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出現する未来のために紛争を十全に花咲かす
+ システムのなかでセルフ・リーダーシップを発揮するヒント +
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NVC大学
2022.08.25
長田誠司
s a g e @ re s t o ra t i v e c i rc l e s . j p
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システムとは?
1
システムとは…
相互に影響を及ぼし合う要素から構成される、
まとまりや仕組みの全体のことをいう。
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エッジ効果
2
2つの異なる環境が接するフチ=エッジに
多様性が豊かな生態系が生まれること
海と陸が出会う
「サンゴ礁」
「マングローブの森」
水と土が出会う「池」
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支配構造
3
1. 自己の抑圧
「感情/身体感覚」や「価値観/意味」を否定する
2. 官僚ことば amtssp r ach e
「組織の決まりだから…」「上司の命令だから…」「〜しなければならない」
といった選択の自由(≒責任)を否定する言葉をナチスの官僚が表現したもの
3. 道徳的判断・評価
「診断」してレッテルを貼る
非人格化 d e - h u m a n i z e :人間を一生変わることのない「モノ」にする
4. 「何に値するか」という概念
個人の行動を「アメ」と「ムチ」に結び付ける
さらに行動と存在が混同されると・・・
「善い」人間と「悪い」人間 ➙ 生命には価値の差がある ➙ 暴力を容易にする
(参考)神学者/文化人類学者のウォルター・ウィンクによると、
約5,000年前、メソポタミアの王が誕生した頃に善悪を分ける言葉が生まれた
ひとくくりにしてしまう描写
t o t a l i z i n g l a n g u a g e
ストーリーに押し込める
役割に沿った行動を規定する
思考停止 責任回避
役割を強化する
疑問の余地を削っていく
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「対立」とは何だろうか?
4
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5
いろいろなコンフリクトの定義
1. 当事者が複数の個人または集団である
2. 当事者が同時に満たせない目的を求めている
3. 当事者が互いに2があることを認識している
1. 人と人とが譲ることなく対立すること。
争い。もつれ。
2. 心の中に相反する欲求が同時に起こり、
そのどちらを選ぶか迷うこと。
自分たちが望むほどには、情報とエネルギーが交
換されていない状態
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修復的(Restorative)とは?
機械系 生態系
故障したら壊れたパーツを交換したり
修理することで特定の機能を取り戻す
外科手術では悪い部分は取り除かれる
私たちの社会では「悪い部分」は、
どのように扱われているだろうか?
全体が変化していくことで
環境に応じた機能を産み出していく
いま、ここにある資源を活かす
私たちは「悪い部分」から何を学び、
どのように変化していきたいか?
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問われること
• どの法やルールが犯されたのか?
• 誰がやったのか?
• 彼らはどんな罰に値するのか?
➡支配構造とパワーを維持する
報復的司法(Retributive Justice)
秩序を回復する
だれがパワーを
握っているのか?
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本質主義的理解
• 困っている本人が「問題」とされてしまう
• いちばんケアやサポートを必要としている本人に疎外感・孤立感を生む
• 対処療法的な解決から生み出さない
• 罰が正当化される
「問題」が当事者に限定される
8
欠陥思考
個人のなかに「問題」が内在していると考えること
• 本人もまわりもあきらめや無力感を抱く
• 専門家への依存が増す
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善悪の判断や相手への非難は対立をめぐって当事者の周り
にごく密接に絡みあっているため、何が起こったのか、ま
たは何が起こる可能性があったのかについて、他の記述の
余地などまったく無いように見える。
これは、複雑な状況をひとつの状況の、またはその状況に
いる人の完璧な要約であるとする描写でひとくくりにして
しまうものである。
Winslade & Monk, 1999
9
『ひとくくりにしてしまう描写 』
ナラティヴ・アプローチでの概念
そうではない側面が見えなくなる
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based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 10
問われること
• だれが傷ついたのか?
• なにが彼らには必要なのか?
• だれにその義務や責任があるのか?
• この状況の中でだれが利害を持っているのか?
• 解決を見つけるために利害関係者ができることは?
修復的司法(Restorative Justice)
見えづらくなった関係性を修復する
自分とのつながり/相手とのつながり/コミュニティとしてのつながり
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11
「コンフリクト」はメッセージ
新着メールがあります!
「コンフリクト」は
解決する必要がある“問題”ではなく
理解する必要がある現象である
あなたの人生は
変更されました
あなたの関係性は
更新されました
世界は
変化しました
D o minic Ba rt er
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12
“新しい未来”が出現しようとしている
Volatility …….. 変動性
Uncertainty … 不確実性
Complexity …. 複雑性
Ambiguity …… 曖昧性
Chamos
【崩壊】
Chaos
【混沌】
Order
【秩序】
Control
【統制】
Stifling
Control
【強制】
効率化
やるべきことが
はっきりしている
マニュアル化
管理・指示
イノベーション
ゴールが
たえず動いている
Chaordic Path
ケイオディックパス
Dee Hock
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13
クネビンフレームワーク
問題解決方法の分類
システムの種類 要素の因果関係 解決のプロセス 最適な実践方法
自明な
Obvious
誰が見ても
すぐにわかる
知覚⇒分類⇒対応 完璧な実践
込み入った
Complicated
専門知識と分析
によってわかる
知覚⇒分析⇒対応 最善の実践
複雑な
Complex
事後的にわかる 探査⇒知覚⇒対応 創発的な実践
カオス
Chaotic
因果関係がない 行動⇒知覚⇒対応 奇抜な実践
無秩序
Disorder
なにがなんだか
わからない
??⇒??⇒?? ?????
Dave Snowden, 2004
クネビン[ウェールズ語:Cynefin]
⇒ 「自分では気付かないものの人間はさまざまな要素の影響下にある」という意味
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14
平和とは
「コンフリクト」がない状態ではなく
「コンフリクト」に応答する
創造的な方法がある状態です。
消極的な応答でも、
攻撃的な応答でもなく、暴力でもなく、
それらにとって代わる
創造的な方法がある状態です。
D o ro t h y T h o m p s o n
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17
「コンフリクト」の最中には
私たちに何が起こっているのか
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日常のコミュニケーション
話すということ、聴くということ
心・感覚
思考 話した内容 聴きとった内容 解読した内容・思考
心・感覚
誤解
勘違い
聞き違い
言語化できない
うまく言えない
言いまちがい
非言語の表現と
言語の表現のずれ
思い込み
言いわすれ
18
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いつの間にか支配ゲームがはじまる
「よりパワーを握っているのは誰か?」「悪いのは誰だ?」
心・感覚
思考 話した内容 聴きとった内容 解読した内容・思考
心・感覚
誤解
勘違い
聞き違い
言語化できない
うまく言えない
言いまちがい
非言語の表現と
言語の表現のずれ
思い込み
言いわすれ
レッテル
イライラ
悪者探し
決めつけ
怖れ
皮肉
否定
被害者意識
傷つき
あきらめ
さみしさ
怒り
痛み
敵のイメージ
傷つき
気まずさ
ぎこちなさ
19
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「私」とは何者なのだろうか?
20
1. 公共の場でのあなたは、どんな人ですか?
2. 仕事場のあなたは、どんな人ですか?
3. ひとりの時のあなたは、どんな人ですか?
4. 家族の前でのあなたは、どんな人ですか?
お母さんの前では?お父さんの前では?
おばあちゃんの前では?おじいちゃんの前では?
お兄ちゃん・お姉ちゃんの前では?妹・弟の前では?
5. こどもの頃、ともだちの前では?
幼稚園・保育園のころのともだちとは?
小学校のころのともだちとは?中学校のころのともだちとは?
いまも会う当時のともだちの前では?
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「私」は確固たる一意なものではない?
21
「空気」を読む 築いてきた関係性 期待された役割
ストーリーの比喩
「私」というものは多様に語りうる
スポっ!
私たちは文脈に応じて と非常にうまく役割にハマる
パターン
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どの「私」もストーリーのひとつにすぎない
22
影響力の強い
ストーリー
影 響 力 の 弱 い
ス ト ー リ ー
影 響 力 の 弱 い
ス ト ー リ ー
エピソード(素材)が多いほどストーリーは多様に語れる
エ ピ ソ ー ド
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「私」というストーリーを語る者
23
「私」
他者が私に語る「私」
私が他者に語る「私」
私が私に語る「私」
個々の語りを重ねて「私」のストーリーを分厚くしていく
社会が語る
「何か」
社会が語る
「何か」
社会が語る
「何か」
回数 語る者
聴く者
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「ストーリー」の性質
24
1. 結論とは関係のない話は省かれる
2. 原因は結論に向かって探し求められる
現在から過去へ
3. そうして特定された原因は未来を想像させる
過去から未来へ
4. 理路整然とした話が人に伝わっていく
5. 同じように何度も語られることで定着していく
「ストーリー」は推進力を持って未来を予測していく
自分のイメージを変えることの難しさ
相手に対して持っているイメージを変えることの難しさ
他 者 だ け で な く
自 分 で も
そ う 思 っ て し ま う
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よい意図が出てくるのを妨げられている
25
いったん役割にハマってしまうと
それを無視して自由に行動できない
ひとくくりにしてしまう描写
レッテル / イメージ
過剰に適応する 手段の選択肢がない
こうするしかなかった
◯◯とはこういうものだ
動機が外側にある
◯◯しないといけない
ちがった手段を選択している
お手本・モデルがいない
「空気」を読む必要
関係性 パターン
期待される役割
慣例・慣習
社会構造
成り行き・文脈 一様な文化・体質
自分の内側の動機から切り離されて行動していると
よい意図があることすら忘れてしまう
信念が限定されている
思い込みがある
羞恥心・罪悪感・義務感
恐れから行動させられる
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「対立」のなかでは声は受け取られない
26
Aさんのリアリティ Bさんのリアリティ
お互いに「被害者」の立場から
相手のパワーを見てしまいがち
お互いに自分や相手をイメージにあてはめてしまうと
声をあげても受け取る人がいない状態になってしまう
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支配構造
27
1. 自己の抑圧
「感情/身体感覚」や「価値観/意味」を否定する
2. 官僚ことば amtssp r ach e
「組織の決まりだから…」「上司の命令だから…」「〜しなければならない」
といった選択の自由(≒責任)を否定する言葉をナチスの官僚が表現したもの
3. 道徳的判断・評価
「診断」してレッテルを貼る
非人格化 d e - h u m a n i z e :人間を一生変わることのない「モノ」にする
4. 「何に値するか」という概念
個人の行動を「アメ」と「ムチ」に結び付ける
さらに行動と存在が混同されると・・・
「善い」人間と「悪い」人間 ➙ 生命には価値の差がある ➙ 暴力を容易にする
(参考)神学者/文化人類学者のウォルター・ウィンクによると、
約5,000年前、メソポタミアの王が誕生した頃に善悪を分ける言葉が生まれた
ひとくくりにしてしまう描写
t o t a l i z i n g l a n g u a g e
ストーリーに押し込める
役割に沿った行動を規定する
思考停止 責任回避
役割を強化する
疑問の余地を削っていく
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28
神経科学的な観点
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扁桃体
前頭前野中央部
海馬
大脳皮質
脳幹
前頭前野
中央部
大脳辺縁系:
脳のハンドモデル
29
理性脳:ヒト
情動脳:哺乳類
反射脳:爬虫類
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「安全である」vs「安全でない」
30
心的危機状態
心的安全状態
ストレス正常 ストレス過剰
思い描いた行動を
誘導できる確率が高い
思い描いた行動を
誘導できる確率が低い
DMPFC
• 現実性を検証する
• 誤りを監視する
DLPFC
• 注意や思考を
トップダウン誘導する
rlPFC
• 不適切な行動を
抑制する
vmPFC
• 感情を調整する
情動的な結びつき
情動的な習慣
ボトムアップ
注意喚起
前頭前皮質の
誘導が失われる
ト ッ プ ダ ウ ン 誘 導 ボ ト ム ア ッ プ 誘 導
ヒトが意識的に行う高次機能 意識以前に起こる自動的な反応
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ポリヴェーガル理論
31
社会神経系
交感神経系
副交感神経系
覚醒度合
思考:機能不全、非現実的
感情:過覚醒(ストレス、不安、不機嫌、憂鬱、怒り)
行動:防御的、攻撃的、破壊的
逃走-闘争モード
思考:オープン、明晰、柔軟、現実的、理性的、創造的
感情:幅広い感情(愛、幸せ、怒り、嘆き、哀しみ)
行動:他者と友好的に関与する、柔軟な対応ができる
思考:非現実的、非理性的
感情:無感覚(憂鬱、絶望、乖離)
行動:シャットダウン、引きこもり、無気力
硬直-失神モード
社会友好モード
脅威
恐怖
安全
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社会友好モードに戻っていくきっかけ
32
-Amy
落ち着く
安心感
OXT
愛
感謝
5-HT
気分爽快
開放感
β-EN
快感
気持ちいい
あなたにとって、これらの感情をもたらしてくれる存在は?
