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ロールレタリング研究データベース
による近年の研究の特徴や動向
   (2010年 報告)




    金子周平(鳥取大学)
問題と目的
•   RLの誕生
     和田秀隆氏による実践(1983年)
     春口徳雄氏による理論体系化(1987年)


•   RL研究の歴史
     RL研究会(1992年∼1999年)
     RL学会(大会)(2000年∼)
     RL研究(2001年∼)
問題と目的
•   松岡(2006)
    対象:1993年から2004年までの発表
    研究対象,手紙の相手,領域別の研究のキーワードなどの分析


•   小林(2007)
    対象:多数の先行研究
    研究のレビューからRL実施や効果のなどの原則を論じ,効果測定
    による研究の質の確保を課題としている


•   關戸(2009)
    対象:RLの効果検証に焦点を当てた文献
    心理尺度と事例研究の組み合わせによる効果検証が多いこと
問題と目的
•   先行するレビュー論文
    RLの治療機序,原則,課題などが浮かび上がらせてきた
    研究推進の役割を担ってきた


•   レビュー論文やデータベースに基づく研究の目的
     1)対象とする研究の動向や研究数の推移の分析
     2)先行研究の問題点の指摘
     3)先行研究の知見の整理
     4)今後の研究展望 など
問題と目的
•   RL研究のデータベース化
    → 様々なレビューの目的に対応可能
    → 包括的,継続的なレビューを可能にする


•   本研究の目的
    データベース作成の報告
    データベース作成にから明確になった知見の確認や整理
       (特に効果指標としての自尊感情,エゴグラム)
方法
•   対象
    2009年までのRL研究会,RL学会研究発表抄録集,RL研究の他,心
    理臨床学研究,交流分析研究,他の雑誌や大学紀要のRLに関する
    研究,CiNii(NII論文情報ナビゲータ)によりRLのキーワード検
    索した研究,281研究


•   データベース化の内容
    著者,タイトル,雑誌・書籍名,巻,号,年,論文種別(研究方
    法),分野(領域),対象,使用尺度,主な効果や主張,手紙の
    書き手A∼X,指定テーマ1∼12を入力した。
結果と考察
•    RL研究領域別の研究数の推移
    30



    25



    20



    15



    10



    5



    0
     83
     84
          85
          86
               87
                    88
                         89
                              90
                                   91
                                        92
                                             93
                                                  94
                                                       95
                                                            96
                                                                 97
                                                                      98
                                                                           99
                                                                                00
                                                                                     01
                                                                                          02
                                                                                               03
                                                                                                    04
                                                                                                         05
                                                                                                              06
                                                                                                                   07
                                                                                                                        08
                                                                                                                             09
    19




          矯正教育                                     学校教育                                         看護・福祉教育
          学生相談                                     臨床心理面接(医療・教育・他)                              計
                                        FIgure 1 RL研究領域別の研究数の推移
結果と考察
•   RL研究領域別の研究数の推移
     
     研究全体   …2003年や2006年をピークとする

     矯正教育   …1997年と1999年のピークからやや減少気味
             2008年に再び増加
     学校教育   …2002年をピークに増減しながら減少傾向
     看護・福祉教育…2000年頃から始まる
     臨床心理面接 …2000年頃から始まる
     学生相談   …2005年頃から始まる
結果と考察
•   RL研究領域別の研究方法の数
       Table 2 RL研究領域別の研究方法の数
                     単一事例 複数事例
                      研究   研究  調査研究   その他   計
             矯正教育     37   11   1     15    64
             学校教育     9    41   35    20    105
          看護・福祉教育     2    3    17     0    22
             学生相談     7    0    0      0    7
       臨床心理面接(教育)     11   3    0      1    15
       臨床心理面接(医療)     8    2    0      0    10
        臨床心理面接(他)     8    3    0      4    15
               その他    7    2    8     26    43
                 計    89   65   61    66    281

    矯正教育    …単一事例研究が多い
    臨床心理面接  …単一事例研究が多い
    学校教育    …複数事例研究と調査研究が多い
    看護・福祉教育 …調査研究が盛ん
結果と考察
•    RL研究の知見:自尊感情



    Table 3 自尊感情の上昇が示唆された研究一覧
              有意な変化が確認されたもの変化が確認されたもの
                                    (事例研究を含む)
              井頭・松岡,2005,2006***    下村,2001
    自尊感情の上昇   岡本泰弘,2006a,2006b***   三星,2006a,2006b
                                    井頭,2008,2009




