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地域と学校との連携・協働を通じた社会関係資本の再構築の過程
ー大分県佐伯市を事例としてー
荻野 亮吾
(東京大学 高齢社会総合研究機構)
日本社会教育学会 第64回研究大会
第10室(午前) 「子育て・学校・地域課題」
2017年9月16日(土) 10:25〜10:50
埼玉大学全学講義棟 4階 1-401講義室
報告の目的と研究方法
 報告の目的
大分県佐伯市で実施されてきた,「協育」ネットワーク構
築推進事業(2008〜2010年度),地域「協育力」向上支
援事業(2011年度〜)を事例として,地域と学校との連
携・協働により,社会関係資本が再構築される過程を描く
こと.
調査研究の方法
2008〜2017年度における,社会教育課職員・校区コーデ
ィネーターへの聞き取り調査結果と行政資料の分析.
主な報告内容
「学校支援」の事業の成果
各地区・各校区におけるネットワークの組織化の状況
地域の各組織の活動内容や組織間関係への影響
校区コーディネーターの活動内容の経時な観察
2
目的/方法
学校・地域の「協働」の推進
 学校運営の領域での保護者や地域住民への「参加」の推進
 学校評議員制度(2000年〜):学校運営に関し,保護者や地域住民の
意向を反映し,協力を得るための仕組み.
 学校運営協議会〔コミュニティ・スクール〕(2004年〜):保護者や地
域住民が学校運営に参画する仕組み.「地域とともにある学校づくり
」を目指す.
 地域住民・保護者のボランティア活動の推進
 放課後子どもプラン(2007年〜):文部科学省「放課後子供教室」と
厚生労働省「放課後児童クラブ」を一体的,あるいは連携して実施す
る総合的な放課後対策事業.(現在の放課後子供総合プラン)
 学校支援地域本部事業(2008年〜):地域住民等の参画により,学校
の教育活動を支援する仕組み(本部)をつくり,学校支援活動を行う
もの.ゲストティーチャー,学習アシスタント,施設のメンテナンス
,環境整備等の活動が行われている.
 土曜日の教育活動の推進(2014年〜):土曜授業(正規の教育課程内
),土曜日の課外授業,土曜学習(希望者に対して).
 地域未来塾(2015年〜):中学生を対象に,大学生や教員OB等,地
域住民の協力による学習支援を実施(原則無料).
3
政策動向
学校・地域の「協働」に関わる事業の推移政策動向
4
2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度
学校支援地域本部設置数 2,176本部 2,405本部 2,540本部 2,659本部 3,036本部
(市町村数) 867市町村 1,004市町村 1,005市町村 570市町村 576市町村
放課後子供教室実施数 7,736教室 8,610教室 9.197教室 9,733教室 10,098教室
(市町村数) 1,011市町村 1,053市町村 1,060市町村 1,075市町村 1,076市町村
土曜日の教育活動実施数
(市町村数)
地域未来塾実施数
(市町村数)
コミュニティ・スクール指定校数 343校 478校 629校 789校 1,183校
(市町村数) 63市町村 72市町村 82市町村 99市町村 122市町村
2013年度 2014年度 2015年度 2016年度
3,527本部 3,746本部 4,146本部 4,527本部
619市町村 628市町村 642市町村 669市町村
10,376教室 11,991教室 14,392教室 16,027教室
1,090市町村 1,135市町村 1,077市町村 1,097市町村
4,845校 10,412校 11,895校
388市町村 953市町村 1,054市町村
1,751箇所 2,587箇所
322市町村 472市町村
1,570校 1,919校 2,389校 2,806校
157市町村 187市町村 235市町村 294市町村
-
- -
- - - - -
- - - - -
図表1 地域と学校の「協働」に関わる事業の推移
出典:文部科学省のHPを元に,報告者作成.
学校・地域の「協働」の推進 ②
 2006年 教育基本法の改正
 第13条新設.「学校,家庭及び地域住民その他の関係者は,教育にお
けるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに,相互の連携及び協力
に努めるものとする」
 2008年 社会教育法の改正
 第3条(国及び地方公共団体の任務)第3項「学校,家庭及び地域住民
その他の関係者相互間の連携及び協力の促進に資することとなるよう
努める」が追加.
 2013年 教育振興基本計画
 「学校支援地域本部」「放課後子供教室」等の取組の充実.保護者だ
けでなく,地域住民の参画により子供たちの学びを支援するための体
制を平成29年度までに全国の小・中学校区に構築.この取組を地域コ
ミュニティの形成につなげる活動を支援.
 2015年 中央教育審議会答申「新しい時代の教育や地方創生の実現に向け
た学校と地域の連携・協働の在り方」
 「支援」から「連携・協働」,「個別の活動」から「総合化・ネット
ワーク化」をキーワードにして,学校支援地域本部や放課後子供教室
等を基盤とした「地域学校協働本部」の組織化が提言される.
 2017年 社会教育法の改正
 教育委員会の役割として「地域学校協働活動」の推進が加わり,地域
学校協働推進員の委嘱を行うことができるようになった.
政策動向
5
学校・地域の「協働」に関する先行研究
 学校・地域の「協働」に関しては,コミュニティ・スクール
に関する全国規模の調査(佐藤 2016)や,同じく比較事例研究
(仲田2015,大林2015,武井 2017),学校支援地域本部事業とコ
ミュニティ・スクールの関係に関する研究(熊谷他 2013, 志々田
他 2014)等が存在する.
本報告との関連では,コミュニティ・スクールに関し,スクー
ル・ガバナンスの機能と,社会関係資本醸成の機能の関係が問
う研究や(佐藤 2016),学校と地域におけるイニシアティヴの
所在や地域における協議体の有無が学校支援や地域に与える影
響に関する研究(熊谷他 2013)が参考になる.
 しかし先行研究を見ると,中長期的な視点に立って,「学校
支援」の状況だけでなく,より広域な地域における変化を捉
えようとした研究は少ない.
 この点については,社会関係資本の研究が参考になる.
6
研究動向
社会関係資本の醸成過程
 地域の社会関係資本の醸成は,政策上,関心が高い分野.
 内閣府国民生活局市民活動促進課:『ソーシャル・キャピタル:豊か
な人間関係と市民活動の好循環を求めて』の調査(2002年).
 文部科学省生涯学習政策局:2013〜2014年度「絆づくりと活力ある
コミュニティの形成」の項目で「公民館等を中心とした社会教育活性
化支援プログラム」という新規事業を実施.
