SlideShare a Scribd company logo
ソーシャルメディア上の政治家と市民の
コミュニケーションは集団分極化を招くのか
―Twitterを利用する国会議員のコミュニケーションパターンを事例に
情報社会学会 2014年大会 原著論文報告セッション
小野塚 亮 (慶應義塾大学SFC研究所)
西田 亮介 (立命館大学先端総合学術研究科)
政
治
家
の
情
報
発
信
ソ
ー
シ
ャ
ル
メ
デ
ィ
ア
の
メ
デ
ィ
ア
特
性
これまで彼に
関心がなかった市民
もともと彼に
関心があった市民
◁新規開拓
◁影響力の強化
政治家がソーシャルメディアを用いて情報発信をすることで
影響力の到達範囲を拡大することはできるのか?
問い
メディア特性によるコミュニケーション・パターンの分類
1. ソーシャルメディアとは
ユーザーの発信した情報が他の情報と結びつき、
新たな価値を生成するメディア(鈴木, 2011)
2. コミュニケーションとは
情報の「発信源から到達点へ」の流れの連鎖(安田, 1997)
3. 特徴的なメディア特性とは
「双方向性」と「共有機能(伝播力)」
双方向性の高・低、伝播力の高・低から政治家を分類(西田,2013)
コミュニケーション・パターンによる影響力の違い
双
方
向
性
伝播力
影響力の到達範囲を
広範に維持しつづける
到達範囲は広いが
徐々に縮小していく
影響力を及ぼしていない 狭い範囲での同質性が
強化されていく
▽新規開拓
▽既存の強化
▽新規開拓
この違いはなぜ生まれるのか?
→集団分極化?
コミュニケーション・パターンによる影響力の違いの解明に向けて
ソーシャルメディアの情報流通の仕方を
情報の外部効果・評判の外部効果からなる社会的影響
(サンスティーン,2012)
から捉える
※データ取得の柔軟性から分析対象としてTwitterを選択
2012年1月時点でTwitterを利用していた国会議員214名のツイートを
Twitter API v1.0を用いて, 約1年分(228,007件)取得
Twitterにおける情報流通
RTの閉じこもり
RTの連鎖
「揺らぎ」
TLへの閉じこもり
直接のつながりのないユーザーにまで
広範に情報を伝播させる
各ユーザーは自分に心地よい情報環
境を構築, 異質な情報の流れを抑制
RTの連鎖によって流入してくる異質な
情報により, 「心の動揺」(齋藤,2010)
=選好変容の可能性が生じる
「対人ネットワーク」(池田,2007)が
社会的同質性を生むように,
情報が彼に同質的な
一次ネットワークに閉じこもること
2つの社会的影響
情報の外部効果
情報を見聞きした人, とくに同じ集団に属しながら
見聞きした人は, そこから一定の行動への示唆を受ける
評判の外部効果
人は自分の評判を気にするし, 集団の構成員が期待している
(と自分が思う)とおりに行動したほうがいいような気持ちになる
国会議員はこれらの影響を受けやすい
これらはカスケード現象の発生要因
さらに集団内での議論がある場合, 集団分極化を招く
異なる集団との対話の可能性の喪失=民主主義に危険
8
同質的な立場の集団が討論することにより,
一層, 同質性が増し, 極端な立場へシフトする現象
集団の外のメンバーにとっては価値を抱きにくい
情報が生産されることになる
集団分極化現象をRTの連鎖から捉える
RTを「なんらかの価値を抱いた結果」と解釈し,
その情報伝播に注目する
Twitterでの情報流通と社会的影響
Twitter議員の情報発信が彼の
一次ネットワーク(フォロワー)に
到達
Twitterでの情報流通と社会的影響
一次ネットワークの
メンバーがRTすることで
直接のつながりのない
市民に偶発的に到達
Twitterでの情報流通と社会的影響
直接のつながりのない,
Twitter議員とは同質的では
ない市民がなんらかの
価値を抱いたとき
彼らによってRTされる
Twitterでの情報流通と社会的影響
ここで、Twitter議員の一次ネットワークの同質性が増していれば、
彼の情報発信は一次ネットワークの外側では価値を持ちにくくなる。
この時、直接つながりはないが、なんらかの価値を抱いてRTをした
市民(▲)の数は少なくなる。
