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2017年10月7日 最新刊『教えてみた「米国トップ校」』を読む
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三
三文会
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2017年10月7日土曜日にラボカフェ(東京都文京区)であった朝食勉強会の三文会で行った話題提供「最新刊『教えてみた「米国トップ校」』を読む」の資料です。
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2017年10月7日 最新刊『教えてみた「米国トップ校」』を読む
1.
三文会 最新刊 『教えてみた「米国トップ校」』 を読む 2017年10月7日土曜日 話題提供 2017年10月9日体育の日第1版 熱川豊紘 NIEKAWA Toyohiro 1
2.
三文会では、自己紹介を兼ねて、 発表者が設定したテーマについて参加者の皆さまに1分間のスピーチをお願いしています。 最初に、下記のテーマについて、自己紹介を交えて1分間で自由にお話ください。 2 ○○大学のよいところ(大学はどこでも構いません) 一分間スピーチ
3.
一分間スピーチ ありがとうございます。 3
4.
自己紹介 • 1986年に和歌山県に生まれる。 • 和歌山県立桐蔭高等学校、東京大学文学部を卒業。 •
2012年に同大学大学院学際情報学府修士課程を修了。 – 専門は科学・技術政策論。 • 在学中、財団法人東京大学新聞社(現、公益財団法人)に勤務。 – 学術および科学・技術に関する記事を担当。 • 朝食勉強会、三文会事務局に出向。 • 現在は情報通信企業でマーケティングを担当。 4 学界の一員でも留学の経験者でもない点はご承知おきください。
5.
• 結論 具体的で穏健な提言 •
序論 本書の図書情報 • 本論 本書の内容 • 考察 大学の役割の論点 • 話題提供は約20分間の予定です。 5 目次
6.
結論 6 限られた事例だとの批判は可能だろうが、 大学の役割をめぐる論争に対し、 具体的で穏健な提言を導いた意義は大きいだろう。
7.
序論 本書の図書情報 7
8.
序論 本書の図書情報 一般的な図書情報 • 著者は途上国開発などが専門の佐藤仁・ 東京大学東洋文化研究所教授、米プリン ストン大学ウッドロー・ウィルソン・ス クール〔公共政策・国際関係論大学院〕 客員教授。 •
東京大学と、世界大学ランキング上位の プリンストン大学との両方で教壇に立っ た経験から、プリンストン大学の現実と 東大の強みとを論じる。 • KADOKAWAが9月10日に発行。 • 大学関係者の関心が高いのか、公式の発 売日の前日、9月9日の時点で、東大生協 本郷書籍部では品切れ。 8 教壇から、米プリンストン大と東大とを比較。
9.
序論 本書の図書情報 個人的な図書情報 9 参加者限定
10.
本論 本書の内容 10
11.
本論 本書の内容 はじめに • エリート高校生が米国トップ大学に憧れる。 •
日本の大学関係者も、米国トップ大学を羨望、模倣してきた。 • 世界大学ランキングでは東大の順位が下落。米プリンストン大学は常に上位。 • しかし、東大の低コスト体質はランキングには反映されていない。 – 米国トップ大学の授業料は年額約500万円。 – 東大の授業料は年額約63万円。 • ランキングに反映される教員/学生費率は鵜呑みにできない。 – 米国トップ大学では有名教員の授業負担を減らしており、教員/学生費率が小さいか らといって、きめ細かな教育が行われるとはいえない。 • 米国でも自己批判が出てきている。 – ウィリアム・デレズウィッツ氏(米イェール大学)による『優秀なる羊たち』 (2015)。 • 東大と、4年間教壇に立った米プリンストン大学とを比較する。 – 事例が偏っているのは弱点。 11 「米国トップ校=スゴイ」を検証する。
12.
本論 本書の内容 第1章 総合人物評価の落とし穴 •
米国トップ大学は、学力試験ではなく書類選考による総合人物評価で多様な人材を選抜す るという。 • 書類選考は、地元住民や卒業生が行う。 • しかし、高校の成績が非常に高くなければならないのに加えて、全ての活動を他人との差 異を訴求する手段としなければならなくなっている。 • 結果として、個性を主張するのに汲々としている点で、米国トップ大学の学生は画一的に なっている、との批判が米国大学の内部にもある。 • 恵まれない学生を支援するはずの奨学金制度は手厚いが、大学間の格差を広げている。 • 19世紀末に欧州から米国へユダヤ人が移民したときに、プロテスタントを宗旨とする米国 の大学が、ユダヤ人の入学を抑えるために総合人物評価を導入したとする研究がある。 • 現代では、アジア人の入学を抑える動きが報告されている。 12 入試が「就活化」している。
13.
