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現代の情報社会をデザインする
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2017年7月29日の東京女子大学オープンキャンパスで使用した模擬授業のスライドです. 「現代の情報社会をデザインするーWebデザインからイノベーションまでー」
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現代の情報社会をデザインする
1.
現代の情報社会をデザインする -Webデザインからイノベーションまで- コミュニケーション専攻 渡辺隆行 <nabe@lab.twcu.ac.jp> 2017年7月29日,オープンキャンパス模擬授業
2.
授業の概要 2018年度からのコミュニケーション専攻は,メディアコミュニ ケーション,情報デザイン,多文化コミュニケーションの3 領域と,領域をまたいで学ぶ研究法などの授業で構成されます. この授業では,情報デザイン領域で何を学ぶのかがわかるような入 門編の講義をします. 13時からは3年生の司会によるミニ実習「ウェブサイトのデザイン」も 開催しますので,この講義と併せて受けていただければ,入学後に 情報デザイン領域でどんな勉強ができるかがわかると思います. 2
3.
デザインとは何か? 1. アートとデザイン • アート(芸術.主観的.表現することが目的.自分主体) •
デザイン(モノ・コトの意味をユーザに伝えること.ユーザ主体) 2. 設計=デザイン(Design)? • 設計 2 一般に、計画を立てること。また、その計画。「老後の生活を設計する」(デジタル大辞林) • デザイン(この講義での意味) • 「明確な目的をもって,モノやコトに新しい価値や意味を与える方法」 (早川克美:『デザインへのまなざし』(藝術学舎)) • 「私たちの生活におけるさまざまな問題解決のための(略)人工物の設計」 (カセム他編:『インクルーシブデザイン』(学芸出版社)) 3
4.
デザインの歴史 1. 18世紀の産業革命:手工芸ではない工業化が進行 2. 粗悪工業品への反発(19世紀:アーツ・アンド・クラフツ) 3.
20世紀のバウハウス(合理的・機能的なデザイン) • 1980年代:PC登場. • 1990年代:インターネットの普及 4. Krippendorff:『the Semantic Turn – a new foundation for design』,2006. • 人間中心のデザイン • デザインとは物の意味を与えることである. 4
5.
デザインの歴史と未来 • 1990年から始まったICT社会(PC,ネットワーク,Web,スマホ) • 現代社会が抱える問題:高齢化,グローバル化,多様化 •
新しい技術:ビッグデータ,人工知能,IoT,ロボット デザイン 1.0 絵を描く作業中心の伝統的なデザイン観 メディア 2.0 ユーザー体験や人間中心のデザイン ソリューション ← 今ここ 3.0 コミュニケーション, サービス 5
6.
デザインの変化 國澤好衛「デザイン操作論」 (産業技術大学・履修証明プログラム・人間中心デザイン・講義資料から抜粋) デザイン Phase 1 かたちの操作
・形態言語の操作による審美性の追求 ・形態.材質,色彩の構成によるユーザーが抱いている感 性的なイメージの可視化 Phase 2 システムやプロダクトとユーザーとの関係の再 構築(ユーザビリティ,インタラクション・デザイ ン,ユーザー体験) ・コンテクストの創造と新たな価値,経験,行為のデザイン ・インタラクション,コミュニケーションのデザイン Phase 3 社会システムを文化的視点から再編集 ・多様な領域を総合するソリューションコンセプトのデザイン ・未来の予言としてのデザイン 6
7.
なぜ「情報」デザインなのか • 現代社会は情報に溢れている • 我々は情報通信技術(ICT)に取り囲まれている •
だから,「情報」が使いやすいこと,使えることが大事 • そのためには人間(ユーザ)中心設計(デザイン)が大事 • ユーザとICTシステムとのコミュニケーションと捉えることもできる • 明確な目的をもって,モノやコトに新しい価値や意味を与える:デザイン • 現代社会が抱える問題点を発見し解決案をデザインすることもできる(後述) 7
8.
古典的なコミュニケーションのモデル 池上嘉彦:『記号論への招待』(岩波新書),p.39 [発信者] [受信者] [経路] [コンテクス ト] メッセージ メッセージ伝達内容 コード 伝達内容 記号化
解読 8
9.
デザインとコミュニケーションの関係 • コミュニケーション:自分が頭の中に抱いている<抽象的>な広義の思考内容のコピーを 相手の頭の中にも創り出す行為 • 理想的なコミュニケーション:発信者が伝えたい「意味」と受信者が受け取る「意味」は一 致する •
デザイン: • 「デザインとは物の意味を与えることである」(Krippendorff) • 「明確な目的をもって,モノやコトに新しい価値や意味を与える方法」(早川克美) 9
10.
情報デザインの具体例 10
11.
Webのデザイン 13時から,3年生の司会によるミニ実習「Webサイトのデザイ ン」開催 • 現代社会の情報システムの代表がWeb • スマホアプリも実態はWeb •
Webが使いやすいことが大事 • 誰にでも使えること(ユニバーサルデザイン,アクセシビリティ)も大事 11
12.
2018年度からの コミュニケーション専攻サイト https://comm.twcu.ac.jp 12
13.
デザイン思考 • デザイナーがデザインを行う過程で用いる特 有の認知的活動を指す言葉 (Wikipedia) • 人の潜在的欲求について探り、そこで得た インサイトを自らの意志として、新たなモノ、 コト、ビジネスをデザインしていく(IDEO) •
共感 → 問題定義 → 創造 → プロトタイ プ → テスト(d.school) 13
14.