扁桃体を鎮める オキシトシン セロトニン βエンドルフィン
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33
リストラティヴサークル
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Dominic Barter(右)
Restorative Circles の生い立ち
RCは、イギリス・北ロンドン出身の Dominic Barter
によって、ブラジル・リオデジャネイロのスラム街での
試行錯誤のなかから生まれました。
絵ハガキで見た通りの生命の躍動が光輝くような美
しさに心を打たれる一方で、ブラジル社会の貧富のひど
い格差、犯罪や殺人・暴力などの構造的な問題に大きな
ショックを受けたことがきっかけでした。
「危ない!やめろ!」という周囲の声よりも、自分の
なかで大きくなっていく声に突き動かされるように、
Dominic はドラッグ・ギャングが支配しているスラム街
にひとりで入って行き、住民やギャングと対話を数年間
に渡って重ねました。
その対話のプロセスなかで見つけたパターンからできることを試し、多くの失敗を重ねるなかで、
うまくいったものを経験的に体系化していったものが Restorative Circles と名付けられました。
ドラッグギャングへの対応に困っていたブラジルの司法省に注目され国内のプロジェクトを展開
し成功をおさめました。現在、全世界27か国に拡がり各地のコミュニティで実践され発展しています。
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Rio de Janeiro
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Rocinha
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Kids Gang
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Drug War in Rio de Janeiro
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コミュニティの人々が一緒につくり
一緒に維持・改善していくシステム
40
合意 空間
サポート
アクセス
情報
Restorative Circles とは?
コンフリクト(対立・葛藤)に
コミュニティの人々が十全に応答し
全体が変化していくプロセス
Post-
Circle
Circle
Pre-
Circle
Pre-
Circle
Pre-
Circle
Initiate
背景となるモノの見方や理論
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41
リストラティヴ・サークル
背景となるモノの見方や理論
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アムステルダムの路地裏で
42
カップルがケンカをしていた。
お互いの顔に息がぶつかるほど近くで叫んでいた。
背後の壁に阻まれて離れることもできず、
彼らの口論はエスカレートしていった。
男の声は大きくなり、女の声はさらに大きくなった。
そして、男はそれよりももっと大きな声で叫び、
女も負けじと大きな声で叫び続けた。
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あげられた声が受け取られることの大切さ
43
声が大きくなっていったのは、
心の距離が離れていったのを埋めようとした結果では?
自分の言ったことが相手に伝わらないと感じると、人は声を大きくしていく。
理解されないと、喉は切り裂けるほどにまでボリュームを最大限に上げて叫ぶ。
もうこれ以上、声を張り上げられなくなったとき、暴力を振るうのではないか?
聴くこと・理解することが暴力を減衰させるのではないか?
上記のことが正しいとしたら、人の暴力に歩み寄っていき、
その相手を聴き・理解することで、ボリュームを下げられるのではないか?
コトバにとって(そして必然的に、人にとって)
応答がないことほど恐ろしいことはない
M i k h a i l B a k h t i n
D o m i n i c B a r t e r の仮説
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聴くときに知っている役に立つこと
44
人は十分に聴いてもらえるまで、他の人の話を聴くことができない
• 多くの言葉を交わしていても、頭の中が言いたいことでいっぱいになっていたり、
不安でいっぱいだったり、パニックだったり、焦っていたりしたら、相手が発した
ことばを受け取ることはできない
• このようになんらかのストレスがあることによって心的に危機状態にあるとき、
私たちの神経は「逃走-闘争モード」や「硬直-失神モード」の状態にあるので、
身体の物理的能力として、耳は聞こえにくくなり、視界は狭くなる
話を共感的に聴いていると、相手が怒ることがある
• それは「お願いだから、もっと聴いて!私と一緒にいて私の声を聴いて!」という
声の悲劇的な表現かもしれない。
• あなたが「これですか?」と示した感情やニーズがあっていても、「それではな
い!」といいたいときもある。
• あるいは、あなたがこころの懐中電灯で照らした箇所を「そこじゃない!こっち
だ!」と、照らし直してくれているのかもしれない。
「理解すること」と「同意すること」は同じではない
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「聴く」のはコトバだけではない
45
「人が話していることを聴くこと」と「その人を聴くこと」は違う
• 人間のすべての行動・言動はニーズを満たす試みである
• 表現されたことばの辞書通りの意味だけではなく、
そのことばを発している人が表現している奥底の意味(価値観や感情)を聴く
• その人が身体全体のエネルギーで表現しようとしているものはなんだろうか?
• 表情で、仕草で、動きで、姿勢で、視線で、雰囲気で、なにを伝えようとしている
のだろうか?
共感が深まってくると、その場に、美しい静けさが訪れる
• この瞑想的な「美しい静けさ」がひとつの目安になる
• コトバの数が増えたり、表現しているエネルギーが荒々しくなってきた場合には、
共感が向かうのは、そっちではないという合図・フィードバックとしてみなせる
コトバを使わなくても共感できる
• 自分の存在と相手の存在は共鳴するので、同じ場にいて、自分が深いところにつな
がっていると、相手も深いところにつながる土壌がつくられる
• 静かなる共感 Silent Empathy
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46
リストラティヴ・サークル
ナラティヴ・アプローチ的な観点
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希望を掘り当てる考古学
真実は存在しない
ただ真実だとする解釈があるのみ
ミシェル・フーコー
まだ語られたことのない”希望”の物語は、
どこに埋まっているだろうか?
http://ngm.nationalgeographic.com/2015/10/lost-city/preston-text
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“現実“も物語のひとつにすぎない
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まだ語られていない体験を探し出す
• 私たちは、ものごとを語るときに、
その場の文脈を無視して語ることができない
• その文脈は使用できる言葉を限定して、
私たちの語りを形づくる 「加害者」「被害者」
• どのような物語であっても体験や人間関係の
複雑さを包括することはできない
• その人に「まだ語られていない体験や意味」
を語ってもらうには、私たちを異なる文脈に
招き入れる必要がある
多様に語られた意味は対立を変容する素材になる
一様な文化 ➡ 多様なもの・異なるものを受け入れる文化
49
➡ Omni-Partiality
➡
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「対立」における立ち位置
一般的な視点
ナラティヴのまなざし
誰かが”問題”なのであり、その”問題”が「対立」の原因になっている
「対立」の最中にいる人たちは”問題”に困らされている
人が問題なのではない。問題が問題なのだ。
“問題”
あなた vs 私
”問題” vs 私たち
ラ
ベ
ル
ラ
ベ
ル
価値観
意味
価値観
意味
価値観
価値観のレベルでは対立はない
「対立」は手段のレベルで起こる
意味
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51
リストラティヴ・サークル
システム
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コミュニティを特定する
• コミュニティとは、リソースとリスクを共有する人たちのこと
警察
ギャング
住民
先生
生徒
ギャング
住民
警察
生徒
先生
ス
ラ
ム
街
学
校
こっちで
合意することが
とても大切!
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システム変革
システムに対する盲目さ
理想とする意識や状態を
自動的につくり出せるように
システムを変革する
私たちが選択したわけでもないのに多くのシステムは生まれたときから存在している
私たちには、それらのシステムが見えていないかもしれない
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リストラティヴ・システムをつくる
コミュニティの人々が一緒につくり、一緒に維持していく
合意
空間
サポート
アクセス
情報
コンフリクトに応答するひとつの選択肢として、リストラティヴ・
アプローチを用いることに、コミュニティとして合意する
コミュニティでの象徴的な意味、快適さや気楽さ、騒音や他の邪魔
が入らないことに配慮し、サークルの場を開く空間を選定する
意図を共有し、トレーニングをし、サポートすることで、
リストラティヴ・プロセスを実践するために必要な人々を育む
リストラティヴ・プロセスに関する情報が広く伝わるように、
コミュニティにおける最適な方法で広告・掲示する
コミュニティ内の誰でもが他からの制約を受けず、自らの意思で、
リストラティヴ・プロセスを容易に開始できる手段を発展させる
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コンフリクトは自然なこと
ファイトルームはどこに?
私たちは、人間として、お腹が空くし、栄養を取る必
要があると知っているので、すべての家にはなんらか
のかたちでキッチンがある。
私たちは、休息を取る必要があると知っているので、
すべての家には、何らかのかたちで寝室がある。
コンフリクトは日常に自然にあって調整を必要として
いるのに、建設的なやり方で対立する場所がどこにも
ないのはなぜだろう?
ファイトルームをつくろう!
