近年エンドツーエンド型の自動運転システムの研究が盛んであるが,高精度な推論には高性能の学習用・推論用マシンが必要であり,研究開発や商業展開の大きな負担となっている.これはステレオカメラを入力センサとして用いることで対処できる可能性がある. アルゴリズムでの測距によりネットワーク内での測距を省略でき,単一センサでの画像と距離情報の取得によりセンサフュージョンが不要になる可能性があり,モデルの簡素化が期待できる.本研究では,ステレオカメラを用いた自動運転のエンドツーエンドモデルの初期検討として,基礎的なタスクであるアダプティブクルーズコントロールを行うモデルを開発する. 既存モデルであるTransfuserを基に,ステレオカメラで取得した情報を用いて自車の加速度の予測を行うネットワークへ改変することで,これを実現する. 日本の公道の約16万フレームのデータを用いて学習・評価した結果,加減速が少ない単調な環境では良好な精度が得られ,ステレオカメラモデルの実用化可能性が示唆された.一方,大きな加減速,上り坂,急激な光変化では精度が低下することが確認され,原因を考察し改善策を提案した.