本論 本書の内容 第2章「白熱教室」の裏側 • プリンストン大学は、少人数のゼミ、プ リセプトが特徴(写真)。 –
テニュア(終身雇用資格)のない若手 教員も独立して担当する。 • 「授業の課題文献以外の本を読む時間が ない」と学長が指摘するほど課題文献が あり、学生は熱心に取り組む。 • 一方、有名教員の授業負担を減らしてい るため、教員と学生との距離が遠い。 • 大学に落ちこぼれの支援体制はあるが、 学生はあまり助け合わない。 – 就職にも大学の成績がついて回るため、 競争が激しい。 – 学生の互助にも会員費がかかる。 13 教育体制は構造化しているが、教育・学生間の互助が弱い。
14.
本論 本書の内容 第3章「会社化」する米国大学 • 米国トップ大学では、教員の給与は東大の約2倍とみてよい。 –
プリンストン大学で平均年額約2000万円。 – 東大は年額1200万円。 • 待遇と教育負担とは反比例する。 • 博士号取得者の就職難は米国でもある。 – 言語学者で社会批評家のノーム・チョムスキー氏(米マサチューセッツ工科大学)は 「会社化」と批判。 • 研究業績が採用に直結する制度を背景に、研究不正が絶えない。 • 採用にはコネも重要。 • プリンストン大は、事務職員が研究の時間を確保してくれる反面、人件費の上昇による高 コスト化が続いてきた。 – プリンストン大は教員よりも事務職員の方が多いが、東大では事務職員よりも教員の 方が多い。 14 若手研究者の負担と事務職員の協力とで成り立っている。
15.
本論 本書の内容 第4章 やがて哀しきグローバル化 •
明治時代の東京大学は、西洋の学問の「ローカル化」を使命としていた。 • プリンストン大学では「国際化」が課題になっている。 – 充実した資源の故に、学生が大学の外に出て行かなくなる(「プリンストン・バブ ル」)。 • 東京大学がいう「グローバル化」は「英語化」であるが、 – 東京大学から外国へ留学等している学生は、2007~2016年に微増傾向。 – 外国から東京大学へ留学している学生は上昇傾向。プリンストン大学よりも留学元の 国・地域の数は多い。 • プリンストン大学でも2017年に「履修者5人以下の授業は開講してはならない」との通達 があったが、東京大学では少人数授業が生き残っている。 • 効率を尺度としないで「非英語」の文化を認める意義は「グローバル化」でむしろ高まっ ている。 15 「非英語」の文化を認めることは、日米の大学で課題に。
16.
本論 本書の内容 第5章 米国トップ校から何を学ぶか •
指針1 教員の時間劣化を防ぐため事務職員の意思決定参加を検討する – 専門知識のある事務職員を雇用し、事務職員のインセンティブを考える。 – 教員にも、年功序列を基本としながら、メリハリのある報酬を設計する。 • 指針2 授業の質を向上するために柔軟で統合化された体制を整える – 図書館司書との連携、チームティーチングの導入、 • 指針3 大学の運営における学生の役割を拡大する – スクール・スピリット(愛校心)を育てる。 • 指針4 若手研究者を優遇し、国際的な訓練の機会を増やす – 若手研究者が海外の協定校で授業をする機会を作る。 – 一流の国際論文誌への投稿に加え、海外の出版社に企画を売れる編集者を雇用する。 – 大学と国内学術出版社との連携を強める。 • 指針5「心の開国」でグローバル化を内に取り込む – 外国人も同じ人間であるという当たり前の認識に到達する。 – 学生が行政府などを相手に、生の問題に取り組む機会を充実させる。 16 プリンストン大学に学ぶ日本トップ大学改革の指針。
17.
本論 本書の内容 第5章 米国トップ校から何を学ぶか •
(1) 教員と学生との手当なしのインフォーマルな交流 • (2) 市場原理にとらわれず、教育・研究のメニューの幅が広い。学際的な研究を励ます自 由が残っている。 • (3) 英語圏だけでは完結しない世界の複数性を、日本語の世界から学び、培い、発信でき る。日本語の知的な蓄積を生かしながら、英語をはじめとする外国語で発信できる立場に いる日本の大学人は恵まれている。 • (4) キャンパスが安心・安全である。 17 プリンストン大学と比べた日本トップ校の強み。
18.
考察 大学の役割の論点 18
19.
考察 大学の役割の論点 大学にもいろいろあるのでは? 19 限られた事例だとの批判は可能だろう。 • 著者自身が認めるように、本書は事例が 2大学に偏っているのは事実。 •
米国トップ大学にも、世界中の大学にも 多様性があるのでは。 – 例えば、米国でも後発のシカゴ大学は、 ハーヴァード大学をはじめとするアイ ヴィーリーグとの差異化を図り、思考 し表現する能力の習得を重視するとさ れる(吉見 2011: 180-182)。 • 例えば、全国的な政策に実装するには、 より包括的または定量的な調査や、合意 の形成が必要だろう。 • しかし、個々の大学の関係者(卒業生を 含む)が一歩を踏み出すには十分では。 世界初の核連鎖反応を記念する米シカゴ大学 構内の碑 2015年7月。話題提供者が撮影。
20.
