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1
数学だから・
リアルタイムオンラインだからできる(?),
学び合いとジェネリックスキルの向上
生命環境系 准教授
奈佐原 (西田) 顕郎
EC12311 基礎数学I
およびEC12181 物理学I
(生物資源学類1年次対象 専門基礎科目)
2020/08/06 筑波大学の第6回全学FD研修会
「オンライン授業を考える:手探りの春学期から改善の秋学期へ」
16:15-16:50 事例3:私のオンライン授業 公開用縮小版
2
- 生物資源学類1年次対象, 専門基礎科目(選択必修)
- 金曜3限, 75分間, 15回
- 生物資源学類1年生約120名中ほぼ全員が履修。上級生・他学類生は数名履修。
- 続きで「物理学I」(これも奈佐原が担当)
「基礎数学I」とは
3
「基礎数学I」とは
↑典型的な三密状態!! ↑ 肩を寄せあい, 頭をくっつ
けて相談する学生たち
2019年度の様子
2019年度の様子
学力のばらつきが大きい。
まず学力の平準化が必要(授業開始前の準備教育)
4
推薦・AC・JapanExpert
合格者: 約40人
12/01 01/01 02/01 03/01 04/01 05/01 06/01 07/01
全
新
入
生
前期入試
合格者
後期入試
合格者 履修者
生物資源学類新入生: 121人
(全体の98 %)
+
上級生・他学類生: 4人
08/01
準備教育
入学前教育 授業開始前
教育 授業
基礎数学I
スクーリング 1/25
- 小中高の基礎の確認・再構築
- 未履修科目の自習
- 学力観・学習観のアップデート
- 仲間づくり
- オンライン課題&manaba
- ピア・チュートリアル
- レポートの書き方
- オンライン課題&manaba
- ピア・チュートリアル
1/25 スクーリング: この頃はまだ新型コロナウィルスの広がりは
深刻ではなかった。約40名(全体の1/3)の新入生が,
「キャンパスに来る」「同級生に会う」「対面授業」を経験した。
… 生物資源学類独自の非公式教育プログラム
「授業についていけない」可能性を授業開始前に潰しておく。
5
- 数学の基礎知識:
微分・積分・ベクトル・行列とは何か?
記号・用語の慣習
- 数学の考え方:
公理主義: 直感ではなく定義と論理で議論・理解する。
- 応用力
数式による自然現象・社会現象のモデル化
物理学, 化学, 生物学, 経済学等への応用例
- 学習観のアップデート
勉強は自学自習が基本。丁寧にテキストを読む。
「解き方」「正解」の暗記でなく, 「理解する」
成績や単位のためでない, 勉強の意義・目的を見つける。
- 説明能力:
証明の書き方
レポートの書き方
- 人間的な成長・成熟
「学び合い」 → コミュニケーション力・共働能力
諦めずに考えてわかる喜び → 折れない心, 好奇心, チャレンジ
「基礎数学I」教育目標
数学を
学ぶ
数学で
学ぶ
ジェネリック・スキル
6
- 数学の基礎知識:
微分・積分・ベクトル・行列とは何か?
記号・用語の慣習
- 数学の考え方:
公理主義: 直感ではなく定義と論理で議論・理解する。
- 応用力
数式による自然現象・社会現象のモデル化
物理学, 化学, 生物学, 経済学等への応用例
- 学習観のアップデート
勉強は自学自習が基本。丁寧にテキストを読む。
「解き方」「正解」の暗記でなく, 「理解する」
成績や単位のためでない, 勉強の意義・目的を見つける。
- 説明能力:
証明の書き方
レポートの書き方
- 人間的な成長・成熟
「学び合い」 → コミュニケーション力・共働能力
諦めずに考えてわかる喜び → 折れない心, 好奇心, チャレンジ
「基礎数学I」教育目標
数学を
学ぶ
数学で
学ぶ
オンライン対応の為に
強化
オンラインのポイント:
 いくらでもズルできる。
そこで,
- 人間的成熟
- 勉強方法とスキル
- モチベーション
を育てることで,
「ズルは幼稚でアホらしい。
ちゃんとやるほうがよっぽど
良い」と気づかせる。
→ 性善説で行こう!!
