Regional Scrum Gathering Tokyo 2021
Project Manager が Global Scrum Gathering に参加したら、
一年後 ScrumMaster に転生していた件について。
2019年10月
オーストリア共和国ウィーン
VIENA (WIEN)
Project Manager として Global Scrum Gathering に参加した私は
アジャイルの伝道師「アジャイルコーチ」からこう告げられた
You were an old-fashioned Project Manager.
あなたは昔ながらのプロジェクトマネージャーだね、と。
こうして、
私の ScrumMaster への道は
始まったのである
Nao Takeuchi
2021.01.07 @ Regional Scrum Gathering Tokyo
イントロダクション
Scrum とわたし
Project Manager と ScrumMaster
転生するのだ!
01
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04
アジェンダ
1. イントロダクション
自己紹介
LINE 株式会社
Effective Team and Delivery 室
Delivery Management 2 チーム
Nao Takeuchi
自己紹介
現職:
• LINE に入社してから、Technical Project Manager として LINE アプリ内
スタンプショップのプロジェクトマネジメント、及びデリバリープロセスマネジメントに従事
• 現在は スタンプショップで ScrumMaster を務めている
前職:
• ゲームデベロッパーに在籍
• エンジニア、テクニカルディレクター、エンジニアリングマネージャー
• エンジニアリングマネージャーとしてプロジェクトマネジメントにも携わる
• ScrumMaster として Scrum に参加するも見事に失敗
このセッションの概要とゴール
概要:
• このセッションでは、Project Manager としての私が、
ScrumMaster に転生したことで感じた役割の違いや気付きを語ります
ゴール:
• 同じように Project Manager が ScrumMaster をやってみようと思う時の後押しや、
実際に取り組む際のヒントになること
2. Scrum とわたし
Scrum との関わり
環境やプロダクトは全く異なるものの、転生前後で 2 回、ScrumMaster として関わっている
転生前:ゲームデベロッパー時代
転生後:現職のスタンプショップ
ScrumMaster ?
ScrumMaster
転生後 の ScrumMaster (スタンプショップ)
結果 (現状)
• 上手くいっている
• 期待の達成
• 価値や原則を理解しての実践
• Scrum チームの多チーム展開を検討している
ScrumMaster としての私
• CSM/CSPO 研修を受講
• Global Scrum Gathering へ参加
• 所属部署では、多くのアジャイルコーチ / プラクティショナーに
囲まれる
• スタンプショップという、規模や責任も大きく、簡単過ぎない環境
で経験を積むことが出来ている
転生前 の ScrumMaster (ゲームデベロッパー時代)
結果
• 大失敗
• 皮肉にも、「現状を把握するためのフレームワーク」ともいわれる
Scrum が、現状と将来の見通しが不透明という理由で廃止に
私が Scrum に抱いた印象
• 『SCRUM BOOT CAMP THE BOOK』 で読んだのと全然違うじゃ
ん!
• 『アジャイルサムライ』、こんなの現実にできなくない !?
転生前 の ScrumMaster (ゲームデベロッパー時代)
なぜ失敗したのか?
• Scrum とはいえない Scrum
• 価値や原則を理解しないままの実践
• Scrum 唯一の理解者からの ScrumMaster 引継ぎ
• 受託開発で決定権限を持たない Product Owner
• 職能別 Developer チーム
• スプリントをまたいだウォーターフォール
• プランナーが一人で行う Product Backlog Refinement
• 実施されることのないスプリントレビュー
(契約マイルストーンでやってくる大きなレビュー)
• 疲弊する現場
• 依存関係が多く、リリースプランニングも複雑化
転生前 の ScrumMaster (ゲームデベロッパー時代)
でも、そもそも上手くいくわけなんかなかったんだ、
だって、ScrumMaster なんてどこにもいなかったんだから
!?
