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ホモ・ルーデンス - ヨハン・ホイジンガ
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大学院の講義「情報地域計画特論」における課題発表用スライド。
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ホモ・ルーデンス - ヨハン・ホイジンガ
1.
ブリューゲル「子供の遊戯」
Editor's Notes
この「ホモ・ルーデンス」という本は、オランダの歴史家であるヨハン・ホイジンガによって
1938年に発表された論考です。<ホモ・ルーデンス>とは
ラテン語で「遊ぶ人」を意味する言葉で、
「遊戯は人間活動の本質であり、これが文化を生み出す根源となっている」とする人間観のことを指しています。筆者は遊戯は人間活動の一因子であり、
<ホモ・サピエンス>や<ホモ・ファベル>と並んで、<ホモ・ルーデンス>もまた人間の本質を捉えていているんだよ、ということが言いたいということです。 この本で12章に分けて展開される論考は、この▽
「人間文化は遊戯の中にー遊戯としてー発生し、展開してきた」を見せるー という筆者の確信に基づいて記されていて、
遊戯を単なる生物学的な機能としてではなくて、文化現象として、つまり▽
「生活に意味をあたえるもの」として理解することを目的としています。
とはいえ、本書のページを割いて語られていることは、
これを説明するための長い長い注釈であって、結構回りくどい。ということで、議論のディテールを追う前に、少し時間を割いて「章立ての構造」を簡単にまとめておきましょう。
これから話す内容の見取り図としてみていただければと思います。
まず、序章では、いま話してきたような執筆の動機や目的が明かされます。
これに続く1〜3章では、遊戯の本質とはなんだろうね?という話が展開されます。遊戯という現象や言語における定義を参照しながら、遊戯が
「自立的」で「非日常的」な性質を持っており、
また「闘争と表現」という形式をとることを示します。そして原初社会の遊戯に注目しながら、
遊戯が文化を構成するという意味で「文化因子」と呼び、遊戯を文化に先んずるものとして捉えます。
4〜7章では、私たちの人間生活の中に見られる4つの文化的活動について、
それらの遊戯らしい側面を解きほぐしながら、3章までの議論を個別に下支えしていきます。
8章では、とくに「詩」に注目し、勝ちたい(闘争)・伝えたい(表現)というの二つの側面があることから、これが人間の本質を説明すると考え、
詩を「精神の遊戯」とし、抽象化や擬人化といった詩がもっている遊戯的な機能への理解を深めていきます。
9章と10章では、哲学と芸術のそれぞれに見られる競技(勝ちたい・打ち負かしたい)、表現(伝えたい・見せびらかしたい)といった遊戯の形式を見いだします。
11章と12章では古代以後の文化活動から時代を下るにつれて、文化の中に見られる遊戯的な部分である「遊戯因子」が減退し、
世の中が真面目になっていることを指摘します。一方で、現代の文化活動において、再び遊戯的な側面を解きほぐし、
やっぱり文化は遊戯的な内容がなければ続かないよね、という結論を導きます。
なんとなく、全体像をつかんでいただけたでしょうか?確認しておきたいのは、結局ホイジンガが言いたいことは
文化は遊戯の中に遊戯として生まれ、展開する」ということ、
「私たち人間の文化活動の本質は遊戯にあり、遊戯は人間活動の本質である」ということです。
それでは、この見取り図を持って、この本の要点を整理していきましょう。
まずは第1章から第3章までの議論を追っていきます。ここでは遊戯の本質と意味について、遊戯という現象や言語における定義を参照しながらその特徴を理解します。
第1章では、これまでの遊戯の定義づけを整理しながら、
それらの共通点として「遊戯は遊戯以外のあるもののために行なわれる」「遊戯とはある生物学的目的に役立つ」といった外部にある目的達成の手段として遊戯存在しているとする考えに対して、「遊戯の面白さとは何だろう?」という素朴な問いによって退け、
「遊戯はそれだけで完結している行為であり、その行為そのものの中で満足を得ようとして行なわれる」という性質を説明します。 これらの性質から考察を深め、▽
遊戯の特徴を①自由な行動であること、②利害関係を離れたものであること、③完結性と限定性を持っていること、の3つに整理しています。このような特徴から、遊戯はその外に目的を持たない「自立的」なものであり、また、日常生活の利害関係から切り離された「非日常性」を持ったものであるといった側面を引き出します。 これらをふまえたときに、遊戯のとりうる形式として▽
「何者かを求めての闘争であるか、あるいは何かを表す表現であるか、そのどちらかである」と断言します。遊戯は日常とはかけ離れた固有の規則や秩序などをもっており、その世界の中で「闘争」と「表現」という二つの形式によって遊戯は表れます。