 厚生労働省:「健康日本21(第2次)」(2013年)において「健康を
支え,守るための社会環境の整備」の中に「社会関係資本の向上」が
うたわれる.
 しかし,社会関係資本の醸成過程の研究は端緒についたばかり.
 高橋(2013: 72-74)は,社会関係資本を醸成するコミュニティ・アプ
ローチの過程を,(1)<結合型>のネットワークの存在,(2)潜在
化していた資源の掘り起こしと社会的活動の組織化(橋渡し型のネッ
トワークをつくる),(3)結合型と橋渡し型のネットワークの相乗
効果の発揮と,創発的な協同関係の生成,と整理.
 露口(2016: 14-15)は,「構造づくり」(新たな団体・集団の設置,
対話交流の機会を設ける等),お互い様の規範を高める「活動づくり
」,信頼を高める「関係づくり」の3つのステップを示す.
7
研究課題
社会関係資本の醸成の方法
 パットナムによるアメリカのコミュニティ開発事業の分析:社会関係資本
の構築のための実践的指針を示す(Putnam and Feldstein 2003).
① 適切な公共政策:社会関係資本の構築には,市民参加や地域活動へ
の参加を高める公共政策が重要.政策が適切でない場合には社会関
係資本が弱められたり,破壊されたりすることもある.
② ネットワークの拡大:小さく同質的な「結束型(bonding)」のネッ
トワークは維持・強化されやすいが,閉鎖的な性格を持ちやすく外
的な影響力を持てない.小さく同質的な集団を大きな集団につなげ
ていく仕組みが必要.
③ 共通のアイデンティティ:階層横断的なつながりを創るためには,
物語を用いて,新たな共通性に基づくアイデンティティを紡ぐこと
が重要である.
④ リサイクル戦略:社会関係資本や相互の信頼の形成には多くの時間
を要する.そのために既存のネットワークを新たな目的のために「
リサイクル」するのが有効な戦略.
⑤ 人々が対話し議論するための共通の空間:自然に出会うことができ
る空間の中で,人々は重層的なつながりを持つこともできる.この
空間を作り出すための都市設計や,インターネットなどの新しい技
術の応用が必要.
8
研究課題
研究課題
 学校・地域との「協働」に関しては,ある1時点の特定地域の事例
紹介が中心で,中長期的な変化に焦点を当てた研究は少ない.
 (例外)柏木(2016)は,中学校区単位の社会関係資本の醸成過程を
14年間の調査結果に基づき示している.この結果,①結束型の地縁団
体が校区の社会関係資本醸成の原動力となり,橋渡し型の機能に移行
することで,その維持・発展が可能になること,②学校が,公正と多
様性を保障する,橋渡し型社会関係資本を醸成する役割を持つこと,
③学校と地域の連携組織は,関係基盤として社会関係資本を溜めるこ
とができ,学校が持続可能な社会関係資本を促す拠点になり得ること
,等が明らかに.
 荻野(2014a,2016)は,2自治体間の比較研究を行う際に,コミュニ
ティの基礎単位である地縁団体に焦点を当て,団体間の「重層性」や
「連結性」に関する分析を行っている.
 この報告では,上記の研究関心を引き継ぎ,大分県佐伯市で展開さ
れてきた「協育」関連事業の成果について,社会関係資本の醸成と
いう観点から分析を行う.
9
研究課題
大分県の「協育」関係事業 ①
 2005年3月:「おおいた教育の日」を制定
 多様な主体による「教育の協働」の推進.教育行政の重点目標の1つ
に「学校,家庭,地域社会の『協育』ネットワークづくり」が掲げら
れる.
 2005〜07年度:「地域協育振興モデル事業」
 豊後高田市・臼杵市(2005〜06年度),豊後大野市・佐伯市(2006
〜07年度)の4市を対象に,各市2年のモデル事業を実施.
 2006年11月:大分県社会教育委員会議答申「地域社会の協働による子ど
もの健全育成の方策について:大分発『協育』ネットワークプラン」
 2007年2月 :大分県教育委員会「地域協育振興プラン」
 「協育ネットワーク」に関する三層構造のシステム:①市町村に置か
れる「地域協育プロジェクト会議」,②中学校区単位での「校区ネッ
トワーク会議」,③「学校支援ネット」.
 各ネットワークにはコーディネーターを配置.
 「協育ネットワーク」の充実により,①青少年健全育成活動組織・団
体の活性化,②人材バンクの充実,③ネットワークの拡大・強化を図
る.
参考
10
大分県の「協育」関係事業 ②
 2008年3月:大分県社会教育委員会議建議「教育の協働を推進する拠点と
しての役割を果たすための公民館運営の在り方」
 「教育の協働」を推進する拠点.
 学校・家庭・地域の連携の拠点としての役割や,関係機関などとの連携やコ
ーディネート機能の強化,「集める公民館」から「集まる公民館」への転換
.
 2008〜10年度:「協育ネットワーク構築推進事業」
 国の委託事業.学校や公民館に校区コーディネーターを配置し,保護者や地
域住民に「学校支援」に関わることを求めるもの.
 「実践事例集」の作成 .
 2010年8月:大分県社会教育委員会議答申「子どもの『生きる力』をはぐ
くむ学校教育と社会教育の協働の在り方について:学校教育と社会教育の
協働を推進するための社会教育主事の役割について」
 2011年度〜:「地域『協育力』向上支援事業」
 補助事業(国,県,市1/3ずつの補助率) への切り替え.
 2015年11月:大分県社会教育委員会議建議「『協育』ネットワークの充
実を図るための社会教育行政の推進」
 「協育」ネットワーク事業の今後のあり方:地域協育と,学校教育,子育て
・家庭教育支援,高齢者福祉,産業・経済,文化振興・社会体育,地域振興
という6領域との連携による地域課題,行政課題の解決.