ひとつのツイートあたりの▲の数を
「揺らぎ」の度合いとする。
Twitterでの情報流通と社会的影響
Twitterでの情報流通と社会的影響
仮 説
「揺らぎ」の減少(=RTの閉じこもり)は, 社会的影響により
同質性が強化された結果生じ, 集団分極化を導く
政治家の情報発信についての2つの想定
1. 政治家は社会的影響を受けて情報発信を行う
△RTの連鎖と, 「揺らぎ」の発生を目指す
△RTの閉じこもり, 同質性の強化を導く
2. 政治家は情報を広範に伝播させたいという動機をもつ
(再)コミュニケーション・パターンによる影響力の違い
双
方
向
性
伝播力
「揺らぎ」を継続的に発生
=新たなネットワークへ架橋
(11.7%)
徐々に「揺らぎ」がなくな
り, RTが閉じこもっていく
(16.4%)
コミュニケーションがほと
んど行われていない
(53.1%)
RTの閉じこもりの傾向が
強く, 集団分極化を招きうる
(18.8%)
2つの分析からこの結果を導いた
第一類型第二類型
第三類型第四類型
15
Twitter議員の類型ごとに、2011年3月12日から
2012年1月14日まで1週間単位で
「揺らぎ」の度合いの合計値(対数)の推移を分析
「揺らぎ」の度合いに影響を与える
Twitter議員の情報発信の傾向を
対数線形モデルを用いた重回帰分析から分析
分析A
分析B
第一類型 第二類型 第三類型
分析A
第一類型 第二類型 第三類型
n.s ***
***
平均297.50回/週 324.06回/週
104.28回/週
分析A
メンション率
長いメンション数
RT率
RTによって生成されたツ
イート数の合計
弾力性
-8.7%
10.1%
39.5%
98.5%
「揺らぎ」の度合いをBIC基準で変数選択後
対数線形重回帰モデルを用いて説明
分析B
「揺
ら
ぎ
」の
度
合
い
RTが同質性を解消する力/強化する力
情
報
の
外
部
効
果
同
調
の
波
及
(
RT
の
連
鎖
)
「
揺
ら
ぎ
」
の
発
生
・
連
鎖
異
質
性
が
持
ち
込
ま
れ
る
RT
同
質
性
の
解
消
評
判
の
外
部
効
果
「
フ
ォ
ロ
ワ
ー
に
ど
う
思
わ
れ
る
か
」
の
配
慮
互
い
に
圧
力
を
掛
け
合
う
評
判
カ
ス
ケ
ー
ド
発
生
RT
の
閉
じ
こ
も
り
分析結果からみるRTの持つ力
第一類型 第二類型と の「揺らぎ」に有意差はない
→RTは「揺らぎ」を生む(=情報の外部効果)
第二類型 の「揺らぎ」は時間とともに減少
→情報の外部効果の減少
→評判の外部効果の発生
第一類型 第二類型と の違いを生む「双方向性」とは?
メンションが同質性を解消する力/強化する力
双方向性から新たな価値を持つ情報が生まれる可能性
※ソーシャルメディアは「情報が他の情報と結びつき、新たな価値を
生成するメディア」(鈴木, 2011)
やりとりの循環プロセスが新たな価値を付与(=動的情報)
a) 新しい情報を生み出しているケース→同質性を解消
b) 同質的な情報を再生産しているケース→同質性を強化
分析結果からみるメンションが持つ力
第一類型 第三類型は の2倍の引用付きメンション
第一類型 は高いRT率を持つ
a) 新しい価値を生み出しているケース→同質性を解消
b) 同質的な情報を再生産しているケース→同質性を強化
は新しい価値を生む引用付きメンションが多い
は同質的な情報を再生産している可能性
第一類型
第三類型
各コミュニケーション・パターンと集団形成
第一類型
第二類型
第三類型
:高い伝播力・高い双方向性
:高い伝播力・低い双方向性
:低い伝播力・高い双方向性
対話と情報の多様性(動的情報)
価値のある情報(高いRT率と「揺らぎ」)
→脱極化の可能性/「プロの極化屋」の可能性
「揺らぎ」の減少→RTの閉じこもりの発生
「揺らぎ」の大きな減少→集団分極化が疑われる
展望:「プロの極化屋」の分析へ
インターネットは感情的要素が増幅されやすい場
選挙期間において, 「プロの極化屋」は存在したか?
→インターネットと政治における情念と集団の検討へ
補遺:2013参院選における「揺らぎ」
補遺:2013参院選における「揺らぎ」
補遺:2013参院選における「揺らぎ」

