学校に学習成果物の
デジタルアーカイブを
つくる
10のステップ
高橋菜奈子
Code4Lib Japan 2024 @麗澤大学 (2024年9月7-8日)
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自己紹介
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所属:新潟大学 学術情報部長
勤続経験:東北大学図書館→新潟大学図書館→宮城教育大学図
書館→一橋大学図書館→国立情報学研究所→千葉大学図書館
→東京学芸大学図書館→新潟大学図書館
オープンアクセス・メタデータなど学術情報基盤や大学図書館の学習
支援環境の整備に努めている。
大学図書館の立場から、学校図書館の課題解決を支援。
その他、小倉百人一首LODやデジタルアーカイブの活用など普及活動。
東京学芸大Meobius Open Libraryの活動を発展させ、現在はX-Open
Libraryの活動を開始。
高橋 菜奈子(たかはし ななこ)
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「未来の学校図書館」プロジェクト
東京学芸大学 附属竹早幼稚園・竹早小学校・竹早中学校
「未来の学校みんなで創ろう。プロジェクト」 (2020~2022年度)
• Society5.0に向けた新しい学校システム創りに挑戦。学校と企業・大学・行政
が連携して、さまざまなプロジェクトを実施
「未来の学校図書館」プロジェクトの目指すもの
GIGAスクール時代の子どもの探究的な学びを図書館的な機能から支援する。
そのことによって
子どもたちが好きなことを探究できる場を作り、活用する
それらの学習成果を図書館にアーカイブする
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学校デジタルアーカイブへの10ステップ
◆ニーズ調査
①教員や児童・生徒の実態調査
◆プロトタイピングに向けた検討
② 収録対象コンテンツの選定
③ 対象とするコンテンツに合わせたデジタル化の手法
④ 公開範囲に合わせたファイルの搭載場所とアクセスコントロール
⑤ 本人氏名の開示有無も含むメタデータの設計
⑥ 最適な検索システムの選定
◆本格運用に向けた検討
⑦ 著作権や個人情報を整理するための許諾のルールづくり
⑧ 持続可能なデジタル化と登録の業務フローの構築
⑨ システムの設置
◆デジタルアーカイブの活用
⑩ 授業実践での活用とその評価
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イマココ
◆ニーズ調査<2022年度>
教員へのアンケートの実施
• 目的:学習成果物のデジタルアーカイブに関する学校教員のニーズ・意
識を把握する
• 対象者:東京学芸大学附属竹早幼稚園・竹早小学校・竹早中学校の教員
(52名)および学校司書(2名)
• 期間:2022年7月25~31日
• 方法:Googleフォームによる回答
• 回答率:81.5%(44名)
• 結果:『学校図書館研究』第25巻に掲載。
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得られた知見
• 教育上の効果への期待(過去の作品を参考にする、本人の振り返り)
• 教員の業務上の活用への期待(過去の実践の保存、共有する仕組み)
• デジタル化による一般的な利点(保存性・利用の簡便さ)への言及
• データ量・業務負荷など持続可能性への懸念
• 公開に対する慎重な姿勢
◆プロトタイピングに向けた検討<2022年度>
②収録対象:対象範囲を全員とすべきかどうか
教員アンケートでは教師が選択したもの(66.7%)と全員掲載(21.4%)
⇒全員分を対象としつつ、教師が参考としたいものに重要度をつける
⇒eポートフォリオと学習成果物のアーカイブとの違いを意識する
④公開範囲:公開には慎重な意見が多い
教員アンケートでは一般公開(15.9%)、他の研究校(31.8%)、竹早
地区のみ(65.9%)、自校のみ(6.8%)
⇒アクセスコントロールは必須
⑤メタデータ:氏名表示への慎重な意見が多い。
個人情報や生徒間のトラブルへの配慮が必要
⇒システム上での氏名表示に工夫が必要。許諾のルールづくりも。
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⑤メタデータ設計
• identifier
• 作品名
• 作成者
• 作成者表示名
• 学校種
• 学年
• 学級
• 番号
• 学校名
• 指導者
• 作成年
• カテゴリー
• 教科
• 作品形式
• キーワード
• データ形式
• 保存重要度
• 公開許諾
• 注記
• ファイル
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• EXCELで管理できるフラットなメタデータ
プロトタイプ用に27項目<2022年度>→ 表示項目の整理<2023年度>
• 作品番号
• 作品名
• 作成者
• 学校種
• 学年
• 指導者
• 作成年
• 教科
• カテゴリー1
• カテゴリー2
• グループ名
• 作品形式
• キーワード
⑥検索システム
• 学習成果物のデジタルアーカイブの要件
• 公開範囲のコントロールが必須
• メタデータはEXCELで作成
• データ量は、当初は年間1000~3000程度を想定
幼稚園60人、小学校409人、中学校427人×成果物
• 低コストでの構築・保守
• 専門知識がなくても維持できること
• 東京大学の大向一輝准教授が開発中のデジタルアーカイブ
• 非公開のデジタルアーカイブに対応
• EXCELからHTMLを作成
• データ量は2万件程度なら安定して動作
• 無料
• 更新は全削除・全登録
• 画像はIIIF対応
• 阿達藍留「DAKit:低コストなデータ共有のための静的デジタルアーカイブジェネ
レータの提案」(情報知識学会27回情報知識学フォーラム 2022年12月18日開催)
http://www.jsik.jp/?forum2022#v02fedfd
⇒本プロジェクトと要件が合致し、プロトタイピングの協力を得る
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◆本格運用に向けた検討<2023年度>
⑦許諾のルールづくり
児童・生徒自身の著作権。保護者の理解への配慮。
竹早地区のみで許諾を得るか、学芸大内で許諾を得るか
⇒狭い範囲で許諾を得た場合、後になって広げるのが難しい
⑧業務フローの整備:図書館で学校司書が担当
思わぬ「著作権問題」。著作権法35条の内と外。
⇒学校司書によるチェックの重要性
⑨システムの設置:経費の発生
⇒竹早地区にサーバの設置の方向で調整中
今後ともシステムの維持管理が必要
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現在のテストサイト(Ver.2)
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検索
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◆デジタルアーカイブの活用<今後の課題>
⑩授業実践での活用とその評価
学校のデジタルアーカイブは、授業実践で活用してこそ価値が
生まれる。
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To Be Continued
これまで本プロジェクトに関わった方々
東京学芸大学附属竹早小学校
高須みどり、宮嵜佐智子、河合紗由利、
曽根朋之、宮崎伊豆美
東京学芸大学附属竹早中学校 菊地圭子、中村誠子
学芸大学附属竹早幼稚園 町田理恵
ポプラ社 松田恭子、齋木小太郎
東京大学 大向一輝、阿達藍留
東京学芸大学 金子嘉宏、彦坂秀樹、高橋菜奈子
参考文献
• 『東京学芸大学附属幼稚園竹早園舎・竹早小学校・竹早中学校研究紀要』2022年度、2023
年度にプロジェクト報告を掲載
• 宮崎伊豆美. 「未来の学校図書館~ICTと図書館のベストミックスを目指して」. 『図書館雑
誌』116(12), 2022. p.706-707
• 高橋菜奈子, 彦坂秀樹.「学校図書館における学習成果物のデジタルアーカイブに対する学校
教員の意識調査」.『学校図書館研究』25, 2023. p.15-28
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10 steps for developing school digital archives