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輪講
2016/05/25  B4藤井脩矢 
1
論文
‘’海の探査機3兄弟’’ ―地球科学調査と資源探査のための3機のAUV開発-
吉田弘 *(独)海洋研究開発機構 海洋工学センター
1. はじめに
2. デザインコンセプト
3. AUVシステム
4. 海域試験
5. 今後の予定
2
1. はじめに
海洋は気候変動に大きな影響を与え
、海溝型地震の多発地域である
陸上資源に乏しい日本にとって海洋
は資源の宝庫である
海洋を知りまた資源を得るために、3次
元的な調査・利用する必要がある
3
2. デザインコンセプ
ト2.1 地球科学調査用AUVの設計コンセプ
ト
最先端研究基盤整備事業におけるAUVの調査目標は、二酸化炭素海底下
貯留(CCS)を行う為の事前環境調査とCCSを行った後の変化のモニタリン
グ
目的を達成するため
比較的広域を調査する巡航型AUV(じんべい)
海底付近の詳細な調査や、着底しマニピュレータ作業も可能な作業型AUV(おとひめ)
開発
4
・巡航型AUVには既にJAMSTECが運用している大型AUV「うらしま」と同等以上の観測性能
が  ユーザーから求められた
・小型で取り扱い易いこととJAMSTECが運航する調査船のいずれでも運用ができることを目指す
これらの要求をもとに以下の巡航型
AUVを開発目標とした
・センサ等の物理化学センサを搭載する
・「うらしま」と同等のソナーを搭載する
・2トン以下の機体とする
・ダイバーレス・作業艇レスの着水揚収
 
5
・応答速度が遅いで精度の高い計測を行うために、速度制御範囲を0.7ノット~
3ノットと広範囲に設定
 
・ダイバーレス・作業艇レス化のために、垂直着水揚収方式と水中揚収方式を開発
・文部科学省の競争的研究資金制度「海洋資源の利用促進に向けた基盤ツー
ル開発プログラム」(基盤ツール)で開発されたセンサ類を搭載できるように30
kgまでのペイロードを用意
6
作業型AUVの目標
・等の物理的化学センサを搭載
・海底に数mまで接近し、モザイク写真を撮影する
・着底できる
・海中映像を見ながら遠隔操作ができる
 
写真撮影を効率よく行う為に、陸上用の高輝度ストロボと静止画カメラを深海洋に改造し、
更に、カメラ映像を見ながら遠隔操作もできるように、超高速音響通信システムを開発
7
2.2 資源探査に特化したAUVの設計
・海底資源として今一番熱いソースである熱水鉱床の
詳細な調査を、資源探査AUVの仕事と位置づけた
熱水鉱床の開発において、資源賦存量を把握する技術と
採鉱のための詳細な海底地形を把握する技術が必要
資源探査AUVの目標
・探査を実現するセンサを搭載できること
・熱水鉱床の存在する場所を航行できること
・効率よく広域を探査できること
・ダイバーレス・作業艇レスの着水揚収
8
・海底下を観測するためのサブボトムプロファイラー(SBP)、海底面を詳細に観測する
ためのインターフェロメトリソナー(IFS)と合成開口ソナー(SAS)を標準装備する
・基盤ツールで開発されたセンサ類を搭載できるように100kgまでのペイロードを用意
9
3. AUVシステム
3.1 巡航型AUV(じんべ
い)
・地球科学調査、CCS調査、資源探査の目的で開発
された巡航型AUV
・リングレーザージャイロを利用した小型慣性航法装
置と600kHzのドップラー速度計、GPS、音響航法装
置をハイブリッド化することによって、海中でも正確
な位置を得ることができる
図1 じんべい
表1「じんべい」主要目
10
3.2 作業型AUV(おとひめ)
図2 おとひめ
表2「おとひめ」の主要目 
・作業型であることから、低速航行中心と考え、オープ
ンフレーム型である
・ツールとしては高解像度スナップショットカメラ、ステ
レオ視カメラ、マニピュレータ等を搭載し、海底面近傍
での撮影や、着底しての作業ができる
・使用するツールによって3種類の構成を選択できる
・着底作業を行わない場合はスキッドを装着しないこと
で、流体抵抗を軽減し運動性能を向上できる
・着底する場合はスキッドを装着する
・マニピュレータを用いる場合はマニピュレータ搭載ス
キッドを装着する。(運動性能が少々犠牲になる)
11
3.3 巡航型AUV(ゆめいるか) 
図3ゆめいるか
表3「ゆめいるか」の主要目
・「じんべい」と同じ電池2セット、高速充電装置搭載
・センサには広域の地形図を得るためにスワス幅の広いイ
ンターフェロメトリソナーを選択、高高度からでも詳細に海
底観測ができるように、合成開口ソナーを開発
・高い運動性能がある。高度80mから30mで高度を一定に
保ちながら航行する
・斜面を航行する時には機体を斜面に平行に制御する場合
と機体のピッチ角を一定に保ちながら航行する場合を選択
できる(図4)
図4ピッチ制御のイメージ図 12
4. 海域試験
表4 海域試験の実績と予
定平成22年度から開発に着手した。これまでの探査機開発にお
いては、一般ユーザーの要求に応えられるようにシステムの信
頼性向上を優先してきたため、実用に供するまで5年以上の
時間をかけてきた。
最初に着手した「じんべい」はすでに観測ミッションを行い
成功させている(図5)
図5 上越海丘のメタンハイマウン
ド音響画像。高度50mから撮影相模湾で技術試験中の「おとひめ」が撮影
したスナップショット(図6)
図6 相模湾海底の生物とその
拡大画像。高度2mから撮影
13
5. 今後の予定
・「じんべい」と「ゆめいるか」は24年度末にそれぞれ海域試験を予定しており、これらの
航海でバグフィックスと調整を大体おえて、平成25年からは本格運用を実施する予定
・ハウスメイドの「おとひめ」は運用に供するためにはもう少しバグ取りとチューニングが
必要である
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