転生前 の ScrumMaster (ゲームデベロッパー時代)
ScrumMaster としてのわたし
• 当時の私は、ScrumMaster の役割を完全に履き違えていた
• ScrumMaster の仮面を被りながら、プロジェクトマネジメントを
しようとしていた
ScrumMaster
転生前 の ScrumMaster (ゲームデベロッパー時代)
3. Project Manager と ScrumMaster
Project Manager / ScrumMaster が作用する対象
共通すること
• マトリクス型組織の場合
• 縦型の職能型組織に横軸として Project や Scrum チームが入る
• Project Manager も ScrumMasterも、横軸に作用する点は同じ
マトリクス型組織
職能型組織
事業部 Server iOS/
Android
Web
App
QA Security DataBase
Admin
Project Manager としての捉え方
• プロジェクトとして横軸を捉える
• プロジェクト = 成果物を生み出す有期的な取り組み
• 作用する対象は当然プロジェクト
• プロジェクトマネジメントを遂行する
• 周りの協力を得ながらにしても、原則として、Project Manager が自分でマネジメントを行う
マトリクス型組織
職能型組織
事業部 Server iOS/
Android
Web
App
QA
PROJECT
Security Database
Admin
Project Manager
ScrumMaster としての捉え方
• チームとして横軸を捉える
• 作用する対象は Scrum チーム
• Scrum チームの自己組織化を促進する
• マネジメントは基本的に行わない
• ティーチングやコーチングスキルを使いながら、あくまでも Scrum チームが自分たちで
出来るように自己組織化を進める
マトリクス型組織
職能型組織
事業部 Server iOS/
Android
Web
App
QA
TEAM
Security Database
Admin
ScrumMaster
転生前の私の失敗
ScrumMaster でありながら Project Manager の役割を果たそうとした
マトリクス型組織
職能型組織
事業部 Server iOS/
Android
Web
App
QA
PROJECT
TEAM
Security Database
Admin
ScrumMaster
❌
ソフトウェア開発における具体的な役割の違い
現在の スタンプショップ開発における、Project Manager と ScrumMaster の
役割の違い (4つの例)
※ NOT 「ウォーターフォール vs アジャイル」
Project Manager
スコープマネジメント
ScrumMaster
Planner
Developer
QA
Business
Other
Stakeh
olders
要件定義
スコープ策定
WBSの作成・
変更管理
Scrum チームとしてスコープや優先順位を決め
てもらうためのサポート・コミュニケーション
の促進
スケジュールマネジメント
Project Manager
Planner
Developer
QA
Business
Other
Stakeh
olders
ヒアリング
調整
WBS
タスク
リスト
ネット
ワーク
ダイアグ
ラム
タスク
見積
クリティ
カルパス
ガント
チャート
ScrumMaster
チームとしてスケジュールを作成できるようサポート
スプリントプランニング
• Developer によるタスク出し
見積・依存関係の整理
リリースプランニング
• PO による事業観点からの
優先順位
• Developer による依存関係
からの優先順位
スケジュールの
作成・変更管理
リスクマネジメント
Project Manager
Planner
Developer
QA
Business
Other
Stakeh
olders
ヒアリング
リスク
識別
リスク
評価
リスクレ
スポンス
の決定
見直し・
変更管理
リスクレジスター
の作成・変更管理
ScrumMaster
リスクに関するコミュニケーションが十分に行
われ、意思決定されることをサポートする
チェンジマネジメント
Project Manager
Planner
Developer
QA
Business
Other
Stakeh
olders
ヒアリング
変更管理
手続の策
定
CFRの発
行・管理
ステーク
ホルダー
への共有
CFR (Change for
Request) の管理など
ScrumMaster
変更に関するコミュニケーションが十分に行わ
れ、意思決定されることをサポートする
Old-fashioned Project Manager
この違いを踏まえ、なぜ、私のプロジェクトマネジメントが Old-fashioned と
言われたのか
• チームの生産性の違い
• Project Manager の限界 = チームの限界
• ドメイン知識
• スキル
• 稼働限界
• コミュニケーションハブとしてのボトルネック
• 当事者によって行われる議論や意思決定のスピード、質
• チームとして成長することで上がるスループット
Planner
Devel
oper
QA Busi
ness
Other
Stake
holder
s
WBS
タスク
リスト
ネット
ワーク
ダイア
グラム
タスク
見積
クリティ
カルパス
ガント
チャート
ボトルネック
転生のススメ
小 ~ 中規模のソフトウェア開発であれば、転生してみることをオススメします!
