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【No.18】遺族喪失に伴う心理的ストレス解消に向けたアプローチ
- 9. 3. ヒアリング報告① Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 対象者・ プロフィール ・親族を亡くされた遺族の方 今年 6 月にご主人を亡くしていらっしゃいます。 社会課題における 立場・要望 1. 遺族が喪失感を乗り越え、上を向いて生活できるような社会 2. 高齢者・要介護者が不安を感じずに生活できるような社会 3. 若者が仕事に自信と誇りを持ち、毎日を一生懸命過ごせるような社会 これらに対する問題意識を強くお持ちでした。そしてそのためにも、意思のあるコンテンツをデジタルアーカイブすることに対する意義を強く感じていらっしゃるようでした。 社会課題に対する取組みの現状 ご主人を亡くしたことをきっかけとして、「本当に良いもの」を世の中に伝え、多くの人に知ってもらうことを意識され始めたようです。そのことが結果として、救われる人が一人でも増えれば、そして上記社会課題の解決につながれば、という想いが伝わってきました。 事業領域・商品・サービスの認知 デジタルアーカイブ、ソーシャルメディアなどに関する認知は、以前は全くなかったとのことです。しかし、起業家のご提案を聞き、その意義を感じて、全面的にお願いしているとおっしゃっていました。 対象事業の印象 「アーカイブの存在」、「家族の存在」、「人に話をするという行為」によって、ご主人を亡くされた喪失感は大分回復していらっしゃるような印象を受けました。ご主人を亡くして 2 ヶ月とは決して思えませんでしたし、そのくらい気丈に話をしてくださいました。 デジタルアーカイブはもちろんのこと、医療施設における高齢者の方々へのサービス提供はまだ実現されていないものが多く、求められているという印象です。
- 10. 3. ヒアリング報告② Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 対象者・ プロフィール ・遺族 A さん。母親を 2 年前に亡くす。享年 93 歳、老衰による死亡。 ・葬儀から遺品の整理、親族対応まで、すべて自分で対応。 ・遺族として、また、認知症を患う家族を持っていた身として、インタビューに答えてもらう。 社会課題における 立場・要望 ・地域社会、親族関係のつながりの希薄さ。そこに新たなつながりを作っていく システムとしては有効 。 ・ 自分にとっては、以下の理由から重要度はあまり高くない 。 ① 自分の手で遺品(物理的にも心理的にも)を処理できた。 ② ものを残しておきたい、という気持ちがあまりない。思い出は思い出(そこに留まってしまうと、次の人生に進んでいけない) ③ 家族の存在があった。 事業領域・商品・サービスの認知 ・母親の葬儀で、自分で行った。家族写真をデジタル化し、母親の好きな曲を流した。ただし、葬儀屋さんにそういうメニューがあったわけではない。 ・あくまでこれは、遺族としての片思い。できるだけのことをして見送った、という、遺族側の満足感。 ・( 10 分間なら) 出せても 5 万円 ではないか。遺族と話し、写真を整理する時間は、立ち直りのためのカウンセリングでもある。高齢者にとって、これからの生活を考えたときに、 5 万円をどう捉えるか・・・。 ・直後であれば、お金を払うかもしれないが、時間が経過するに連れて、金額の捉え方が変わっていくだろう。 対象事業の印象 ● 遺品のデジタルアーカイブ化について ・人によって捉え方は違うはず。 遺族との関わり方、遺族の属性(年齢、家族構成)、故人の属性(年齢、お別れまでの期間:突然なのか助走期間があったのか)次第 。 高齢者の配偶者ならニーズはあるだろう 。今の若年層は、対象にはならないのではないかと思う(デジタル化への対応力、自分の手ですべてやりたいという意識、エンジンのかけなおし方、等々)。 ・もしこれが、悲しみを思いとどまらせるだけの、未来を封印する道具になってしまうのであったら、それで人生が終わってしまう。それはよくないと思う。 ● 人と思い出を共有していくことについて ・家族のことを人に知ってほしい(よくあるように、孫の自慢をしたいなど含め)、それによって、人から声をかけてもらいたい、という点はよく理解できる。 ● 認知症患者・家族への可能性 ・ 遺族より、可能性が高いと思う 。ちょっとのことでも、やってよかった、という家族の満足感になる。 ・いろいろやってみて、そのうちのどれに強く反応したか、興味をもったか、それによって、手を変えていくことが求められる。作り手は、反応を見ながら変えていくわけだから、継続的に現場に関わる必要はある。
