接地点追従法の改良による歩行に使用する脚数の減少に対応可能な多脚歩行制御3. / 18
従来研究:接地点追従法【Murata et al, 2019[2]】
3
• 最前脚のみ新しい接地点の計画を行い,後続脚は前脚の接地点を引き継いでいく
• 各脚の動作が制御オートマトンにより決められる
• 計算負荷を小さくすることができ,不整地歩行に成功している
進行方向
待機点: Pup
Area 1
Area 2
Area 3
脚の可到達域
脚先
接地点
前脚の脚先
(次の接地点)
制御
オートマトン
2
1 3
4
2021/3/15 第33回自律分散シンポジウム
問題点:脚のマニピュレータへの
転用や、故障を抱えた状態(=歩
行に使用する脚数の減少)での歩
行に対応できない
[2] Yuki Murata, Shinkichi Inagaki and Tatsuya Suzuki, Development of an adaptive hexapod robot based on Follow-the-contact-point gait control and Timekeeper control, 2019
4. / 18
従来研究(脚数減少時の歩行)
2021/3/15 第33回自律分散シンポジウム 4
Wang et al, 2010[3]
一部の脚を歩行に使用しない状態での脚の運び方について考察している
1,2脚が動作しない状態での歩行を実機を用いて行っている
Deng, et al 2018[4]
腕脚統合型の6脚移動ロボットを開発している
関節部に掛かるトルクから適切な重心の位置を計算しバランスを保つ
脚を使って物体を把持しながらの歩行を実機により行っている
• 接地点追従法を対象としたものでない
• 脚数が減少した際の不整地歩行が行われていない
• 脚数を減少させるための方法について考察されていない
[3]Z.T. Wang, X.L. Ding and A. Rovetta. Analysis of typical locomotion of a symmetric hexapod robot. 2010
[4] Hua Deng, Guiyang Xin, Guoliang Zhong, Michael Mistry, Object carrying of hexapod robots with integrated mechanism of leg and arm, 2018
5. / 18
研究目的
2021/3/15 第33回自律分散シンポジウム 5
接地点追従法を用いた6脚移動ロボットの歩行に使用する
脚数の減少に対応可能な歩行制御法の開発
各脚の制御オートマトンの遷移条件を適切に切り替える必要がある
本研究の内容
• 歩行に使用する/しない脚のラベル付け
• 脚の隣接情報と更新アルゴリズムの導入
• 制御オートマトンの改良
• 実機実験による提案手法の検証
遷移条件
遷移条件
2
1 3
4
2
1 3
4
6. / 18
歩行に使用する/しない脚のラベル付け
2021/3/15 第33回自律分散シンポジウム 6
歩行フラグの導入 𝑖 ∈ 1,2,3,4,5,6
𝑙𝑜𝑐𝑜 𝑖 =
𝑡𝑟𝑢𝑒 (Leg[𝑖]が歩行に使用されている場合)
𝑓𝑎𝑙𝑠𝑒 Leg 𝑖 が歩行に使用されていない場合
• 故障時や用途の変更時にオペレータの入力により値が変化する
Leg 1
Leg 2
Leg 3
Leg 6
Leg 4
Leg 5
進行方向
𝑙𝑜𝑐𝑜 1 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝑙𝑜𝑐𝑜 2 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝑙𝑜𝑐𝑜 3 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝑙𝑜𝑐𝑜 4 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝑙𝑜𝑐𝑜 5 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝑙𝑜𝑐𝑜 6 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
故障
Leg 1
Leg 2
Leg 3
Leg 6
Leg 4
Leg 5
進行方向