55
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Restorative Systems
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リストラティヴ・システムの階層
すべてのコンフリクトをサークルで扱う必要はない
コミュニティ
グループ
対人
個人
自己
共感
共感
調停
RC
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リストラティヴ・システムの概要例 1/2
完全なリストラティヴ・システムは、それぞれの修復的実践がどのように機能するのかに関して、具体的な合意事項をよ
り詳細に記述します。(つまり、「リストラティブ・サークルを開始するには、どうしたらいいのか?」「サークルのプ
ロセスを誰がファシリテートするのかを、どのように決めるのか?」など)
原則
1. 他の人との緊張状態や争いがあることに気づいた際、対話をして、その人たちとのつながりを取り戻
そうとすることを、私たちは目指します。また同時に、いつ、どのように対話をするかに関して、す
べての人の自由な選択をサポートします。
2. つながりの循環を疎外するような何かに気づいた際、たとえ過ちを犯すことになったとしても、なに
もしないより表現することを、私たちは目指します。困難な時でさえ、いま目の前にあるものを言葉
に表してみること、そして、より意識的な気づきに近づく手段として、ごちゃごちゃとしたままで、
その中に飛び込んでみることを、私たちは目指します。
3. 自分のことを犠牲にして他の人を自動的にケアしてしまうのではなく、自分を表現する時も、他の人
のことを聴く時も、どちらの場合でも、自分自身につながることを最優先にすることを、私たちは目
指します。
4. 私たち自身や他の人の表現や行動の奥にある私たちの誰もが持つ人間性や根底にあるニーズに目を向
けて耳を傾けること、自己責任を実践すること、そして、すべての人のウェルビーイング(幸せ、健
やかさ)を持続することを、私たちは目指します。
5. 難しい対話をする際にサポートをもらうこと、そして、他の人たちの対話をサポートするために自分
たちを対応できるようにしておくことを、私たちは目指します。
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リストラティヴ・システムの概要例 2/2
実践
1. 自分自身とのつながり:個々の人々は、緊張状態や争いを経験している時に、内面で起こっているこ
とへの明確さを見い出したり、自分の痛みを変容したり、自己責任を育み養ったりするための手段と
して、自分自身とつながったり、自分のことを認識したり、自分に共感したりすることに対する自分
の許容力を発展させることができます。 共感的に聴くこと:個々の人々は、共感的に聴くことを申
し出ることで、緊張状態や争いを経験している人々が自分自身とのつながりや内的な明瞭さ、自己責
任を見い出すことを助けて、彼らをサポートできます。
2. 意識的な対話:緊張状態や争いを経験している二人以上の人たちは、お互いに直接的な対話を持つこ
とができます。そこでは、共感的に相手を聴き、自己責任を持って自分を表現して、お互いにより完
全に理解し合うこと、そして、つながりや信頼を回復することを探求します。
3. 調停:第三者のファシリテーターは、二人以上の人たちの間での意識的な対話をサポートできます。
和解をサポートするために、必要に応じて自分の存在を提供して、静かに見守ったり、積極的なファ
シリテーションをしたりします。
4. リストラティブ・サークル:争いがもっと激しい場合や多くの人々に関連がある場合、つながりや信
頼を回復するためにコミュニティが運用するプロセスであるリストラティブ・サークルを誰かが開始
することができます。争いの激しさ、そして、使える時間や得られるファシリテーションのサポート
の度合いによって、サークルにはファシリテーションが入ったプレサークルやポストサークルが含ま
れることもあります。
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システムの世代交代
1. 新しいシステムを創造する
2. 新しいシステムのサイクルを動かす
3. 新旧のシステムが共存して機能する
4. 新しいシステムがよく機能するようになった時、
古いシステムは静かに寿命を終える
小さくてもいいから新しいシステムを創ろう!
システム変革の意味
社会変革には、各個人の意識の変容が必要
システムは、その変容をサポートできる
64
動き出したシステムは止まらない
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Dream Justice System
65
3つの問い
1. あなたの家庭、組織、コミュニティでは、どのよ
うにコンフリクトを扱っていますか?
2. コンフリクトの扱い方で、うまくいっているもの/
うまくいっていないものはどんなものですか?
3. コンフリクトを理想的に扱っていける夢のような
システムが目の前にある時、どんな特徴がありま
すか?どんな質や価値が大切にされますか?
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66
リストラティヴ・サークル
プロセス
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リストラティブ・サークルのプロセスにはステージが3つある
67
リストラティブ・サークル
Post-Circle
Circle
Pre-Circle
Pre-Circle
Pre-Circle
Receiver(s)
Author(s)
Conflict Community
Initiate
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Pre-Circle
68
Pre-Circle
1. 象徴的な行為を明確に特定する
Initiator に対して:
「あなたがリストラティブ・サークルに持ち込みたいと思ったのは、
どんな言動や行為があったからですか?」
他の参加者に対して:
「あなたがリストラティブ・サークルに招かれることになったのは、
どんな言動や行為があったからですか?」
2. その言動や行為は、どんな意味があったのか?(Empathy)
3. 解決するためには、誰がサークルにいる必要があるか?
4. この後のプロセスについて明確にする
5. 先に進みたいか?
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Circle
Circle
69
Phase 1: 相互理解「私たちはいまどうなのか?」
行為やそれがもたらしたものに関連して、
いまこの瞬間、あなたはどのような状態かということについて、
誰に、何を知ってもらいたいですか?
Phase 2: 自己責任「当時なにが起こったのか?」
あなたが行動を決めた瞬間、どんなことを探していたかに関して、
誰に、何を知ってもらいたいですか?
Phase 3: 合意された行為「私たちは次になにをしたいのか?」
あなたは、次にどんなことが起こるのを見たいですか?
Restorative Circles のファシリテーターの問いは、
お互いに奥底にある本当に伝えたい意味を、
確実に伝え、受け取られるようにサポートする
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リフレクシヴ・ポジション
私の役割や立場、前提となる考えや態度・話し方は、相手との関係性において、
相手にどんな位置付けを要請しているだろうか?
• 自分の意見は、相手にどのように影響するのだろうか?
• 相手はそうじゃないかもしれない。自分とは違う考えの人がいるかもしれない。
• その人の立場になったとき、自分の言葉は、どう聞こえるのだろうか?
• ファシリテーターは人間である以上、中立(impartial)ではありえな
い。
• また、調停やサークルにおいて、ファシリテーターが当事者から距離
をおいて、第三者として関わることはできない。
まさに、その“場”が新しい社会を創造し体現する場所となる。
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Facilitator がやること
72
Facilitator
1. 会話と意味をトラックする
話されていることの奥にある意味に注意を向けて、
頭と心身のなかに記憶しておく
※特に未完了の会話や心が動いていた会話に注目する
2. 翻訳する
表面的な言葉のやりとりだけで全部、または一部の対話が
終わってしまった場合、深いところにある意味に翻訳する
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Circle での対話
73
Facilitator
Speaker Listener
いいえ
誰に、何を知ってほしいですか?
彼女がなんて言ったのを聞きましたか?
伝えたかったことは今のことですか?
(はいの場合)もっと他にありますか?
※いいえの場合、大抵は、より正確で深い意味がさらに追加で語られます。
はい
or
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Post-
Circle
Post-Circle
1. アクション・プランやそれがもたらした結果に関連して、
いま、あなたがどのような状態かということについて、
あなたは、誰に、何を知ってもらいたいですか?
 何があったのか?
 どんな意味があったのか?
2. 合意したアクション・プランがもたらした結果に関して、
私たちはどれくらい満足しているのか?
3. 満足している場合は、祝福する!
不満がある場合は、新しいアクション・プランをつくって、
次回のポストサークルを設定する
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コミュニティに向かって歩み寄って行く
75
コンフリクトはコミュニティを理解し発展させる入口である
意味を一緒に創り上げていくなかでコミュニティに近づいていく
自分の行為が他の人にどんな影響を与えたのかについて、
直接的なフィードバックを得て、お互いの痛みを聴き合った時、
つながりはつくられて深まっていく
お互いの生命が織り合わさっていて、
コミュニティのなかで、私たちは一体なのだと実感していく
コンフリクトに歩み寄って行くこと
➡コミュニティに歩み寄って行くこと
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76
Two Loops Model
マーガレット・ウィートリーとベルカナ研究所
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システムとは?
77
システムとは…
相互に影響を及ぼし合う要素から構成される、
まとまりや仕組みの全体のことをいう。
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78
機械的システムと生命体的システム
生命体的システム
機械的システム
 明確に定義された部位とその役割があり、
予測可能な結果をもたらすと捉える
 故障したら、壊れたパーツを修理したり、
交換することで定義された機能を取り戻す
 外科手術では悪い臓器・部位が切除される
 社会では“不適切”とみなされた者は、
教育されたり、治療されたり、排除される
 常に多様性を求めて、新しい可能性
にひらいた新しい関係性を求める
 環境に応じて変化していくことで、
その場、その瞬間に必要な機能を、
創発的に産み出していく
 すべての資源を活用して、試行する
ことで可能性を切り拓いていく
バクテリアはコロニーを形成する
ある種のシロアリは、
一定温度に保つ空調システムを完備した
アリ塚を建造する
人間は自己組織化する
自己という存在、家族、TEAL組織
どのようなシステムとして行動をしていくかによって
世界や私たちをどのようなものとして見るのかが変わってくる
そして、どのような世界観を持っているかによって
私たちの行動はちがってくる
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79
2ループスモデル
11種類のリーダーシップ
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80
個人・対人・社会はつながっている
コミュニティ
グループ
対人
個人
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This work is based on the work of Donald McMenamin.
81
生命の輪
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82
システムが出現してくると
私たちは機能するモノの世話役を担う
動いているシステム
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83
影響力のピークにおいて、私たちは選択することができます
ものごとが永遠に変わらず持続していくという仮定するのか
あるいは
避けることができない終焉の時に備えて計画を立てるのか
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84
ものごとの移り変わりに沿って
私たちはうまく看取れるようになる必要がある
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生命的システムの終わりにおいて
古いシステムは新しいシステムの糧になる
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古いシステムのさなかに
新しい実践が出現する
生まれくるシステム
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イノベーターたちがつながり智慧を共有しはじめると
新しいシステムが出現する
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参加者同士が信頼し合い、共に取り組むことで
システムは持続可能になる
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システムが安定してはじめて
人々が古いシステムから新しいシステムに移行する
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90
ホスピスとコンポストの重要性
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パートナーシップを獲得する
私 が 立 っ て い る 場 所 は ど こ だ ろ う か ?