More Related Content

Similar to ソーシャルメディア上の政治家と市民のコミュニケーションは集団分極化を招くのか―Twitterを利用する国会議員のコミュニケーションパターンを事例に

2013年1月27日開催の第2回ミートアップ藤沢「地域コミュニティの育成」資料
2013年1月27日開催の第2回ミートアップ藤沢「地域コミュニティの育成」資料2013年1月27日開催の第2回ミートアップ藤沢「地域コミュニティの育成」資料
2013年1月27日開催の第2回ミートアップ藤沢「地域コミュニティの育成」資料
亮介 西田
 
高大連携授業20140730
高大連携授業20140730高大連携授業20140730
高大連携授業20140730
義広 河野
 
コミュニティカレッジさくら20190825
コミュニティカレッジさくら20190825コミュニティカレッジさくら20190825
コミュニティカレッジさくら20190825
義広 河野
 
ソーシャルメディアによる情報拡散モデル
ソーシャルメディアによる情報拡散モデルソーシャルメディアによる情報拡散モデル
ソーシャルメディアによる情報拡散モデルDaisuke Sashida
 
第2回 ふさの国商い倶楽部研修会20140225
第2回 ふさの国商い倶楽部研修会20140225第2回 ふさの国商い倶楽部研修会20140225
第2回 ふさの国商い倶楽部研修会20140225義広 河野
 
東京オープンデータデイ第4班:広報紙のデータがオープンになると市民がどんなふうに使えるか
東京オープンデータデイ第4班:広報紙のデータがオープンになると市民がどんなふうに使えるか東京オープンデータデイ第4班:広報紙のデータがオープンになると市民がどんなふうに使えるか
東京オープンデータデイ第4班:広報紙のデータがオープンになると市民がどんなふうに使えるか
Tomihiko Azuma
 
6 Social Good Trends & 10 News-Gathering Tips - #smwtok
6 Social Good Trends & 10 News-Gathering Tips - #smwtok6 Social Good Trends & 10 News-Gathering Tips - #smwtok
6 Social Good Trends & 10 News-Gathering Tips - #smwtok
SocialCompany, Inc.
 
Dr. Katsurai's slide
Dr. Katsurai's slideDr. Katsurai's slide
Dr. Katsurai's slide
miraikenkyu
 
コミュニティカレッジさくら20140531
コミュニティカレッジさくら20140531コミュニティカレッジさくら20140531
コミュニティカレッジさくら20140531義広 河野
 
公式Webサイトとソーシャルメディアの使い分け
公式Webサイトとソーシャルメディアの使い分け公式Webサイトとソーシャルメディアの使い分け
公式Webサイトとソーシャルメディアの使い分け
義広 河野
 
尾田「メディアにとっての政府・行政」20160305 ciriec
尾田「メディアにとっての政府・行政」20160305 ciriec尾田「メディアにとっての政府・行政」20160305 ciriec
尾田「メディアにとっての政府・行政」20160305 ciriec
Hajime Oda
 
社会情報学会発表資料20120914
社会情報学会発表資料20120914社会情報学会発表資料20120914
社会情報学会発表資料20120914
義広 河野
 
第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601
第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601
第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601
義広 河野
 
わびさび
わびさびわびさび
わびさび
HideyukiTakahashi8
 
第7回 情報教育研究フォーラム20131221
第7回 情報教育研究フォーラム20131221第7回 情報教育研究フォーラム20131221
第7回 情報教育研究フォーラム20131221義広 河野
 