参考
11
大分県の「協育」関係事業 ③参考
12
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
設置本部数 55本部 56本部 56本部 57本部 60本部 62本部 56本部 57本部
市町村数 15市町村 16市町村 16市町村 11市町村 11市町村 10市町村 10市町村 11市町村
支援件数 3,875件 8,120件 9,201件 13,721件 15,701件 14,970件 13,212件 13,771件
参加ボランティア
延べ数
28,782名 60,136名 61,266名 68,703名 65,885名 73,215名 72,653名 75,696名
放課後子ども教室 教室数 87教室 102教室 119教室 120教室 151教室 150教室 147教室
(2007〜2013年度) 市町村数 12市町 14市町 15市町 16市町 17市町村 17市町村 17市町村
学びの教室 教室数 22教室 59教室 71教室 74教室 65教室
(2009〜2013年度) 市町村数 5市 11市 12市 11市 10市
放課後チャレンジ教室 教室数 157教室 171教室
(2014年度〜) 市町村数 17市町村 17市町村
土曜教室 教室数 94教室 117教室
(2014年度〜) 市町村数 12市町村 14市町村
-
地域「協育力」向上支援事業
国の補助事業
(学校・家庭・地域の連携による教育支援活動促進事業)
(2015〜学校・家庭・地域連携協力推進事業)
-
「協育」ネットワーク関連事業の名称
事業内容
-
学校支援地域本部
(2008年度〜)
-
協育ネットワーク構築推進事業地域協育振興モデル事業
-
-
--
国の委託事業
(学校支援地域本部事業)
- - -
- - - - -
- - --
- -
-
- -
- -
県の補助事業
(4市を対象)
- - -
-
図表2 大分県の協育関係事業の推移
出典:大分県教育庁のHPを元に,報告者作成.
合併後の教育課題
① 学校統廃合の進展
 旧8町村(以下,旧南郡)で,少子化の影響で生徒数が減少し,複式学級
の導入や学校統廃合が進められたこと.
② 公民館事業の維持・活性化
 公民館に配置されていた正規職員が,旧町村単位に置かれる振興局配属と
なり,旧南郡で活発だった公民館事業の維持が課題になる.
 旧市部では,公民館が自治会や社会福祉協議会,青少年健全育成協議会(
以下,青少協)の事務局を担い,社会教育・生涯学習に関する事業が展開
できていなかった(佐伯市社会教育委員会議「地域社会の協働による子ど
もの健全育成の方策について(最終答申)」2008, 2章).
③ 青少年健全育成組織の活性化
 合併前,旧市部には小学校区ごとに12,旧南郡には町村単位で8つの青少
協が存在したが,合併を機に,特に旧南郡において,青少協の活動が停滞
することになった.
④ 地縁団体の機能低下
 合併前後から,地域の社会的ネットワークを構成してきた青年団や婦人会
等といった地縁団体の活動が停滞.これらの団体が有していた情報交換や
,社会的なサポートの機能が弱体化.
背景1
13
行政組織の再編
 市町村合併前の教育委員会体制
 各市町村の教育委員会に社会教育主事とその他の職員,各市町村の公
民館には専任の職員が配置されていた.
 各市町村での社会教育主事の育成.
 2005年の合併後の組織再編(図表3)
 旧市部の地区公民館の所管は,市の教育委員会生涯学習課のまま.
 旧南郡の地区公民館は,各振興局の地域振興・教育課の所管となる.
これに伴い各地区公民館に置かれていた職員は振興局付きとなり,市
の教育委員会からの業務委託を受ける形となる.
 2012年度の組織再編(図表4)
 旧南郡の地区公民館も市教育委員会社会教育課の所管となる.
 旧南郡の振興局付きの職員は,嘱託の社会教育推進員となる(元職員
で社教主事経験者等を中心に委嘱).
 各地区の公民館の事業や講座の質が低下することを防ぐため,教育委
員会社会教育課に公民館担当の職員4名が置かれ,それぞれ2地区ずつ
計8地区の公民館の事業のサポートを行う体制に.
 2012年度より,生涯学習課から社会教育課に組織再編.
背景2
14
図表3 佐伯市の合併後の教育委員会の体制(関連部分のみ)
15
生涯学習課長
生涯学習推進係(6)
地区公民館
(旧市内,10館)
社会教育指導員(4)
館長(嘱託)
生涯学習管理係(2)
振興局地域振興・教育課
(旧町村,8ヶ所)
課長
職員(1〜2)
地区公民館長(嘱託)
出典:佐伯市教育委員会社会教育課の提供資料により,報告者作成.
図表4 2012年度以降の佐伯市の教育委員会体制(関連部分のみ)
16
社会教育課長
生涯学習推進係(7)
公民館担当(4)
地区公民館
(旧市内,11館)
地区公民館※
(旧町村,8館)
社会教育指導員
(4)
館長(嘱託)
臨時職員(自治会雇用)
館長(嘱託)
社会教育推進員(嘱託)
臨時職員
文化振興係(6)
文化会館(2)
※ 註
弥生地区公民館に臨時職員は置かれていない.
鶴見地区公民館には司書が常駐.
出典:佐伯市教育委員会社会教育課の提供資料により,報告者作成.
佐伯市の「学校支援」事業への取組 ①
 2006(平成18)〜2007(平成19)年度:「サイキッズ地域協育プロジェ
クト」(佐藤 2007参照)
 大分県の「地域協育振興モデル事業」(県の補助率2/3).
 教育委員会生涯学習課の職員と,「地域協育コーディネーター」が担
当.
 市内3校区をモデル校区に指定し各校区にネットワーク会議を設置.
 校区ネットワーク会議は,子どもの体験活動の推進と,安全安心な地
域づくり,学校支援を3つの柱として,年間に3〜4回の会議を開催し
,情報の共有と関係者の協力体制づくりを進めるもの.
 2年間に,校区ネットワーク会議は,佐伯校区で6回,鶴見校区で8回
,直川校区で5回開催される.
 各校区の事業の進展状況を集約する「サイキッズ地域協育プロジェク
ト会議」を,年3回開催.
 学校・家庭・地域・行政の代表者で組織され,関係機関・団体間の情
報交換,校区ネットワーク支援体制づくり,活動の広報・普及を行う
ことが目的.
事業概要
17
佐伯市の「学校支援」事業への取組 ②
 2008年度〜2010年度:「協育ネットワーク構築推進事業」
国の委託事業(学校支援地域本部事業).
3つのモデル校区に加え,新たに4校区にネットワーク会議を組
織し,計7校区の公民館にそれぞれ1名の校区コーディネーター
を配置.
校区の情報や人材に関するネットワークの集約点として公民館
を位置づけ,地域の様々な人材をつなぐことが目的.
2010(平成22)年度に2校区を加え,計9校区で事業実施.
 2011年度〜:「地域『協育力』向上支援事業」
2011〜2013年度は,国/県/市が1/3ずつの補助事業,
2014年度以降は,コーディネーターの人件費に関して市単費の
事業となる(事前にコーディネーターの必要性について,学校
管理職へのアンケート調査を行い,財政措置の裏づけとする)
.