ジェネリック・スキル
7
2020年度「基礎数学I」授業デザイン
- 同時双方向型授業 (リアルタイムオンライン = ライブ)
オンデマンド形式もちょっと準備したが, フィットしなかった。
他の多くの授業がオンデマンド → ちょっとくらいライブ授業があるのも良かろう。
- 連絡・提出物はmanaba, 授業・質問はTEAMS。バックアップでTwitter。
- グループワーク
学生を3〜4人ごとの班にわける(月ごとにリセット)。
小テスト・授業中の話し合い・レポート, ほぼ全てグループワーク。
「学び合い」「チームビルディング」「心理的安全」
- 小テスト
毎回授業冒頭, 15分間〜20分間程度
問題(例)は事前公開。グループで相談推奨。
- 毎回2種類のレポート (manabaで提出)
1: 授業の振り返り。授業後7時間以内に提出
2: テキスト課題・演習・探求問題。次回授業の2日前までに提出。
→ 良いものを授業中に紹介・講評
生物資源学類1年生123名中, 121名履修。他4名履修。
8
ライブスタジオ … 自宅の6畳間
私用デスクトップPC:
 テストの解説・レポートの講評など
私用スマホ:
 音声(マイク・スピーカー)
 カメラ顔出し・ホワイトボード撮影用
ホワイトボード:
持続環境学専攻の物置から借り出した。
 数式書いたり図を描いたり
カメラスタンド:
適当な台に適当な空き箱載せただけ。
引越しの
サカイの
段ボール
かなりショボい機材&環境である...
9
教科書
生物資源学類で独自開発してきた数学リメディアル&初年次教育用教材
2019年, 講談社より出版 「ライブ講義 大学1年生のための数学入門」
入学前教育から連続して使用。「読めば分かる」ように工夫。毎週1章のペース。
全員共通(購入してもらった)。印税は学生の新歓などに寄付(笑)
メイキングストーリー→ https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63904
10
小テスト
12:05
12:15
TEAMSオープン
12:30 小テスト結果の各自振り返り。質問受け付け
12:35
小テストの解説。
12:50
優秀レポートの紹介・レポート課題の解説
13:15
13:30
新しい概念の解説・次回レポート課題の導入説明
15:05 TEAMSクローズ
TEAMSチャット
manaba
TEAMS画面+声
TEAMS画面+声
TEAMS顔出し&
ホワイトボード
15分間休憩の後,
引き続き「物理学I」を同じTEAMS上でやる。ほぼ同じ形式。
1回のライブ授業のタイムライン
金曜3限(12:15〜13:30)
学生は顔出しせず。授業中はずっとグループ内でつながっている。
ほとんどが演習(レポート含む)とその解説・講評。反転授業スタイル。学生は随時チャットで発言。
教科書に書いてあることは授業では教えない。(教えたら学生は読まなくなるので)
11
小テスト(という名のグループ演習)
- 本番とほぼ同じサンプル問題を前日に公開。
- 基本, マルバツ問題。
- わからなくても確率50 %で正解。
(最初から救済を織り込んでいる)
- 班内での相談を推奨。
- manabaの自動採点機能
→ テスト直後に得点と正解不正解が学生に開
示される。(モチベーションアップ)
→ それをもとに質問を受け付け, 解説。
例
12
[06/19 12:09] NASAHARAKenlo
みなさんこんにちは。お元気ですか?
