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1
探しやすさのための表現
2013.6.18
マニュアルライティング(2013 年度)
2
本日の内容
•	 レポートフィードバック
•	 探しやすい構造
•	 探しやすい表現
•	 探しやすさのための技術
3
連絡事項
•	 レポート講義終了後にいったん回収
→次回コメント入り版を再度戻します
•	 次回に第 3 回レポート課題提示(〆切:7/2)
•	 次々回は実習
→題材は第 3 回レポート課題
4
アンケートフィードバック
•	 講義資料の配布前倒し要望
•	 個人的意見を聞きたい
•	 実例多めで
•	 グループ実習の議論時間増やして欲しい
•	 グループ実習にフリーライダーがいる
•	 課題内容が難しい・わかりにくい
•	 うまく内容をまとめるための着眼点は?
5
レポートフィードバック(1/7)
課題要件の復習
•	 ネットワーク情報学部の案内冊子(紙媒体)用の
目次案
•	 目次案の情報レベルは 3 階層
•	 公式 Web サイトに足りない情報を補っても OK
•	 目的とコンテキストを意識する
•	 専門科目(別表)をグルーピングして、タイトルを
付ける
6
前提条件の欠如
•	「対象ユーザーは誰か」まではできているが、
「対象ユーザーの求める情報は何か」が曖昧
•	 対象ユーザーを決めただけで満足しない
→「ユーザーの利用状況」に対する洞察が必要	
→「具体的には…」と考える習慣が欲しい
•	 冊子自体の目的を明確にする(ビジネスゴール)
レポートフィードバック(2/7)
7
レポートフィードバック(3/7)
媒体特性の考察
•	 目次=サイトマップではない
•	 順序を持った情報をどのような基準で配置するか
(紙媒体冊子の特徴)
•	 内容が固定されるメディアと更新可能メディア
の違い
8
グルーピング
•	 ツリー構造に拘りすぎないように
•	 ユーザーの目的・動機に直結する情報、訴求
ポイントはできるだけ上位階層に配置
•	 グループ間の情報量のバランスを意識する
レポートフィードバック(4/7)
9
ラベリング
•	「想定ユーザーがタイトルだけで内容が推測できる
ように」をもっと意識する
•	 全部のタイトルを見渡して、情報の分類基準を
感じられる(統一感がある)方が望ましい
•	 必要に応じて補足説明を加えることも効果的
レポートフィードバック(5/7)
10
視覚表現
•	 階層構造(分類)を把握しやすくする
→上位階層やグループ見出しの強調	
→情報のブロック感の表現
•	「階層構造の表現=入れ子」とは限らない
レポートフィードバック(6/7)
11
復習を兼ねて…
•	 説明対象を把握する
•	 コンテンツ要件を明確にする
•	 必要な情報を用意する
•	 構成案を作成する
レポートフィードバック(7/7)
12
なぜ「探しやすさ」が重要か?
•	 マニュアルは小説ではない
•	 ユーザーは必要な箇所だけを読む
(→必要な情報がまとまっていることも重要)
•	 必要な情報はどこか?を支援する工夫
→目次・索引	
→情報構造	
→視覚表現	
→その他の技術
探しやすさ
13
ユーザーの目的に直接合致する情報を優先する
•	 掲載する見出しのレベルは 2 〜 3 階層分
•	 機械的 2 〜 3 階層を掲載するのではなく、必要
に合わせて絞り込む/追加する
•	 用途に合わせてテキストの目次以外を併用する
目次
14
ユーザーの想起する語句を優先する
•	 マニュアル中で使用していなくてもユーザーが
想起すると思われる語句は索引に追加する
•	 必要に合わせて 1 項目に対して複数の索引項目
を用意する
•	 用途に合わせてテキストの索引以外を併用する
索引
15
階層型分類による解決のアプローチ
•	「情報を探しやすくする」ために分類する
•	 情報量が増えすぎると機能しなくなる
探しやすい情報構造(1/4)
16
脱階層型分類→ファセット分類、タグ分類
•	 情報の属性に注目した分類
•	 非階層型
•	 任意の属性を指定して、データベースから一括
検索することを思い浮かべると想像しやすい
探しやすい情報構造(2/4)
17
手動分類の限界
•	 情報量が増えすぎると機能しなくなる
•	 属性の手動付与から、情報の種類に合わせた
メタデータ利用へ(自動化による対応)
•	 大勢の人による属性の手動付与(リソース拡大
による対応)→ソーシャルタギング
探しやすい情報構造(3/4)
18
ソーシャルタギング
•	 Folksonomy(フォークソノミー)→
Folk(人々)+ Taxonomy(分類学)の造語
•	 ソーシャルブックマークで導入されたシステム
が一般化
•	 提供者ではなく、利用者による構造化
•	 情報とユーザーの接点によって生じる属性
→例:「あとで読む」タグ
探しやすい情報構造(4/4)
19
探しやすい視覚表現(1/2)
視覚表現の工夫による検索性の向上
•	 表紙デザイン
•	 小口インデックス
•	「目に止まる」デザイン
•	 ビジュアルインデックス
20
探しやすい視覚表現(2/2)
対象情報の種類にあわせた表現
•	「LATCH」を思い出してみよう
•	 各部の名称説明の方法
21
次の写真中の…
作業課題(1/2)
22
次の写真の動植物の名前を書く
作業課題(1/2)
23
写真の鳥の名前を調べるには、どうすれば良い?
•	 どうやって探す?
•	 何を切り口にして探す?
作業課題(2/2)
24
検索エンジンの進歩の一方で忘れられがちなこと
•	 画像から対象物の情報を探す
•	 鳥の鳴き声を聞いてどの鳥の鳴き声かを調べる
•	 うろ覚えのフレーズから楽曲を探す
→文字列以外の情報を検索することは難しい
探しやすさのための技術(1/2)
25
テキスト情報に依存する検索の限界
•	「できないこと」を探すのは難しい
•	「載っていないこと」を探すのは難しい
•	「知らないこと」は探せない
•	 検索の糸口をどのように用意するか?
探しやすさのための技術(2/2)
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•	 指示情報

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