2011(平成23)年度から3校区を加え,計12校区で事業を実施
(2017年度現在も12校区で実施).
事業概要
18
校区単位のネットワークの組織化 ①
 この事業での「学校支援」は,地域の社会的ネットワークを再構築
するための1つの手段 .
 事業の目的:「学校支援に特化する形じゃなくて,それぞれの地域に
合ったネットワークづくり」(生涯学習課・職員) を進めること.
 校区ネットワーク会議・青少年健全育成組織の組織化
 2016年度までに,校区ネットワークの数を14に,青少年健全育成会議
の数を20にすることが,目標として掲げられる(佐伯市長期総合教育
計画「まなびプラン2007」 ).
 「青少協の組織をネットワークとかぶせて,もう1度地域の中できち
んとした組織を作っていきたい.」(生涯学習課・職員).
 校区ネットワーク会議の組織化:2008年事業実施時の7校区に加え,
城南・南(2010年度〜),本匠・米水津・彦陽(2011年度〜)で,
校区内の公民館にコーディネーターが配置され.計12校区にネットワ
ーク会議が組織される(図表5) .
 その他のネットワーク組織:これ以外の校区でも,数年間の事業の中
で,独自のネットワーク組織や,青少年健全育成協議会や会議が再組
織化される(図表5).
内容
19
図表5 佐伯市におけるネットワーク会議・青少年健全育成会議の組織化の状況
20
〜2005 2006 2008 2010 2011〜
佐伯地区 鶴谷校区ネットワーク会議 ○ ※ 2008年度より鶴谷校区ネットワーク会議
渡町台地区 鶴谷校区ネットワーク会議 ○
大入島地区 青少年健全育成会議 ○
西上浦地区 青少年健全育成会議 ○
佐伯東地区 青少年健全育成会議 ※ ○ 2008年度より鶴谷校区ネットワーク会議
八幡地区 青少年育成協議会 ○ ※ 2011年度より彦陽校区ネットワーク会議
鶴岡地区 城南校区ネットワーク会議 ○
上堅田地区 上堅田幼稚園・小学校区協育
ネットワーク会議
※ ○ 2010年度より南中校区ネットワーク会議
下堅田地区 下堅田っこふれあい協育ネット ○ ※ 2010年度より南中校区ネットワーク会議
青山地区 青山地区協育ネット ○
木立地区 青少年健全育成会議 ○
上浦地区 上浦校区ネットワーク会議 ○
弥生地区 弥生校区ネットワーク会議 ※ ○ 事業前から青少年育成会議が存在
本匠地区 本匠校区ネットワーク会議 ○
宇目地区 宇目校区ネットワーク会議 ○
直川地区 直川校区ネットワーク会議 ○
鶴見地区 鶴見校区ネットワーク会議 ○
米水津地区 米水津校区ネットワーク会議 ○
蒲江地区 蒲江校区ネットワーク会議 ○ ※ 2012年度より青少年健全育成会議と別組織に
備考(※)
旧市部
旧郡部
地区名 2013年度の組織名
設立年度
出典:佐伯市教育委員会社会教育課の提供資料により,報告者作成.
校区単位のネットワークの組織化 ②
 校区ネットワーク会議のメンバー(図表6)
校区によって違いはあるものの,行政関係者,学校関係者を基
本としながら,地区によって各種委員や地域の団体の代表者を
メンバーに入れる形をとる.
行政関係者:教育委員会の職員(社会教育推進員等),コーデ
ィネーター,各校区の振興局職員,公民館長等.
学校関係者:小学校・中学校の学校管理職か地域協育担当者.
小学校・中学校のPTA関係者.
各種委員:社会教育委員・民生児童委員が中心.
その他:地縁団体は,活動の停滞もあり,ほとんどメンバーに
入っていない.自治会関係者と老人クラブの関係者が中心.た
だし,各種委員の中には地縁団体での活動を行っていた住民も
少なくなく,会議での活動が,そこで築かれた社会的ネットワ
ークへとつながる可能性が高い.
内容
21
図表6 校区ネットワーク会議(2013年度)のメンバーの属性
22
教育
委員会
コー
ディ
ネー
ター
振興局 公民館 児童館 小計 中学校 小学校 幼稚園 PTA
学校
評議員
小計
社会教
育委員
公運審
委員
民生児
童委員
少年
補導員
小計 自治会
社会
福祉
協議会
婦人会
老人
クラブ
交通
安全
警察
文化
協会
小計
鶴谷 26 1 2 1 4 1 3 4 8 1 3 4 3 3 4 10
城南 17 1 1 2 1 1 2 2 6 1 2 1 4 1 1 2 4 1
上堅田 22 1 1 2 2 3 5 10 1 2 3 2 1 3 4
下堅田 19 1 1 2 4 1 2 3 1 1 2 2 1 3 7
彦陽 11 1 2 3 1 2 3 6 2 2 0
上浦 12 1 2 3 1 1 0 8 8
弥生 15 1 1 1 1 4 1 3 1 3 8 2 2 1 1
本匠 19 2 1 2 1 6 2 2 2 6 1 1 2 1 1 1 1 4 1
宇目 19 2 1 2 1 6 2 2 2 6 1 1 2 1 1 1 1 4 1
直川 26 7 7 2 2 7 1 12 1 2 3 1 1 1 3 1
鶴見 28 1 1 2 2 4 3 9 1 1 2 8 1 1 1 1 12 3
米水津 26 3 1 1 1 6 1 2 1 3 7 1 1 2 4 6 1 7 2
蒲江 12 1 1 1 6 2 9 1 1 1 1
地域の団体等
その他校区名
合計
(注)
行政関係 学校関係 各種委員
出典:佐伯市教育委員会社会教育課の提供資料により,報告者作成.
校区単位のネットワークの組織化 ③
 ネットワーク会議の役割:「意見交換」「情報交換」の場
 「〔注:ネットワーク会議は〕子どもたちの通学路の見守りをしている
とか,そういう人たちとか,地区の子ども会の活動をしている人とか
.あと学校の先生と,PTAと,あと老人会とか,そういう人たちの集
まりなんで.各活動報告をしてもらって.あとは自分たちはこういう
ことを考えているので,ということで.それに似ているような行事な
んで一緒に調整してやろうかとかですね.そういう,気軽に意見を交
換していくような,そんなところなんで.……まとまりのないような
会なんですけど,まあ,意見交換ということで良いのかなあ.」(校
区コーディネーター)
 「ネットワーク会議はとりあえず,大人が集まって話し合う情報交換
の場だけで良いじゃないか.集まってそのそれぞれの団体が個別の関
わりがあるんやったら,自分たちの会は子どもとの関わりの中でこう
いう課題が見えてきてるけど,どうすりゃいいだろうか,というよう
なそれぞれ子どもに関わる情報の共有をしよう.それやるのが目的だ
から.その会で,みんなで共通の課題が見つかったらそれで動けばい
いから.」(2013/11/28, 社会教育課・職員)
内容
23
学校支援事業の成果
 学校支援に関するニーズ調査(2008年度)
 学校管理職,公民館職員への調査に基づく.
