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4 1 詳細設計法_長瀬_新
- 4. 4
使用材料に関する規定
材 料 規 定
木 材
品質,防腐措置,許容応力度及び材料強度
は関連する令・告示による。
鋼 材
品質,許容応力度及び材料強度は関連す
る令・告示の規定による。
コ ン ク
リ ー ト
品質,規格,設計基準強度は関連する令・
告示の規定による。
礎 石
建築基準法には石材の規定がない。
JIS A 5003による。
適用範囲:原則として,建築物に使用する
天然産の石材を使用する。
種類:石材の種類は硬石,準硬石を用いる
ことを原則とし,吸水・透水性,強度,摩耗性,
耐候性を考慮して選定する。
欠点:「寸法の不正確,そり,き裂,むら,くさ
れ,欠け,へこみ」など 構造耐力上支障とな
る欠点のあるものは使用しない。
形状:石材の形状は原則として角石,板石
とする。ただし,柱脚が水平方向に移動し
ない場合等,礎石が平板である必要のな
い場合はこの限りでない。板石の厚さは
60mm以上とする。
仕上げ:柱脚の水平移動を拘束しない設
計をする場合は,石材の仕上げは「びしゃ
んたたき」程度とする。
種類
圧縮強さ
(kgf/cm2)
吸水率
(%) 比重
硬 石 500以上 5未満 約2.7~2.5
準硬石
500未満
100以上
5以上
15未満
約2.5~2
軟 石 100未満 15以上 約2未満
種類 形状および寸法
角 石
幅が厚さの3倍未満で,ある長さを
もっていること。
板 石
厚さが15cm未満で,かつ幅が厚さ
の3倍以上であること。
間知石
面が原則としてほぼ方形に近い
もので,控えは四方落としとし面に
直角に測った控えの長さは,面の
最小辺の1.5倍以上であること。
割 石
面が原則としてほぼ方形に近い
もので,控えは二方落としとし, 面
に直角に測った控えの長さは、
面の最小辺の1.2倍以上であるこ
と。
JIS A 5003 石材
- 5. 5
地震力以外の荷重外力
荷重及び
外力
荷重・外力の組み合わせ 限界
状態
設計法
一般 多雪区域
長 期
常 時
G固定+P積載
G+P 使用
限界
長期許容
応力度設計積雪時 G+P+0.7S
短 期
積雪時 G+P+S雪 G+P+S
損傷
限界
短期許容
応力度設計暴風時 G+P+W風
G+P+W
G+P+0.35S+W
最大級の
荷重・外力
積雪時 G+P+1.4S G+P+1.4S
安全
限界
終局強度
設計暴風時 G+P+1.6W
G+P+1.6W
G+P+0.35S+1.6W
■従来の短期設計に加えて安全限界として,積雪荷重を1.4倍,風
圧力を1.6倍して,材料強度を用いて設計する
■レベル1(r=50年)に対するレベル2(r=500年)の荷重比率
1993年学会荷重指針の再現期間換算係数R
雪 R=0.344+0.168ln(r)=1.39→1.4倍
風速R=0.580+0.107ln(r)=1.24→1.25倍,風荷重1.252=1.56→1.6倍
- 7. 0
200
400
600
800
1000
1200
1400
0 1 2 3
限界耐力計算の地震力
地震動の大きさは新耐震と同じ
短周期=加速度一定 長周期=速度一定
新耐震1G=980gal
短周期では地盤の応答
倍率は1.5
→980×1.23/1.5=800gal
多質点系のベースシア応
答は1質点系の応答の
0.816倍→短周期では新
耐震の1/0.816=1.23倍
1次2次 3次4次
1次
1.0 0.816
多質点系のベースシア応
答は1質点系の応答の
0.900倍→長周期では新
耐震の1/0.900=1.1倍
長周期では地盤の応答
倍率は2.025
→(960/T)×1.1/2=512/T
新耐震
1種100kine,2種150kine
3種200kine
1次2次 3次4次
1次
1.0 0.900
Sa
T
Sa一定
Sa
T
Sv一定
SaはTに反比例
限界耐力計算
工学的基盤
800gal
320gal
512/T
新耐震Rt
2種地盤
960/T
980gal
1200gal
限界耐力計算
地表面
Gsは略算法
1/1.5 1.23
1/2
1.1
限界耐力計算
2種地盤
1種
地盤
3種
地盤 1種
地盤
3種
地盤480gal
周期(秒)
加速度応答(gal)
限界耐力計算の階数による加速度分布の
調整係数p
低層建物では割増しを元に戻している
1階建 2階建 3階建 4階建 5階建以上
p=0.8 p=0.85 p=0.9 p=0.95 p=1.00
7
- 8. 8
荷重・外力に対する安全性の検証
荷重・外力
の種類
建築物
の耐力
検 討 方 法
長 期 長期許容
応力度
架構としての応力計算は省略できる。
直接に力を受ける部材について検討する。
短 期
短期許容
応力度
S雪 直接に力を受ける部材を検討する。
稀
地震
稀に発生する地震について
応答計算を行う。
W風 損傷限界地震時のせん断耐力が風圧力
より大きい時は計算を省略できる。
最大級 材料強度
1.4S
雪 直接に力を受ける部材を検討する。
極稀
地震
極めて稀に発生する地震について
応答計算を行う。
1.6W
風
安全限界地震時のせん断耐力が風圧力
より大きい時は計算を省略できる。
さらに部材の検討として,長期,短期ならびに最大級の荷重・外力に対して,柱,横架
材,小屋組部材,水平構面,屋根葺き材,接合部の検討を行う。
- 9. 9
地震動レベルと
設計のクライテリア
地震動の入力レベル 要 求 性 能
変 形 の
クライテリア
稀に
発生する
地震動
建設地において,
建築物の存在期
間中に1度以上
遭遇する事を想
定する地震動
損傷
限界
以下
損傷防止:構造耐力上
主要な部分の変形に
よって補修を要する損
傷が生じない。
代表
層間変形角
:1/90以下
極めて
稀に
発生する
地震動
建設地において,
建築物の構造安
全性への影響度
が最大級のレベ
ルの地震動
安全
限界
以下
人命保護:倒壊・崩壊
が生じない,即ち,人間
が生存可能な空間を
維持する。補修により
再使用可能である。柱
に折損を生じない。
代表
層間変形角
:1/20以下
最大
層間変形角
:1/15以下
代表変形1/20以下:伝統的構法木造建築物の構造耐力要素や仕口接合部の実験では, ほと
んどが1/15変形までは十分変形性能を保持している。設計では, 1/15以上まで担保できる変形
性能を有する構造耐力要素,継手・仕口をデータベースから確認して採用する。
最大変形1/15以下:近似応答計算による平均的な変形1/20に対して,偏心や床構面剛性等に
よって最大となる変形を修復可能な損傷に留めるために1/15以下とする。
- 11. 11
構造要素の復元力
①全面壁 ②小壁付き柱 ③柱傾斜復元力 ④柱ほぞ ⑤貫
石場
建て土台
-40
-20
0
20
40
60
80
100
120
0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1変形角
1/50 1/25 1/101/17 1/13
せん断力(kN)
層の復元力
①全面壁 ⑤貫
PΔ
②小壁付き柱
③柱傾斜
(PΔ無視)
④柱ほぞ
浮き上がりの履歴はループを描か
ないので, 減衰計算では,柱の傾斜
復元力と同様に,塑性化による履
歴減衰には含めない。
変形
せん断力
復元力
(浮き上がり
考慮)
浮き上がり
限界時
せん断耐力
復元力
(浮き上がり無視)
- 15. 限界耐力計算の改良
15
C2 /Cb>RCO:1階降伏 C2 /Cb<RCO:2階降伏 C2 /Cb=RCO:同時降伏
u1
u2
変形角γ
せん断力Q
1階
2階
u1
u2
変形角γ
せん断力Q
1階
2階
1階降伏であれば
変形の大きな1階
で変位増分を行う
u1
u2
せん断力Q
変形角γ
1階
2階
2階降伏であれば
変形の大きな2階
で変位増分を行う
方 法 出 典 固有値計算 各階変形と等価剛性の計算法
増分
2階 1階
変位
増分法1
2004伝統構法を
生かす木造耐震
設計マニュアル
初期剛性のみ
基準変形に対応する各ステップの他階変形は初期剛性
に対する固有モードu2/u1と剛性比を用いて計算する。
各ステップの他階等価剛性は,前ステップの変形よりも
大きい最小の変位点の等価剛性を用いる。
新規 既往
変位
増分法2
2010年JSCA関西
レビュー委員会
収斂計算は
しない
他階について,前ステップの変形よりも大きい最小の変
位点の等価剛性を用いて各ステップで固有値解析を行
い固有モードu2/u1から他階変形を計算する。
新規 既往
収斂
計算法1
詳細設計法
各ステップ毎
に収斂計算を
行う
各ステップ毎に, 基準階変形と等価剛性が整合するよう
に,繰り返して固有値計算を行い,固有モードから他階変
形を計算する。
新規 新規
収斂
計算法2
収斂計算法1に同じ。減衰評価を縮約1質点系ではな
く,1,2階それぞれで行ない,ひずみエネルギーで重み付
けして減衰定数を与える。
新規 新規
1,2階同時降伏や2階先行降伏が精度よく扱えるように改良
- 16. 計算法
比較
16
2階を変位
増分させる
1階を変位
増分させる
モデル