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92
協力者を増やす
影 響 力 の 中 心 に 近 い 協 力 者 を 増 や し て い く
システムは
たくさんの柱によって
支えられている
ひとつの柱は
たくさんの層によって
強固になっている
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積極的な協力者
受動的な協力者
どちらでもない
受動的な反対者
積極的な反対者
協力者のスペクトラム
協力者を増やす
影 響 力 の 中 心 に 近 い 協 力 者 を 増 や し て い く
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関心 関心
資源 資源
パワーは関係性に基づく
関 心 と 資 源 の 交 換 で 成 り 立 つ
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Q&A
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97
おわり

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RCJ_20220825「出現する未来のために紛争を十全に花咲かす」.pptx

  • 1. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 出現する未来のために紛争を十全に花咲かす + システムのなかでセルフ・リーダーシップを発揮するヒント + Restorative Circles Japan NVC大学 2022.08.25 長田誠司 s a g e @ re s t o ra t i v e c i rc l e s . j p
  • 2. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) システムとは? 1 システムとは… 相互に影響を及ぼし合う要素から構成される、 まとまりや仕組みの全体のことをいう。
  • 3. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) エッジ効果 2 2つの異なる環境が接するフチ=エッジに 多様性が豊かな生態系が生まれること 海と陸が出会う 「サンゴ礁」 「マングローブの森」 水と土が出会う「池」
  • 4. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 支配構造 3 1. 自己の抑圧 「感情/身体感覚」や「価値観/意味」を否定する 2. 官僚ことば amtssp r ach e 「組織の決まりだから…」「上司の命令だから…」「〜しなければならない」 といった選択の自由(≒責任)を否定する言葉をナチスの官僚が表現したもの 3. 道徳的判断・評価 「診断」してレッテルを貼る 非人格化 d e - h u m a n i z e :人間を一生変わることのない「モノ」にする 4. 「何に値するか」という概念 個人の行動を「アメ」と「ムチ」に結び付ける さらに行動と存在が混同されると・・・ 「善い」人間と「悪い」人間 ➙ 生命には価値の差がある ➙ 暴力を容易にする (参考)神学者/文化人類学者のウォルター・ウィンクによると、 約5,000年前、メソポタミアの王が誕生した頃に善悪を分ける言葉が生まれた ひとくくりにしてしまう描写 t o t a l i z i n g l a n g u a g e ストーリーに押し込める 役割に沿った行動を規定する 思考停止 責任回避 役割を強化する 疑問の余地を削っていく
  • 5. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 「対立」とは何だろうか? 4
  • 6. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 5 いろいろなコンフリクトの定義 1. 当事者が複数の個人または集団である 2. 当事者が同時に満たせない目的を求めている 3. 当事者が互いに2があることを認識している 1. 人と人とが譲ることなく対立すること。 争い。もつれ。 2. 心の中に相反する欲求が同時に起こり、 そのどちらを選ぶか迷うこと。 自分たちが望むほどには、情報とエネルギーが交 換されていない状態
  • 7. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 6 修復的(Restorative)とは? 機械系 生態系 故障したら壊れたパーツを交換したり 修理することで特定の機能を取り戻す 外科手術では悪い部分は取り除かれる 私たちの社会では「悪い部分」は、 どのように扱われているだろうか? 全体が変化していくことで 環境に応じた機能を産み出していく いま、ここにある資源を活かす 私たちは「悪い部分」から何を学び、 どのように変化していきたいか?
  • 8. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 7 問われること • どの法やルールが犯されたのか? • 誰がやったのか? • 彼らはどんな罰に値するのか? ➡支配構造とパワーを維持する 報復的司法(Retributive Justice) 秩序を回復する だれがパワーを 握っているのか?
  • 9. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 本質主義的理解 • 困っている本人が「問題」とされてしまう • いちばんケアやサポートを必要としている本人に疎外感・孤立感を生む • 対処療法的な解決から生み出さない • 罰が正当化される 「問題」が当事者に限定される 8 欠陥思考 個人のなかに「問題」が内在していると考えること • 本人もまわりもあきらめや無力感を抱く • 専門家への依存が増す
  • 10. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 善悪の判断や相手への非難は対立をめぐって当事者の周り にごく密接に絡みあっているため、何が起こったのか、ま たは何が起こる可能性があったのかについて、他の記述の 余地などまったく無いように見える。 これは、複雑な状況をひとつの状況の、またはその状況に いる人の完璧な要約であるとする描写でひとくくりにして しまうものである。 Winslade & Monk, 1999 9 『ひとくくりにしてしまう描写 』 ナラティヴ・アプローチでの概念 そうではない側面が見えなくなる
  • 11. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 10 問われること • だれが傷ついたのか? • なにが彼らには必要なのか? • だれにその義務や責任があるのか? • この状況の中でだれが利害を持っているのか? • 解決を見つけるために利害関係者ができることは? 修復的司法(Restorative Justice) 見えづらくなった関係性を修復する 自分とのつながり/相手とのつながり/コミュニティとしてのつながり
  • 12. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 11 「コンフリクト」はメッセージ 新着メールがあります! 「コンフリクト」は 解決する必要がある“問題”ではなく 理解する必要がある現象である あなたの人生は 変更されました あなたの関係性は 更新されました 世界は 変化しました D o minic Ba rt er
  • 13. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 12 “新しい未来”が出現しようとしている Volatility …….. 変動性 Uncertainty … 不確実性 Complexity …. 複雑性 Ambiguity …… 曖昧性 Chamos 【崩壊】 Chaos 【混沌】 Order 【秩序】 Control 【統制】 Stifling Control 【強制】 効率化 やるべきことが はっきりしている マニュアル化 管理・指示 イノベーション ゴールが たえず動いている Chaordic Path ケイオディックパス Dee Hock
  • 14. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 13 クネビンフレームワーク 問題解決方法の分類 システムの種類 要素の因果関係 解決のプロセス 最適な実践方法 自明な Obvious 誰が見ても すぐにわかる 知覚⇒分類⇒対応 完璧な実践 込み入った Complicated 専門知識と分析 によってわかる 知覚⇒分析⇒対応 最善の実践 複雑な Complex 事後的にわかる 探査⇒知覚⇒対応 創発的な実践 カオス Chaotic 因果関係がない 行動⇒知覚⇒対応 奇抜な実践 無秩序 Disorder なにがなんだか わからない ??⇒??⇒?? ????? Dave Snowden, 2004 クネビン[ウェールズ語:Cynefin] ⇒ 「自分では気付かないものの人間はさまざまな要素の影響下にある」という意味
  • 15. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 14 平和とは 「コンフリクト」がない状態ではなく 「コンフリクト」に応答する 創造的な方法がある状態です。 消極的な応答でも、 攻撃的な応答でもなく、暴力でもなく、 それらにとって代わる 創造的な方法がある状態です。 D o ro t h y T h o m p s o n
  • 16. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 17 「コンフリクト」の最中には 私たちに何が起こっているのか
  • 17. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 日常のコミュニケーション 話すということ、聴くということ 心・感覚 思考 話した内容 聴きとった内容 解読した内容・思考 心・感覚 誤解 勘違い 聞き違い 言語化できない うまく言えない 言いまちがい 非言語の表現と 言語の表現のずれ 思い込み 言いわすれ 18
  • 18. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) いつの間にか支配ゲームがはじまる 「よりパワーを握っているのは誰か?」「悪いのは誰だ?」 心・感覚 思考 話した内容 聴きとった内容 解読した内容・思考 心・感覚 誤解 勘違い 聞き違い 言語化できない うまく言えない 言いまちがい 非言語の表現と 言語の表現のずれ 思い込み 言いわすれ レッテル イライラ 悪者探し 決めつけ 怖れ 皮肉 否定 被害者意識 傷つき あきらめ さみしさ 怒り 痛み 敵のイメージ 傷つき 気まずさ ぎこちなさ 19
  • 19. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 「私」とは何者なのだろうか? 20 1. 公共の場でのあなたは、どんな人ですか? 2. 仕事場のあなたは、どんな人ですか? 3. ひとりの時のあなたは、どんな人ですか? 4. 家族の前でのあなたは、どんな人ですか? お母さんの前では?お父さんの前では? おばあちゃんの前では?おじいちゃんの前では? お兄ちゃん・お姉ちゃんの前では?妹・弟の前では? 5. こどもの頃、ともだちの前では? 幼稚園・保育園のころのともだちとは? 小学校のころのともだちとは?中学校のころのともだちとは? いまも会う当時のともだちの前では?
  • 20. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 「私」は確固たる一意なものではない? 21 「空気」を読む 築いてきた関係性 期待された役割 ストーリーの比喩 「私」というものは多様に語りうる スポっ! 私たちは文脈に応じて と非常にうまく役割にハマる パターン
  • 21. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) どの「私」もストーリーのひとつにすぎない 22 影響力の強い ストーリー 影 響 力 の 弱 い ス ト ー リ ー 影 響 力 の 弱 い ス ト ー リ ー エピソード(素材)が多いほどストーリーは多様に語れる エ ピ ソ ー ド
  • 22. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 「私」というストーリーを語る者 23 「私」 他者が私に語る「私」 私が他者に語る「私」 私が私に語る「私」 個々の語りを重ねて「私」のストーリーを分厚くしていく 社会が語る 「何か」 社会が語る 「何か」 社会が語る 「何か」 回数 語る者 聴く者
  • 23. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 「ストーリー」の性質 24 1. 結論とは関係のない話は省かれる 2. 原因は結論に向かって探し求められる 現在から過去へ 3. そうして特定された原因は未来を想像させる 過去から未来へ 4. 理路整然とした話が人に伝わっていく 5. 同じように何度も語られることで定着していく 「ストーリー」は推進力を持って未来を予測していく 自分のイメージを変えることの難しさ 相手に対して持っているイメージを変えることの難しさ 他 者 だ け で な く 自 分 で も そ う 思 っ て し ま う
  • 24. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) よい意図が出てくるのを妨げられている 25 いったん役割にハマってしまうと それを無視して自由に行動できない ひとくくりにしてしまう描写 レッテル / イメージ 過剰に適応する 手段の選択肢がない こうするしかなかった ◯◯とはこういうものだ 動機が外側にある ◯◯しないといけない ちがった手段を選択している お手本・モデルがいない 「空気」を読む必要 関係性 パターン 期待される役割 慣例・慣習 社会構造 成り行き・文脈 一様な文化・体質 自分の内側の動機から切り離されて行動していると よい意図があることすら忘れてしまう 信念が限定されている 思い込みがある 羞恥心・罪悪感・義務感 恐れから行動させられる
  • 25. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 「対立」のなかでは声は受け取られない 26 Aさんのリアリティ Bさんのリアリティ お互いに「被害者」の立場から 相手のパワーを見てしまいがち お互いに自分や相手をイメージにあてはめてしまうと 声をあげても受け取る人がいない状態になってしまう
  • 26. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 支配構造 27 1. 自己の抑圧 「感情/身体感覚」や「価値観/意味」を否定する 2. 官僚ことば amtssp r ach e 「組織の決まりだから…」「上司の命令だから…」「〜しなければならない」 といった選択の自由(≒責任)を否定する言葉をナチスの官僚が表現したもの 3. 道徳的判断・評価 「診断」してレッテルを貼る 非人格化 d e - h u m a n i z e :人間を一生変わることのない「モノ」にする 4. 「何に値するか」という概念 個人の行動を「アメ」と「ムチ」に結び付ける さらに行動と存在が混同されると・・・ 「善い」人間と「悪い」人間 ➙ 生命には価値の差がある ➙ 暴力を容易にする (参考)神学者/文化人類学者のウォルター・ウィンクによると、 約5,000年前、メソポタミアの王が誕生した頃に善悪を分ける言葉が生まれた ひとくくりにしてしまう描写 t o t a l i z i n g l a n g u a g e ストーリーに押し込める 役割に沿った行動を規定する 思考停止 責任回避 役割を強化する 疑問の余地を削っていく
  • 27. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 28 神経科学的な観点
  • 28. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 扁桃体 前頭前野中央部 海馬 大脳皮質 脳幹 前頭前野 中央部 大脳辺縁系: 脳のハンドモデル 29 理性脳:ヒト 情動脳:哺乳類 反射脳:爬虫類
  • 29. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 「安全である」vs「安全でない」 30 心的危機状態 心的安全状態 ストレス正常 ストレス過剰 思い描いた行動を 誘導できる確率が高い 思い描いた行動を 誘導できる確率が低い DMPFC • 現実性を検証する • 誤りを監視する DLPFC • 注意や思考を トップダウン誘導する rlPFC • 不適切な行動を 抑制する vmPFC • 感情を調整する 情動的な結びつき 情動的な習慣 ボトムアップ 注意喚起 前頭前皮質の 誘導が失われる ト ッ プ ダ ウ ン 誘 導 ボ ト ム ア ッ プ 誘 導 ヒトが意識的に行う高次機能 意識以前に起こる自動的な反応
  • 30. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) ポリヴェーガル理論 31 社会神経系 交感神経系 副交感神経系 覚醒度合 思考:機能不全、非現実的 感情:過覚醒(ストレス、不安、不機嫌、憂鬱、怒り) 行動:防御的、攻撃的、破壊的 逃走-闘争モード 思考:オープン、明晰、柔軟、現実的、理性的、創造的 感情:幅広い感情(愛、幸せ、怒り、嘆き、哀しみ) 行動:他者と友好的に関与する、柔軟な対応ができる 思考:非現実的、非理性的 感情:無感覚(憂鬱、絶望、乖離) 行動:シャットダウン、引きこもり、無気力 硬直-失神モード 社会友好モード 脅威 恐怖 安全
  • 31. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 社会友好モードに戻っていくきっかけ 32 -Amy 落ち着く 安心感 OXT 愛 感謝 5-HT 気分爽快 開放感 β-EN 快感 気持ちいい あなたにとって、これらの感情をもたらしてくれる存在は? 扁桃体を鎮める オキシトシン セロトニン βエンドルフィン
  • 32. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 33 リストラティヴサークル
  • 33. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 34 Dominic Barter(右) Restorative Circles の生い立ち RCは、イギリス・北ロンドン出身の Dominic Barter によって、ブラジル・リオデジャネイロのスラム街での 試行錯誤のなかから生まれました。 絵ハガキで見た通りの生命の躍動が光輝くような美 しさに心を打たれる一方で、ブラジル社会の貧富のひど い格差、犯罪や殺人・暴力などの構造的な問題に大きな ショックを受けたことがきっかけでした。 「危ない!やめろ!」という周囲の声よりも、自分の なかで大きくなっていく声に突き動かされるように、 Dominic はドラッグ・ギャングが支配しているスラム街 にひとりで入って行き、住民やギャングと対話を数年間 に渡って重ねました。 その対話のプロセスなかで見つけたパターンからできることを試し、多くの失敗を重ねるなかで、 うまくいったものを経験的に体系化していったものが Restorative Circles と名付けられました。 ドラッグギャングへの対応に困っていたブラジルの司法省に注目され国内のプロジェクトを展開 し成功をおさめました。現在、全世界27か国に拡がり各地のコミュニティで実践され発展しています。
  • 34. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 35
  • 35. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 36 Rio de Janeiro
  • 36. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 37 Rocinha
  • 37. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 38 Kids Gang
  • 38. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 39 Drug War in Rio de Janeiro
  • 39. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) コミュニティの人々が一緒につくり 一緒に維持・改善していくシステム 40 合意 空間 サポート アクセス 情報 Restorative Circles とは? コンフリクト(対立・葛藤)に コミュニティの人々が十全に応答し 全体が変化していくプロセス Post- Circle Circle Pre- Circle Pre- Circle Pre- Circle Initiate 背景となるモノの見方や理論
  • 40. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 41 リストラティヴ・サークル 背景となるモノの見方や理論
  • 41. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) アムステルダムの路地裏で 42 カップルがケンカをしていた。 お互いの顔に息がぶつかるほど近くで叫んでいた。 背後の壁に阻まれて離れることもできず、 彼らの口論はエスカレートしていった。 男の声は大きくなり、女の声はさらに大きくなった。 そして、男はそれよりももっと大きな声で叫び、 女も負けじと大きな声で叫び続けた。
  • 42. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) あげられた声が受け取られることの大切さ 43 声が大きくなっていったのは、 心の距離が離れていったのを埋めようとした結果では? 自分の言ったことが相手に伝わらないと感じると、人は声を大きくしていく。 理解されないと、喉は切り裂けるほどにまでボリュームを最大限に上げて叫ぶ。 もうこれ以上、声を張り上げられなくなったとき、暴力を振るうのではないか? 聴くこと・理解することが暴力を減衰させるのではないか? 上記のことが正しいとしたら、人の暴力に歩み寄っていき、 その相手を聴き・理解することで、ボリュームを下げられるのではないか? コトバにとって(そして必然的に、人にとって) 応答がないことほど恐ろしいことはない M i k h a i l B a k h t i n D o m i n i c B a r t e r の仮説
  • 43. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 聴くときに知っている役に立つこと 44 人は十分に聴いてもらえるまで、他の人の話を聴くことができない • 多くの言葉を交わしていても、頭の中が言いたいことでいっぱいになっていたり、 不安でいっぱいだったり、パニックだったり、焦っていたりしたら、相手が発した ことばを受け取ることはできない • このようになんらかのストレスがあることによって心的に危機状態にあるとき、 私たちの神経は「逃走-闘争モード」や「硬直-失神モード」の状態にあるので、 身体の物理的能力として、耳は聞こえにくくなり、視界は狭くなる 話を共感的に聴いていると、相手が怒ることがある • それは「お願いだから、もっと聴いて!私と一緒にいて私の声を聴いて!」という 声の悲劇的な表現かもしれない。 • あなたが「これですか?」と示した感情やニーズがあっていても、「それではな い!」といいたいときもある。 • あるいは、あなたがこころの懐中電灯で照らした箇所を「そこじゃない!こっち だ!」と、照らし直してくれているのかもしれない。 「理解すること」と「同意すること」は同じではない
  • 44. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 「聴く」のはコトバだけではない 45 「人が話していることを聴くこと」と「その人を聴くこと」は違う • 人間のすべての行動・言動はニーズを満たす試みである • 表現されたことばの辞書通りの意味だけではなく、 そのことばを発している人が表現している奥底の意味(価値観や感情)を聴く • その人が身体全体のエネルギーで表現しようとしているものはなんだろうか? • 表情で、仕草で、動きで、姿勢で、視線で、雰囲気で、なにを伝えようとしている のだろうか? 共感が深まってくると、その場に、美しい静けさが訪れる • この瞑想的な「美しい静けさ」がひとつの目安になる • コトバの数が増えたり、表現しているエネルギーが荒々しくなってきた場合には、 共感が向かうのは、そっちではないという合図・フィードバックとしてみなせる コトバを使わなくても共感できる • 自分の存在と相手の存在は共鳴するので、同じ場にいて、自分が深いところにつな がっていると、相手も深いところにつながる土壌がつくられる • 静かなる共感 Silent Empathy
  • 45. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 46 リストラティヴ・サークル ナラティヴ・アプローチ的な観点
  • 46. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 希望を掘り当てる考古学 真実は存在しない ただ真実だとする解釈があるのみ ミシェル・フーコー まだ語られたことのない”希望”の物語は、 どこに埋まっているだろうか? http://ngm.nationalgeographic.com/2015/10/lost-city/preston-text
  • 47. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 48 “現実“も物語のひとつにすぎない
  • 48. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) まだ語られていない体験を探し出す • 私たちは、ものごとを語るときに、 その場の文脈を無視して語ることができない • その文脈は使用できる言葉を限定して、 私たちの語りを形づくる 「加害者」「被害者」 • どのような物語であっても体験や人間関係の 複雑さを包括することはできない • その人に「まだ語られていない体験や意味」 を語ってもらうには、私たちを異なる文脈に 招き入れる必要がある 多様に語られた意味は対立を変容する素材になる 一様な文化 ➡ 多様なもの・異なるものを受け入れる文化 49 ➡ Omni-Partiality ➡
  • 49. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 50 「対立」における立ち位置 一般的な視点 ナラティヴのまなざし 誰かが”問題”なのであり、その”問題”が「対立」の原因になっている 「対立」の最中にいる人たちは”問題”に困らされている 人が問題なのではない。問題が問題なのだ。 “問題” あなた vs 私 ”問題” vs 私たち ラ ベ ル ラ ベ ル 価値観 意味 価値観 意味 価値観 価値観のレベルでは対立はない 「対立」は手段のレベルで起こる 意味
  • 50. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 51 リストラティヴ・サークル システム
  • 51. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 52 コミュニティを特定する • コミュニティとは、リソースとリスクを共有する人たちのこと 警察 ギャング 住民 先生 生徒 ギャング 住民 警察 生徒 先生 ス ラ ム 街 学 校 こっちで 合意することが とても大切!