Project Manager ScrumMaster
4. 転生するのだ!
Project Manager から ScrumMaster への転生
ScrumMaster へ至るキャリアパス、バックグラウンドは様々
得意なことやスキルもみんな違う
ScrumMaster
from Engineer
ScrumMaster
from QA
ScrumMaster
from Product Manager
ScrumMaster
from Designer
Project Manager から ScrumMaster への転生
では、Project Manager であった私の、ScrumMaster としての強みは何だろう?
ScrumMaster
from Project Manager
Project Manager から ScrumMaster への転生
Project Manager だったからこそ活かせている点
• 従来のプロジェクトマネジメントのマネジメント対象がなくなるわけではない
• 形や取り組み方が変わっても、その多くは必要なこと
• Project Manager だったからこそ、何をすべきかをよく知っている
なくなるわけではない!
Project Manager から ScrumMaster への転生
Project Manager だったからこそ活かせている点
• チームとしてカバーできるようにサポートをする
• ファシリテーションやチームビルディングなど、これまでの経験が活かせる機会も
数多い
ScrumMaster
チームとしてスコープや優先順位を決めてもらうた
めのサポート・コミュニケーションの促進
ScrumMaster
チームとしてスケジュールを作成できるようサポート
ScrumMaster
リスクに関するコミュニケーションが十分に行われ、
意思決定されることをサポートする
ScrumMaster
変更に関するコミュニケーションが十分に行われ、
意思決定されることをサポートする
Project Manager から ScrumMaster への転生
Project Manager だったからこそ気を付けている点
• 上位職・下位職という関係ではなく、別の職種である
• マネジメントを自分でやらないからといって楽になるわけではない
• 別の知識体系やスキルが必要になる
• Project Manager の感覚でいると、「思わず」、「良かれと思って」自分でマネジメン
トを始めてしまうから質が悪い
• 今でもついついやってしまう、、
• チームとしての成長を妨げ、生産性を下げる行為である
転生を目指す人へのアドバイス
価値・原則の理解に努めること
• 価値・原則の伴わない、形だけのプラクティスだけでは上手くいかない・価値を生み出せない
• 転生前の私が出来ていなかったこと
• Scrum はプラクティスだけなら数が少なく、採り入れやすいので陥りやすい
• 受講した CSM 研修では、プラクティスには触れず、 ScrumMaster のマインドを
徹底的にたたき込んでいた
• 今だから感じる、その重要性
はじめることは難しい
Global Scrum Gathering セッションからの学び
🥳「最高峰の Global Scrum Gathering!
スクラムの最先端を学ぶぞ!」
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🥳「あれ、導入事例とかファーストステップの話も結構
多くない?」
• はじめの一歩が難しいのは世界共通
• 状況の違いこそあれ、自分だけが例外なのではない
はじめの一歩
Scrum 導入のために、私が取り組んだこと
• プロセスを「変えられる」ことには抵抗が起きやすい
• だから、自分たちで「変える」ことを目指そう
• スタンプショップでは、各職能別チームの
Continuous Improvement Meeting (継続的改善会議) を
ファシリテートする事から始めた
• 粘り強く関わることで、自発的に Scrum に取り組んでみたい
という機運も生まれていった
Scrum でどうなりたいかの意見共有
転生するのだ
このセッションをきっかけに、一人でも多くの Project Manager が
ScrumMaster に転生したいと思ってくれることを願って
THANK YOU
Licenses in this material
世界地図
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キャラクター画像
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フォント:ラノベPOP V2
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Project Manager が Global Scrum Gathering に参加したら、 一年後 ScrumMaster に転生していた件について。