1,2階
同時
降伏
2階
降伏
1階
降伏
1,2階
同時
降伏
2階
降伏
変位
増分法1
× ○ × × ×
変位
増分法2
× ○ ○ ○ ×
収斂
計算法1
○ ○ ○ ○ ○
収斂
計算法2
○ ○ ○ ○ ○
2階変位増分 1階変位増分(従来法)
変位
増分法1
変位
増分法2
収斂
計算法1
収斂
計算法2
■4つの計算法の精度
○安定 ×不安定
■2階降伏
モデルの
限界耐力
計算結果
0
100
200
300
0 0.05 0.1
Q(kN)
γ(rad)
復元力
稀
極稀
Q(kN)
γ(rad)
2階1/32
1階1/153
0
100
200
300
0 0.05 0.1
Q(kN)
γ(rad)
復元力
稀
極稀
Q(kN)
2階1/26
1階1/66
γ(rad)
0
100
200
300
0 0.05 0.1
Q(kN)
γ(rad)
復元力
稀
極稀
γ(rad)
Q(kN)
2階1/28
1階1/114
0
100
200
300
0 0.05 0.1
Q(kN)
γ(rad)
復元力
稀
極稀
Q(kN)
γ(rad)
2階1/30
1階1/37
0
100
200
300
0 0.05 0.1
Q(kN)
γ(rad)
復元力
稀
極稀
γ(rad)
Q(kN)
2階1/30
1階1/123
0
100
200
300
0 0.05 0.1
Q(kN)
γ(rad)
復元力
稀
極稀
2階1/22
1階1/133
Q(kN)
γ(rad)
0
100
200
300
0 0.05 0.1
Q(kN)
γ(rad)
復元力
稀
極稀
γ(rad)
Q(kN)
2階1/27
1階1/112
0
100
200
300
0 0.05 0.1
Q(kN)
γ(rad)
復元力
稀
極稀
Q(kN)
γ(rad)
2階1/25
1階1/139
2階先行降伏の場合は2階
を基準ステップとすること
で従来の方法でも精度よく
計算できる
- 20. 0.0
0.5
1.0
1.5
0.01 0.1 1 10 100
20
柔床の偏心
柔床では両端の変形は減少
するが,中央は増加する。
偏心率0.302
1.09
0.82
1.00
0.50
1 1 1
1 1 2
x1 x2 x3
柔床では振られ
る側への地震力
が伝達されない
のでX1減
0.55
床剛性比γが10以上
であれば剛床
剛床→←柔床
X1
X2
X3
変形
床剛性比γ
0.0
1.0
2.0
3.0
0.01 0.1 1 10 100
柔床では両端の変形は増大
するが,中央は減少する。
偏心率0.346
2.50
1.00
2.00
1.40
0.80
柔床では内側
への地震力が
伝達されない
のでX1増
x1 x2 x3
1 1 1
0.4 1 1
剛床→←柔床
X1
X2
X3
変形
床剛性比γ
- 24. 実大実験による検証
No.4試験体(2011年1月)
実験結果
限界耐力計算
μ=0.4,β=0.4
方向 階
変形角 滑りcm 変形角 滑り
cm平均 最大 平均 最大 固定 滑り
長辺
2 1/40 1/33
3.4 4.8
1/95 1/60
5.8
1 1/35 1/24 1/20 1/34
短辺
2 1/48 1/39
6.0 10.0
1/92 1/56
6.0
1 1/33 1/15 1/19 1/32
24
Eディフェンス震動台実験 BCJ-L2地震動
No.5,6試験体(2012年9月)
実験結果(平均)
限界耐力計算
μ=0.4,β=0.25
方向 階
変形角 滑りcm 変形角 滑り
cmNo.5 No.6 No.5 No.6 固定 滑り
長辺
2 1/27 1/23
8.8 7.6
- 1/22
5.5
1 1/19 1/21 - 1/18
短辺
2 1/50 1/45
3.9 2.6
- 1/41
9.0
1 1/22 1/22 - 1/21
摩擦係数が小さいほど滑りやすい
耐力の大きい建築物ほど滑りやすい
負担重量の小さい構面ほど滑りやすい
偏心による変形が滑りを増幅させる
バラツキの考慮
μ 摩擦係数
β 滑り減衰パラメータ
α0基礎の加速度
- 25. 25
部材の検討
長期,短期ならびに最大級の荷重・外力に対して,①柱,②横架材,
③小屋組部材,④水平構面,⑤屋根葺き材,⑥接合部の検討を行う。
通し柱の折損しない条件
ΔR=1,2階の変形角差
α=断面欠損を考慮し
た断面有効率
β=1.5(スギ),
1.2(ヒノキ)
H=1,2階合計高さ
D=柱成
Fb=材料強度
E=ヤング係数
ΔR
H
H2
H1
小壁で拘束された柱の折損
差鴨居
で拘束
差鴨居
で拘束
:柱の折損