  • 52. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 53 システム変革 システムに対する盲目さ 理想とする意識や状態を 自動的につくり出せるように システムを変革する 私たちが選択したわけでもないのに多くのシステムは生まれたときから存在している 私たちには、それらのシステムが見えていないかもしれない
  • 53. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 54 リストラティヴ・システムをつくる コミュニティの人々が一緒につくり、一緒に維持していく 合意 空間 サポート アクセス 情報 コンフリクトに応答するひとつの選択肢として、リストラティヴ・ アプローチを用いることに、コミュニティとして合意する コミュニティでの象徴的な意味、快適さや気楽さ、騒音や他の邪魔 が入らないことに配慮し、サークルの場を開く空間を選定する 意図を共有し、トレーニングをし、サポートすることで、 リストラティヴ・プロセスを実践するために必要な人々を育む リストラティヴ・プロセスに関する情報が広く伝わるように、 コミュニティにおける最適な方法で広告・掲示する コミュニティ内の誰でもが他からの制約を受けず、自らの意思で、 リストラティヴ・プロセスを容易に開始できる手段を発展させる
  • 54. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) コンフリクトは自然なこと ファイトルームはどこに? 私たちは、人間として、お腹が空くし、栄養を取る必 要があると知っているので、すべての家にはなんらか のかたちでキッチンがある。 私たちは、休息を取る必要があると知っているので、 すべての家には、何らかのかたちで寝室がある。 コンフリクトは日常に自然にあって調整を必要として いるのに、建設的なやり方で対立する場所がどこにも ないのはなぜだろう? ファイトルームをつくろう! 55
  • 55. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 56 Restorative Systems
  • 56. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 57 リストラティヴ・システムの階層 すべてのコンフリクトをサークルで扱う必要はない コミュニティ グループ 対人 個人 自己 共感 共感 調停 RC
  • 57. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 58 リストラティヴ・システムの概要例 1/2 完全なリストラティヴ・システムは、それぞれの修復的実践がどのように機能するのかに関して、具体的な合意事項をよ り詳細に記述します。(つまり、「リストラティブ・サークルを開始するには、どうしたらいいのか?」「サークルのプ ロセスを誰がファシリテートするのかを、どのように決めるのか?」など) 原則 1. 他の人との緊張状態や争いがあることに気づいた際、対話をして、その人たちとのつながりを取り戻 そうとすることを、私たちは目指します。また同時に、いつ、どのように対話をするかに関して、す べての人の自由な選択をサポートします。 2. つながりの循環を疎外するような何かに気づいた際、たとえ過ちを犯すことになったとしても、なに もしないより表現することを、私たちは目指します。困難な時でさえ、いま目の前にあるものを言葉 に表してみること、そして、より意識的な気づきに近づく手段として、ごちゃごちゃとしたままで、 その中に飛び込んでみることを、私たちは目指します。 3. 自分のことを犠牲にして他の人を自動的にケアしてしまうのではなく、自分を表現する時も、他の人 のことを聴く時も、どちらの場合でも、自分自身につながることを最優先にすることを、私たちは目 指します。 4. 私たち自身や他の人の表現や行動の奥にある私たちの誰もが持つ人間性や根底にあるニーズに目を向 けて耳を傾けること、自己責任を実践すること、そして、すべての人のウェルビーイング(幸せ、健 やかさ)を持続することを、私たちは目指します。 5. 難しい対話をする際にサポートをもらうこと、そして、他の人たちの対話をサポートするために自分 たちを対応できるようにしておくことを、私たちは目指します。
  • 58. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 59 リストラティヴ・システムの概要例 2/2 実践 1. 自分自身とのつながり:個々の人々は、緊張状態や争いを経験している時に、内面で起こっているこ とへの明確さを見い出したり、自分の痛みを変容したり、自己責任を育み養ったりするための手段と して、自分自身とつながったり、自分のことを認識したり、自分に共感したりすることに対する自分 の許容力を発展させることができます。 共感的に聴くこと:個々の人々は、共感的に聴くことを申 し出ることで、緊張状態や争いを経験している人々が自分自身とのつながりや内的な明瞭さ、自己責 任を見い出すことを助けて、彼らをサポートできます。 2. 意識的な対話:緊張状態や争いを経験している二人以上の人たちは、お互いに直接的な対話を持つこ とができます。そこでは、共感的に相手を聴き、自己責任を持って自分を表現して、お互いにより完 全に理解し合うこと、そして、つながりや信頼を回復することを探求します。 3. 調停:第三者のファシリテーターは、二人以上の人たちの間での意識的な対話をサポートできます。 和解をサポートするために、必要に応じて自分の存在を提供して、静かに見守ったり、積極的なファ シリテーションをしたりします。 4. リストラティブ・サークル:争いがもっと激しい場合や多くの人々に関連がある場合、つながりや信 頼を回復するためにコミュニティが運用するプロセスであるリストラティブ・サークルを誰かが開始 することができます。争いの激しさ、そして、使える時間や得られるファシリテーションのサポート の度合いによって、サークルにはファシリテーションが入ったプレサークルやポストサークルが含ま れることもあります。
  • 59. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) システムの世代交代 1. 新しいシステムを創造する 2. 新しいシステムのサイクルを動かす 3. 新旧のシステムが共存して機能する 4. 新しいシステムがよく機能するようになった時、 古いシステムは静かに寿命を終える 小さくてもいいから新しいシステムを創ろう! システム変革の意味 社会変革には、各個人の意識の変容が必要 システムは、その変容をサポートできる 64 動き出したシステムは止まらない
  • 60. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) Dream Justice System 65 3つの問い 1. あなたの家庭、組織、コミュニティでは、どのよ うにコンフリクトを扱っていますか? 2. コンフリクトの扱い方で、うまくいっているもの/ うまくいっていないものはどんなものですか? 3. コンフリクトを理想的に扱っていける夢のような システムが目の前にある時、どんな特徴がありま すか?どんな質や価値が大切にされますか?
  • 61. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 66 リストラティヴ・サークル プロセス
  • 62. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) リストラティブ・サークルのプロセスにはステージが3つある 67 リストラティブ・サークル Post-Circle Circle Pre-Circle Pre-Circle Pre-Circle Receiver(s) Author(s) Conflict Community Initiate
  • 63. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) Pre-Circle 68 Pre-Circle 1. 象徴的な行為を明確に特定する Initiator に対して: 「あなたがリストラティブ・サークルに持ち込みたいと思ったのは、 どんな言動や行為があったからですか?」 他の参加者に対して: 「あなたがリストラティブ・サークルに招かれることになったのは、 どんな言動や行為があったからですか?」 2. その言動や行為は、どんな意味があったのか?(Empathy) 3. 解決するためには、誰がサークルにいる必要があるか? 4. この後のプロセスについて明確にする 5. 先に進みたいか?
  • 64. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) Circle Circle 69 Phase 1: 相互理解「私たちはいまどうなのか?」 行為やそれがもたらしたものに関連して、 いまこの瞬間、あなたはどのような状態かということについて、 誰に、何を知ってもらいたいですか? Phase 2: 自己責任「当時なにが起こったのか?」 あなたが行動を決めた瞬間、どんなことを探していたかに関して、 誰に、何を知ってもらいたいですか? Phase 3: 合意された行為「私たちは次になにをしたいのか?」 あなたは、次にどんなことが起こるのを見たいですか? Restorative Circles のファシリテーターの問いは、 お互いに奥底にある本当に伝えたい意味を、 確実に伝え、受け取られるようにサポートする
  • 65. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 71 リフレクシヴ・ポジション 私の役割や立場、前提となる考えや態度・話し方は、相手との関係性において、 相手にどんな位置付けを要請しているだろうか? • 自分の意見は、相手にどのように影響するのだろうか? • 相手はそうじゃないかもしれない。自分とは違う考えの人がいるかもしれない。 • その人の立場になったとき、自分の言葉は、どう聞こえるのだろうか? • ファシリテーターは人間である以上、中立(impartial)ではありえな い。 • また、調停やサークルにおいて、ファシリテーターが当事者から距離 をおいて、第三者として関わることはできない。 まさに、その“場”が新しい社会を創造し体現する場所となる。
  • 66. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) Facilitator がやること 72 Facilitator 1. 会話と意味をトラックする 話されていることの奥にある意味に注意を向けて、 頭と心身のなかに記憶しておく ※特に未完了の会話や心が動いていた会話に注目する 2. 翻訳する 表面的な言葉のやりとりだけで全部、または一部の対話が 終わってしまった場合、深いところにある意味に翻訳する
  • 67. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) Circle での対話 73 Facilitator Speaker Listener いいえ 誰に、何を知ってほしいですか? 彼女がなんて言ったのを聞きましたか? 伝えたかったことは今のことですか? (はいの場合)もっと他にありますか? ※いいえの場合、大抵は、より正確で深い意味がさらに追加で語られます。 はい or
  • 68. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) 74 Post- Circle Post-Circle 1. アクション・プランやそれがもたらした結果に関連して、 いま、あなたがどのような状態かということについて、 あなたは、誰に、何を知ってもらいたいですか?  何があったのか?  どんな意味があったのか? 2. 合意したアクション・プランがもたらした結果に関して、 私たちはどれくらい満足しているのか? 3. 満足している場合は、祝福する! 不満がある場合は、新しいアクション・プランをつくって、 次回のポストサークルを設定する
  • 69. Restorative Circles Japan © 2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp based on the work of Dominic Barter (restorativecircles.org) コミュニティに向かって歩み寄って行く 75 コンフリクトはコミュニティを理解し発展させる入口である 意味を一緒に創り上げていくなかでコミュニティに近づいていく 自分の行為が他の人にどんな影響を与えたのかについて、 直接的なフィードバックを得て、お互いの痛みを聴き合った時、 つながりはつくられて深まっていく お互いの生命が織り合わさっていて、 コミュニティのなかで、私たちは一体なのだと実感していく コンフリクトに歩み寄って行くこと ➡コミュニティに歩み寄って行くこと
  • 70. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 76 Two Loops Model マーガレット・ウィートリーとベルカナ研究所
  • 71. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) システムとは? 77 システムとは… 相互に影響を及ぼし合う要素から構成される、 まとまりや仕組みの全体のことをいう。
  • 72. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 78 機械的システムと生命体的システム 生命体的システム 機械的システム  明確に定義された部位とその役割があり、 予測可能な結果をもたらすと捉える  故障したら、壊れたパーツを修理したり、 交換することで定義された機能を取り戻す  外科手術では悪い臓器・部位が切除される  社会では“不適切”とみなされた者は、 教育されたり、治療されたり、排除される  常に多様性を求めて、新しい可能性 にひらいた新しい関係性を求める  環境に応じて変化していくことで、 その場、その瞬間に必要な機能を、 創発的に産み出していく  すべての資源を活用して、試行する ことで可能性を切り拓いていく バクテリアはコロニーを形成する ある種のシロアリは、 一定温度に保つ空調システムを完備した アリ塚を建造する 人間は自己組織化する 自己という存在、家族、TEAL組織 どのようなシステムとして行動をしていくかによって 世界や私たちをどのようなものとして見るのかが変わってくる そして、どのような世界観を持っているかによって 私たちの行動はちがってくる
  • 73. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 79 2ループスモデル 11種類のリーダーシップ
  • 74. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 80 個人・対人・社会はつながっている コミュニティ グループ 対人 個人
  • 75. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp This work is based on the work of Donald McMenamin. 81 生命の輪
  • 76. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 82 システムが出現してくると 私たちは機能するモノの世話役を担う 動いているシステム
  • 77. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 83 影響力のピークにおいて、私たちは選択することができます ものごとが永遠に変わらず持続していくという仮定するのか あるいは 避けることができない終焉の時に備えて計画を立てるのか
  • 78. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 84 ものごとの移り変わりに沿って 私たちはうまく看取れるようになる必要がある
  • 79. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 85 生命的システムの終わりにおいて 古いシステムは新しいシステムの糧になる
  • 80. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 86 古いシステムのさなかに 新しい実践が出現する 生まれくるシステム
  • 81. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 87 イノベーターたちがつながり智慧を共有しはじめると 新しいシステムが出現する
  • 82. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 88 参加者同士が信頼し合い、共に取り組むことで システムは持続可能になる
  • 83. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 89 システムが安定してはじめて 人々が古いシステムから新しいシステムに移行する
  • 84. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 90 ホスピスとコンポストの重要性
  • 85. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 91 パートナーシップを獲得する 私 が 立 っ て い る 場 所 は ど こ だ ろ う か ?