20130811dtk socialmedia
20130811dtk socialmedia20130811dtk socialmedia
20130811dtk socialmediaMasahiko Inoue
 
140130waseda_journalism
140130waseda_journalism140130waseda_journalism
140130waseda_journalism
Shintaro Eguchi
 
メディア戦略とポピュリズム―米伊の事例を中心に―
メディア戦略とポピュリズム―米伊の事例を中心に―メディア戦略とポピュリズム―米伊の事例を中心に―
メディア戦略とポピュリズム―米伊の事例を中心に―
Fumiko Kudoh
 
オープンデータ・セミナー@八王子 関口
オープンデータ・セミナー@八王子 関口オープンデータ・セミナー@八王子 関口
オープンデータ・セミナー@八王子 関口
Code for Hachioji
 
オープンデータカフェ@八王子20130301 横浜市(八王子)
オープンデータカフェ@八王子20130301 横浜市(八王子)オープンデータカフェ@八王子20130301 横浜市(八王子)
オープンデータカフェ@八王子20130301 横浜市(八王子)keiko-sakamoto
 

Similar to ソーシャルメディア上の政治家と市民のコミュニケーションは集団分極化を招くのか―Twitterを利用する国会議員のコミュニケーションパターンを事例に (20)

2013年1月27日開催の第2回ミートアップ藤沢「地域コミュニティの育成」資料
2013年1月27日開催の第2回ミートアップ藤沢「地域コミュニティの育成」資料2013年1月27日開催の第2回ミートアップ藤沢「地域コミュニティの育成」資料
2013年1月27日開催の第2回ミートアップ藤沢「地域コミュニティの育成」資料
 
高大連携授業20140730
高大連携授業20140730高大連携授業20140730
高大連携授業20140730
 
コミュニティカレッジさくら20190825
コミュニティカレッジさくら20190825コミュニティカレッジさくら20190825
コミュニティカレッジさくら20190825
 
ソーシャルメディアによる情報拡散モデル
ソーシャルメディアによる情報拡散モデルソーシャルメディアによる情報拡散モデル
ソーシャルメディアによる情報拡散モデル
 
第2回 ふさの国商い倶楽部研修会20140225
第2回 ふさの国商い倶楽部研修会20140225第2回 ふさの国商い倶楽部研修会20140225
第2回 ふさの国商い倶楽部研修会20140225
 
東京オープンデータデイ第4班:広報紙のデータがオープンになると市民がどんなふうに使えるか
東京オープンデータデイ第4班:広報紙のデータがオープンになると市民がどんなふうに使えるか東京オープンデータデイ第4班:広報紙のデータがオープンになると市民がどんなふうに使えるか
東京オープンデータデイ第4班:広報紙のデータがオープンになると市民がどんなふうに使えるか
 
6 Social Good Trends & 10 News-Gathering Tips - #smwtok
6 Social Good Trends & 10 News-Gathering Tips - #smwtok6 Social Good Trends & 10 News-Gathering Tips - #smwtok
6 Social Good Trends & 10 News-Gathering Tips - #smwtok
 
Dr. Katsurai's slide
Dr. Katsurai's slideDr. Katsurai's slide
Dr. Katsurai's slide
 
コミュニティカレッジさくら20140531
コミュニティカレッジさくら20140531コミュニティカレッジさくら20140531
コミュニティカレッジさくら20140531
 
公式Webサイトとソーシャルメディアの使い分け
公式Webサイトとソーシャルメディアの使い分け公式Webサイトとソーシャルメディアの使い分け
公式Webサイトとソーシャルメディアの使い分け
 
尾田「メディアにとっての政府・行政」20160305 ciriec
尾田「メディアにとっての政府・行政」20160305 ciriec尾田「メディアにとっての政府・行政」20160305 ciriec
尾田「メディアにとっての政府・行政」20160305 ciriec
 
社会情報学会発表資料20120914
社会情報学会発表資料20120914社会情報学会発表資料20120914
社会情報学会発表資料20120914
 
第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601
第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601
第1回富里市ソーシャルメデイア講座201601
 