 これまで受け入れが比較的スムーズに行われてきたゲストティ
ーチャーや部活動の指導者としての受け入れを促進しつつ,現
在人手が不足しがちな環境整備の活動にも協力を求めて行くと
いう形で,地域住民の受け入れが進んで行くと予測された(荻野
2010).
 学校支援に関わるボランティア活動に関わる人数の増加
2008年度に比べ,2016年度のボランティアの実人数は約5倍,
延べ人数は約2.6倍に増加.
活動の内訳を見ると,登下校指導や学校支援活動が中心(図表7
).
これ以外の,部活動指導(29倍),環境整備(約16倍),学校
行事への参加(約27倍)の伸びも著しい(延べ人数比,図表8
).
成果
24
図表7 佐伯市における「学校支援」の活動の広がり
25
ボランティア 事業計
(実人数) 延べ人数 学校支援活動 部活動指導 環境整備 登下校指導 学校行事 その他
1,679 533 60 20 1,061 5 -
10,378 1,862 11 147 8,269 89 -
2,826 1,128 7 152 1,522 14 3
17,305 4,068 47 761 12,367 52 10
3,451 1,156 57 264 1,930 37 7
21,081 3,667 83 1,363 15,686 234 48
5,260 1,756 13 526 2,927 24 14
20,465 7,180 43 1,838 11,139 181 84
6,668 2,536 110 584 3,355 70 13
27,208 7,971 165 2,361 16,058 593 60
5,641 2,975 107 474 1,974 111 -
27,953 7,505 131 1,976 17,326 1,015 -
5,127 2,546 107 423 1,968 83 -
28,821 8,430 153 2,766 15,702 1,770 -
4,839 2,251 166 399 1,908 102 13
27,394 7,693 423 2,176 15,283 1,646 173
4,364 1,876 134 299 1,827 207 21
27,086 6,350 319 2,346 15,237 2,394 440
5,355
12 3,799
2015(平成27)年度 12 3,329
校区
2012(平成24)年度
7
7
9
2013(平成25)年度
2014(平成26)年度
12
2016(平成28)年度 12
内訳
12
12
723
2,123
2,569
3,023
1,043
2008(平成20)年度
2009(平成21)年度
2010(平成22)年度
2011(平成23)年度
年度
3,524
出典:佐伯市教育委員会社会教育課の提供資料により,報告者作成.
図表8 「学校支援」の活動に関わる延べ人数の推移(伸び率)
26
0
5
10
15
20
25
30
35
40
合計 学校支援活動 部活動指導 環境整備 登下校指導 学校行事
縦軸は,2008年度を1とした時の,伸び率を示す
出典:佐伯市教育委員会社会教育課の提供資料により,報告者作成.
学校支援事業の成果
 事業の開始当初は,中学校での活動は難しいと考えられていた.
 「小学校と地域というのは意外と密接につながっているんですね.やはり,
こう,その地域の学校というのがありますから.また,子どもたちもある程
度幼いので,地域の人たちとの交流というのが盛んですよね,どこの小学校
も.だけど……中学生と地域の関わりというのは……そういったのがなかな
か中学校はないですね.」 (2008/11/21,中学校校長)
 2009年度より,キャリア教育分野での関わりが生まれる
 2008年度末に,中学校区ごとで,キャリア教育担当者,進路指導担当者と,
校区コーディネーターが顔合わせを行う.
 2009年度から,キャリア協育推進協議会の中に,協育コーディネーターが委
員として入り,ネットワーク事業との関連が意識されるようになる.
 成果:イエロー・ページに掲載された受入事業所数は,188(2009年度)から
376(2012年度)に倍増.
 その後,学校支援の他の領域にも広がりを見せ,定着の方向に.
 「中学校は1回やると割にかっちりと授業として成立させるっていうか,イレ
ギュラー的な感じじゃなくて,きちんとこれをコーディネーターの人に頼ん
で人集めるとか,なんかもう去年よかったから今年もするっていう感じで.
ちゃんとなんかこうきっちりかっちりしとるんよな.」(2017/05/08,校区
コーディネーター)
 「当初は中学校は地域の支援はほとんど必要ありませんと.もう学校だけで
教職員と生徒たちで間に合ってますという感じで全然取り合ってくれなかっ
た状況ですけど,今は全然違ってるという状況がありますね.」(
2017/05/09,校区コーディネーター)
成果
27
10年間の活動の成果
 「協育」の考え方が定着し,学校と地域の関係にも変化が見られる.
 「10年目でこう,あれかなあって.コーディネーターっちゅうか,地
域の人との協育っちゅうか,協働っていうのがいろんな形で,形とし
てなるっちゅうかな.ただのゲストティーチャー呼ぶとかそういうな
んじゃなくて,こういうふうに位置付けとして,学校としてはやろう
っちゅう取り組みができてきよるんやなあっていうかな.」(
2017/05/08)
 「10年経過する中で.この協育ネットワークといいますかね,……協
育ネットワークという組織での学校支援というのが,かなり定着して
きてるというか,当初は認知度は高くなかったんですけど,今はかな
りもうその辺は定着してきてる感じですね.10年の中で.従って,地
域の人たちが学校支援に関わっていくということは,特別なこととは
思われてなくて,できる人ができる学校支援をしていくと.学校の中
に入って学習支援をすることもありますし,学校の環境整備等,協力
する人もいるし,地域での見守り,安心安全の見守り活動とか.普通
にやられているというのがありますね.」(2017/05/09)
成果
28
地域の団体の活動への影響 ①
 会議体の組織化により,地域の組織・団体のあり方も変化.
 例1.PTAの活性化
校区ネットワーク会議の中で,中学校と小学校3校のPTA会長同士が
話をし,地域との連携を図ろうという声が出た.
その後,このPTA会長たちは,商工会議所への協力依頼や,自治会や
社会福祉協議会,企業との連携によって小学生や中学生の行事の参加
を促す取り組みを行った.
