2013年1月13日 八王子言語聴覚士ネットワーク 教育講演資料
- 1. STネット講演資料
2013年1月13日
asayume001
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- 3. Agenda
Ⅰ. はじめまして
Ⅱ. 経緯について
Ⅲ. 工夫したこと
Ⅳ. のぞむこと
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- 4. 講演に立つ理由
志 ・継続就労で社会参加する事に、挑戦したい。
的 ・当事者も、可能な範囲で声をあげるべきと感じる。
な ・コミュニケーションで、貢献できる医療もあると信ず
る。
要 ・脳障害を得ても、一生活者として歩みたい。
因 ・医療への恩返しをしたい。
×
・受傷度として重度ではなかった。
事 ・代替手段を習得する機能が残されていた。
実 ・コミュニケーション能力が残されていた。
的 ・医学の知識が基盤としてあった。
背 ・課題抽出・解決思考を有していた。
景 ・プレゼンテーションスキルを有していた。
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- 5. Ⅰ.
はじめまして
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- 6. 高次脳機能障害と付き合っている41歳の3児のパパです。
ヨークシャテリアのマックスくんが家族に加わりました!
■病歴
37歳の時に心筋梗塞による、突然の心肺停止。
家族の蘇生と、救急搬送により助命。
意識不明4日間を経て、戻ってきました。
高次脳機能障害という障害もついてきて。
■仕事
広告代理店勤務。
受傷⇒休職⇒復職⇒転職⇒再転職。
苦戦しましたが、やっと落ち着きはじめました。
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6
- 8. Ⅱ経緯に
.ついて
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- 9. 発症の経緯
37歳健康診断ほぼA・仕事順調・家庭円満!?
↓
2008年8月、錦を飾る思いで実家にお盆帰省
↓
うしみつ時に急性心筋梗塞発症⇒心肺停止
↓
蘇生リレー⇒AED20回⇒緊急手術
↓
4日間意識不明
↓
三途の川を渡りきる前に目が覚める
↓
高次脳機能障害
↑発症12時間前の写真。
デイ・キャンプでBBQしてました。
デイ・キャンプでBBQしてました。
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- 10. 私の高次脳機能障害の症状
・新しいことが覚えづらい
・同時複数作業が苦手
・疲れやすい・注意散漫
・うるさいところが苦手
・過去の記憶喪失(きっかけがあれば思い出せる)
・意欲・発動性の低下
・一つの事に固執しやすいなどなど
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- 11. 就労とリハビリテーションの経緯
猶予 他企業に 復職関連企業に
休職 通常勤務
就労 (4ヶ月) 勤務
(3ヶ月)
(14か月 うち1ヶ月休職) 通常雇用転職
(16か月 うち3ヶ月休職)
通常雇用転職
(15か月)
入院 外来
外来
OT (週2回~月2回)
( )
ジョブコーチ・サポート・患者会
外来 外来
ST (週2回~月2回)
( ) (1~2ヶ月に1回程度)
PT
復職支援 グループ
その他 プログラム カウンセリング
発症 1年 2年 3年 4年
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- 12. 就労復帰の経緯とストレス曲線
FB① OTさん FB② FB③
高 10 から喝!
業務役割の
9 変更依頼
疎外感・先の見えない
8 不安感など悶々とした 自分ができる
主 状況続く ことを改めて
観 7
的 見直す
な 6
「 業務内容の
不 5
安 障害認知 更なる見直し
・ 4 (理解はしていない)
つ やる気がないだ
ら 3 けと勘違いし退社
さ 上司やチームメン
」 2 雇用先に障害を
バー内に障害の開示
復職P 開示して、通常
1 をして他企業に転職。
開始 雇用で再転職
低 0
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
猶予 他企業に 復職関連企業に
休職 通常勤務
勤務 通常雇用転職 通常雇用転職
(4ヶ月) (14か月 うち2ヶ月休職)
(3ヶ月)
) (16か月 うち3ヶ月休職) (13か月)
発症 1年 2年 3年 4年
本格復職してから非常に強いストレスが発生。受傷後一年二年も経ってから、
改めて自分の障害に遭遇したときに、強い精神的ストレスや不安感が起きた。
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- 13. 就労復帰して
何が起きたか?
