イベント名：仮想化友の会 6月勉強会 講師：日本仮想化技術 大内 日時：2009/6/29 アジェンダ： • 構成の解説 • Avanceの可用性の確認 – 電源障害 – ディスク障害 – ネットワーク障害 • パフォーマンスのテスト – XenServerとの比較 概要： Stratus社の高可用性仮想化プラットフォーム「Avance」の可用性テストおよびパフォーマンステストのレポートです。

1. Avanceの検証レポート
日本仮想化技術株式会社
技術部 大内 明 (ouchi@virtualtech.jp)
2009/06/29 仮想化友の会

2. アジェンダ
• 構成の解説
• Avanceの可用性の確認
– 電源障害
– ディスク障害
– ネットワーク障害
• パフォーマンスのテスト
– XenServerとの比較

3. 検証環境
• HP DL380 G5 × 2 台
– CPU：Intel Xeon X5355
(Quad 2.66GHz/L2 4M) x 2 プロセッサ
– メモリ：8GB(PC-5300 FB-DIMM / 4GB x 2)
– HDD:SAS 2.5" 10Krpm 36GB x 8 台
• RAID コントローラー：
Smart Array P400 256MB BBW キャッシュ
– 冗長化電源
• Avance 1.5.0.1-32817をインストール

4. Avanceの構成
構成設計のベストプラクティス

5. Avanceの基本構成
• ホストマシン2台で1セット
• 1台をプライマリ、もう1台をセカンダリとして
インストール
– セカンダリはPXEブートで簡単にインストール
できる
– インストールは1時間以内で完了
• 管理はWebインターフェースから

6. ネットワークの構成
• 最低2ポートが必要
• 1ポート目はホスト間を直接接続
– HA用のプライベートネットワーク
• 2ポート目以降は外部向けネットワーク
– ビジネスネットワークと呼ぶ
• (HP製サーバの場合)iLOポートにケーブル
を接続してはいけない
– Avanceが制御に使用する

7. ディスクの構成
• システム領域とデータ領域が存在
– システム領域: ソフトウェアRAID 1で冗長化
– データ領域: ホスト間で冗長化
• プライベートネットワークを介して複製される
• DRBDが使われている
• データ領域はハードウェアRAIDで構成も可能
• ディスク構成は両方のホストで同じにする

8. 検証環境のディスク構成
• システム領域：2本
– アレイ1,2: 1本ずつRAID0(単体で使用)
– Avanceがシステム用にパーティションを切り、
ソフトウェアRAIDでミラーリング
– 余った領域はデータ領域として使用可能
• データ領域: 6本
– アレイ3 8: RAID1+0
– Avanceはマシン間のデータを複製

9. メモリの構成
• Avanceが使用するメモリはおよそ1GB
• 次の式で算出
– 物理メモリ量 ≧ 1GB＋仮想マシン割当メモリ
の合計値
• 2台の物理マシンのメモリ量はそろえる
– 容量が異なる場合、容量が少ないマシンの
メモリ量が仮想マシン割り当て上限値となる

10. Avanceの構成 まとめ
• 同じ構成のホストを2台用意して
• ディスク構成をそろえて
• ネットワークポート1同士を接続して
• ポート2を外部ネットワークに接続
• 完了！

11. 可用性の確認

12. • 電源ケーブルを抜いてテスト
電源障害対応テスト
障害発生ホスト
障害レベル
障害対応動作
プライマリ
部分劣化
フェイルオーバーし、ライブマイグレー
ション(※1)
プライマリ
完全劣化
フェイルオーバーし、仮想マシン再起動
セカンダリ
部分劣化
警告(※2)
セカンダリ
完全劣化
プライマリのみで動作継続
※1: 電源障害が復旧しても、マイグレーションした仮想マシンは元に戻らない。
※2: この状態でプライマリの電源に部分劣化が起きてもマイグレーションは
発生しない。

13. • ネットワークケーブルを抜いてテスト
ネットワーク障害対応テスト
障害発生ネットワーク
障害発生ホスト
対応動作
プライベートネットワーク
いずれか一方、
またはケーブル
セカンダリホストを停止(※1)
ビジネスネットワーク
プライマリ
フェイルオーバーし、ライブマイグ
レーション。ネットワーク接続は短
時間不安定(※2)
セカンダリ
警告
※1: 復旧後、セカンダリホストは自動的に再起動する。
※2: PING5回前後

14. ディスク障害対応テスト
• 稼働中のディスクを抜いてテスト
障害発生領域
障害発生ホスト
RAID
対応動作
システム
プライマリ
ソフトウェア
フェールオーバーし、ライブ
マイグレーション
セカンダリ
警告
データ
プライマリ
ハードウェア
（＋ソフトウェア）
フェールオーバーし、ライブ
マイグレーション
セカンダリ
警告

15. 可用性の確認 まとめ
• ホストの障害を素早く察知して仮想マシン
の停止を未然に防ぐ
– 可能な限りライブマイグレーション
– 移行できない場合はセカンダリホストで仮想マ
シンを再起動
• ディスクの保護
– システム領域はソフトウェアRAIDでOK
– データ領域はハードウェアRAIDの利用を推奨

16. パフォーマンスのテスト

17. テストの概要
• データ領域のミラーリングによって、
パフォーマンスにどの程度影響が出るか
• Avanceの仮想化機能のベースとなってい
るCitrix XenServerと比較
• ベンチマークにはpgbenchを使用
– ゲストOS：CentOS 5.2
– PostgreSQL 8.3.7（ソースコードより導入）
– Citrix XenServer 5.0.3（比較用）

18. 今回のテスト方法
• 2種類のベンチマークを実行
– TPC-B：書き込み処理が有り、複製が発生
• 更新処理＋検索処理＝1トランザクション
– 検索のみ：書き込みが無く、複製はほぼ発生しない
• 検索処理＝1トランザクション
• 20クライアントが同時に1000トランザクション（＝2万
トランザクション）を実行する想定でテストを実施
• pgbench自体の処理が仮想マシンにかからないよう
に、pgbenchは外部のマシン上で実行
• 上記テストを30回分実行し、傾向を分析

19. TPC-Bテスト グラフ
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
1800
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
Avance XenServer

20. TPC-Bテスト 結果
• 11回目以降の安定した結果の平均を取得
• XenServerに比べて約80%の性能
• 約20%の差が、ホスト間のデータ複製に
かかる負荷
環境
平均tps
比率
Avance
1207.4
79%
XenServer
1518.8
100%

21. 検索処理テスト グラフ
0
2000
4000
6000
8000
10000
12000
14000
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
Avance XenServer

22. 検索処理テスト 結果
• グラフのばらつきはトランザクション数が少
ないため
• 11回目以降の結果の平均を取得
• ホスト間の複製がほぼ無いため、性能に差
はない
環境
平均tps
比率
Avance
12114.2
99%
XenServer
12270.0
100%

23. パフォーマンステスト まとめ
• データ書き込みは若干の性能劣化
– ただし、リアルタイムなデータ保護と引き替え
• データ読み出しは性能劣化無し

24. 全体のまとめ
• 比較的安価に仮想化HA環境を導入可能
• 導入作業は容易
• ハードウェア構成設計はディスク構成に注
意が必要
• ハードウェア障害に対するきめ細かい対応
で高い可用性を実現している
• ディスク書き込み性能が若干劣る程度で、
他は通常の仮想化とほぼ変わらない