多元性の中での開発教育・社
会学教育のゆくえ
――大学教育におけるグループディスカッ
ション手法の経験から

宮内泰介
北海道大学(環境社会学)
本日の報告概要

1. 1980年代に開発教育の洗礼を受けた報告者が、そ
れを援用しつつ1990年代以降行ってきた大学での
社会学教育についてふりかえり、
2. 教育実践(グループディスカッションを軸にした
授業実践+調査実習)を紹介しつつ、
3. その意義と課題について議論する
開発教育の特徴

1. 先駆的な参加型学習の提案と実践
• ゲーム形式(貿易ゲーム)、ロールプレイ、シミュレーション、
ランキング、ディスカッション など

2. 「貧困・南北問題」というフレームワークとその
暫時的拡大
開発教育のフレームワーク

• 「この頃[1982年開発教育協議会発足ごろ]の開発教
育は「低開発の原因と構造を理解して、問題解決
に参加する態度を養う」ことを目標に掲げて」い
た(田中治彦,2003:4)
開発教育のフレームワーク

• フレームの拡大
開発教育のフレームワーク

• 「地域」へ
社会学教育の変遷

• 社会学理論の教授
• ウェーバー、デュルケム、…
↓
• 「社会学的な視点」の重視へ
• 「あたりまえをひっくりかえす」社会学授業
• 社会調査実習の重視へ
• 大学教育上の要請
大学における開発教育・社会学教育実践

• 宮内の担当科目:いろいろだが、それほど制約が
なく、比較的自由
• 授業手法:グループディスカッション
1.
2.
3.
4.
5.

映像・資料(新聞記事など)の提示
個人作業
グループディスカッション(4人)
個人作業 or グループでのまとめ
全体でのシェアと短いレクチャー
グループディスカッションのセッティングで注意して
いること

(1)議論になりやすそうなテーマを選ぶ
(2)回によってディスカッションの方向性に多様性
を持たせる
•

根本から問う、概念を問う、賛成・反対を考える、解決
策を考える、構想する、などの多様な方向性

(3)個人作業とグループ作業とのバランスをうまく
とる
(4)議論しやすい場づくりに注意する
グループディスカッションの効果は高い

(1)グループの中でお互いに刺激しあいながら、深
く考えるようになる。多様な考え方に触れる。
(2)自分で話しながら理解しようとするので、提示
された問題についてより理解が深まる。
(3)考える姿勢が身につく。議論する姿勢が身につ
く。
(4)学生の高い満足度が得られる。(学生による授業評価で毎年高い
ランク)
グループディスカッション中心の授業の課題

(1)教師側からのフレーミングは避けられない
(2)大学の講義時間の制約
(3)問題のリアリティは伝わらない
(4)授業の中の「多様な意見」の限界
調査実習の可能性

• 多元的な現実からの問題発見のためには、調査実
習がいちばん
•

フィールドの多元性が確保されるような場の設定が必要

• 大学教育として理想:教室におけるグループディ
スカッション手法と調査実習を有機的につなげて
教育を行うこと
調査実習の課題

1. 調査実習の準備と実施には大きな労力が必要
2. 調査地の人たちとの関係
• 調査実習の実験台にしてはならない
• 継続的な関係が難しい
「成功した」調査実習
北海道南幌町:聞き取り調査による町の計画づくり
「成功した」調査実習
北海道日高町:大学と住民との協働による地域資源発見
「成功した」調査実習
北海道日高町:大学と住民との協働による地域資源発見
“グループディスカッション+調査実習”と社会実践・まちづく
りとの関係

1. 「ワークショップ」型まちづくり実践の行きづま
り
•
•

誰のイニシアティブによる「参加」か
手法の制度化とそこからこぼれ落ちるもの

2. 調査の必要、参加型調査手法開発の必要

多元性の中での開発教育・社会学教育のゆくえ――大学教育におけるグループディスカッション手法の経験から(国際開発学会大会報告2013.12.1)