- 11. 3. ヒアリング報告③ Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 対象者・ プロフィール ・遺族 B さん。鍼灸師。 ・ 1 年前に癌で父親を亡くし、これをきっかけに、葬儀や宗教などについて、徹底的に調べた経験を持つ。もともと、患者には、精神的に病んでいる人などがいるため、霊や魂について、神社から教えを請いながら、鎮めることなどを行っている。 社会課題における 立場・要望 ・ 仏教観からすると、いつまでも思い出を残しておくことに、矛盾を感じる。 仏教においては、故人の魂を上に上げるために、お経を読み、大勢の人で悲しみを共にする。ずっと思い出を共有するということは、故人が帰依できないということ。 事業領域・商品・サービスの認知 ・葬儀屋(メモリード)に頼み、お通夜の中で上映してもらった。写真を 10 枚くらい渡して、スライドショーにしてもらった。 1-2 万円くらい だったと思う。 ・「ああ、あの人はこうだったね」というように、会話が生まれた。 対象事業の印象 ● 遺品のデジタルアーカイブ化について ・人によって、口には出さなくてもその人の宗教観が見え隠れする。この話をビジネスとして話すときは、そのことも理解しておいたほうがいい。 ・ビジネスとしては、求める人がいて、ニーズがある。仕事だと考えれば、やれないことはない。ただし、人の念に反することをしていると言う人もきっといる。そういうなかで、本当にやりたいのか?をもう一度考えてみることが大事ではないか。 ・メモリアル葬儀を手がける葬儀屋などでは、すでにデジタルアーカイブ事業は行っている。そういうところで、仕事を請け負ってみてはどうか。宗教観や慣習を学べるし、今後、そこから派生して、新たなサービスを生み出すきっかけになるかもしれない。 ・もし仏教など日本古来の宗教を想定するなら、その考え方を勉強することは不可欠。 ● 人と思い出を共有していくことについて ・ 49 日法要で、故人は仏様になる。そのタイミングまでは、みんなで共有する というのはありだと思う。あと、お盆には故人があの世から戻ってくるので、そのタイミングでというのはありだと思う。 ・また、 自分が生前に残しておく ことも、ありかもしれない。ただし、本人が残すということは、「忘れないでね」という気持ちが残るということ。本人がいいならそれでいいかもしれない。 ● 認知症患者・家族への可能性 ・ そちらのほうが需要が高いと思う 。誰にとっても幸せなサービス。ただし時間はかかる。 ・音響振動療法というものがある。病気によってゆがめられた体に特定の周波数を当てることにより、自然治癒力を回復させる方法。オラブ・スキル博士という第一人者のもと、日本のメーカーがベッドやバイオリン自動演奏機を開発している。効果が検証されている病気は多数あるが、認知症はまだない。長い話になるが、こういった取り組みを、一緒に行っていくという手もあるのではないか。
- 12. 3. ヒアリング報告④ Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 対象者・ プロフィール ・ C さん。葬儀屋。 ・親族を 2 年前に他界した際に、家族が葬儀~新盆まで大変お世話になった。 ・自身も父親を亡くしている。 社会課題における 立場・要望 ・(思い出を偲び続ける、という考え方が、仏教観に反する、という意見もあるが?の問いに対し)自分も父を亡くして始めて、こういうことかと実感した。それまでは、想像もつかなかった。手を合わせて、父に話しかけたり、相談したりする。そこに、何の違和感もない。宗教観とか、そういうことではなく 、自分にとっては自然なこと 。 事業領域・商品・サービスの認知 ・デジタル化というのは、扱ったことがない(遺族 A さんのケースは、こちらから持ち込んだ話)。 ・生前に残しておこう、というのも、例がない。地域柄、というのがあるかもしれない。元気なうちにその話をしたら、「縁起でもない」と言われる。 ・確かに、本では見聞きする話。 でも、ぴんとこない 。 私の仕事は、家族を亡くして、どうしていいかわからない、そういう人のお手伝いをすること。故人に対するありがとうの気持ち、亡くなってはじめてわかること・・・そういうものを扱う。 ・亡くなった後に感謝の気持ちを形に残すお手伝いをする、というのは、きれいな形であるようで、その過程で親族間のドロドロしたところを見ることになる。 対象事業の印象 ● 遺品のデジタルアーカイブ化について ・生前は、本人にまだ意識がないことが多い。死後直後は、家族に余裕がない。 ・家族の気持ちが落ち着いてから、 たとえば 1 周忌に、家族で作ろう、という試み はありではないか。子供たちに、こちらはあなたたちの先祖ですよ、と教えつつ。 ・生前に遺言を残すことは、親の務めとして、大事。残された子供たちは、自分の親の意向や交友関係がどうだったかわからず、困るもの。また、長男の立場によっても、力関係が違ったりして、大変なことになる。亡くなるというのは、お金の絡む話。 ・たとえば、 遺言を残すのとセット、関連グッズの 1 つと考えれば、可能性はある 。デジタル化したものを残すのは誰のためか。遺族のためになる。 ・適正価格は、人の価値観によると思う。 1 万円でも、必要ないという人もいる。高くてもしょうがないなという人もいる。結婚アルバムのように、それなりの商品にするとしたら、そこそこの金額になるのかもしれない。 ● 人と思い出を共有していくことについて ・配偶者を亡くした高齢者など、 そういう人は、確かにいると思う。しかし、規模の問題 。マーケットとしてどうか、商売として成り立つかどうか。それを考えたほうがいい。
- 30. 7.マーケット分析 - エンディングノート エンディングノートとは、もしものときに備えて、家族や大切な人に伝えるべきこと(葬儀方法や資産内容、様々な記録など)を遺すためのノート。 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 【ノート編】(抜粋) 第1章 心のアルバム ○ 過去の自分が果たせなかった夢や約束 ○ 未来の自分の理想の姿 ○ 私について ○ 自分史年表 ○ 大切な家族 ○ 夫婦、子どもの思い出 第2章 夢のキャンパス ○ これからの夢 ○ これからの課題や心構え 第3章 財のクローク ○ 資産リスト ○ 遺言、形見分け 第4章 私のメッセージ ○ もしものとき ○ 夫へ妻へ子へのメッセージ 「マイライフノート」 ~ 夢を叶え、家族との心をつなぐ魔法のノート ~ 人生を振り返り、遺される家族へのメッセージを書き記す上質なノートと、心穏やかに終末期を迎えるための資産運用や相続、介護、葬儀などの必要知識をまとめた解説書を、豪華箱入りセットにした新しいタイプのエンディングノート 野村證券 編 http://www.nikkeibook.com/mylifenote/ ~ おすすめポイント ~ 数あるエンディングノートの中でも、「マイライフノート」は、本人の夢や思い出をフォーカスし、大切な家族へ贈るメッセージという形式をとっていて、とてもあたたかい印象を与える。 構成もまず、「心のアルバム」「夢のキャンバス」と、本人の思いや歴史から始まっていて、これならば、生存中に、家族とコミュニケーションをとりながら、楽しく書きつづることができそうと思える。
- 32. 10 .事業名称 -名称案 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. コンセプトを連想させるような名称は? 「つながり」軸 「記憶」軸 「新しい自分」軸 「 Harmory 」 LiveforTwo 「 e 記憶」 「 memori 」 みんなの記憶 「あかし」
Editor's Notes
- プラットフォーム開発方法、期間、コスト 【丸山さん】 ⇒ スクラッチあるいは既存メディアの組み合わせも含め、どのような形で実現できるか。 3-5 個くらいの候補の比較表 (軸の案については、先日のメール参照) 横軸に、以下を。 ・ゼロから開発 ・既存の会員制 ASP を利用( 3 パターンくらい、無料・有料含む) 縦軸に、以下を。 ・プラットフォーム概要 ・提供機能 ・掲示板 ・アルバム ・ ・ ・費用 ・初期 ・ランニング ・利用開始までのリードタイム ・利用者数 ・商用利用の可否 ・利用のメリット ・利用のデメリット