     統計的に有意でないものも含めて、自尊感情は上昇を示唆した研
     究のみであった
方法結果考察
•   RL研究の知見:エゴグラム
    Table 4 エゴグラムの変化が示唆された研究一覧
                   有意な変化が確認されたもの         変化が確認されたもの(事例研究を含む)
          上昇 細井・犬塚,2002*;田中・松岡,2004*    塚田,2002;岡本茂樹,2006b
     CP        森上・松岡・坂手,2002*           上田・小栗,1995;春口,1996;長岡,1996;原野,
          下降                            1997,2005;岡本茂樹,2005a,2006a,2008
             飯田,2000**;森上・松岡・坂手,2001*,2002*;
                                       塚田,1991,1999,2009a,2009b;春口,1996;原
          上昇 橋本,2003*;田中・松岡,2004*;岡本泰弘,野,1997;高山,1997;伊藤,2002;飯田,2003
     NP      2006b
          下降
               飯田,2000**;橋本,2003*       塚田,1991,1999,2008;和田,1995;上田・小栗,
                                        1995;原野,1996,1997,1999;春口,1996;内田,
          上昇                            1999;尾口,2000;才田・春口,2000a,2000b;岡
     A                                  本・松藤,2001;伊藤,2002;飯田,2003;岡本茂
                                        樹,2008,2009

          下降                            原野,2005
             飯田,2000**;細井・犬塚,2002*;橋本,2003*
                                       長岡,1995;春口,1996;高山,1997;尾口,2000;
          上昇                           岡本・松藤,2001;飯田,2003;塚田,2009a,2009b
     FC
          下降                            上田・小栗,1995;和田,1995,岡本茂樹,2006b
          上昇                            岡本茂樹,2006b
                                        長岡,1995;和田,1995;春口,1996;岡本・松藤,
     AC
          下降                            2001;岡本茂樹,2005a,2005b,2006a,2008,
                                        2009;塚田,2009a,2009b
                                        PC(自我状態の適切な切り替え)の上昇、SR(自分
    その他                                 についての思い込み)の低下(原野,2002)
方法結果考察
•   統計的に有意なエゴグラムの変化
     =CPの上昇と下降,NPの上昇,Aの上昇,FCの上昇


•   これまで一度も示唆されていないエゴグラムの変化
     =NPの下降のみ(事例研究なども含める)


•   一般的ではない変化(CP↑,AC↑,A↓,FC↓)の報告
     =エゴグラムの妥当性の問題や失敗事例ではない
    例)CPが0点で主張が苦手な児童のCPの上昇(塚田,2002)
    例)カウンセラーを目指す学生の自己理解としてのCPやACの
      上昇,FCの下降(岡本茂樹,2006b)
    個々の事例では平均的でない変化が,十分にあり得る
結果と考察
•   RL研究の知見:その他(統計的に有意なもののみ)
Table 5 RLの様々な効果指標についての有意な知見
   著者       年              有意な結果が確認された知見の内容
森上・松岡・坂手2002    「保護者との関わり」の内容が減少、「自分の考え、行動、人間関係」の内容が増加***

森上・松岡   2003    「苦手な教科でもできるようになりたいと思い、がんばれば得意になれると思う」の得点
                が上昇*
田中・松岡   2003,2004 「私的自己意識」の上昇*、「視点取得」の上昇*
田中・松岡   2005    「内的他者意識」の増加*

井頭・松岡   2005,2006 「子どもの統制不能感」の下降**、「家族間の不協和」の下降*、「拒否的態度」の下降
                **、「ネガティブな態度」の下降**
井頭・松岡   2006    「子どもに対する肯定的・積極的・ポジティブな態度(SCT記述)」の上昇*
徳丸      2006    「憧れの職業のために今しなければならないことを考えている」の得点が上昇*
岡本泰弘    2006a,2006b
                 「ストレス反応」の下降***、「共感性」の上昇***
岡本泰弘    2006b   OKグラム「自己肯定」の上昇***、「他者肯定」の上昇***
金子      2008    「自己主張性」の上昇**

三枝      2008    「生き方に関する意識」の上昇**、「能動的・創造的態度」の上昇**、「自立的・自己責任
                的態度」の上昇*、「自己への肯定的態度」の上昇**
關戸      2008    患者から検査見学を断られたときの「ショック、怒り、不快、困惑、不安」の低下*
加城      2008,2009 「失敗に対する不安」の下降*、「能力の社会的位置づけ」の上昇*
岡本・森田   2009    酸化ヘモグロビン(oxy-Hb)の低下**
結果と考察
•   まとめ
    特に量的効果研究の知見の確認と整理を提示した