  • 86. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 92 協力者を増やす 影 響 力 の 中 心 に 近 い 協 力 者 を 増 や し て い く システムは たくさんの柱によって 支えられている ひとつの柱は たくさんの層によって 強固になっている
  • 87. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 93 積極的な協力者 受動的な協力者 どちらでもない 受動的な反対者 積極的な反対者 協力者のスペクトラム 協力者を増やす 影 響 力 の 中 心 に 近 い 協 力 者 を 増 や し て い く
  • 88. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 94 関心 関心 資源 資源 パワーは関係性に基づく 関 心 と 資 源 の 交 換 で 成 り 立 つ
  • 89. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 96 Q&A
  • 90. Restorative Circles Japan ©2018 Restorative Circles Japan All rights reserved. sage@restorativecircles.jp Please contact us if you would like to share with others ; ) 97 おわり

Editor's Notes

  1. これらを減らしていくことで、自分の人生のコントロールを取り戻していくということもできるわけです。
  2. 対立と聞くと、暴力的なもの、破壊的なものというイメージが浮かぶ方がほとんどだろうと思います。 危険だという身体の反応やいやだな〜という感覚を感じている方もいるかもしれません。 「対立」とは、なんなのか? ここで改めて見ていきたいと思います。
  3. 誰が「故障した」と決めるのか? どちらかが良い悪いというものではない。 目的に応じて、どちらも必要
  4. 司法というと裁判制度のような、ちょっと遠い感じがしますが、 これは日常のどこにでもあることです。 家庭でも、学校でも、友達同士の関係でも、どこにでもある。 正しい・間違っているという基準はパワーになる そして、外れた人たちを周辺へと押しやって排除してしまう可能性がある パワーをどのように使うかが大切 小さくされた側の声をどのように含むか?
  5. 監視・矯正・抑止の常態化 民主的な市民を育てられない
  6. 部分と全体という観点から見てみると、生命的システムはあらゆるスケールでフラクタルになっています。 生命的システムは、どの部分をとってみても、全体(whole)と似た特徴を持っていて、どの部分も全体の性質を持った集合(collection)になっています。 この特徴は機械的システムとはまったく異なります。 機械は、部品を取り替えることで機能を取り戻します。 しかし、部品は全体の特徴を備えてはいません。
  7. とはいえ、そう簡単なものでもないことは、みなさん経験上ご存知だと思います。
  8. 日常のコミュニケーションを見てみましょう。 誤解する・されるポイントがたくさんあります。 ここでストレスが起こりやすいわけです。
  9. マウンティングしたりすることなく、自分のパワーを取り戻すには、どうしたらいいのだろうか? さらに、相手のパワーを引き出したり、相手と一緒に未来を創造していくにはどうしたらいいのだろうか?
  10. 自分の生き方のモデルにしたいようなあこがれている人や思い出の人、夢や理想のエピソードなんかも含まれるかもしれない
  11. 多様な視点から多様に語れる それを積み重ねることで別のストーリーとして私を語れる
  12. ちがった文脈に招き入れる その役割の描写を多様にする 自分のなかの動機・よい意図とつながりなおす / よい意図があるのだということを何度も思い出す ということが大切になってくる
  13. これらを減らしていくことで、自分の人生のコントロールを取り戻していくということもできるわけです。
  14. 脳の構造は、大雑把に、こんな風になっています。 知っておいてほしいのは、大まかに「爬虫類・哺乳類」脳と「ヒト」脳の2層構造になっていること。 ここで、「爬虫類・哺乳類」などというととても野蛮な凶暴な歯止めが効かなくなるようなイメージもあるかもしれませんが、 この内側の脳は、生命を維持したり・守るための無意識的な賢さを持っている、とても重要でありがあたい脳です。 一方で、「ヒト」の部分は、霊長類にしかない脳で、意識的な高度な機能をいろいろと担っています。
  15. 誰か苦手な人の前や対立している相手の前で、なんだか自然に振る舞えないようなとき、その程度の差はあれ、ストレスがかかっているわけです。 ストレスがその時の自分の身体や心にとって、許容できる範囲にあれば、うまく対処できますが、 キャパを越えてしまって、あるいは、過去のトラウマなどと関連していて、心的に安全ではない状態だと右のような状態になります。 HUNGRY(空腹)、ANGRY(怒り)、LONELY(孤独)、TIRED(疲労)があると危機的状態になりやすくなります。 ここで大切なのは、「前頭前皮質の誘導が失われる」というところです。 2層ある脳のうち、「ヒトの脳」の誘導が失われるということです。 ヒトの脳は、左側の図に書いてある、こんな機能を持っています。 ・・・
  16. 逃げるか・闘うか反応とか、Fight-Flight反応とか言われている反応について聞いたことがある方もいると思いますが、先程のことは、この自律神経系の働きとも関連しています。 この働きは、最近では、ポリヴェーガル理論というのが提唱されていて、神経の覚醒度合に応じて、こんな3つの状態を行き来しているとされています。 闘争-闘争モードでは、実際に耳が聞こえなくなったり、視野が狭くなって、見えるものが少なくなります。 これは、目の前の危機状態を生き延びるための身体の知性であって、すべてのエネルギーや資源を最大限、生き延びるために使おうとするためにあります。 そして、闘争モードですから、これはだめだと逃げるまでは、なんとかして勝とうとするんです。 一方で、内側の脳は本当に生命の危機に直結しているような物理的に危険な状態と、冒頭の警察官の例のような心理的に危険な状態を区別できません。 なので、現代においては、誤作動しまくります。 社会生活を穏やかにスムーズに送るためには、本来なら、社会友好モードにいたいわけですが、誤作動しちゃうことが多々あります。どうすれば、友好モードにいるためには、あるいは、誤作動したときに、社会友好モードにもどっていくためには、どうなったらいいのでしょう?
  17. 私たちの自律神経系が社会友好モードにもどっていくときに分泌されるホルモン物質や現象は、このように気持ちとか感覚と結びついています。 落ち着く 安心感 綺麗な写真を見る / 静かな音楽を聴く / 鳥や虫の声、川のせせらぎ、雨の音など自然音を聴く 愛 感謝 ハグをする / 笑顔を向ける・向けられる なにかをやりきる / 炭酸を飲む / スポーツで激しく動く とか これらをもたらしてくれるものは、ひとそれぞれちがうので、自分にとって役立つものを見つけていく・収集して思い出せるようにしておくということが役に立ちます。 これは、アメリカ・ニューヨーク州にあるロチェスター大学附属のガンジー非暴力研究所の所長キット・ミラーからは、そういうものをメモに書いてポケットに入れておくといいよと教わりました。 彼女は、NVC を長いこと実践している方で、お子さんを亡くしたり、しんどいこともたくさん超えてきているんですが、彼女がポケットからメモを出して、見ている瞬間を何度か目撃して、本当にやってるんだと感心した覚えがあります。言ってることとやってることが、一貫してると素敵ですね。 ちょっと専門的なことなんですが、ホルモンが分泌されるような意識以前の反応を情動(emotion)といって、これは身体のなかで自動的に起こります。 一方で、それを認知したものを感情(feeling/affect)と呼んでいます。脳の動作や働く部位が、この2つの状態では異なります。
  18. 矢を花に変える
  19. 「理解すること」と「同意すること」は同じではない 「これは◯◯です。」 「そうですね。」
  20. さらに、私たち+問題によって、新しい未来を創造する
  21. いまからお見せするのは、どのように生命的システムが死んで、出現してくるのかを表したマップです。この生死のサイクルは、どのスケールでも起こります。 生命的システムは、ホログラフィックな質、フラクタルな質を持っているので、これは生命のマップにもなるし、家族のマップにもなるし、組織やコミュニティのマップにもなるし、惑星たちのマップにもなります。 このマップはタイムラインの場合もありますが、基本的にはタイムラインではありません。トポグラフィックなマップ、情勢を表したマップです。
  22. どのようなシステムとして捉えるかということは、どのように世界を見るかということである ここ100年余り、私たちは世界を機械的システムとしてみてきました。 この機械的な世界観では、すべての挙動が把握でき、予測できるというものでした。 しかし、違う見方があるということもわかってきました。 それがリビングシステム、生命的システムとしての見方です。 IFSで見たようにひとりの人間も、誰かとの関係性も、コミュニティも生命的システムで、機械とは違った挙動をします。
  23. 古いシステムが死んでいくとき、そこには途轍もない恐れがあるので、想像だにしなかった対立や抵抗があり、大きな揺り戻しがあります。 古いシステムが新しいシステムに移行していくためには、1)世話役、 2)シナリオ・プランニング、3)ホスピス、4)コンポスト、 5)イノベーター、6)ネットワーク、7)実践するコミュニティ、そして、8)影響力のあるシステムという8つのリーダーシップスキルのすべてが同時に必要となります。 というのも、古いシステムは依然としてここに存在していて、この既存のシステムはイノベーションをサポートしている。既存の構造は、十分に世話される必要がある。 イノベーターたちは、時に自分たちがそうしていると気づくことがあるけれども、古いシステムから離れていくからといって、それを壊しているのではありません。 古いシステムにおける恩恵が新しい形式や新しいフェーズで続いていくようにサポートを必要としているし、人々は古いシステムの意味やその深さに対峙したり、新しいシステムと対比することによって、大切なものを獲得していく必要があります。 新しいシステムを生み出しているイノベーターたちは、古い伝統的なシステムとのパートナーシップを必要とされます。そして、伝統的なシステムは、あなたが入り込んできた時に、面倒なことになることは望んでいない。 このホスピスとコンポストの実践は、これが実際に起きたときには、非常に美しいものだということを言っておきたい。 古いシステムを安心して死なせてあげる。起こっていることは、こういうことなんだという感覚を持たせた上で死なせてあげる。 コンポストという営みは、実際のところ、現実的なギフトだし、積極的な寛大さ・優しさなのです。 コンポストは完全に、すべてのものの糧となるのです。
  24. 何かが出現してきたとき、その世話ができるようにする必要があります。世話するという意味は、資源を供給するということです。 つまり、その永続的な成長や、世界に対するその持続的な影響力、そして、その継続的な貢献をサポートするということです。 なので、世話役を担うということは、必要なリーダーシップなのです。 ひとりの世話役が立ち上がり、複数の世話役が現れて、彼らは資源を維持・管理する人たちになります。
