１　量子コンピューターとは？ ２　量子ゲート ３　加算器 4　グローバーのアルゴリズム ５　足し算＋グローバー

1. 課題研究まとめ１
磐田南高校理数科1年
田野 拓実
１ 量子コンピューターとは？
２ 量子ゲート
３ 加算器
4 グローバーのアルゴリズム
５ 足し算＋グローバー

2. １ 量子コンピューターとは？
2つの状態を1度に取る「重ね合わせ」という状態を取ることのできる「量子
ビット」を用いて計算を行うコンピューターのこと。2つの状態を1度に取れ
るので、量子ビットが1個あると２^１＝２つ、2個あると２^２＝４つ、3個
あると2^３＝８つ・・・というように並列計算を行うことができる。たとえ
ば、桁数の大きい因数分解などは量子コンピューターの得意分野である。
現在のコンピュー
ター
量子コンピュー
ター
計算を行うビット ０か１のどちらか
をとる
０と１の重ね合わ
せもとれる
因数分解1万桁に
かかる時間
約１０００億年 数時間～数日
VS
引用「量子コンピューター 超並列計算のからくり」
…著 竹内繁樹

3. ２ 量子ゲート
量子ビットの値に対して、ある一定のルールに従って
値を出力するもの。
1 Xゲート
2 Hゲート
3 CZゲート
4 CXゲート
5 CCXゲート
6 ORゲート
7 XORゲート

4. 1 Xゲート
入力 出力
|0> |1>
|1> |0>
入力
出力
|0>、|1>にXゲートを使うとそ
れぞれ|1>、|0>になる。
2 Hゲート
入力 出力
|0> 1/ 2 (|0>+|1>)
|1> 1/ 2 (|0>-|1>)
例えば、|0>にHゲートを使うと、
１/ 2 （|0>+|1>）という重ね合
わせ状態を作ることができる。

5. 3 CZゲート
a
b
c
d
|a> |b> |cd>
|0> |0> |00>
|1> |0> |10>
|0> |1> |01>
|1> |1> -|11>
a,bともに|1>であるときだけ係数が反
転(|11>が-|11＞になる）する。

6. 4 CXゲート
a
b
c
d
|a> |b> |c> |d>
|0> |0> |0> |0>
|1> |0> |1> |1>
|0> |1> |0> |1>
|1> |1> |1> |0>
a(・の部分)が|1>のとき、ｂ
（⊕の部分）を反転
5 CCX(AND)ゲート
a
b
c
a,b（・の部分）がともに
|1>のときにc(⊕の部分）
を反転
|a> |b> |c>
|0> |0> |0>
|1> |0> |0>
|0> |1> |0>
|1> |1> |1>

7. 6 ORゲート
a
c
b
|a> |b> |c>
|0> |0> |0>
|1> |0> |1>
|0> |1> |1>
|1> |1> |1>
a,bのどちらかが|1>の
ときcが|1>となる。
7 XORゲート
a
b
c
|a> |b> |c>
|0> |0> |0>
|1> |0> |1>
|0> |1> |1>
|1> |1> |0>
a,bのどちらか一方のみ
が|1>のとき、ｃが|1>
になる。a,bがどちらも
|1>のとき、ｃは|0>の
まま。
他の組み合わせ方でも
作れるが、できるだけ
量子ゲートが少ない方
が「コスト」が少なく
なり、エラーが起きに
くくなる。

8. ３ 加算器
1 半加算器
2 全加算器
加算器とは足し算を行う
論理回路のこと。

9. 1 半加算器 半加算器は２つの2進数の足し算を行う
入力A
入力B
出力ｓ 桁上げ出力C
入力A 入力B 桁上げ
出力Ｃ
出力S
|0> |0> |0> |0>
|1> |0> |0> |1>
|0> |1> |0> |1>
|1> |1> |1> |0>
XORゲート
ANDゲート
入力A,Bと桁上げ出力Cは
XORゲートの関係、入力A,B
と出力SはANDゲートの関
係にある。

