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デジタルオシロの使い方講座(基礎編)
SONICJAM 研究開発部 泉田隆介
オシロスコープとは
オシロスコープとは、電気の波形を計測する装置。
テスターではわからない電圧の時間的変化を測定する場合に用いる。
例:
● アナログセンサの出力電圧の測定
● 増幅回路等のアナログ回路の動作検証
● デジタル(ロジック)回路の動作検証
● デジタル通信信号の簡易的な検証
今回使用する機材
今回は Textronix 社のものを使用します。
メーカー/機種 によって使用方法は若干変わりますが基本機能としてはほぼ同様です。
Tektronix TBS1104 Tektronix TBS1022
オシロスコープのしくみ
今回使用するオシロスコープ:
デジタルオシロ
ただし、仕組みと操作を理解してもらうためにまずは
アナログオシロ
について構造を説明したいと思います。
※デジタルオシロの構造や仕組みはアナログオシロと異なりますが、測定を行うための考え方は一緒です。
どうやって波形を走査しているのか
ブラウン管のしくみ
どうやって波形を走査しているのか
水平偏光板にノコギリ波状の電圧をかけると、
電子ビームが左→右へ移動し表示が走査される
電圧
時間
電圧
時間
t
t
どうやって波形を走査しているのか
表示が走査されている状態で、垂直偏光板に測定したい信号を
増幅したものをかける
= 一定間隔で左→右に流れつつ、波形に合わせて上下する
ただし、これだけだと1発だけなので一瞬で消えてしまう。。。
電圧
時間
電圧
時間
t
t
どうやって波形を走査しているのか
測定波形の電圧が一定電圧を超えた瞬間をトリガにしてノコギリ
波を出力する。
周期波形だと同じタイミングでトリガがかかり毎回おなじ波形が表
示される。
trig trig trig
trigger
level
trig trig
trigtrig
トリガの種類
ノーマル
トリガがかかったタイミングで走査される。それ以外ではされない。
周期波形、連続波形の測定に使用。
オート
トリガがかかったタイミングで走査せる。ただし、一定時間以上トリガがかからないと勝手に走査が始まる。
周期波形等の測定、遅い波形を目視確認でする際などに使用。
シングル
トリガがかかったタイミングで1回のみ走査が行われる。デジタルオシロならではの機能。
波形のある1部のみを観察したい場合に使用。
プローブについて
電圧を測定するためにプローブという端子を使用します。
プローブには
● フックチップ
● グランド・リード
があり、両者間の電位差が出力される。
基本的には、
1. グラウンド・リードを回路中の基準電位(グランド)
部に接続し
2. フックチップを測定したい箇所にひっかけて
使用する。
フックチップ
グランド・
リード
演習0:測定前のおまじない
カップリングを DC に設定。
トリガポジションをセンターに戻す。
トリガソースを CH1 に設定
1. 「CH1」を選択
2. 「Coupling DC」の表示になるまでボ
タン押下
3. Trigger の 「Set to Zero」ボタンを押
下
4. Trigger の 「Trig Menu」 ボタンを押
下
5. 「Source CH1」の表示になるまでボ
タン押下
①
②
③④
⑤
演習1:ポジションを合わせる
波形が見やすい位置になるようにポジショ
ンを合わせる
1. 波形が見やすい位置にくるまで
CH1 の 「Position」 ダイヤルを回
す。 ①
演習2:プローブを接続する
測定したい場所にプローブを接続する
1. 本体の CH1 の端子にプローブを接
続
2. グランド・リードを回路の基準電位
(グランド)に接続する
3. 測定したい箇所にフックチップをひっ
かける
②
③
①
演習3:振幅を合わせる
波形全体が見えるように振幅を合わせる
1. 波形全体が見えるようになるまで
CH1 の 「Scale」 ダイヤルを回す。
(スケールから代替の目安を推測)
①
※1
スケールはここに表示される。
5V/div = 1マスにつき5V のスケール
演習4:時間幅を合わせる
ちょうどいい縮尺になるまで時間幅を調整
する
1. ちょうどいい表示になるまで、
「Scale」ダイヤルを回す。
(スケールから大体の目安を推測)
①
※1
スケールはここに表示される。
1ms/div = 1マスにつき1ms のスケール
演習5:トリガレベルの調整
波形が正しく表示されるよう、トリガレベル
の調整を行う。
1. 波形が正しく表示されるよう、
Trigger の 「Level」 ダイヤルを回
す。
(トリガレベル表示から大体の目安を
推測)
①
※1
トリガレベルはここに表示される。
演習6:トリガモードの変更 (Auto - Normal)
トリガーモードを変更し、Auto - Normal の
違いを観察する。
1. Trigger の「Trig Menu」を押下
2. ボタンを押下し、「Mode Auto /
Normal」を切り替える
①
②
演習7:トリガモードの変更 (Single)
トリガーモードを Single にし、トリガがか
かった瞬間の波形を測定する。
測定が終わったら元に戻す。
1. 「Single」ボタンを押下する
2. 波形の表示がトリガがかかったタイミ
ングで停止する。
3. 「Run/Stop」ボタンを押下し、表示を
再び動かす。
③
①
演習8:複数のチャンネルを同時に使う
複数のチャンネルを同時に使用し、複数の
波形を同時に測定する。
1. CH2 について演習0~4の操作を行
う。
2. Trigger の 「Trig Menu」を押下する
3. ボタンを押下しトリガーソースをトリ
ガをかけたいCH に変更する
4. 波形が正しく表示されるよう、
Trigger の 「Level」 ダイヤルを回し
調整する。
②
③ ④
基礎編おわり。

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