𝑙𝑜𝑐𝑜 1 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝑙𝑜𝑐𝑜 2 = 𝑓𝑎𝑙𝑠𝑒
𝑙𝑜𝑐𝑜 3 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝑙𝑜𝑐𝑜 4 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝑙𝑜𝑐𝑜 5 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝑙𝑜𝑐𝑜 6 = 𝑓𝑎𝑙𝑠𝑒
7. / 18
脚の隣接情報と更新アルゴリズム
2021/3/15 第33回自律分散シンポジウム 7
隣接情報の導入
𝐴 𝑖 = (𝑓 𝑖 , 𝑟 𝑖 ) 𝑖 ∈ 1,2,3,4,5,6
• 𝑓[𝑖] : Leg[𝑖]が追従する脚の番号
• 𝑟 𝑖 : Leg 𝑖 が追従される脚の番号
• 対象の脚がない場合は∅をとる
1
2
3
6
4
5
進行方向
𝑙𝑜𝑐𝑜 1 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝐴 1 = (∅, 2)
𝑙𝑜𝑐𝑜 2 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝐴 2 = (1,3)
𝑙𝑜𝑐𝑜 3 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝐴 3 = (2, ∅)
𝑙𝑜𝑐𝑜 4 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝐴 4 = (∅, 2)
𝑙𝑜𝑐𝑜 5 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝐴 5 = (4, 6)
𝑙𝑜𝑐𝑜 6 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝐴 6 = (5, ∅)
1
2
3
6
4
5
進行方向
𝑙𝑜𝑐𝑜 1 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝐴 1 = (∅, 3)
𝑙𝑜𝑐𝑜 2 = 𝑓𝑎𝑙𝑠𝑒
𝐴 2 = (1,3)
𝑙𝑜𝑐𝑜 3 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝐴 3 = (1, ∅)
𝑙𝑜𝑐𝑜 4 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝐴 4 = (∅, 2)
𝑙𝑜𝑐𝑜 5 = 𝑡𝑟𝑢𝑒
𝐴 5 = (4, ∅)
𝑙𝑜𝑐𝑜 6 = 𝑓𝑎𝑙𝑠𝑒
𝐴 6 = (5, ∅)
隣接情報の更新アルゴリズム
歩行に使用する脚数が変化した場合…
隣接情報を 𝑙𝑜𝑐𝑜 𝑖 = 𝑡𝑟𝑢𝑒 である脚の中で,
一つ前の脚を追従するように与える
8. / 18
歩行に使用する脚数増加時の制御モード
2021/3/15 第33回自律分散シンポジウム 8
𝑙𝑜𝑐𝑜 𝑖 = 𝑓𝑎𝑙𝑠𝑒から𝑙𝑜𝑐𝑜 𝑖 = 𝑡𝑟𝑢𝑒に切り替わった場合
• 𝐋𝐞𝐠[𝒊] : Mode 1とする
• 𝐋𝐞𝐠 𝒓 𝒊 : Mode 3ならばMode 1へ変更(Leg 𝑖 の接地を待つ)
𝟏. 𝒍𝒐𝒄𝒐[𝟐]が𝒕𝒓𝒖𝒆に変更
Mode 3
Mode 1
Mode 1
𝟐. 隣接情報を変更 𝟑. 制御モードを変更
𝑨 𝟑 = (𝟐, ∅)
Leg[1]
Leg[2]
Leg[3]
𝑨 𝟐 = (𝟏, 𝟑)
𝑨 𝟏 = (∅, 𝟐)
待機点
進行方向
9. / 18
従来の制御オートマトンの遷移条件【一部抜粋】
2021/3/15 第33回自律分散シンポジウム 9
制御モード2から3への遷移条件
1. Leg 1 , Leg[4] : 接地点計画を終了
2. Leg 𝑖 , 𝑖 ∈ {2,3,5,6} : Leg 𝑖 − 1 の接地点が可到達域に侵入
制御モード4から1への遷移条件
1. Leg 𝑖 , 𝑖 ∈ {1,2,4,5} : Leg 𝑖 + 1 が接地点を引き継いでいる
2. Leg 𝑖 , 𝑖 ∈ {1,2,3,4,5,6} : 左右反対側の脚が接地している
3. Leg 3 , Leg 6 : 最新の3つの接地点が成す支持三角形を重力方向に
投射してできる三角柱の内側にマージンを取った
領域に胴体の中心が入っている.