この取り組みは,PTA活動そのものの活性化を企図するだけでなく,
学校と地域との間にある保護者の組織としての特性を活かし,周囲の
団体や機関との橋渡しを行っている例.
 例2.おやじの会の結成
直川校区で,2011年度に結成された「おやじの会」は.学校のグラウ
ンドの整備を行うだけでなく.時間のある時に集まって親睦を深め,
子どものことを話している.
会の中心メンバーは30〜40代の父親.15名程度.
この会ができたきっかけは,PTA代表として校区ネットワーク会議に
出席したことで,「こんなことを,地域協育でやってる,地域の人が
頑張ってくれとるのに,自分たちは知らない.俺たちも自分たちでで
きることはないか」と考えたこと.
地域への効果
29
地域の団体の活動への影響 ②
例3.自治会や老人会等の既存の組織の見守り活動
この活動は,新たな組織を作るのではなく,校区ネットワーク会
議を通じて,自治会や地縁団体といった既存の組織に声をかける
ことで成立.
「[注:安全パトロールは]老人クラブや各種団体の方に声をか
けてお願いしているみたい.P〔TA〕,婦人〔会〕,老人クラブ,それ
から自治会,その辺ですね.」(振興局・職員).
「中学校が今年は事務局をしてですね.地域のいろんな代表者,
まあそこの振興局から商工会から婦人団体から,高齢者団体から
いっぱいありますね.……その代表の人で組織して.」(中学校
・校長)
地縁団体の本来の活動の目的に含まれるものではないが,集団の
社会関係を新たな目的に「転用」する1つの試み(「リサイクル戦
略」参照.Putnam and Feldstein 2003, 286-291).
これらの活動は,校区ネットワーク会議などでの話し合いをき
っかけにしている.関係者の対話の場の構築は,社会関係資本
醸成の第一歩となる(荻野 2017).
地域への効果
30
地域の「関係基盤」の変化
 「関係基盤」(三隅 2013)の観点からの分析
 事業実施前:地域の社会関係資本を醸成する上で,重要な役割を果た
してきた青年団や婦人会などの地縁団体の活動が停滞.これらの団体
は,地域のつながりを作り出し,リーダーとなる住民の育成をも担っ
ていた.
 これに対し,青少年健全育成会議や校区ネットワーク会議を組織し,
行政関係者や学校関係者,各種委員が,「意見交換」「情報交換」を
行う場を作ることにより,校区内での社会的ネットワークの再編成を
行おうとした.
 校区ネットワーク会議や青少年健全育成会議に,ネットワークの中心
的な人物を集めることによって,既存の社会的ネットワークを有効に
活用しようとした.
 この会議での話し合いは,地域の団体の活動にも影響を与えていた.
 現在の時点で,団体が活動していなかったり,活発でなくても,過去
に築かれてきた,「関係基盤」上の社会的ネットワークはすぐに消滅
するわけではない.
 既存の団体間の「連結性」を強化することにより,「関係基盤」上の
社会的ネットワークを活性化することが試みられている.
地域への効果
31
ネットワーク会議
青少年健全育成会議
壮年団
PTA
老人クラブ
サークル
婦人会
おやじの会
壮年団
PTA
老人クラブ
各種団体
婦人会
事業実施前
事業実施後
コーディネーター
図表9 モデル図
「協育」事業を通じた
地域の社会的ネットワークの組織化
校区ネットワークを活用した取り組み
 校区ネットワーク会議を基盤にした活動の広がり
防災キャンプ(米水津・鶴見・上堅田校区):校区ネットワー
ク会議の中に実行委員会が組織化される.
「ネットワーク会議で学校関係者も入り,PTAも入り,そういっ
た各団体がそれぞれ話し合う中で,これが防災ちう,一つの共通
したテーマをした時に,地域と学校が一体と考えがまとまった.
」(2015/03/19,社会教育課職員)
体験活動の推進(直川校区の「通学合宿」) :活動自体は,事
業実施前から存在したが,公民館にコーディネーターが配置さ
れ,地域の団体とのネットワーク化が構築されることで,安定
的に運営されるようになった.
地域の行事への参加(渡町台校区の公民館まつり):校区ネッ
トワーク会議での話し合いを経て,中学校の教員・生徒が公民
館の行事に参加することになる.
「地域から学校を支援するというだけじゃなくて,学校も地域に
協力,出ていって支援,いろんな地域のイベント,地域のお祭り
とか行事に参加・協力するという双方向の協力体制ができてきた
.」(2017/05/09,校区コーディネーター)
地域への効果
33
「信頼」から読み解く事業の目的
 事業実施前の状況=教員と住民間の「特定化信頼」
 一部の校区や学校では,事業実施前から,教職員が住民に対し,学校への協力を
直接依頼するという状況にあった.
 コーディネーターという「形式的なものが入って来る」(中学校・担当教員)こ
とに否定的な見解も示されていた.例えば,これまで保たれてきた地域とのつな
がりが,「ワンクッション,コーディネーターさんが入って逆にそのつながりが
薄れるんじゃないか」という懸念(2008/09/10,振興局職員).
 この関係は互いに知っている個人同士の間での「特定化信頼」というべき状態.
 事業で目指されたもの=「特定化信頼」から「一般的信頼」へ
 「特定化信頼」は信頼を構成する社会関係がなくなると成立しない.
(例)学校の教職員が異動すると,新しく赴任した教職員にはその関係が引
き継がれない.
 「『地域協育』,『地域協育ネットワーク』システム,……それをある意味
学校の先生方はできとる,できとる,やってきたって皆思うんだけれども.
それがきちっとした形で残っているかというと〔注:残っていない〕.一番良い
例が,あの先生はいた時はこうだったけれども,あの先生がおらんようにな
ったら,もう呼ばれんようになったなあとか.……そういうことがないよう
にシステムとしてやりましょうという.」(小学校・担当教員)
プロセス
34
「信頼」から読み解く事業の目的 ②
 校区コーディネーター:「信頼」を担保する役割
 「一般的信頼」を構成していく方法は,コーディネーターに「信頼」が置
ける人物を任用すること.
 学校の「外部」の地域人材を受け入れるに当たり,どのような人物が外部
から来るかわからないという状況に対し,その仲介の「窓口」たるコーデ
ィネーターに「信頼」できる人物を置くことで不確実性を減らそうとする
試み.
 コーディネーターへの「信頼」の根拠として,地域のことを良く分かって
いること,学校教育にも深い理解を示せること,の2点が重視される.
