息子さん達などご親族の手でご納棺をしていただきご自宅からご出棺となりました。
くろちゃんは出てきてくれなくて、私は最後まで逢えませんでしたが・・・きっとどこかに隠れながらお見送りしていたと思います。
くろちゃん
2011 お葬式相談センターくにたち 杉村由佳