2
1 3
4
空中で待機
脚を下す
脚を上げる
胴体を前進
Leg[1]
Leg[3]
Leg[4]
Leg[5]
Leg 6
マージン 𝛿
接地点番号
𝑵
𝑵 − 𝟏
𝑵 − 𝟐
進行方向
重力方向
胴体の中心
問題点 1. 脚の前後関係が固定されている
→ 脚数の減少に対応できない
問題点 2. 接地点の数が2つ以下になる場合がある
→静的安定性を保てない
Leg[2]
10. / 18
改良した制御オートマトンの遷移条件
2021/3/15 第33回自律分散シンポジウム 10
制御モード2から3への遷移条件
1. 𝒇[𝒊] = ∅ : 接地点計画を終了
2. 𝒇 𝒊 ≠ ∅ : Leg 𝑓 𝑖 の接地点が可到達域に侵入する
制御モード4から1への遷移条件(遊脚条件)
1. 𝒓 𝒊 ≠ ∅ : Leg 𝑟 𝑖 が接地点を引き継いでいる
2. 𝒇 𝒊 ≠ ∅ : Leg 𝑓 𝑖 の接地点を引き継いだ後,Leg 𝑓 𝑖 が遊脚している
3. 𝒓 𝒊 = ∅ : 左右反対側の末尾脚(𝑟 𝑗 = ∅)が接地している
4. 𝒓 𝒊 = ∅ : 最新の3つの接地点のいずれにも接地していなく,それらが
成す支持三角形を重力方向に投射してできる三角柱の内側に
マージンを取った領域に胴体の中心が入っている.
※ 𝑖, 𝑗 ∈ 1,2,3,4,5,6
2
1 3
4
空中で待機
脚を下す
脚を上げる
胴体を前進
Leg[1]
Leg[3]
Leg[4]
Leg[5]
Leg 6
𝑵 − 𝟑
マージン 𝛿
接地点番号
𝑵
𝑵 − 𝟏
𝑵 − 𝟐
進行方向
重力方向
胴体の中心
改良点1: 前後関係を隣接情報に置き換え
→脚数の変更に対応
改良点2: 末尾脚(𝑟 𝑖 = ∅)の遊脚条件に『最新の3つの接地点の
いずれにも接地していない』を追加
→4脚以上の時,静的安定性とデッドロックフリーを実現
Leg[2]
11. / 18
静的安定性とデッドロックフリーの証明概略
2021/3/15 第33回自律分散シンポジウム 11
仮定
a. 胴体の前進によりLeg 𝑓 𝑖 の接地点が可到達域にいずれ侵入する
b. 各制御モードで脚先は目標点に収束する
c. 歩行に使用される脚は4本以上であり,歩行フラグが𝑡𝑟𝑢𝑒から𝑓𝑎𝑙𝑠𝑒に切り替わるのは遊脚中のみ
d. 左右の最前脚は交互に異なる接地点に接地する
• 各脚は末尾脚から先頭脚へ連鎖的に遊脚する
• 末尾脚が遊脚しないと,末尾脚以外は末尾脚より新しい3つ以上の接地点に接地する
→末尾脚の遊脚条件がいずれ満たされる
→末尾脚以外が連鎖的に遊脚条件を満たす
→ デッドロックフリー
→末尾脚は最新の3つの接地点のいずれにも
接地していないときにのみ遊脚できる
→静的安定性が常に満たされる
12. / 18
実機実験
2021/3/15 第33回自律分散シンポジウム 12
使用したロボット
• 各脚は3自由度3リンク
• 6本の脚を放射状に配置
マイコン
姿勢センサ
Xbee(無線通信モジュール)
デプスセンサ
カメラ
カメラの映像
• 目標姿勢
• 目標高さ 歩行フラグ
操作方法
デプスセンサの映像
操作画面 実機の動き
デプスセンサ
カメラの映像
接地点の位置
歩行フラグ等
15. / 18
4, 5脚での不整地歩行
2021/3/15 第33回自律分散シンポジウム 15
5脚歩行(右前脚なし) 4脚歩行(左右の前脚)
踏破成功
回数
デッド
ロック
6脚歩行 18/20 0
5脚歩行 15/20 0
4脚歩行 14/20 0
不整地歩行の結果
デッドロックせずに不整地を歩行することができている
𝟒 × 𝟒 ×
𝟒 ×
𝟒 ×
16. / 18
まとめと今後の課題
2021/3/15 第33回自律分散シンポジウム 16
まとめ
• 接地点追従法に歩行フラグと隣接情報を導入することで歩行に使用する
脚数の減少に対応可能な歩行制御法を開発した
• 接地点追従法のデッドロックフリーな制御オートマトンを作成した
• 開発した歩行制御法の有効性を実機実験により確かめた
今後の課題
• 脚の衝突回避制御などの局所制御の導入
• 歩行に使用しない脚のマニピュレータへの転用および制御法の開発
• 隣接情報を能動的に切り替えることによる進行方向の変更や旋回
Editor's Notes 接地点追従法の改良による歩行に使用する脚数の減少に対応可能な多脚歩行制御と題しまして,名古屋大の細萱が発表させていただきます.