 2013年時点で任用された延べ15名の経歴を見ると,学校管理職が5名,行
政関係者が5名,民間の団体等の出身者が5名という構成.
 50代から60代の,学校や地域で豊かな社会経験やネットワークを有する
人物が任用されている.
 ただし,信頼のおける人物をコーディネーターとして配置するだけでは,
関係が一過性のものに終わる可能性がある.
 そこで,信頼を広げていくこと,具体的には,これまでの社会的ネットワ
ークの上に成立する信頼だけでなく,この信頼を基礎に新たな信頼関係を
構築していくことが重要とされる.
プロセス
35
コーディネーターの役割認識
 校区コーディネーターの役割認識:学校と地域をつなぐ「仲介役」「パイ
プ役」として,もしくは活動の「呼び水」になるという意識を持って活動
を行っている.
 「ボランティアで支援する,学校を地域の人たちが行って支援する.だか
ら,あんまり無理をしないでボランティアの人たちは.あの,できる時に
できることをできる人がするということで.あんまり重く考えられるとや
れんので.本当のボランティアなので.学校からの要望があればこっちに
言って来てもらって学校に伝えたよとか,仲介役っていうかな,パイプ役
っていうか,そんな感じで.」
 「自分の仕事の内容としては,結局その,先生たちが,地域の人材を,と
にかくいっぱい使ってもらって,そういう活動をして.地域の人とたくさ
ん交流をしていくような感じで働きかけたり:協力をしたりという.そう
いうとっかかりというんですか.そういう呼び水のような仕事なんだろう
なと思ってやってます.」(2009/11/20)
 コーディネーターは,人材バンクの作成や広報の利用,自らの元々持つネ
ットワークなどを通じて人脈を広げていく(佐藤 2012).
 コーディネーターそれぞれのアプローチの違いや,活動の展開の仕方は?
プロセス
36
コーディネーターのアプローチの違い①
 ケース1:民間出身の経験豊かなコーディネーター
 すでに地域で一定の社会関係を有しているため,「私の周りの知って
る人から,また知ってる人」に関係を広げる方法がとられる.
「やっぱここ〔注:公民館〕で聞いたり.公民館教室があるじゃないですか
.その中の,知ってる人に聞いたり.……やっぱなんか知ってる人に聞く
んよな.…………「あ,それはこの人が詳しいよ」って,「おまんじゅう
つくりはな」って,「この人が知ってるけ,私から聞いたっちってから,
電話してみー」って言うんね.で,その人に電話して聞いたりとか,お願
いしたりとか.」(2009/11/19)
 学校への入り方:「とにかく下から」行く.「顔を知ってもらうまで
は,来て良いですかとか,そんなやり方の方が良い」とされる.信頼
関係を築くまで,学校を立てて接して行くという方法.
 ただし時間が経つにつれ,自らの持つネットワークを広げる必要性も
自覚されている.
「最初,人をつなぐ,私の知っとる人,言えば良いわっちゅー感覚やった
んやけどね.やっぱそれが何年も続くと,あんまりそういう,もうね,ち
ょっとこう.マンネリ化っちゅーのも,私的にはもうあんまりやれないけ
ん,やっぱ新しい人.お願いせんといけんなぁって.」(2012/01/13)
プロセス
37
コーディネーターのアプローチの違い②
 ケース2:学校管理職出身のコーディネーター
 現在の学校が求めていることや,子どもにとって理想的な学校環境や地域
環境,学校と地域との関係について理解し,考えてきたという.
 この一方で,新しい事業を進める際の教職員の反応として「もう忙しくせ
んでくれ,とかいうのが本音だ」(2010/01/29)ということも理解.この
ため教職員が「向こうからこっちに,こう寄ってくるような,そういった
理解まで持っていけたら」(2010/01/29)と考える.
 「私は,教職経験を経てのコーディネーターですから.最後は小学校の校
長を経験して辞めましたから,学校が何を求めているのか,というのはよ
く分かるんですね.学校が地域に何を期待するか,何を求めるかというの
はよくわかりますし.また子どもたちはどういう学校環境,地域環境の中
で,育つのが望ましいかというのも,いろんな経験上分かりますし.だか
ら,地域と学校はどうあれば良いか,あるいは本当に地域の教育力を復活
させるために何が必要か,というあたりは自分なりに現職の頃から色々取
り組んできたり,色々考えてきたことでもあります.……地域の人たちの
意識づくりとかをやりながら,学校から具体的にこういう人材を探して,
とかそういう要請にはそれはそれで応えていかなくてはいけないと.ただ
,単に人材名簿を作って,人材を学校に送り込めば良いとは〔思わない〕」
.(2010/01/29)
プロセス
38
コーディネーターのアプローチの違い ③
 ケース3:民間出身で,経験が少ないコーディネーター
 (1年目)活動の様子が全く分からず,自身がなく不安な様子.
「どういうことをやるのかというのは大体把握しているんですけど.自分
にできるか….自分にできるかどうかというのはちょっと自信がない.K
小学校区のこの地域の人たちのこととかをあまり知らないので,だからそ
ういう面でなんかちょっと不安はあるんです.」(2008/09/09)
「そこがやっぱり一番心配というか,人を知らない,この地区の人をあま
り知らないなあというのがありまして.」(2008/09/09)
 (2年目)公民館の人間関係を元に活動を広げていく様子.
「昔遊びとか,餅つきとか,年配の方が関わるようなことは,やっぱり,
ここ〔注:公民館〕で教室があるでしょ.大正琴とか,いろんな.そういう
ところに行って「こういう人はいませんか?」って大きな声で言って.そ
うすると,「うちのお父さんがする」とか.そういう感じですよね.」(
2009/11/20)
「公民館講座がいろいろあったり.活動があるから,そこに行って,ミシ
ンがけ誰かしてくれませんかとか言って頼むと.すぐというか.見つかる
というか.」(2009/11/20)
 (3年目)従来の活動が基盤となり,ネットワークが広がる
「例えば読み聞かせとかでも,私が何とか小学校にといって1人とか2人
とか入れるじゃないですか.お願いしますという感じで.そうしたら,ま
たその人たちから増えるというか.だから私の知らない人も入っていたり
とか,そういう感じで,読み聞かせなんかはやっぱり人数が増えたりとか
,広がったりとかいうのはあります.」(2010/10/08)
プロセス
39
コーディネーターのアプローチの違い ④
 (4年目)コーディネーターとしての仕事の進め方を見出す.