今日も最初はmanabaでの小テストから始まります。今日はちょっと長めです。
早いもので、今のグループも来週土曜日で解散です。
それまで、しっかりと話し合ってお互いから学んでください。
[06/19 12:40] NASAHARAKenlo
おつかれさま!ではふりかえりを。聞きたい問題はチャットで。
[06/19 12:42] ***(学生1)***
3番と11番お願いします。
[06/19 12:42] ***(学生2)***
3お願いします
[06/19 12:44] ***(学生3)***
7番お願いします、どうやって反例がないことを示せるのか分かりません
(cosxで正しいことは分かります。ですが、本当にすべての偶関数で当てはまるのでしょうか。)
[06/19 12:53] ***(学生4)***
式(9.17)でxは複素数に拡張されているのですか?
オイラーの公式ではxは任意の実数とされているのですが…
TEAMSチャットでのやりとり
リアルな教室よりもたくさん質問が出る。
13
小テストや教科書の補足説明
チャットで随時, 質問が来る
14
優秀レポートの講評
良い例として紹介された者は喜び, 発奮する。
良い例を見て, 各自が自分なりに工夫・改善を始める。
15
顔出し&ホワイトボードで説明
16
しかし, TEAMS映像は時折, ひどく乱れた(泣)
対策法はわからない(泣)。込み入った話をホワイトボード映像でやるのは無理か(泣)。
チョーク&トークは数学教育の根幹であり, それができないのは痛い(泣)。
17
レポート
* 毎週のレポート: 毎回2種類(nは授業の通し番号; n=1〜15)
「レポート No. n-1」 … 授業直後の21:00締切。テキスト送信(200〜500字程度)。
 目的: 授業の振り返り(内省)・定着。率直な意見の収集。
 質問項目に答える形式。
 相互閲覧は無し。個人でやる。
「レポート No. n-2」 … 次回授業の2日前の21:00締切。PDFファイル(2〜10頁程度)提出。
 目的: 自学自習のきっかけ。問題演習。
 テキスト等から出題。
 相互閲覧あり。グループワーク推奨。提出は各自
* 「期末レポート」: 自由作文(「基礎数学Iで学んだことを述べよ」)... 振り返り・内省。No. 15-2のかわり。
* 「教科書レポート」: 任意提出。教科書の問題を全部解く。単位落としそうな学生の救済用。
いずれも原則的にmanabaで提出。締切は原則的に21:00。遅い時間は生活リズム壊す。
18
レポートの例
1. 今回の授業(小テストを含む)で学んだこと・気づいたことを述べよ。
物理の勉強のことで手がいっぱいなこともあり、数学は入学前教育で少し先取
りをしていたので油断していたが、やはり少しずつ数学も勉強していかないとい
けないなと思った。
2. 以下のそれぞれについて内省し, yes/noで自己診断せよ:
2-1. 単位はしっかり理解したか? yes
2-2. 微分の定義はしっかり理解したか? yes
2-3. 様々な関数の微分の計算はできるか? yes
2-4. 積の微分, 合成関数の微分, などは導出できるか? no
2-5. ネイピア数の正体はつかめたか? yes
2-6. 片対数グラフはわかったか? yes
2-7. 両対数グラフはわかったか? yes
2-8. ランベルト・ベールの法則は理解できたか? yes
2-9. 微分方程式のイメージはつかめたか? yes
2-10. 違うグループの人のレポートをmanabaで閲覧し, 良いところを学ぼうと
したか? yes
3. 質問やコメント。くだらないことでもOK。
次の授業までにもう少し勉強しようとおもった。
このまえまでchromebookで普通に授業を受けることができていたのに、今週の
オンライン授業は途中で退出になったり画面が止まったりしてうまく行かない。
2020/05/15 レポート課題 No. 3-1
(授業直後の振り返り)
教員からの
フィードバック
→ ルーブリックにするなど, もう少し出題の工夫が必要
19
レポートの例 2020/05/15 レポート課題 No. 3-2
(自学自習・問題演習)
教員からの
フィードバック
○ 以下を解け
(グループで相談することを推奨):
- 問146の(7.16), (7.17), (7.21), (7.22)
- cosの加法定理を証明せよ。
- 正弦定理を証明せよ。
- 余弦定理を証明せよ。
- 演習問題7
○ 前回授業の小テストで間違えたとこ
ろを, なぜどのように間違えたか具体的
に述べよ。
○ 前回授業後から今日までの1週間,
数学について, どういう自学自習をした
か? そこから何を学んだこと・気づいたこ
とを述べよ。
20
1
2
3
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100%
1
2
3
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100%
1
2
3
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100%
1
2
3
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100%
基礎数学I・物理学Iのこれまでの授業内でのレポート(No. *-2)の講評はどのように感じましたか?