考察 大学の役割の論点 2010年ころからの論争の中で 20 穏健で具体的な提言を 導いた意義は大きかろう。 大 学 の 自 律 産 業 界 ・ 官 界 の 関 与 具体的な提言 事実・意見の整理 冨山和彦氏 『高等教育機関の 今後の方向性』 (2014) 吉見俊哉先生 『大学とは何か』 (2011) 吉見俊哉先生 『「文系学部廃止」 の衝撃』 (2016) 室井尚氏 『文系学部解体』 (2015) 本書 • 2010年のTimes
Higher Education World University Rankingsで東京大学 が香港大学にアジア首位の座を明け渡し、 大学の役割をめぐる論争に火が付いた? • 冨山和彦氏(経営共創基盤CEO)は2014 年に大学の「G型」「L型」への分割など を文部科学省に提言。2015年には下村博 文・文部科学大臣が人文社会系学部の廃止 の方針(ととれる内容)を通達。 • 学界からの批判は根強いが、本書ほど具体 的な提言は管見の限りなかった。 下村博文文科相 『国立大学法人 等の―』 (2015) 上山隆大氏 『アカデミック・ キャピタリズムを 超えて』(2010) (備考)東京大学は、世界大学ランキングは、政策の方針 や達成度の指標に安易に利用すべきでないとの立場(『東 京大学新聞』2016年7月19日号)。
21.
結論(再掲) 21 限られた事例だとの批判は可能だろうが、 大学の役割をめぐる論争に対し、 具体的で穏健な提言を導いた意義は大きいだろう。
22.
会で寄せられた意見(紹介できなかった方、ごめんなさい) 22 • 質疑: 著者が指摘するような問題があるのに、なぜ米国トップ大学は人気があるのか? –
応答: 本書は詳しく書いていないと思うが、(1) 世界大学ランキングのようなメディア企業の情報 に学生が強い影響を受けている (2) 知識を糧とする人々は知識が集まる場所に集まる傾向がある ――などの理由が考えられる(リチャード・フロリダ氏の『新クリエイティブ資本論』(2012= 2014)、デーヴィッド・グドハート氏のThe Road to Somewhere(2017)などを参照)。 • 質疑:米国では博士号がビジネスでも重要と聞くが、著者は学部と大学院とは区別して議論しているか? – 応答: プリンストン大学は、大学院までの修了を前提に、学部と大学院とを一体で運用しているよ うだが、あまり区別して議論しているとはいえないと思う。 • 質疑: 学生たちが助け合わないのに、愛校心があるというのは不思議では? – 応答: 著者は、米国社会の学閥の存在を指摘しており、米国トップ大学の卒業生は成績のよい後輩 を引き上げる制度があるようだ。結果「大学のおかげで就職できた」との帰属意識が生じると考え られる。慶應義塾大学(「3人いれば三田会ができる」)や早稲田大学の愛校心も似ている。東京 大学では、先輩からの引き上げは(あったとしても)サークルや学科等の単位で行われ、大学全体 への帰属意識が生じにくいと考えられる。したがって、大学の運営における学生の役割を拡大すれ ば愛校心が育つとの著者の見立ては限界があるかもしれない。 • 米国の大学は、卒業生から寄付金を集める仕組みもある。卒業生間や卒業生・大学間の商談の機会をつ くる同窓会がその一つで、東京大学は「ホームカミングデイ」として模倣している。 • 海外の大学を知らない人ほど日本の大学を批判する現象はあると思う。
23.
文献 23 • 室井尚, 2015,『文系学部解体』KADOKAWA. •
佐藤仁, 2017,『教えてみた「米国トップ校」』KADOKAWA. • 下村博文, 2015,「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて(通知)」 (2017年10月7日取得, http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfil e/2015/10/01/1362382_1.pdf). • 冨山和彦, 2014,「我が国の産業構造と労働市場のパラダイムシフトから見る高等教育機 関の今後の方向性――今回の議論に際し通底的に持つべき問題意識について」, 文部科学 省 実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議ウェブサイ ト(2017年10月7日取得, http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/061/gijiroku/1352719.h tm). • 上山隆大, 2010,『アカデミック・キャピタリズムを超えて』NTT出版. • 吉見俊哉, 2011,『大学とは何か』岩波書店. • ――――, 2016,『「文系学部廃止」の衝撃』集英社.
24.
画像の出典 24 • http://www.kadokawa.co.jp/product/321705000019/ • https://blogs.princeton.edu/mudd/2015/05/this-week-in-princeton-history-for- may-18-24/
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