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- 14. 障がいに出会った。
障がいに出会った。
できないことに日々出会う。
自信も自尊心もなくし疲弊した。
事態の大きさに気付き、
この先どうしたらよいかわからなくなった。
見えない障がいが、見えてきた。
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- 15. Ⅲ工夫
.したこと
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- 16. 体 課
当 題
り を
捉
→
え
不 、
安 策
・ で
疲 解
弊 く
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- 18. 脳障害特有の、
自己基盤の立て直しの難しさ。
•自己認識~課題認識の機能欠損(課題認識できないのが課題)
•障害認識~受容の難しさ(認めたくない自尊心の壁)
•混乱と不安と焦燥のオンパレード
•自己実現のビジョン喪失~再構築の難しさ
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- 19. それでも、
課題を、
紐解くために。
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- 20. 混乱した記憶と残された機能を再統合し、
新しい生活基盤と自己ビジョンを創る。
機能が失われるだけではない。
自尊心や生きがいも失われる。
新しい自分創生のための、指標と決意と手段が欲し
い。
STRATEGY
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- 21. 障がいではなく、自分を見る。
新しい自分を捉える。
新しい自分を受け入れる。
新しい自分のビジョンを創る。
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- 22. 策を具現化するための術。
策を具現化するための術。
①指標 ペースを保ち、自分と課題を捉える。
②宣誓 意識変容を起こし、受容と創生を固める。
③補完 代替手段・思考で欠損した機能を補う。
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- 23. ①指標
~ペースを保ち、自分と課題を捉える~
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- 24. 中長期指標を事前規定する意義とは?
現状把握ができない 現状確認ができる
暗中模索
ペースを保てる
行き詰まり感 不安・焦燥感の軽減
閉塞感
指標 障害受容の促進
復帰過程が見えない これからの自分
を想起しやすい
長くて困難な復職活動で、エンストを起こさないために、
中長期の指標を持つことが重要であったと感じます。
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- 25. 新しい自分創りの指標を持つ
~シンプルに3つのフェーズで捉え再構築を図る~
1.過去確認期_どんな自分だったか客観的に把握する。
自分がそもそもどういう人間だったかを振り返る。仕事資料、写真、旧友に会う、ビデオ、ア
ルバム、メール、手紙、年賀状、音楽、購入したもの、幼稚園のものまで・・・・。
2.現実受容期_失われた機能と残された機能を確認⇒受容する。
「再体験」によって、現在の自分を確認する。ここが一番難しい。過去で経験していたことに
も再トライ。やる気が起きないので好きなことから始める。趣味、遊び、買い物、仕事。
気分も凹みやすいので、正の基盤づくりを意識して、できること・できたことを把握する。
3.新自分創生期_代替手段を習得しながら新しい自分を創る。
メモ、ライフログ、アクティブインタレスト等の代替手段の取得と同時に、新しい生き方をシェ
アする場を活用して、新しい自分づくりを模索する。同じ障害者の方々の経験談も参考に。
患者会、家族会、ブログなど。
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- 26. 1.過去確認
2.現実受容 共有
3.新自分創生
合意形成を
× 復職猶予期間=業務負担の軽減期間 いかに作るか
がポイント!
↓
○ 復職猶予期間=できるところを一緒に探して
もらう期間。
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- 27. ②宣誓
~意識変容を起し、受容と新しい自分創りを固める~
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- 29. 受
容 最も精神面で不
ま
安になる。特に復
職と重なると更に
ターニング
8.受容・宣誓
8.受容・宣誓
不安が増長する。
で ・ポイント
7.自発改善・向上心
7.自発改善・向上心
の 6.自省・自責・落胆
6.自省・自責・落胆
意
5.突出行動・感情の乱れ
5.突出行動・感情の乱れ
識
変 4.自己防衛
4.自己防衛
容 3.悲観的
3.悲観的
モ 2.過去確認・状況整理・把握
2.過去確認・状況整理・把握
デ 1.認知機能回復
1.認知機能回復
ル
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- 30. なぜ宣誓をしたか?