時間により省くところと追加して話すところ
次につながるように質問に答える
相手の質問の糸、攻撃ではない
先のことを答える 現在災害現場などの人間が容易に立ち入ることのできない環境で運用されるロボットの開発が進められています.こうしたロボットの一つである6脚移動ロボットは高い不整地への適応能力を持つことや,一部の脚を使用しなくとも歩行出来るといった構造上の特徴を持つことから,作業能力向上のための脚のマニュピレータへの転用や,脚に故障をかけた状態,つまり、歩行に使用する脚数が減少した状態に対応した歩行が期待されています. 6従来研究として接地点追従法という歩行制御法があります.接地点追従法では先頭脚のみ新しい接地点の計画を行い,後続脚は前脚の接地点を引き継いでいきます.また,各脚の動作は制御オートマトンによって決められ,計算負荷を小さくすることができ,不整地歩行に成功しています.この制御オートマトンは4つの制御モードからなり,モード1では接地点から遊脚し,空中の待機点に向かいます.モード2では空中で待機し,前方の脚の接地点が可到達域に侵入するとモード3に遷移し,脚を下して接地点を引き継ぎます.モード4では接地しながら胴体を前進させ,後方の脚が接地点を引き継ぐと,モード1へ遷移します.各脚がこのような動作を繰り返していくことで,歩行します.
しかし,接地点追従法には歩行に使用する脚数が減少した状態での歩行に対応できないという問題点がありました.
歩行に使用する脚数が減少した状態での歩行については,wangらによって,一部の脚を歩行に使用しない状態での脚の運びについて考察されていて,実機による検証も行われています.また、dengらによって,腕脚統合型6脚移動ロボットにおいて,関節部に掛かるトルクから,適切な重心の位置を計算する手法が提案されました.さらに,実機において脚を使って物体を把持しながらの歩行が行われています.しかし、これらの研究は接地点追従法を対象としたものではなく,歩行に使用する脚数が減少した状態での不整地歩行が行われていません.また,脚数を減少させるための手法についても考察が行われていません. これらのことから,研究目的を接地点追従法を用いた6脚移動ロボットの歩行に使用する脚数の減少に対応可能な歩行制御法の開発とします.この脚数の減少に対応するためには,各脚に与えられた制御オートマトンの遷移条件を適切に切り替える必要があります.そこで,本研究では,まず,歩行に使用する脚としない脚のラベル付けを行いました.また,脚の前後関係、つまり,追従する脚と追従される脚を管理する隣接情報とその更新アルゴリズムを導入しました.そして,これらをもとに制御オートマトンを改良し,最後に実機実験による提案手法の検証を行いました。
まず,歩行に使用する脚,しない脚のラベル付けのために歩行フラグを導入しました.歩行フラグは,歩行に使用されている場合にtrueを使用されていない場合にfalseをとります.また,故障時や脚の使用用途の変更時にオペレータの入力によって値が変化するものとします.例えば,故障が発生するとオペレータの入力によって,故障した脚の歩行フラグがfalseに切り替わります. 次に脚の前後関係を管理する隣接情報を新たに導入します.隣接情報A[i]はf[i]とr[i]の組であらわされ,f[i]は追従する脚の番号,r[i]は追従される脚の番号です。ただし、対象の脚がない場合には空集合をとります.隣接情報の更新は,歩行に使用する脚数が変化した場合に行われ,歩行フラグがtrueである脚の中で一つ前の脚を追従するように更新されます.例えば,6番の脚の歩行フラグがfalseになった場合には,5番の脚の追従される脚の番号が空集合になります.また,2番の脚の歩行フラグがfalseになった場合には1番の脚を2番ではなく3番の脚が追従するように隣接情報が更新されます. 次に、歩行に使用する脚数増加時の制御モードの割り当てについて説明します。ある脚の歩行フラグがfalseからtrueに切り替わった場合,その脚の制御モードはモード1とします.これは,歩行以外の用途に使用されていた脚は遊脚していることが考えられるためです.そして,この歩行に使用し始められた脚を追従することになる脚,Leg[r[i]]の制御モードがモード3の場合,モード1に変更します.