20211028飯舘村蕨平被ばく労働 損害賠償請求事件 証人尋問(原告)
- 1. 2021 年 10 月 28 日(木)福島地裁 損害賠償請求事件
証人尋問メモ
原告 本人
(原告代理人とのやりとり)
(・・は聞き取れない部分)
―甲7号証① 甲 30 号、32 号 原告は H28 年 8 月 17 日から H29 年 12 月 23 日までの間、蕨平の仮設
灰処理施設に従事した。
甲 11 号 図面は班長と責任者で作った。
甲 9 号① 灰処理日報について
―H28 年 1 月と 8 月、新規入場教育が 2 回あったが、教育担当者は誰だったか。
8 月はS氏、1 月は記憶にない。
―放射能の危険性について、どのような教育内容だったか。
体内に入ると病気になるなど。
―灰は機械から漏れることがあるという説明はあったか。
なかった。
―この点に気を付けるべき、というのは。
保護具の着用、IDカード、ガラスバッジ、放射線計、マスク、ヘルメット、手袋 2 重、これが管理区域
内での装備である。
―レベル1、
2の装備について、
保護具は一般的にはレベル1であるか。
その装備はどのようなものか。
半面マスク、手袋、長靴、ヘルメット
―レベル2は。
タイベック、特殊な手袋、長靴、全面マスク
―灰漏れについて。ビニールハウス設置して、放管を呼んで作業をする際にはエリア設定をすると説明
されたか。
はい。
―甲 6 号 3 交代制であったが、引継ぎ・・ 12 月 12 日、管理区域はマスク、手袋を徹底するよう S 氏
より注意があった。退出時検査を守れということ、さもなければ ID バーコードを没収するぞと。
エリア設定中は必ず放管対応でと言われていたのか?
はい。新規入場教育は厳格に徹底することと言われていたので、それを信じていた。
―灰漏れは原則ないと。
実際あった。
―甲7号① H29.9.11 甲 11 号 選別機②について説明を。
粉砕した灰をシュートと磁選機にかける。灰になりきれなかったものが鉄箱に入る。数メートル先の視
界が遮られるほど灰が充満していた。床に足跡があり、ビニールハウスの設置もなかった。
―甲 7 号④~⑧について説明を。
「テミ」に灰が満杯になった。
「とてもこんなの半面マスクでやってられない!」と他の作業員らが言い
出した。
このときも放管を呼ばず、ビニールハウスもなかった。健康への影響が出るのではないかと不安
- 2. に思った。
―「闇作業」について説明を。
本来のルールを逸脱した作業を内緒でやること。
「仮フィルター」として 2 か月間タイベックのズボンを
結束バンドでバグフィルターに縛り付けて使っていた。
―甲 7⑫⑬ 白いものがバグフィルターに巻き付いている。甲 9①㊽
「仮フィルター」の交換作業を 3 交代で1勤怠につき 2 回、1日 6 回行った。これがずっと続いた。
放管は現場に来なかった。班長を通じて(正規)フィルターが来ないと言われたのみ。
―甲 11 について。
シュート
(内に詰まった灰を取り除くための)
清掃を行う。シュートの下から中を覗き込みバールで詰ま
った灰をそぎ落す。このとき当然灰が顔などに落ちてくる。
(両手を差し上げバールで書き落とす様子を
ジェスチャーで説明)
フレコンバッグへの灰の充填中にセンサーが壊れて機能しなかった。そのため手でフレコンバッグの口
を縛らなければならなかった。
―退出時検査について説明を。
エアーブローで灰を洗い落とした上で測定する。
このときブザーが鳴ることが結構あった。5 回に1回く
らい。そこでもう一度エアーブローで洗い落とし計測するが、
いつまでも鳴り続ける。
後ろは他の作業員
が並んでおり「もういい、行け」と押し出される。そのまま退出する。
会社(日揮)はこのとき(下請けの)班長のみなので OK だった。放管はいない。放管がいるときは注意
れていた。
―ホールボディカウンター(WBC)での検査結果は安心できたか。
不安だ。
―状況が改善されず、健康不安を理由に退職したと。
派遣元に相談したけど
「日揮さんには世話になってるんだから、それを言うなら辞めるしかないぞ」と言
われた。この裁判で適切な判決を望んでいる。
―フレコンバッグへの灰の充填について。灰が漏出していた上、自動結束機が故障していた。
フレコンバッグの口を手で閉じた。灰が入りすぎて手作業でテミを使って掻き出し他のフレコンバッグ
に移し替えた。
このとき灰を浴びるような状態で顔にもかかった。
放管から退出時検査で指導を受けた。
反対尋問
(被告側代理人)
―新規入場教育は2回受けたと。内容は違っていたか。それは義務だったのか。
義務だと思う。
―放射能関連の仕事はほかに従事したことがあるか。
除染をやっていた。
―甲 29 灰処理の装備はレベル1、コンベア開放作業のときはレベル2と、それは誰に言われたのか。
現場で言われた。放管からは灰漏れの時レクチャーを受けた。手袋は 2 重にするようにと。
―乙 20P56 テキストでは 2 重にするのは 200 万㏃を超える場合とある。そのほかは綿手袋にゴム手袋
- 3. をつける。
各現場で抜き打ちチェックの際、2重でなければダメと言われた。
―甲 6 最後のページ エリア設定中は必ず放管対応で、ハウス組み立てエリア・・
―原告は以前の職場で何かトラブルがあったのではないか?
大したことではない。
・・ということがあっただけだ。
被告側弁護士が、原告の経歴を何らかの手段で調べていることを窺わせる質問に、メモを取る手が止ま
ってしまいました。後日、本人に詳しい話を伺ったところ、概ね以下のような内容でした。
以前の職場でサービス残業が続いたため、その分の給与を会社に請求した。同僚にもそのことを伝えた
り、請求の仕方を説明したりしていたところ、会社側からも同僚からも非難され「あいつはそういう(面
倒な)ヤツだ」という噂を流された。同じ業界の中では会社にとって不都合な評価はすぐに広まるのでは
ないかと思う。
被告側弁護士は原告の
「トラブル」を引き出すことで印象を悪くしようとしたのかもしれませんが、見事
に空振りに終わりました。
(裁判官1)
―作業員の人員体制について説明を。
同僚は、班長、副班長、ほか 6 人(原告のいた C 班)
、3交代、A,B,C,D の 4 班あった。週休 2 日制のた
め。交代の際に引継ぎのため1時間かぶる。
分析グループ、
・・グループ、
・・があった。日勤は人数が多く、放管は電話で呼ぶことになっていた。
―他の班の人と闇作業について相談したか?
相談した。教えてもらうこともあった。放管がいないとか、ヤミでやろう、バレないようにやろうとか。
―これはいけないから放管に伝えようということは。
告げ口になってしまうので言わなかった。
―班長とは同期か、教育は一緒に受けたか。
日揮に入った時期は同期、教育は同じタイミングではなかったと思う。
(裁判官2)
―作業中、線量計の携行についての指示はあったか。
携行していた。ID バーコード、ガラスバッジ含め 3 点セットをつけていた。
桁違いの数値が出ると「電子機器に近づけたんだろう」と言われて数値を消されたこともある。
―どのくらいの数値か。
記憶にない。ブザーが鳴らないので安全ではあるのだろうと思っていた。オーバーすれば仕事ができな
いので、範囲内だと思っていた。
―原告自身の積算線量も WBC の結果も数値が低く問題ないとされる値が出ているが、それでも不安に
思う理由は何か。
健康への影響は数値だけではないものがある。長期的な影響があるとも聞いている。そのため不安があ
る。