•   今後の展望
    手紙の相手や手紙のテーマ(課題RL)の分析等,質的な側面も知
    見をまとめたい

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ロールレタリング研究データベース による近年の研究の特徴や動向 (2010年 報告)

  • 2. 問題と目的 • RLの誕生  和田秀隆氏による実践(1983年)  春口徳雄氏による理論体系化(1987年) • RL研究の歴史  RL研究会(1992年∼1999年)  RL学会(大会)(2000年∼)  RL研究(2001年∼)
  • 3. 問題と目的 • 松岡(2006) 対象:1993年から2004年までの発表 研究対象,手紙の相手,領域別の研究のキーワードなどの分析 • 小林(2007) 対象:多数の先行研究 研究のレビューからRL実施や効果のなどの原則を論じ,効果測定 による研究の質の確保を課題としている • 關戸(2009) 対象:RLの効果検証に焦点を当てた文献 心理尺度と事例研究の組み合わせによる効果検証が多いこと
  • 4. 問題と目的 • 先行するレビュー論文 RLの治療機序,原則,課題などが浮かび上がらせてきた 研究推進の役割を担ってきた • レビュー論文やデータベースに基づく研究の目的  1)対象とする研究の動向や研究数の推移の分析  2)先行研究の問題点の指摘  3)先行研究の知見の整理  4)今後の研究展望 など
  • 5. 問題と目的 • RL研究のデータベース化 → 様々なレビューの目的に対応可能 → 包括的,継続的なレビューを可能にする • 本研究の目的 データベース作成の報告 データベース作成にから明確になった知見の確認や整理    (特に効果指標としての自尊感情,エゴグラム)
  • 6. 方法 • 対象 2009年までのRL研究会,RL学会研究発表抄録集,RL研究の他,心 理臨床学研究,交流分析研究,他の雑誌や大学紀要のRLに関する 研究,CiNii(NII論文情報ナビゲータ)によりRLのキーワード検 索した研究,281研究 • データベース化の内容 著者,タイトル,雑誌・書籍名,巻,号,年,論文種別(研究方 法),分野(領域),対象,使用尺度,主な効果や主張,手紙の 書き手A∼X,指定テーマ1∼12を入力した。
  • 7. 結果と考察 • RL研究領域別の研究数の推移 30 25 20 15 10 5 0 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 19 矯正教育 学校教育 看護・福祉教育 学生相談 臨床心理面接(医療・教育・他) 計 FIgure 1 RL研究領域別の研究数の推移
  • 8. 結果と考察 • RL研究領域別の研究数の推移    研究全体   …2003年や2006年をピークとする  矯正教育   …1997年と1999年のピークからやや減少気味          2008年に再び増加  学校教育   …2002年をピークに増減しながら減少傾向  看護・福祉教育…2000年頃から始まる  臨床心理面接 …2000年頃から始まる  学生相談   …2005年頃から始まる
  • 9. 結果と考察 • RL研究領域別の研究方法の数 Table 2 RL研究領域別の研究方法の数 単一事例 複数事例 研究 研究 調査研究 その他 計 矯正教育 37 11 1 15 64 学校教育 9 41 35 20 105 看護・福祉教育 2 3 17 0 22 学生相談 7 0 0 0 7 臨床心理面接(教育) 11 3 0 1 15 臨床心理面接(医療) 8 2 0 0 10 臨床心理面接(他) 8 3 0 4 15 その他 7 2 8 26 43 計 89 65 61 66 281 矯正教育    …単一事例研究が多い 臨床心理面接  …単一事例研究が多い 学校教育    …複数事例研究と調査研究が多い 看護・福祉教育 …調査研究が盛ん
  • 10. 結果と考察 • RL研究の知見:自尊感情 Table 3 自尊感情の上昇が示唆された研究一覧 有意な変化が確認されたもの変化が確認されたもの (事例研究を含む) 井頭・松岡,2005,2006*** 下村,2001 自尊感情の上昇 岡本泰弘,2006a,2006b*** 三星,2006a,2006b 井頭,2008,2009 統計的に有意でないものも含めて、自尊感情は上昇を示唆した研 究のみであった