「やっぱり先生との人間関係を,やっぱ信頼関係をつくらないと,学習サ
ポーターなんか,難しいんですよ,なんか.先生との信頼関係,個人的な
っていうか,まあ,気やすくねえ,何を考えてるかわからないと,なかな
かきけないでしょ.こっちも意見もしにくいし,なるべくほら,批判とか
,先生の批判はしたらいけないと思うんですよ.そういう仕事じゃないか
らね.先生を助けるための仕事っていうのがあるから.だけどやっぱ思っ
たことははっきりと,言わないと伝わらないっていうところもあるから,
そこのところは難しいけど.」(2012/01/16)
「うそは,お世辞みたいなことは言わないけど,こういうところがよかっ
たとか,これで子どもが喜んどったとか,先生もこう言ってましたってい
う,そういうフォローっていうか,そういうのは必ず,やっぱり.まあ,
電話までして言う場合と,いつも会う人はここの公民館で言ったりとかす
るけど,やっぱそこのところちゃんとしないと.」(2012/01/16)
 (10年目)関係を維持する努力.
「中学校はお礼状とかをきっちり,まあ私それ,お願いしてるんですけど
,作文ちゃんと書いてくれて,小学校みたいに数が多くないから,いつも
って感じじゃないので.1年に1回か2回のことなので、多分先生たちが書
いてくれると思うんですけど.それを読んで行ってよかったっていう感じ
は多いですよね.」(2017/05/08)
プロセス
40
佐伯市における社会関係資本の再構築の過程
 事業開始数年で明らかになっていたこと(荻野 2014)
 「学校支援」を名目に,地域の社会関係資本の醸成が目指される.
 会議体の組織化:既存の「関係基盤」の「連結性」を強めることで,
地域の組織の活性化や,既存組織の「転用」が図られてきた.
 コーディネータの配置と活動:信頼のおける人物からの紹介を起点に
関係が広がってきた.経験豊かなコーディネーターは自身の経験や関
係を活用し,難しい場合は公民館での社会関係を活用する.
 今回の報告で明らかになったこと
 「協育」の考え方が,学校・地域双方に定着しつつある.
 組織された会議体は「学校支援」以外の活動を生み出す基盤となる.
校区の意見を集約する場となり,独自の活動が始まる.
このメカニズムが,どの程度普遍的なものかは,検証が必要.
 依然として,コーディネーターの役割は不可欠と考えられている.
学校,地域の良好な関係を継続したり,新たな関係を築く際には
,コーディネーターの役割が重要となるため.
これが,属人的な要素に拠るものなのか,コーディネーターとい
う仕組みに拠るものかは,検証が必要.
まとめ
41
参考文献(1)
 柏木智子, 2016, 「学校と地域の連携による校区ソーシャル・キャピタルの
醸成』露口健司編『ソーシャル・キャピタルと教育』ミネルヴァ書房,64-
86.
 熊谷愼之輔・志々田まなみ・佐々木保孝・天野かおり, 2013, 「学校支援地
域本部事業と連携したコミュニティ・スクールの事例分析:『地域ととも
にある学校』づくりによる教育力の向上をめざして」『日本生涯教育学会
年報』34: 203-219.
 三隅一人, 2013, 『叢書・現代社会学6 社会関係資本:理論統合の挑戦』ミ
ネルヴァ書房.
 仲田康一, 2015, 『コミュニティ・スクールのポリティクス: 学校運営協議
会における保護者の位置』勁草書房.
 大林正史, 2015, 『学校運営協議会の導入による学校教育の改善過程に関す
る研究』大学教育出版.
 荻野亮吾, 2010,「学校-地域間関係の再編の動態についての『社会関係資本
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的研究:社会教育行政の再編と社会関係資本の構築過程に着目して―』東
京大学大学院教育学研究科 博士学位論文.
 ――――, 2014b, 「公民館を拠点とした社会関係資本の再構築の過程:大
分県佐伯市の『協育ネットワーク構築推進事業』を事例として」『日本公
民館学会年報』11: 104-114.
42
参考文献(2)
 ――――, 2016, 「社会教育とコミュニティ構築に関する比較事例研究の方
法:社会関係資本論に基づくアプローチ」日本社会教育学会編『社会教育
研究における方法論』(日本の社会教育第60集)東洋館出版社, 187-199.
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値を創造する」『生活協同組合研究』498, 40-47.
 Putnam, R. D. and L. M. Feldstein, 2003, Better Together: Restoring the
American Community, Simon & Schuster.
 佐藤晴雄, 2016, 『コミュニティ・スクールの成果と展望:スクール・ガバ
ナンスとソーシャル・キャピタルとしての役割』ミネルヴァ書房.
 佐藤智子, 2007, 「青少年教育のガバナンスとネットワーク:大分県『地域
協育振興モデル事業』の事例分析」『生涯学習・社会教育学研究』32: 11-
22.
 ――――, 2012,「学校・家庭・地域の連携施策におけるコーディネーター
の力量形成過程」『教育学論集』54: 65-95.
 志々田まなみ・熊谷愼之輔・天野かおり・佐々木保孝, 2014, 「学校支援地
域本部と学校運営協議会の連携の実態:全国アンケート調査の結果から」
『広島経済大学研究論集』37(3): 29-39.
 高橋満, 2013, 『コミュニティワークの教育的実践:教育と福祉とを結ぶ』
東信堂.
 露口健司編, 2016,『「つながり」を深め子どもの成長を促す教育学:信頼
関係を築きやすい学校組織・施策とは』ミネルヴァ書房.
43
謝辞
 本調査研究にあたっては,日本学術振興会より,以下の研究
費の助成を受けました.記して感謝を申し上げます.
 平成21-22年度 特別研究員奨励費「地域活動における『贈与的ネット
ワーク』を媒介にした公共性構築過程に関する研究」(JP09J10392
)
 平成23-24年度 研究活動スタート支援「ポスト合併期における生涯学
習を通じたコミュニティ形成に関する調査研究」(JP23830021)
 平成25-27年度 若手研究(B)「生涯学習を通じたコミュニティ・エ
ンパワメントモデルの開発」(JP2578046)
 平成28-30年度 若手研究(B)「生涯学習・社会参加を促す効率的・
創発的なプラットフォーム形成に関する実証研究」(JP16K17379)
 長期間にわたり,本調査にご協力を頂いた佐伯市教育委員会
の皆様,及び校区コーディネーターの皆様に心より御礼を申
し上げます.
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