  25. システムがその影響力の極みに到達すると、まちがった感覚にとらわれはじめます。人によっては、この感覚がとても強いこともあります。 ここでの点線は、ここまで獲得してきたものが永遠に続くというあやまった考え・妄想を示しています。その他の可能性があるなんて想像だにできない状態です。 ここで情報に長けた賢い人たちは、シナリオ・プランニングをしはじめます。「いま、私たちは完全でもっともパワフルな瞬間にいる。ここで、どのような行動を取ろう?私たちがこの立ち位置を失ったとき、状況はどのように変化し、私たちはどのようにそれに応答していくだろうか?」 企業やその他の組織において、自分たちが思っているようには世界は変わらず続いていくわけではないと主張する人たちと自分たちに恩恵が得られない状況を歓迎できない人たちとの間での緊張を感じたり、緊張に気づきはじめるのはこの地点です。 図の破線で示された理想/思い込みと、現実の影響力が減衰していくことのギャップが広がっていきます。 このシナリオ・プランニングを意識せざるを得なくなる瞬間は、非常に重要な瞬間です。ここでのリーダーシップは、非常に重要です。
  26. ものごとが移り変わっていくと、いままで機能していたものが機能しなくなってくるので、システムが寿命を終えられるように看取る必要があります。 これは生まれ、死んでいく生命的システムのモデルです。機械的システムとして見ているモデルではありません。 機械的システムモデルでは、生命に対して機械的なアプローチをします。ある生命的システムが隆盛を極めて、そして衰退していくと、すでに効率が悪いわけですが、しかし、機械的システムそのものの有効性、あるいは、効率や成果を制御できるという見方をします。性能評価をしたりして、悪い箇所を突き止めて、そこを改善することで、以前のような性能を取り戻そうとします。 しかし、これは生命的システムで起こっていることではありません。 生命的システムでは、人間であれ、森であれ、組織のような人間が関連するどのようなものであれ、何かが死に逝こうとする時、その形を失ったり、何か他のものにその位置を取って代わられます。 上記で話したギャップがあるのに、自分を欺きながら生きていくのは大きな苦しみを生みます。ですから、現実を受け入れるために看取るということが必要になります。 システムが死んでいく時に必要なリーダーシップスキルは、看取るということです。
  27. 生命的システムが死んでいくときには、コンポストで落ち葉や腐敗した果実などが堆肥に変わるように、次への糧になる必要があります。 枯れたり落ちた植物や動物の死骸は分解されて、栄養になります。同様に、死んだシステムは、新しいシステムの糧になるのです。 これは、驚くべきリーダーシップの行動です。実際に、優雅で名誉ある行動です。
  28. あるシステムが死んでいく時、常に何かを引き継ぐ新しいシステムが生まれてきます。 新しいシステムが生まれ出てくる地点は、古いシステムが死んだところ(コンポスト)ではないということに注目してください。 新しいシステムは、イノベーターたちによって、古いシステムの外で、古いシステムが隆盛を極めている時に生まれてきます。 イノベーターたちは、システムの枠の外に出て、異なる実践を行いはじめます。 この新しい動きは、イノベーターたちがひとりで孤独にはじめることになります。 この領域における非常にパワフルなリーダシップは、この動きに名前をつけること(Naming)です。 名前が付くと、お互いにググれるようになります。 この名前をつけるというリーダシップは、私たちが構造や組織的な帰属を生み出す愛の衝動とつながりなおす(restore)方法なのです。 お互いを見出して、共に試行錯誤して、お互いから学んで、共に創造を重ねます。 この領域では、古いシステムでも、新しいシステムでも、すべてのことが下向きに進んでいくので、暗黒の時代とも言えます。 ここには、膨大な量の恐れがあるので、揺り戻しや抵抗などがあって逆戻りすることが多々あります。 この恐れがあるために、この領域においては、想像もしていなかったような対立や葛藤がが起こることもあります。 古いシステムには構造があり、リソースがあり、パワーがありますが、新しいシステムはそれらを持っていません。 新しいシステムの開拓者たちは、自分たちの実験をしていて、多くのものはうまくいかず失敗します。 というのも、そういったイノベーションは、既存のシステム構造の外側に歩みださないまま、そのシステムの枠内で生まれてくるものであり、 即興的に、その瞬間に、その時にだけ完全に機能する新しいシステムの欠片が生み出されているにすぎないからです。 しかし、その失敗のなかからうまくいくものが生き残ります。
  29. イノベーターたちは、お互いにお互いを見い出して、お互いにつながりはじめます。 ネットワークは、自分の個人的なニーズを満たすために、お互いにお互いを見つけることで形づくられます。 ネットワークは、人々がつながる場所なので、とても重要なリーダーシップの実践でもあります。 しかし、ネットワークだけでは、持続可能な影響力のある組織構造を生み出せません。単に個人的なニーズを満たすために集まるだけでは十分ではないのです。 このネットワークの真ん中になにかしら、個人的な興味よりも大きなものを置く必要があります。
  30. 何かを中心に置きつつネットワークが育ってくると、実践するコミュニテイが立ち上がってきます。 ネットワークの参加者同士が信頼し合い、共通の動機や目的のために一緒に取り組みをしていくと、システムは持続可能になっていきます。
  31. システムの生き死にのサイクルの最後には、新しいシステムが影響力を持つことになります。 新しいシステムが古いシステムに対して、新しい在り方を照らし出すことによって、影響力のあるシステムになります。 トランジションのところで、ほとんどすべての人が新しいシステムに移行することになります。 多くの人々に古いシステムから新しいシステムに来て欲しいのなら、自分の学んできたことに光を照らす必要があります。「これは役に立つし、実用的なんだ!」とストーリーを語る必要があります。 決定的な証拠やパワフルなストーリーによって光を照らして、人々が自ら進んで新しいシステムに移行したいと思えるようにする必要があります。
  32. 古いシステムが死んでいくとき、そこには途轍もない恐れがあるので、想像だにしなかった対立や抵抗があり、大きな揺り戻しがあります。 古いシステムが新しいシステムに移行していくためには、1)世話役、 2)シナリオ・プランニング、3)ホスピス、4)コンポスト、 5)イノベーター、6)ネットワーク、7)実践するコミュニティ、そして、8)影響力のあるシステムという8つのリーダーシップスキルのすべてが同時に必要となります。 というのも、古いシステムは依然としてここに存在していて、この既存のシステムはイノベーションをサポートしている。既存の構造は、十分に世話される必要がある。 イノベーターたちは、時に自分たちがそうしていると気づくことがあるけれども、古いシステムから離れていくからといって、それを壊しているのではありません。 古いシステムにおける恩恵が新しい形式や新しいフェーズで続いていくようにサポートを必要としているし、人々は古いシステムの意味やその深さに対峙したり、新しいシステムと対比することによって、大切なものを獲得していく必要があります。 新しいシステムを生み出しているイノベーターたちは、古い伝統的なシステムとのパートナーシップを必要とされます。そして、伝統的なシステムは、あなたが入り込んできた時に、面倒なことになることは望んでいない。 このホスピスとコンポストの実践は、これが実際に起きたときには、非常に美しいものだということを言っておきたい。 古いシステムを安心して死なせてあげる。起こっていることは、こういうことなんだという感覚を持たせた上で死なせてあげる。 コンポストという営みは、実際のところ、現実的なギフトだし、積極的な寛大さ・優しさなのです。 コンポストは完全に、すべてのものの糧となるのです。
  33. なにかシステムを思い浮かべて、自分が貢献をするのに最も快適に感じられる場所をシステム上で探してください。 唾を吐き合うのではなく、ギフトを与え合うということが大切になる。 それぞれがいる場所から、全体を見渡してみるように促して、こう問いかける。 「あなたがいる場所から、あなたが全体にもたらしているギフトは何でしょうか?」 世話役の人たちは、実践するコミュニティの人たちに伝えたいことがたくさんあります。 というのも、新旧システムで別々のふたつのカーブだけれども、本質的に、この2つの領域は同じものだからです。 また、つなぐことで大きな意味を持つ人たちは、ホスピスやコンポストの人たちとイノベーターたちです。 システムにおいて自分たちがやっていることがうまく機能しなくなったり、機能していないということがあるので、自分たちの恐れについて話してもらう。どうやって、この領域で一緒に留まることができるのかについて話してもらう。 コンポストの人たちは、ネットワークの人たちと話す意味があります。 というのも、コンポストの人たちは、良き世話役になるにはどうしたらいいかということを見出そうとしていて、ネットワークの人たちは、実践するコミュニティになるのを加速するためにリソースを必要としているからです。 コンポストの底の領域は、すべての実験の場であり、新しい成長が起こるように場に糧を与える所なのです。 人は自分たちのことをシステム全体の一部であるとみなしていないと、自分の領土を中心に考えます。自分が得たものを守ろうとしはじめるし、自分が得たものの価値を過度に騒ぎ立てはじめるし、自分のところにリソースを引っ張ってこようとしはじめます。 自分がその部分をなしているものが目指しているのは全体としての進化なのであると認識して、自分には担う役割があると見られる状況を創り出そうとすることができません。 これは直線的な地図ではなく、自分の小さな島の地図なのです。 島の全体像が分かれば、自分がどこをどう通って島を旅したいかを選択することができる。 もし全体像を知らなければ、ここが自分の家で、この辺が自分が住んでいる地域で、自分のところに来るにはここを通ってくるくらいしか想像できない。 だから、全体像を知ることはとても大切なことでなのです。
  34. NVCとランクはどのように関連しているのか? Power-With とは? ランクはパワーのコンテナ 文脈(どこにいるのか?誰といるのか?など)によって伸び縮みする パーツ、ロール 同時に複数持っている 低いランクにハマって被害者として相手に関わるのか、自分の高いランクを自覚して、それを自分と相手のためにシェアするのか?
  35. 監視・矯正・抑止の常態化 民主的な市民を育てられない
  36. その他、愛着障害、人格障害、サイコパスなどもある 本人がどう呼ばれたいか、という点や、「診断によって救われた(=社会制度を受けられた、を含む)」という経験があることは否定しない ただ、心理職・管理職が、学校で支援を行う際には、全体化は副作用が多い
  37. カウンターストーリーと言うこともある 「問題」のある教師・生徒・保護者と考えず、有能でモラルある人が「問題」に困っていると考える
  38. 繰り返しになるが、ナラティヴの基本原則は、あらゆる人が常に複数のストーリーを持っており、あるストーリーが前景に出るかどうかは、どんな会話をするかにかかっているということだ。だから、自らの思考について考え、それを問い直すことのできる人として生徒を扱えば、生徒もそういう種類の思考を持つよういなるものだ。逆に、価値あるアイデアなど一つも出せない、無責任な奴と生徒のことを見なして会話するのであれば、良いアイデアが出てこないことをその生徒自身が何とも思っていなかったとしても、それは当然であろう。
  39. 悪魔画像 問題に自分がどういう影響を与えられるかも分かってくる