  • 11. 方法結果考察 • RL研究の知見:エゴグラム Table 4 エゴグラムの変化が示唆された研究一覧 有意な変化が確認されたもの 変化が確認されたもの(事例研究を含む) 上昇 細井・犬塚,2002*;田中・松岡,2004* 塚田,2002;岡本茂樹,2006b CP 森上・松岡・坂手,2002* 上田・小栗,1995;春口,1996;長岡,1996;原野, 下降 1997,2005;岡本茂樹,2005a,2006a,2008 飯田,2000**;森上・松岡・坂手,2001*,2002*; 塚田,1991,1999,2009a,2009b;春口,1996;原 上昇 橋本,2003*;田中・松岡,2004*;岡本泰弘,野,1997;高山,1997;伊藤,2002;飯田,2003 NP 2006b 下降 飯田,2000**;橋本,2003* 塚田,1991,1999,2008;和田,1995;上田・小栗, 1995;原野,1996,1997,1999;春口,1996;内田, 上昇 1999;尾口,2000;才田・春口,2000a,2000b;岡 A 本・松藤,2001;伊藤,2002;飯田,2003;岡本茂 樹,2008,2009 下降 原野,2005 飯田,2000**;細井・犬塚,2002*;橋本,2003* 長岡,1995;春口,1996;高山,1997;尾口,2000; 上昇 岡本・松藤,2001;飯田,2003;塚田,2009a,2009b FC 下降 上田・小栗,1995;和田,1995,岡本茂樹,2006b 上昇 岡本茂樹,2006b 長岡,1995;和田,1995;春口,1996;岡本・松藤, AC 下降 2001;岡本茂樹,2005a,2005b,2006a,2008, 2009;塚田,2009a,2009b PC(自我状態の適切な切り替え)の上昇、SR(自分 その他 についての思い込み)の低下(原野,2002)
  • 12. 方法結果考察 • 統計的に有意なエゴグラムの変化  =CPの上昇と下降,NPの上昇,Aの上昇,FCの上昇 • これまで一度も示唆されていないエゴグラムの変化  =NPの下降のみ(事例研究なども含める) • 一般的ではない変化(CP↑,AC↑,A↓,FC↓)の報告  =エゴグラムの妥当性の問題や失敗事例ではない 例)CPが0点で主張が苦手な児童のCPの上昇(塚田,2002) 例)カウンセラーを目指す学生の自己理解としてのCPやACの   上昇,FCの下降(岡本茂樹,2006b) 個々の事例では平均的でない変化が,十分にあり得る
  • 13. 結果と考察 • RL研究の知見:その他(統計的に有意なもののみ) Table 5 RLの様々な効果指標についての有意な知見 著者 年 有意な結果が確認された知見の内容 森上・松岡・坂手2002 「保護者との関わり」の内容が減少、「自分の考え、行動、人間関係」の内容が増加*** 森上・松岡 2003 「苦手な教科でもできるようになりたいと思い、がんばれば得意になれると思う」の得点 が上昇* 田中・松岡 2003,2004 「私的自己意識」の上昇*、「視点取得」の上昇* 田中・松岡 2005 「内的他者意識」の増加* 井頭・松岡 2005,2006 「子どもの統制不能感」の下降**、「家族間の不協和」の下降*、「拒否的態度」の下降 **、「ネガティブな態度」の下降** 井頭・松岡 2006 「子どもに対する肯定的・積極的・ポジティブな態度(SCT記述)」の上昇* 徳丸 2006 「憧れの職業のために今しなければならないことを考えている」の得点が上昇* 岡本泰弘 2006a,2006b 「ストレス反応」の下降***、「共感性」の上昇*** 岡本泰弘 2006b OKグラム「自己肯定」の上昇***、「他者肯定」の上昇*** 金子 2008 「自己主張性」の上昇** 三枝 2008 「生き方に関する意識」の上昇**、「能動的・創造的態度」の上昇**、「自立的・自己責任 的態度」の上昇*、「自己への肯定的態度」の上昇** 關戸 2008 患者から検査見学を断られたときの「ショック、怒り、不快、困惑、不安」の低下* 加城 2008,2009 「失敗に対する不安」の下降*、「能力の社会的位置づけ」の上昇* 岡本・森田 2009 酸化ヘモグロビン(oxy-Hb)の低下**
  • 14. 結果と考察 • まとめ 特に量的効果研究の知見の確認と整理を提示した • 今後の展望 手紙の相手や手紙のテーマ(課題RL)の分析等,質的な側面も知 見をまとめたい

Editor's Notes

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