XXXXデザインたち • ユニバーサルデザイン(ロン・メイス他,1997) 「すべての製品や建物を,年齢や能力や地位に関わらず,できるだけ多くの人にとって,美しくて使いやすく設計 すること.」 • インクルーシブデザイン(ロジャー・コールマン,1994) 社会の課題を解決する参加型デザイン.課題を発見・検証するデザイン思考と近い. •
ユーザビリティ(ISO 9241-11:1998) 「ある製品が,指定された利用者によって,指定された利用の状況下で,指定された目標を達成するために用 いられる際の有効さ,効率,および満足度の度合い」 • アクセシビリティ(JIS X 8341-1:2010) 「様々な能力を持つ最も幅広い人々に対する製品,サービス,環境または施設(のインタラクティブシステム) のユーザビリティ」 利用者=障害者,利用状況=支援技術込み,利用できるか 14
15.
ユニバーサルデザイン(UD) すべての製品や建物を,年齢や能力や地位に関わらず,できるだ け多くの人にとって,美しくて使いやすく設計すること. (Ronald Mace) • あらゆるモノやコト •
できるだけ多くの人 • 美しくて しかも 使いやすい • デザイン 15
16.
UD7原則 1. 誰にでも公平に使用できること 2. 使う上での自由度が高いこと 3.
簡単で直感的にわかる使用法となっていること 4. 必要な情報がすぐ理解できること 5. うっかりミスや危険につながらないデザインであること 6. 無理な姿勢や強い力を必要とせず楽に使用できること 7. 接近して使えるような寸法・空間となっていること 16
17.
多様なユーザ • 特別な配慮を必要としないユーザ • 感覚機能に配慮すべきユーザ 視覚に頼れないユーザ,視力に配慮すべきユーザ 聴覚に頼れないユーザ,聴力に配慮すべきユーザ •
運動機能や体格に配慮すべきユーザ 車椅子利用者 手が使えないユーザ 動作に配慮すべきユーザ 筋力の弱いユーザ 発話に配慮すべきユーザ 左利きユーザ 小さい/大きいユーザ • 認知機能に配慮すべきユーザ 初心者/熟練者 理解が苦手なユーザ 日本語・外国語が読めないユーザ • そのほか 山崎編:『ユニバーサルデザイン 実践ガイドライン』(日本人間工 学会編,共立出版) 17
18.
人間の情報処理過程(認知心理学) 1. 知覚できるか 視覚を使えるか,視覚がだめなら聴覚や触覚が使えるか 2. 理解できるか 何が書いてあるかわかるか,覚えられるか,判断できるか 3.
操作できるか マウスで操作できるか,ボタンを押せるか 18
19.
すべてに共通するのは「人間中心設計」 ユーザーである人間を中心に考える 1. ユーザーの利用状況を理解(調査) 2. 解決すべき問題点を発見 3.
問題点の解決案を発想 4. プロトタイプでテスト 5. うまくいくまでこのプロセスを繰り返す 19
20.
人間中心設計(HCD) 人間中心デザインプロセスの相互依存性(ISO 9241-210:2010) (安藤昌也:『UXデザインの教科書』(丸善),図2.27) 人間中心設計 プロセスの計画 要求事項に対する 設計の評価 利用状況の 把握と明示 ユーザーの要求事項 の明示 ユーザーの要求事項を 満たす設計による解決案 の作成 設計された解決案 がユーザーの 要求事項を満たす 20
21.
社会をよくするイノベーション • デザインのPhase 3:社会システムを文化的視点から再編集 •
多様な領域を総合するソリューションコンセプトのデザイン • 未来の予言としてのデザイン • デザイン思考:人の潜在的欲求について探り、そこで得たインサイトを自ら の意志として、新たなモノ、コト、ビジネスをデザインしていく • 情報デザインはイノベーションを生み出す活動でもある • いろいろな方面で行き詰まりを見せている現代社会で求められる活動 21
22.
コミュニケーション専攻の「情報デザイン」領域 22 Webデザインやユニバーサルデザイ ンなど、現代の情報技術社会をデザ インする方法を学び、世の中のモノ ゴトをユーザー中心に改革できる人 材を目指します。
23.
主な授業 • デザイン思考I,II: 情報デザインとデザイン思考のプロセス、ユーザ調査の手法、コンセプト化や視覚化 の手法を学びます。 •
ユニバーサルデザイン: 人間中心設計の考え方に基づいて、多様なユーザに合わせたデザインを実践的 に学びます。 • デザイン心理: AV機器やコンテンツのデザインと人間の視覚や聴覚の関係を学びます。UDについても触 れます。 • SNSコミュニティデザイン: SNSの特徴やコミュニケーション行動など、SNSコミュニティデザインを学びます。 • アプリ作成入門: プログラミングが苦手な人でも使えるScratchでゲームを作り、プログラミングの楽しさを 学びます。 • ICTリテラシーI,II: 情報システムを扱う職業人に必要なICTの基本を学び、国家資格「ITパスポー ト」の合格を目指します。 23
24.
まとめ 1. 「デザイン」とは何か?:物の意味を与えることである 2. デザインの変化: 審美性→ユーザーとの関係→社会のソリューション 3.
なぜ「情報」デザインなのか?:情報に満ちた現代社会 4. デザインとコミュニケーションの関係:意味の伝達 5. 情報デザインの具体例:Webデザイン,デザイン思考,ユニバーサル デザイン,ユーザビリティ,アクセシビリティ 6. 人間中心設計の重要性 7. 社会をよくするイノベーションを生み出しましょう! 24
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