この考えを神話や祭祀といった文化活動に押し広げしながら、文化を動かす原動力とも言える規則や秩序の生みだす行為は遊戯そのものであり、遊戯がこのように文化の基礎をなしている、文化を構成するものという意味で「文化因子」と呼んで理解します。
ここまでで、1〜3章のエッセンスがかなり出そろったことになります。第2章は特に言語に注目して遊戯という概念がどのように定義づけられているかを確認する手続きを紹介しています。言語表現において遊戯が闘争という概念と関係していることを確認するとともに、▽
遊戯を「真面目」という言葉との対比で理解します。「真面目」は「遊戯ではないもの」と規定できるが、「遊戯」は「真面目ではないもの」とは定義できない、ということから、遊戯は真面目より広い概念であり、真面目を内包し得る、という議論から、遊戯が他の概念によって定義しにくい、独立性を持った言葉であることが確認されます。
3章ではまず、遊戯を文化に先んずるものとして検討します。
ここでの議論は文化の中から遊戯が発生するのではなく、文化は遊戯の中に成立したことだということが重要です。ここでは、原初社会における遊戯形式に注目し、その中にある対立的性格、つまり「闘争」の萌芽を見いだします。ギリシア文化に見られる闘争的な部分を紹介したり、これまでの議論を引きながら、遊戯の一形式である「闘争」が文化を形作っていると考えます。
また、1章の「文化因子」の話に立ち返り、「文化は遊戯として始まるのでもなく、遊戯から始まるのでもない。遊戯の中にはじまるのだ」と言います。混乱しそうですが、文化の基礎的な部分は、文化の根源的な形である遊戯の中におかれているというということを主張しています。
引き続き、11章と12章はを見ていきましょう。ここまでの議論から、▽
文化はその根源的段階において「遊戯されるものであった(左図)」と同時に、「文化は遊戯の中に生じ、遊戯として発達してきた(右図)」ことをあらためて確認します。その上で古代以降、時代ごとに文化の中にはどういった遊戯的要素が見られるかということを考察します。ここで注意したいのは
第一章などで見た文化の根源的段階と、三章から十章にいたる現代の段階とでは「遊戯の中の文化」から「文化の中の遊戯」というように、両者の包含関係が反転しているということです。
11章では、ホイジンガはこの試みの中で、時代を下るにつれて、
文化に見られる遊戯的要素、つまり「遊戯因子」が著しく後退している、と指摘します。19世紀においては、文化の中に遊戯機能を容れる余地はなく、このことを「文化が前よりもいっそう真面目になった」と形容します。その背景には産業革命以降の合理主義や功利主義があり、これらの「目的」のために、目的とは自立するとされる「遊戯」の要素は閉め出されてしまったというのです。
一方で、12章では現代の文化活動における「遊戯因子」を解きほぐしていきます。
技術確信による生産性の向上によって四六時中の労働が必然でなくなった現代においては、特定の目的を達成するという意図を秘めた文化は陰をひそめ、自立的で、それ自体が目的と言える遊戯因子を持った文化が残るという結論を導きます。彼の言葉で言うなれば「真の文化は何らかの遊戯内容を持たずには存続してゆくことができない」。これが彼が人間の本質を遊戯に求める根拠であり、本書の結論といえます。これで本文をざっと読み終えたことになりますが、ここにきてようやく、冒頭でのホイジンガの確信が解釈できるかと思います。
簡単に整理しておきましょう。「人間文化は遊戯の中にー遊戯としてー発生し、展開してきた」と冒頭でこの本の結論を紹介しましたが、
この「遊戯として」という部分が実は重要な意味を持っているのだと思います。
さきほど11章12章の冒頭で、このような図をみせました。文化は遊戯の中に生まれて、
それがどんどん時代が下るにつれて展開して、
近代においていっそう真面目になって
遊戯から一人歩きして行きそうになる。でも、こういう文化は結局続かないんだよ、僕たちには遊戯が必要なんだよ、だからこそ、僕たち人類はホモルーデンスだよね、と主張しているわけです。全体を整理してみると、▽
このようになります。章を追うごとに、いくつかの段階がありました。1、2、3、4、5、6。6のこの共通部分があることが大事だよね、ということ。これがここまでに展開されてきた<ホモ・ルーデンス>の議論ということになります。 ▽最後に、おまけです。
これを流れを一つの図に表すと、このように表現できます。上に行くに従って、時代が進む、という風に見てください。初めは、遊戯の中に発生した文化が徐々に展開し、文化とバランスするようになっていきます。文化がと遊戯の位置関係、つまり、真面目さの度合いが適度であることが、文化を文化たらしめる、そのなかで、遊戯というのは人間のすべてではないけど、必ず一部を占めてなければ行けないんだよ、というホイジンガの論考でした。ご清聴ありがとうございました。
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