10. 入力A(a)
入力B(b)
a+b1桁目
a+b2桁目
a+b+c1桁目
a+b+c2桁目
桁上げ出力X(c)
2 全加算器(1)
出力ｓ
桁上げ出力C
a+bの1桁目
を計算
a+bの２桁目
を計算
この場合は、3ビットの足し算。
回路を組み合わせれば、何桁でも
できる。
入力
A
入力
B
桁上
げ入
力X
桁上
げ出
力C
出力
S
|0> |0> |0> |0> |0>
|1> |0> |0> |0> |1>
|0> |1> |0> |0> |1>
|0> |0> |1> |0> |1>
|1> |1> |0> |1> |0>
|1> |0> |1> |1> |0>
|0> |1> |1> |1> |0>
|1> |1> |1> |1> |1>

11. 2 全加算器(2)
入力A(a)
入力B(b)
出力S
桁上げ出力C
a+b1桁目
a+b2桁目
a+b+c1桁目
a+b+c2桁目
a+bの1桁目
をコピー
Ｃが１で反転
cが１のとき、a+bの1
桁目を反転させて
a+b+c1桁目にコピー
a+bの2桁目をコピー
「cが１」かつ
「a+bの1桁目が
１」で反転
桁上げ出力X(c)
「cが１」かつ「a+bの1桁目が
１」のときa+b2桁目を反転させ
て、a+b+c2桁にコピー

12. ４ グローバーのアルゴリズム
グローバーのアルゴリズムとはN個の箱の中から
当たりの箱（この場合はw）を探し出す回路のこ
と。現在のコンピューターよりも早く探し出すこ
とができる。
１ 振幅増幅
2 7量子ビットの場合

13. 1 振幅増幅（１） 量子コンピューターがあたりを探し
出す確率を高める操作。
（振幅の2乗が確率となる。）
これが振幅増幅を行う回路。（2量子ビッ
トの場合）
この回路で
は、ここで
|11>を測定
する。

14. 1 振幅増幅（２）
|00> |01> |10> |11>
|00>
初め|00>であるのを、Hゲートによって
|00>+|01>+|10>+|11>という重ね合わせ状
態にする。
|00>,|01>,|10>,|11>の測定さ
れる確率はすべて25%になる。
初め、|0>の測
定される確率は
100％
振
幅

15. 1 振幅増幅（３）
|00> |01> |10> |11>
|00> |01> |10> |11>
欲しい物（ここ
では|11>）の係
数を反転。
補助量子ビット
と呼ばれる。
振
幅

16. 1 振幅増幅（4）
|00> |01> |10> |11>
|11>
ここで平均値
[この場合は(0.50＋0.50＋0.50－0.50)/4＝0.25]
周りの反転をする。
そうすることで、|00>,|01>,|10>の確率は全て0、
|11>の確率は１になる。
この操作1回で欲しい物の
振幅が大きくならない場合
はこの操作を何回か繰り返
して、振幅が大きくなる回
数を見つければよい。

17. 2 7量子ビットの場合
重ね合わせ
欲しい状態の折り返し
(この場合は|0111111>)
平均値周りの反転
最大振幅が得ら
れるのは8回繰り
返した時

18. 足し算＋グローバー（１）
重ね合わせ状
態を作る
５ 足し算＋グローバー
足し算のような処理をしたものをグ
ローバーのアルゴリズムによって得
る確率を高める。

19. 足し算＋グローバー（２）
足し算を行う
（半加算器）
半加算器によって
|00>→|00>
|01>→|01>
|10>→|01>
|11>→|10>
となり、２.3行目に
コピーされる。

20. 足し算＋グローバー（３）
XゲートとANDゲー
トによって|00>の
場合のみ反転
同じ操作を繰り返す
ことによって反転の
結果を上の2段に対
応させる。
赤色の棒グラフは振幅が反転
していることを表す。

21. 足し算＋グローバー（４）
平均値周りの反転
|00>のみが増幅されている。
|10>(inputは|11>)を増幅させたい場
合は、ここのXゲートを変えることで
できるが|01>(inputは|01>か|10>)は
平均値周りの反転の時点で平均値が０
になってしまうためできない。