[BERTO, F](2010)䠖HOW TO RULE OUT THINGS WITH WORDS: STRONG PARACONSISTENCY AND ALGEBRA OF EXCLUSIONの要約

1. [BERTO, F](2010)：HOW TO RULE
OUT THINGS WITH WORDS: STRONG
PARACONSISTENCY AND ALGEBRA
OF EXCLUSION
花田覚

2. 目次
� 背景と目的(1),(2)
� 係争点はどこなのか．解決案の提示．
� 解決案の具体化(1),(2)
� 考察
� 参考文献

3. 背景と目的(1)：定義と背景
� 矛盾許容論理(Paraconsistent Logic)とは，文
の集合が整合的であっても，トリビアルではな
いような〈理論〉である．
⚫ 整合的：：ある命題とその否定が同時には含まれない
� つまり，（PかつPでない）のではない
⚫ トリビアル：： 任意の命題Qが，集合｛P, ￢P｝から
導出できる．
� E.g.)白くあって白くないものがある．明日は晴れである．よ
って明日は晴れでない．
� Par-Log.は，古代ギリシャを除くと，20世紀初頭
に出てきた考えであり，矛盾した体系や理論によ
る，説明や導出をいかに行うか，についての研究
である．
⚫ 近接する分野としては「適切さの論理」が挙げられる．
2013/12/20
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4. 背景と目的(2)：背景とこの論文の目的
� Par-Log.の中で強い矛盾許容論理
の立場，Dialetheism(反‐真理
主義？)がある．それは真であっ
て偽であるような命題，真なる矛
盾の存在を主張．Priest, G.曰く，
「無矛盾律もまた正当化が必要」．
� この立場と古典的な，無矛盾律を
擁護する立場とでは，深い溝があ
る．
� 両者の溝を埋める，もしくは無矛
盾律擁護派に譲歩を促すことが，
[Berto, F](2010)の目標である．

5. 係争点はどこなのか．解決案の提示．
� 複雑怪奇．
⚫ トラブルの発端はどこなのか：否定か，矛盾か，定義
か．
⚫ 問題の原因はどこなのか：存在論か，意味論の問題か．
� 一致する点
⚫ 真であることと偽であること，受け入れることと拒否
することが同時に成り立っては困る．
� 解決のための条件:(1)真理値への言及を避けること．
(2)前理論的，情報伝達のレベルで説明できること．
(3)両者に共有されている直観に基づくこと．
� 解決案：Exclusionやincompatibilityの導入．”Not-
”の代数的意味づけ．

6. 解決案の具体化(1)（ EXCLUSION，
INCOMPATIBILITY）
� ExclusionやIncompatibilityの判断基準
⚫ 非論理的に，形而上的な分類の適用によって特徴づけ
られる．”赤”は”青”をExcludeし，”赤”と”青”は
incompatibleな関係にある．心理的，社会的な要素が
含まれる．
⚫ 否定するときは，述語否定ではなく，述語名辞の否定．
� 条件に合致する．
⚫ 実践的な側面では，選択肢が両立不可能な状況，理論
的な側面では，子どもが獲得する差異の認識能力，が
これに該当する．
⚫ 否定をrejection/denialなどの主観的な判断に終わらな
いように定義できる．
⚫ Incompatible statesは理論を意味づけるためには必要．

7. 解決策の具体化(2)（代数的特徴づけ）
� S=＜U, ≦, ∨,・＞とする．Uは言明の集合．
� Not-p:=∨E （無限の場合は∃x.(x∧x・p)）
⚫ E⊂Ip:={x|x・p}
� x・p:=xとpはincompatibleである．
� ≦：左の言明は右の言明を含意する．
� あとは，各種論理規則についての代数的特徴づけ
を与えていく．
⚫ 例えば，対偶法，二重否定除去，カット規則，いずれ
を認めるか認めないか，など．
� 柔軟な意味づけができる．

8. 考察
� 結局歩み寄れたのか．
→YesでありNoである．
� 「無矛盾律もまた正当化が必要」を示し得た．な
ぜなら，ある体系をあえて選択する理由を要求で
きる可能性があるから．
� ExclusionやIncompatibilityの性質は，LNCの擁護
者にとって受け入れがたい．
� 論証の特徴を十全に捉えられるか，疑問．
⚫ 他の論理体系でも同じことだが，論証における演算
子・結合子の役割，他の推論規則について，正当化の
必要性の有無，等々を示す役割があるのかどうかを示
すのは今後の哲学の課題．

9. 参考文献
� Berto, F. (2010) “How to Rule Out Things with
Words: Strong Paraconsistency and Algebra of
Exclusion”, Restal G. et al. eds New waves in
philosophical logic, Palgrave Macmillian, pp169-
189
� Brown, B. (2006)”On Paraconsistency”, Jacquette,
D. eds A Companion to Philosophical Logic,
Blackwell,pp628-650
� Pries, G. (2006) “Logicians Setting Together
Contradictories: A Pespective on Relevance,
Paraconsistency, and Dialetheism”, Jacquette, D.
eds A Companion to Philosophical Logic,
Blackwell,pp651-664