これは,Leg[i]が接地するのを空中の待機点で待つためです.具体的には,Leg[3]の制御モードがモード3の場合にLeg[2]の歩行フラグがtrueに切り替わったとします.すると隣接情報が更新され,制御モードの変更が行われます.歩行に使用し始められたLeg[2]の制御モードはモード1となり,このLeg[2]を追従することになったLeg[3]の制御モードはモード3からモード1に変更され空中の待機点に向けた脚を引いていきます.このようにして、制御モードが変更されます. 次に,制御オートマトンの改良について説明します.従来の制御オートマトンの遷移条件はこのようになっています.この制御オートマトンの問題点の一つは,脚の前後関係が固定されていることで,遷移条件が脚の配置位置によってきまってしまうため,歩行に使用する脚数の減少に対応できないという点です.例えば,制御モード2から3への遷移条件を見ると,接地点計画を終了することで遷移するのは一番前に配置されているLeg[1],Leg[4]のみとなっています.なので,この先頭に配置されている二つの脚が歩行に使用されなくなると,新しい接地点が生成されなくなり,動作が止まってしまいます.二つ目の問題点は,遷移の仕方によっては,ロボットが接地する接地点の数が2つ以下になってしまい,静的安定性が保たれないという点です.したがって,従来手法では,静的安定性を保つために制御モードの遷移のタイミングを調整する必要がありました. そこで,制御オートマトンをこのように改良しました.主な改良点は二つあります。一つは,脚の前後関係を隣接情報に置き換えたことです.これにより,歩行に使用する脚数が変更されても、隣接情報がそれに合わせて変更されるため,適切な遷移条件を与えることができます.二つ目は,他の脚に追従されない脚である末尾脚の遊脚条件に「最新の3つの接地点のいずれにも接地していない」という条件を追加したことです.これにより、歩行に使用する脚数が4本以上ある場合には、静的安定性とデッドロックフリーを実現することができます.このことについては,つぎのスライドで概要を説明します. 静的安定性とデッドロックフリーを実現することについて説明します.まず,以下の4つの仮定が成り立つとします。一つ目は~.これらの仮定が成り立つとき,接地点追従法の後方の脚が接地点を引き継ぐことで遊脚できるという特性から、まず,末尾脚が遊脚し,前方の脚の接地点を引き継ぐことで,後方の脚から先頭脚まで連鎖的に遊脚条件が満たされていくことが言えます.逆に,末尾脚が遊脚しない場合には,後方の脚から先頭脚まで連鎖的に遊脚条件が満たされなくなり、末尾脚以外の脚は末尾脚より新しい3つの接地点に接地します。したがって,末尾脚の遊脚条件である最新の3つの接地点のいずれにも接地していないという条件がいずれ満たされます.よって,末尾脚以外も連鎖的に遊脚条件を満たしていくためデッドロックフリーを実現することができます.
また,末尾脚は最新の3つの接地点のいずれにも接地していないときにのみ遊脚できるため,接地点の数が減少する末尾脚の遊脚後にも,接地点の数が3つ以上に保たれるので静的安定性を保つことができます. 実機実験についてです.使用したロボットは図のようなロボットで、3自由度3リンクの脚が6本放射状に配置されています.ロボットの操作方法としては,まず,ロボットにとりけられているデプスセンサとカメラの映像が操作用のパソコンに送信されます.その映像からオペレータは接地点を選び,歩行フラグなどの情報とともにロボットに送信します.実際の動きを見てみますと~(動画にあわせて説明) ロボットの制御にはヒューマンインザループ制御をもちいており,先頭脚が接地点計画する際に,接地点をオペレータがカメラとデプスセンサの映像から決定します.また,胴体の目標高さや目標姿勢,歩行フラグの状態もオペレータにより指定されロボットに送信されます. 重要な遷移条件は二つあり,一つは,末尾脚以外の脚に与えられる遊脚条件で,追従される脚Leg[r[i]]が自脚の接地点を引き継いでいることです.これは,接地点追従法の接地点の引継ぎを表しています.二つ目は,末尾脚に与えられる遊脚条件で,最新の3つの接地点のいずれにも接地していなく,こちらの図のように最新の3つの接地点が成す支持三角形を重力方向に投射してできる三角柱の内側にマージンを取った領域に胴体の中心が入っているという条件です.