わびさび
わびさびわびさび
わびさび
 
第7回 情報教育研究フォーラム20131221
第7回 情報教育研究フォーラム20131221第7回 情報教育研究フォーラム20131221
第7回 情報教育研究フォーラム20131221
 
20130811dtk socialmedia
20130811dtk socialmedia20130811dtk socialmedia
20130811dtk socialmedia
 
140130waseda_journalism
140130waseda_journalism140130waseda_journalism
140130waseda_journalism
 
メディア戦略とポピュリズム―米伊の事例を中心に―
メディア戦略とポピュリズム―米伊の事例を中心に―メディア戦略とポピュリズム―米伊の事例を中心に―
メディア戦略とポピュリズム―米伊の事例を中心に―
 
オープンデータ・セミナー@八王子 関口
オープンデータ・セミナー@八王子 関口オープンデータ・セミナー@八王子 関口
オープンデータ・セミナー@八王子 関口
 
オープンデータカフェ@八王子20130301 横浜市(八王子)
オープンデータカフェ@八王子20130301 横浜市(八王子)オープンデータカフェ@八王子20130301 横浜市(八王子)
オープンデータカフェ@八王子20130301 横浜市(八王子)
 

ソーシャルメディア上の政治家と市民のコミュニケーションは集団分極化を招くのか―Twitterを利用する国会議員のコミュニケーションパターンを事例に

Editor's Notes

  1. 集団分極化が起きている状態では、Twitter議員に関心を持つフォロワー以外には価値を抱きづらい情報が生産されると考えられます。そこで、RTをなんらかの価値を抱いた結果の行為と解釈して、その伝播、RTの連鎖に注目します。
  2. RTの連鎖の第一段階は、真ん中のTwitter議員から彼のフォロワー、一次ネットワークに情報が到達します。
  3. 次に、Twitter議員のフォロワーがRTをすることで、Twitter議員とは直接のつながりのない市民にTwitter議員の情報発信が偶発的に到達します。
  4. ここで、Twitter議員とは直接のつながりのない△で示されている市民にとっては、自分の趣味嗜好からつくられた自分のタイムラインに、異質な他者の情報が偶発的に侵入してきたことになります。この異質で偶発的な情報に対して、なんらかの価値を新たに抱いてRTしたとき、△の市民には、これまでにない選好変容の契機が生まれる可能性があると言えます。
  5. そこで、Twitter議員の情報発信がこの選好変容の可能性をもたらした回数を「揺らぎの度合い」としました。もし、Twitter議員の一次ネットワーク、青色の部分の同質性が増していれば、彼の発信する情報は一次ネットワークの外側、△の市民たちにとっては価値を抱きづらいものになると考えられます。
  6. そのために2つの分析を行いました。まず、2011年3月12日から44週間の揺らぎの度合いの変化をTwitter議員の類型別にみたものが分析A、揺らぎの度合いに影響を与えるTwitter議員の情報発信の傾向を分析したものが分析Bです。分析方法の詳細は配布資料をご覧ください。
  7. まず、分析Aの結果はこのようになっています。双方向性も伝播力も高い第一類型のみが時系列変化がなく一定で、伝播力だけが高い第二類型が若干の減少傾向、双方向性だけが高い第三類型はそれよりも強い減少傾向がみられました。また、結果の詳細は配布資料の4ページをご覧ください。
  8. また、各々の類型ごとの揺らぎの度合いの平均値を多重比較した結果、第一類型と第三類型、第二類型と第三類型の間に有意差があることが分かりました。対数変換前の一週間あたりの揺らぎの度合いは、第一類型から順に、297回、324回、104回で、一日あたりおよそ、42回、46回、15回でした。
  9. 続いて分析Bでは、配布資料の5ページにある通り、Twitterのメディア特性を表す変数とTwitter外の既存メディアの影響力などを表す変数の14の変数からBIC基準で変数選択をした結果、メンション率、引用付きメンション数、RT率、RTによって生成されたツイート数の合計という双方向性と伝播力に対応する4つの変数が選択されました。それぞれの揺らぎの度合いに対する弾力性は、上から順に、-8.7%、10.1%、39.5%、98.5%でした。結果の詳細は配布資料の5から6ページをご覧ください。