自分のレポート(No. *-2)を授業内でみんなの前で講評(基本的には良い例として)されるのはどういう気持ちですか?
(されたことのない人はされたときを想像して)
自分のレポート(No. *-1)を, manabaのおしらせで抜粋・コメント紹介されるのはどういう気持ちですか?
(されたことのない人はされたときを想像して)
レポート(No. *-2)がmanaba上で提出者同士が互いに閲覧可能になっているのはどう思いますか?
良い
どちらでもない
悪い
嬉しい
どちらでもない
嫌
良い
どちらでもない
悪い
嬉しい
どちらでもない
嫌
→ レポートの講評は好評!
→ 自分のレポートが紹介されると嬉しい
学生が大多数。しかし嫌な学生もいる。
→ 授業の振り返りの自由コメントは, 自
分のものが紹介されることに抵抗は無い。
→ レポートの相互閲覧は好評。
しかしネガティブに思う学生も少数いる。
レポートの紹介・講評・共有に関するアンケート
7/26~29 manabaで実施
回答数117
21
問: レポートの共有について, ご意見があればおねがいします。 (以下回答の抜粋)
7/26~29 manabaで実施
回答数117
○ 人のレポートを見ることで自分のレポートの足りない部分が浮き彫りになるのでレポートの共有には賛成です。
○ 初めは自分のレポートが見られるのが少し嫌だったが、やっていくうちに他の人のレポートを見ることで学ぶことがあることに気づき、次第に良いと
思うようになった。
○ 他の人のレポートを見て先生の考えを言ってくださったので、(従う従わないは個人の自由としても)とても参考になりました。
○ 先生がいいレポートを紹介していくことでどんどんレポートのハードルが高くなっていってしまう気がした...
○ 授業内で紹介してもらうことはモチベーションにもなったし、たまにコメントを返してもらったりしたのもうれしかった。オンライン環境だと余計に励み
になった。
○ レポートを作るときに人に見せられるものを、という意識になったのが良かったと思う。
○ 紹介してもらえるように工夫を凝らしてからレポート提出が一段と楽しくなったので、今後もこのまま続けてほしい。
○ いいレポートが毎回紹介されることで、焦ったり落ち込んだりすることもあるけれど、いい影響を受けたことのほうが多いと思います。
○ みんなのレポートを見ることから学べることはたくさんあるので、共有はありがたいですが、自分のレポートを見られることは恥ずかしいです。
○ 自分のレポートが授業で紹介されると、先生にしっかり評価されたという感じがしてとてもやる気が出るはず、だからこれからも続けて欲しい。ただ
し、たまに授業の半分くらいの時間がその紹介に充てられることがあり、そういう場合はもう少し手短にお願いしたい。
○ レポート(No. *-1)も、みんなの生の声が聞けるので、紹介されるといつもじっくり見ていました笑。
○ 内省するきっかけになるので、続けて欲しいと思います。
○ 自分のレポートが授業内で取り上げられるととても嬉しい気持ちになる反面、取り上げられなかった時に自分のレポートはダメなのではないかと
落ち込んでしまうこともあります。
○ レポートの良かった点だけでなくあまりよくない点についても知りたいです。
○ 他の人のレポートを見ることによって自分では思いつかなかった発想や新たな学びが得られるため、とても良いと思った。授業内では良い例として
紹介されるため他の人に見られていても特に恥ずかしいと思うことはなかった。また、manabaの相互閲覧機能においても、自分のレポートが誰かに
見られているという実感がないため、特に恥ずかしいと思うことはない。
○ レポートの書き方というものが正直わかっていないので人のものを見てどのように作成しているのかを参考にすることができるのがよかったです。
… ネガティブな意見はアンケートには出てきづらい(特に1年生)ことに注意が必要。
レポートの紹介・講評・共有に関するアンケート
22
グループワーク
学生を3〜4人ごとの班にわけ, 月ごとにリセット。
ただし他学類生・上級生は別扱いでひとつのグループ(今後の課題)
5月: 3人単位; 同じクラス, 同じ性別, 違う入試履歴
属性が似た者どうしでスタート。フレセミと連携し, クラス内のチームビルディング。
6月: 3人単位; 同じクラス, 同じ性別
組み替えることで, グループワークのやり方を広める。グループ間の学力格差のランダム化。
7月: 4人単位; クラスバラバラ, 男子2女子2 又は 女子4
クラス間・性別間をつなぐパイプ人脈の醸成。学年全体のチームビルディング。
まず最初に: アイスブレイク課題「グループ名を相談して決めよ」
気まずいグループになってしまっても, それも良い経験。
組み換えのときに再デビューすればよい。
数学はグループワーク向き。目標が明確。好みや思想が入らない、ニュートラルな話題。
無理に自己開示しなくても、同じ目標に向けて助け合える。
理解・正解した時の喜びが強い。小テスト満点だと歓声が上がるらしい。
数学の持つ教育力!!
「学び合い」「チームビルディング」「心理的安全」
小テスト・授業中の話し合い・レポートは, ほぼ全てグループワーク。
胃もたれ
各地の豆好き
パピコ
物理ビギナー
オエコノバ
ゴルジ体
ルービックキューブ
微分サークル
 ...
23
グループワーク課題の例
問1) 「右回り」と「左回り」を君なりに定義せよ(以下の問のどれか
を基準にしてもよい)。
… (中略) …
問7) アミノ酸のD体とL体の区別を, 問1の定義を用いて表現せよ。
問8) 以上を踏まえて, 次問をちらちら見ながら, 螺旋の方向の左右
を君なりに定義せよ。
問9) 以下の螺旋について, 問8の定義を用いて左右を検討せよ:
1: かたつむり(現物を見つけ, 写真を添付せよ)
2: DNAの二重螺旋
3: 身近なネジ(現物を見つけ, 写真を添付せよ)
4: 身近なツル植物(現物を見つけ, 写真を添付せよ)
5: 縄(ビニールロープも可)(現物を見つけ, 写真を添付せよ)
6: 身近な建物にある螺旋階段(現物を見つけ, 写真を添付せよ)
○ **さんと**さんは、自分が撮影できなかったしめ縄やアサガオ等の写真を送ってくれ、非常に助かった。螺旋構造の左右を検討する
際、DNAの二重螺旋の向きをどう考えるかで自分が論点をずらしてしまい最終的に非常に長い時間をかけたが、**さんが修正してくれた。
○ 人によって定義の仕方が違ったため、それぞれの定義に合わせて答えを確認することができた。
○ 蚊取り線香は中心からか、それとも外側からか、というあいまいなところを指摘してもらって、より詳しく説明できた。
○ 今までは回転の左右を混乱することが多かったが、定義づけることで左右の区別がついた。日常生活でも定義が大切だと思った。
レポートから抜粋
レポート No. 13-2
グループで協力して取り組むこと。現物を見つけて写真を撮るなどは,
グループ内で手分けして行って, 結果を共有してもよい。
24
グループワークに関するアンケート
レポートに向けて, 授業時間外での班の中での話し合いは、何時ごろに(オンラインで)集まってやっていましたか?
レポートに向けての班の中で話し合いは、どのようなネット媒体でやっていましたか? 最も多かったものを選んで下さい:
1回の授業につき, どのくらいの時間, 授業時間外で班で話し合いしていましたか?
平均1.6時間, 標準偏差1.0時間
班分けは, どの段階のものが最もやりやすかったですか?
8/05~06 manabaで実施
回答数98
夜・随時が多い
… オンラインの強み
テレビ会議が多い。
人に会いたい?
自習時間の半分を話
し合いに使っている。
だんだんやりやすくな
るということはない。
25
グループワークに関するアンケート
グループワークで良かったことを選んで下さい(複数選択可)
グループワークにおいて, 良くなかったことを選んで下さい(複数選択可)。
グループワークの印象を1〜5の5段階で選んで下さい(1:悪かった, 5:良かった)
8/05~06 manabaで実施
回答数98
件
件
%
学習効率・成果に寄与
概ね好評だが, 一部,
不評がある。
「教える」と「教わる」の
受け止め方の非対称性
表現力・コミュ力に
課題を発見
75%の新入生に
友達ができた!!
26
グループワークに関するアンケート 8/05~06 manabaで実施
回答数98
問: 班分けやグループワークにおいて, ご意見・ご提案があればおねがいします。 (以下, 回答の抜粋)
○ 何も同期と関わりがない中で、横の繋がりを半強制に作ってくださったことがとてもありがたかった。
○ 大学が始まったら同じ学校出身など、もともと仲の良い人たちが集まり、同じ学校出身の仲間がいない人が友達を作れなくなってしまうという状
況になりそうだと恐れていたので、ランダムに振り分けてもらってとてもありがたかった。
○ 同じクラス→他クラスでも同性→男女混合、と段階的に組み合わせの幅を変えていってくれたのが良かった。男女混合が4人なのはちょうどよかっ
たが、同性で4人のグループの時は少し人が多いなと感じたので、同性の場合3人くらいのほうが個人的にはいいと思った。
○ 他の授業ですが、自分以外のメンバーが全員異性でとてもやりづらいと感じる場面が多々ありました。
○ 顔を合わせたことのない人同士でやることは最初は少し嫌だなと感じていたが、逆にそれがやりやすかったのかもしれない。
○ 授業中もグループで電話をして相談することができたり、課題をやるだけでなく雑談もできたりしたのでとても良かったと思います。
○ 組まれたグループの中で誰がほんとに履修してるかわからなかった。ので、もうちょっとうまく機能させたかった。
○ 話せなくて申し訳ないと思っていたし、グループの人も迷惑そうだった。直接会ってからグループワークをやって欲しい。
○ グループメンバーに教えることが非常に多かので、間違いを指摘されることや教えられることが殆どなかったことが寂しかった。
○ 小テストで数学物理が得意な子と同じになった時はほとんど間違えず、その子とグループが離れた途端に小テストの点数が下がってしまった。た
まには自分の力だけでやるテストがあっても自分の真の実力が分かっていいのではと思った。
○ 私達の班は数学と物理でそれぞれ曜日と時間を決めて週1回ずつビデオ通話でレポートについて話し合っていた。話し合う時間を固定することで
課題に取り組むペースをうまく維持でき、自分一人でやるよりも効果的な学習ができたと思う。
○ 班全員が理解ができない、教えあうこともできないというときがあり、全員でその問題の真相がよく分からないまま通り過ぎてしまったことが多々あ
りました。そういうところが難しいなと思いました。
○ グループワークはライブ講義型の授業でないと厳しいとも思った。
○ グループの人に迷惑はかけられないからやらなきゃ、という抑止力にもなったと思います。
○ グループワークが非効率で非効果的であると感じたら、グループワークには参加しないという選択肢も時には必要であると感じた。
○ 非常に楽しく学習することができました。ですが、やはりお互いに顔を見ながら対面で学習したいと強く思いました。
○ カンニングし放題の公平性が保たれない環境で従来通りの課題や試験を課すことが果たして最善なのか、また、そもそも暗記を確かめる課題や
試験が学習到達目標の達成に最善なのか、ということはこの機会に是非他授業の先生方にもお考えいただきたく思う。
… もうすこし「逃げ場所」を作ってあげるほうがよかったかもしれない。
27
「基礎数学Iの授業は私が今まで触れてきた数学とは非常に質の異なるものだった。与えられる問は基礎的なもの
か現実の事象に発展させたものばかりだった。前者はやりごたえがないが、後者は難しすぎると、理解できないこと
もあった。しかし、問題を解いていると、ふとした時にこれが逆転した。基礎的な内容なのに致命的な条件を忘れる
ことで間違えたり、発展的だが切り口を思いつけばあっさり解けてしまうこともあった。これからの数学を学ぶ上で、
私が重要なのだと学んだ一つが私自身の数学力を正しく見返す機会というものだった。私は数学が苦手なのは難
しい問題が解けないからだと思っていた。しかし、根本的な問題は私の面倒がりな性格にこそあったのだ。定義を
おろそかにし、式の成り立つ条件など、必要な要素をなんとなくで放置してしまう。そんな性格ゆえに数式の表すと
ころを理解できなかったのだ。この気づきより、定義を尊重し、難解な問題ほど基礎的な自分の認識に間違いがな
いかと考えるようになってきた。」
「今学期は、オンライン授業という形だったので、声や文章で他者に意見を伝える能力も向上したと思う。課題や小
テストにグループで取り組む際、直接会っていれば図を描いて説明できることでも、通話や Line といったツールを
使うと口頭での説明や、文章だけで相手に自分の意見を伝えなければならないのでとても大変だった。しかし、逆
に、相手が伝えたいことを理解しようとこれまで以上に意識するようになり、自分の理解能力が向上した。」
「グループで teams を作り、今回のレポート作成のために会議で話して協力することができたが、よく考えればまだ
直接会って話したことがない人同士でこのような作業をするのは初めての経験だったので、工夫すればどんな状
況でも協力して一つのものを作ることができるという良い経験になった。この経験を社会に出てからテレワークをす
るようなことがあった時に生かせられたらいいなと思う。」
教育目標は達成できたのか?
(各レポートより抜粋)
28
今後の課題
●
グループ分けの方法。特にジェンダーへの配慮。
… 最初は男女別の方が打ち解けやすい。しかし「男女」とは?
●
グループに「入って来れない」学生への配慮。
… そういう学生にこそグループワークは必要なのかもしれない。
しかし危険もはらんでいる。逃げ道をどうやって作るか?
●
上級生・他学類生履修者の「アウェー感」への配慮。
… コアターゲットに最適化することは必要だが, 取り残される少数をどうする?
●
大学の学問のカルチャーへの適応支援。
… 1年生は「授業は全部理解しないとダメ」と過剰に感じている。「もうちょい気楽に」
●
レポートをどう共有するか。
… 共有は教育効果高い。しかし「恥ずかしい」等, 嫌がる学生もいる。ベースになる人間関係を。
●
モラル教育。オンラインでもズルしない・手を抜かない心を育てる。
… 学問とは(生きるとは)そもそも何か? 点取り虫でいいのか? そのために大学来たのか?
哲学的・倫理的な問い掛けと内省・成長。
● 必要最低限の注入的教育。例: 「定義を覚える」「記号を覚える」
… 覚えてはじめてスタートする教育がある。記憶を確認するテストができないのはつらい。
●
学生のタスクは飽和している。授業が多すぎ(とりすぎ)。
… 「単位は早く集めて後で楽をしよう」という学生文化。学びとは何かを考えさせる必要。
● 適度なフィードバックの量とスタイルは?
… 個別のフィードバックは教育効果は大きいがコストがかかり過ぎる。
(過剰なフィードバックは教育的に良くないのでは? … 「FBがないとやる気が出ない」)
● 教育学研究者にフィールドワークに来ていただけないものか...

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