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7・40年前の遺影写真
- 1. 40年前の
40年前の遺影写真
年前
「こんなに長生きしてしまってごめんなさいね。おじいさんが早く呼びに来てくれればいいのに。」
こんなに長生きしてしまってごめんなさいね。おじいさんが早
長生きしてしまってごめんなさいね びに来てくれればいいのに。」
もうすぐで100歳だったおばあちゃんの口癖で、老人ホームへ面会に来た家族にいつもそう言っていたそうです。
ずーっと会いたいと言っていたお孫さんが久しぶりに面会に来てくれた日、皆さんの帰った2時間後に亡くなりました。
おばあちゃんのご主人は60歳という若さで先に逝ってしまい、それから約40年おばあちゃんはご主人を想い続けて生きていました。
ご主人が亡くなった時には、ご自分の遺影写真も一緒に作ったんだそうです。
「式が終わった後、自宅で主人の写真と並んで飾られた時に自分の写真だけが年寄りに見えるのはイヤ。同じ頃の写真がいい。」
おばあちゃんが当時そんな理由で作り、40年も大切にしてきた遺影写真でした。
もう1つ、ご長男はおばあちゃんが亡くなった時に開けるように頼まれていた包みがありました。
それを開けてみると・・・綺麗な着物と、弱々しくつたない字で「自分が死んだ時にはこの着物を着せて欲しい・・・」という手紙が。
1番のお気に入りの綺麗な着物を来てご主人に逢いに行きたかったんでしょうね。
おばあちゃんの希望通り、綺麗な着物を着て40年前に作った遺影写真を飾って式を執り行いました。
おばあちゃんはいつも必ず首に掛けている巾着袋がありました。
職員や家族が頼んでも絶対に中を見せてくれなかったそうです。
ご納棺の時、ご長男がおばあちゃんに一言断ってから(?)その袋を開けてみることになりました。
中には・・・ とても古い3枚の写真が・・・。
ご主人1人の写真・若い頃の2ショット写真・自分達の結婚式の写真。
子供や孫の写真は何と1枚も入っていなくて、これには皆さん苦笑いでした。
なんていじらしい・そして可愛い女性なんでしょう。
「こんなに長生きしてしまってごめんなさいね。あなたが早く呼びに来てくれなかったからですよ。」
こんなに長生きしてしまってごめんなさいね。あなたが早
長生きしてしまってごめんなさいね びに来てくれなかったからですよ。」
迎えに来たご主人にそう言ったかもしれませんね。
きっと今頃は、お気に入りの綺麗な着物姿で大好きなご主人とご一緒のはずです。
そしてどなたかの粋なはからいで・・・40年前に作った遺影写真と変わらぬ姿に・・・ なっているといいですね。
2011 お葬式相談センターくにたち 杉村由佳