•不安定な状況を断ち切りたかった。
•この障害をなかったことにはできなかった。
•自分に意識変容を起こし、受容を確実なものにしたかった。
共存する道を模索
自分で自分の意識を変えるために、
⇒障害の事をオフィシャルに開示して再々就職。
⇒執筆・講演・ブログ等々、社会への宣言。
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- 31. 小さな「決意の芽」を見逃さずに育む
待つ 辛抱強く待つ。放っておく。(慈恵医大橋本Dr)
促す 小さな決意の芽を、支援者や第三者が大きく育てる。
第三者が褒める。客観的評価獲得の喜び。
褒める 第三者に褒められたい自分がいる。
(リハさん、Dr、会社の人、社会など)
記録する 褒められたことを記録する。
(メモリーノート、ブログ、写真、日記など)
共有する 褒められたことを共有する。
(友人・知人・家族・患者会・twitter、ブログ、社会活動など)
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- 32. ③補完
~代替手段・思考で欠損した機能を補う~
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- 33. 代替手段・思考の一覧
・脳に負担をかけない~疲れをとる
神経疲労対策 ・エコ脳~替脳~休脳
・障害で自分の対応に異変が起きたことに気づく
抑制対策 ・セルフ切り替え術の習得 コップ一杯深呼吸三回
・好きだったことから誘導する
発動性対策 ・強制的に牽引してもらう
・きっかけ・ライフタイムイベントを活用する
~五感をコントロールする~
注意・集中対策 ・五感ノイズキャンセリング
・五感アクティブインタレスト
・事前規定(アジェンダ)
コミュニケーションと情
・リアルタイム確認(横並び&ボード術)
報処理
・事後確認(デブリーフ)
・記録する(メモ、カメラ、IC、速記、カタカナ)
記憶 ・情報の入れ方を工夫する(色の使い手)
・情報の固着化をする(振り返り、時系列表示、集約)
・サポートツール・思考をフル活用する。
遂行機能・論理的思考 ・スケジューラー、アラート機能、TO/DO活用、
・マトリクス活用、カスケードチャートなど
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- 34. 「記録」は、未来の自分を創るためにある
とりあえずメモ帳
ア新
スケジュール帳 クし
反 テい
ライフログ 復 ィ自
確
認
ブ分
カメラ・写真
にを
創
ブログ
る
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- 35. リハビリは、99%を取り戻す1%の鍵。
1%
99%。
復帰して4年の結果、習得した代替手段の99%は実社会での習
得。でも1%のリハビリがなかったら、社会参加すらできなかった。
リハビリは99%を取り戻す、1%の鍵。
一方で、99%は実社会で取り戻してきたのも事実であり、
周囲や社会の理解が重要である。
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- 36. リハさんは“時の案内人”
DR ⇒ 4人目
⇔
ST ⇒ 変わらず
OT ⇒ 変わらず
JC ⇒ 変わらず
急性期病院から転院して4年。主治医が変わろうとも、その間、
同じリハスタッフが病状の遷移と経時変化を把握しながら受療
をマネジメントし、当事者・支援者に適宜サジェッションを与えて
くれた事が、大きな要因と捉えている。見えない安心感。
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- 37. Ⅴのぞむ
.こと
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- 38. リハさんに望む
代 生 障
機 替
能 活 が
手 者 い
を 段
取 と を
り を し 得
戻 習 て て
得 あ も
し り 一
た し
た た 人
い い
。 い の
。 。
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- 39. 周囲に望む
期待値と実パフォーマンス値の
「ギャップを解消するステップ」が欲しい。
就労において最も困ったことは、相手の期待値と、当事者の実パフォーマンス値
のギャップ。「見えない障害」は、相手にも見えないし、自分でも見えない。ゆえに、
お互いどうしたらいいのか、どうしてほしいのかが、わからない。
復職上、何ができて何ができないか、場当たり体当りで確認していく過程が必ず
発生するので、そこを事前共有しておくことがポイントであると感じてます。
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- 40. 制度に望む
社会保障のゴールと、当事者のゴールの
ギャップを埋めてほしい。
急性期 回復・リハ期 復職・就労期
社会復帰において、最も サポートが必要な時期
社会復帰において、最もサポートが必要な時期
退院⇒復職してからが非常に大変であり、そこをサポートするシステムができてい
ないと感じます。医療提供者側からすると「復職」は一つのエンドポイントとなりうる
が、患者側からするとエンドポイントではありません。
「その後の人生を、残された機能を活かしながらいかに充実して過ごせるか?」=
「社会との同期・一員となる」が、エンドポイントととらえています。
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40
- 41. 社会に望む
障がいを得ても、
一人の人として
全うな人生をすごせる
社会であってほしい。
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