DAISY textbook copyright issues

1. 「著作権法の一部を改正する
法律案」について
2009年3月10日 閣議決定
2010年1月1日 施行予定
http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/171/1251917.htm
障害者放送協議会著作権委員会 井上芳郎
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2. 権利制限による情報保障
全ての著作物等が、あらかじめアクセシブル
な形式で提供されているのが理想。
しかし現実は、理想にはほど遠い状況。
↓
著作権者の権利の一部を制限することで、第
三者がアクセシブルな形式に複製等をし、障
害者の情報保障をすることを認めている。
公共図書館・学校教育等での利用といった、
公益性の高い場合についても認めている。
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3. 文化審議会著作権分科会報告
2009年1月
障害者の著作物利用についての権利制限に
ついては、障害者の情報アクセスを保障し、情
報格差を是正する観点から、対象とする障害
種を視覚障害や聴覚障害に限定することなく、
障害等により著作物の利用が困難な者であれ
ば、可能な限り権利制限規定の対象に含め、
また、複製等の主体、方式について もそれに
応じて拡大を行う方向で、速やかに所要の措
置を講ずることが適当である。
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4. 今回の改正案のポイント
権利制限による利用対象者の拡大
視覚障害者→視覚障害者等
 聴覚障害者→聴覚障害者等
 権利者に無許諾で複製等できる主体の拡大
 政令で定める「施設」→政令で定める「者」
 複製の方式を録音等に限定しない
視・聴覚障害者等が利用するための必要な方式
貸し出しの目的に限定せず、一部譲渡も可
翻訳・翻案（要約に限らない）による利用の拡大
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5. 第37条 第1項 第2項 関係
 表題の変更
「点字による複製」
→「視覚障害者等のための複製」
 第1項、第2項については現行と変更なし。
 第1項 許諾なく点字による複製ができること。
 第2項 許諾なく点字データの自動公衆送信
（公衆送信可能化含む）等ができること。
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6. 第37条 第3項 関係 ①
 これまでの「視覚障害」から対象範囲を拡大
し「視覚障害者等」を新規に定義。
※「視覚障害者等」 ＝「視覚障害者その他視覚
による表現の認識に障害のある者」
※明文化されてはいないが、発達障害児・者の
一部（ディスレクシア等）も含まれる。
※上肢麻痺等の理由で、通常の印刷物にアク
セス困難な人たちは含まれるのか？
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7. 第37条 第3項 関係 ②
 新規に「視覚著作物」を定義し、 「視覚障害者
等」のために、一定の要件のもと許諾なく文字
を音声化できることを明記（「録音」から「音声
にする」に変更） 。
 一定の要件のもと「視覚障害者等」のために、
許諾なく複製や自動公衆送信（送信可能化含
む）ができることとした。
※「視覚著作物」＝「視覚によりその表現が認
識される方式で公衆に提供・提示されるもの」
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8. 第37条 第3項 関係 ③
 著作権者の許諾なしに複製等のできる主体
を、「福祉に関する事業を行う者で政令で定
めるもの」に拡大。
 複製物の用途として「貸し出し」に限定せず、
一部譲渡も可能とした。
 複製方式は録音に限定せず、視覚障害者等
が「必要とする方式」でできるものとした。
↓
デジタル方式も含む（デイジー図書等）
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9. 第37条 第3項 関係 ④
 第37条 第3項 「ただし書き」について
↓
「視覚障害者等」が 利用できる方式で、すで
に「視覚著作物」が出版等されている場合、複
製や自動公衆送信等をするためには許諾が
必要となる（権利制限規定の要件から除く）。
※ 運用次第によっては、新たな情報障壁（バリ
アー）となる危険性がある。
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10. 第37条の2 関係 （法律案要綱より）
聴覚障害者等の福祉に関する事業を行う者で
政令で定めるものは、聴覚著作物について、専
ら聴覚障害者等の用に供するために、音声を文
字にすること、聴覚障害者等が利用するために
必要な方式により、著作物の音声の複製若しく
は自動公衆送信をし、または専ら聴覚障害者等
向けの貸出しのために、その音声の複製と併せ
て複製することができる。
障害者が利用するために必要な方式により提
供されている場合、これらの規定を適用しない。
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11. 【参考】 第33条の2 2008年9月17日施行
教科用図書に掲載された著作物は、視覚障害、
発達障害その他の障害により教科用図書に掲
載された著作物を使用することが困難な児童又
は生徒の学習の用に供するため、当該教科用
図書に用いられている文字、図形等の拡大その
他の当該児童又は生徒が当該著作物を使用す
るために必要な方式により複製することができる。
教科用拡大図書等を作成しようとする者は、発
行者に通知する。営利目的の場合は、補償金を
支払う。
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12. 【参考】 著作権法改正の道のり
 1999年12月 著作権審議会第1小委員会
「学習障害者」に関し、「情報保障」の要望に言及
 2005年1月 今後の検討課題として言及
 2005年8月 法制問題小委員会審議の経過
権利制限の対象として「発達障害」に関し言及
 2007年5月，7月 著作権分科会小委員会で意見発表
 2007年12月 法改正に向けて方向性（小委まとめ）
 2008年9月 教科書バリフリ法 第33条の2一部改正
 2009年3月 著作権法改正案の国会上程
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