これは,支持多角形の形が変化する末尾脚の遊脚後もバランスを保つための条件です. では,動作仕様を満たすことの証明について説明します.まず、オートマトンに求められる動作仕様は,システムがデッドロックしないということと,常に異なる3つ以上の接地点に脚が接地していることの二つです.また,証明においては歩行継続のための仮定として,以下の3つの仮定が成り立つとしています.一つは,胴体の前進により追従する脚の接地t年賀可到達域に侵入すること、二つ目は各制御モードで,脚先は目標点に収束すること,3つ目は歩行に使用される脚は4本以上あり,歩行フラグがtrueからfalseに切り替わるのは遊脚中のみであることです.ここで,これらの仮定が成り立つとき,制御モード4から1への遷移条件以外の遷移条件は満たされることが言えます.これは~だからです.したがって遊脚中の脚はいずれ接地できることが言えます。 では,一つ目の動作仕様であるデッドロックフリーの証明について説明します.先ほど申し上げました通り,遊脚条件以外の遷移条件は満たされるので,遊脚条件について考えます.まず,接地点追従法ではLeg[r[i]]が自脚の接地点を引き継ぐことで遊脚できるため,末尾脚の遊脚により,後方の脚から連鎖的に遊脚条件が満たされることが言えます.逆に,末尾脚の遊脚条件が満たされないと,後方の脚から順番に遊脚条件が満たされなくなるため,こちらの図のように,すべての脚が異なる接地点に接地した状態となります.このとき,末尾脚は最新の3つの接地点のいずれにも接地していないため,胴体が前進することによって遊脚条件を満たすことができます。したがって,末尾脚の遊脚条件が満たされることが背理法によって証明されるため,制御オートマトンはデッドロックフリーとなります. 次に、動作仕様2の証明について説明します.まず,接地点追従法では,Leg[r[i]]が自脚の接地点を引き継ぐと遊脚できることから,接地点の数が減少するのは末尾脚の遊脚時のみとなります.また,接地点は先頭脚で新しく生成され,末尾脚まで順番に引き継がれていくため,末尾脚が接地している接地点が最も古いものとなります.これらのことから,末尾脚が接地している接地点よりも新しい接地点にはいずれかの脚が接地しているということが言えます.ここで,末尾脚は最新の3つの接地点のいずれにも接地していないときにのみ遊脚できるため,末尾脚の遊脚時には,最新の3つの接地点にいずれかの脚が接地しており,接地点の数が3つ以上に保たれます.したがって,動作仕様2は満たされます。 静的安定性とデッドロックフリーを実現することについて説明します.まず,以下の4つの仮定が成り立つとします。一つ目は~.これらの仮定が成り立つとき,接地点追従法の後方の脚が接地点を引き継ぐことで遊脚できるという特性から、まず,末尾脚が遊脚し,前方の脚の接地点を引き継ぐことで,後方の脚から先頭脚まで連鎖的に遊脚条件が満たされていくことが言えます.逆に,末尾脚が遊脚しない場合には,後方の脚から先頭脚まで連鎖的に遊脚条件が満たされなくなり、末尾脚以外の脚は末尾脚より新しい3つの接地点に接地します。したがって,末尾脚の遊脚条件である最新の3つの接地点のいずれにも接地していないという条件がいずれ満たされます.よって,末尾脚以外も連鎖的に遊脚条件を満たしていくためデッドロックフリーを実現することができます.
また,末尾脚は最新の3つの接地点のいずれにも接地していないときにのみ遊脚できるため,接地点の数が減少する末尾脚の遊脚後にも,接地点の数が3つ以上に保たれるので静的安定性を保つことができます. すると式(1)による隣接情報の変更が起こり,Leg[2]の隣接情報が追従してされていた脚,していた脚に引き継がれます.その結果Leg[3]はLeg[1]を追従するようになります. すると,すべての脚の隣接情報がA0[i]に変更されます.今回はLeg[1],Leg[2],Leg[3]の歩行フラグがすべてtrueであるのでここで,隣接情報を変更は終了し,6脚歩行時と同様にLeg[2]はLeg[1]を追従します.歩行フラグがfalseである脚がある場合には,式(1)を用いてさらに隣接情報を変更します. まず、本研究で使用する接地点追従法について概要を説明します.接地点追従法では