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What's "active" ? : interactional analysis of group work and active learning
- 9. 9/38相互行為分析 interaction analysis
対象:フランス語初学者クラスの大学生4
名(いずれも初学者。週3コマ受講)。
12回目の授業。
4名のグループワーク(GW)。グループ
は、授業ごと、トランプをもちいてラン
ダムに組まれる。
360度カメラ(Gear360 SM-R210)により撮
影。カメラはGWをする机の真ん中に設置
再生は主としてGoPro VR Player。
- 11. 11/38相互行為分析 interaction analysis
状況:Aが辞書の例示の「prendre ses
lunettes めがねをかける」を参考に、じ
ぶんのプリントに Je prends ses lunettes.
(わたしは彼/彼女の眼鏡をかける)と書く。
「能動性」の発露:「要求」「質問」
008行目:「見してー」⇒プリントを差し
だす
011行目:「セ(ses:所有形容詞3人称単数形の複
数形)ってなんやったっけ?」⇒「あれや
ない?」
- 14. 14/38相互行為分析 interaction analysis
008行目:「見してー」(要求)⇒プリン
トを差しだす(要求充足)
011行目:「セってなんやったっけ?」
(質問)⇒「あれやない?」(応答)
いずれも reaction を惹き起こしている。
しかし、これらの能動的な働きかけも、
GWという相互行為 interaction のなかで
こそ実現している。
相互行為裡のメンバーは、勝手に能動的
にふるまえるわけではない。
- 22. 22/38《他者》により誘発される能動的行為
014-015行目:
A「じゃあ、モン? モンマ……メ、メ、メ、
メ」
B「あ、ほんまや。モンマメ。メや」
「ses ではなく mes(所有形容詞1人称単数の複
数名詞形) 」という気づきの能動的発話もま
た相互行為に埋めこまれている。
Je prends ses lunettes.(わたしは彼/彼女の眼鏡をかける)
⇒Je prends mes lunettes.(わたしはじぶんの眼鏡をかける)
- 23. 23/38能動性と「弱いロボット」
能動性は、《他者》に依存する。
(岡田 2012; 2017)「弱いロボット」
たとえば、ひとりではゴミを拾えないの
で、他人に拾ってもらうゴミ箱ロボット
(Sociable Trash box)。
あえて自己のみで完結せず、他者の存在
=助力を前提とすることで、他者(外
界)からの action を誘発する。
「弱い」ことが interaction の端緒とな
- 24. 24/38能動性と「弱いロボット」
「関係論的な行為方略」(岡田 2017: 200)
「わたしたちの共同行為を生みだすため
のポイントは、自らの状況を相手からも
参照可能なように表示しておくこと。
『いま、どんなことをしようとしている
のか』『どんなことに困っているのか』、
そうした〈弱さ〉を隠さず、ためらうこ
となく開示しておくことで、お掃除ロ
ボットは周りの手助けを上手に引きだし
ているようなのである」(岡田 2017: 204)。
- 30. 30/38参考文献
岡田美智男 (2012). 『弱いロボット』東京: 医学書院.
岡田美智男 (2017). 『〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニ
ケーション』東京: 講談社.
中央教育審議会 (2016).「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援
学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」
福島祥行 (2015). 「協働学習における「学習者」の構築――フランス語初修
者の相互行為分析から――」『人文研究』66, 153-171.
福島祥行 (2016). 「グループ・ワークにおけるふりかえりの生成――フラン
ス語初級クラスの相互行為分析から――」 『Revue Japonaise de Didactique
du Français』第11号, 第1・2巻: 29-45.
松下佳代 (2015).「ディープ・アクティブラーニングへの誘い」, 松下佳代
(編)『ディープ・アクティブラーニング』東京: 勁草書房: 1-27.
溝上慎一 (2014).『アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換』東
京: 東信堂.
溝上慎一 (2017). 「大学教育におけるアクティブラーニングとは」, 溝上慎
一 (編)『高等学校におけるアクティブラーニング』アクティブラーニン
グ・シリーズ4, 東京: 東信堂: