HOPPOKEN

1. 私
は
近
年
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
の
教
育
に
学
び
、
日
本
の
初
等
中
等
教
育
で
実
践
す
る
研
究
に
取
り
組
ん
で
い
る
。
そ
の
背
景
は
以
下
の
よ
う
な
事
情
で
あ
る
。
知
業
時
代
１
万
年
の
農
業
文
明
、
そ
し
て
２
０
０
年
前
の
産
業
革
命
以
来
の
工
業
文
明
を
経
て
、
先
進
国
の
文
明
は
知
業︵
知
識
産
業
、
知
恵
産
業
︶
の
時
代
に
入
っ
て
い
る
。
知
業
と
は
、
ソ
フ
ト
ウ
ェ
ア
、
情
報
、
デ
ザ
イ
ン
、
ブ
ラ
ン
ド
、
特
許
、
サ
ー
ビ
ス
な
ど
の
知
的
財
産
が
主
に
付
加
価
値
を
生
み
出
す
産
業
構
造
で
あ
る
。
し
か
し
、
教
育
を
含
む
日
本
の
産
業
構
造
、
社
会
構
造
は
、
知
業
化
へ
の
対
応
面
で
、
欧
米
先
進
国
に
大
き
く
遅
れ
て
い
る
。
安
倍
首
相
が
教
育
問
題
を
最
重
要
政
策
課
題
に
位
置
づ
け
て
い
る
の
に
は
十
分
な
理
由
が
あ
る
。
米
国
の
リ
チ
ャ
ー
ド
・
フ
ロ
リ
ダ
教
授
は
、
欧
米
の
先
進
国
で
は
、
今
日
就
業
者
の
３
分
の
１
以
上
が
﹁
考
え
る
こ
と
﹂
を
職
業
と
し
て
お
り
、
こ
れ
ら
の
﹁
創
造
的
階
級
﹂
は
３
つ
の
T
︵
Technology＝
技
術
、
Talent＝
人
材
、
お
よ
び
Tolerance
＝許
容
性
︶
の
あ
る
都
市
や
地
域
に
集
ま
る
、
と
の
仮
説
を
発
表
し
、
欧
米
で
注
目
さ
れ
て
い
る
。︵
注
１
︶
RichardFlorida,TheRiseoftheCreative
Class,BasicBooks,2002
創
造
的
階
級
と
は
、
教
育
・
研
究
者
、
エ
ン
ジ
ニ
ア
、
起
業
家
、
芸
術
家
、
エ
ン
タ
テ
イ
ナ
ー
、
デ
ザ
イ
ナ
ー
、
建
築
家
、
そ
の
他
の
知
識
サ
ー
ビ
ス
に
従
事
す
る
就
業
者
を
指
す
。
日
本
に
お
け
る
最
近
の
調
査
で
は
、
日
本
の
創
造
的
階
級
の
就
業
者
総
数
に
占
め
る
比
率
は
、
米
国
や
北
欧
と
比
べ
て
１０
年
以
上
遅
れ
て
い
る
こ
と
が
明
ら
か
に
な
っ
た
。︵
注
２
︶
http://www2.htokai.jp/DC/kawasaki/The-
CreativeClass.pdf
知
業
時
代
の
教
育
こ
の
よ
う
な
知
業
社
会
に
お
い
て
は
、
工
業
社
会
と
は
異
な
る
新
た
な
教
育
の
考
え
方
と
シ
ス
テ
ム
が
必
要
で
あ
る
。
﹃
第
三
の
波
﹄
の
著
者
ア
ル
ビ
ン
・
ト
フ
ラ
ー
は
、
今
日
の
日
本
の
最
大
の
問
題
を
教
育
と
断
言
し
、﹁
日
本
が
国
際
社
会
で
生
き
残
る
た
め
に
は
、
何
よ
り
も
"Think"
、
考
え
る
こ
と
で
す
。
教
育
の
現
場
を
見
て
下
さ
い
。
時
間
通
り
に
生
徒
が
教
室
に
集
ま
り
、
大
人
数
で
授
業
を
受
け
る
。
こ
れ
は
、
工
場
で
働
く
た
め
の
練
習
み
た
い
な
も
の
で
す
﹂
と
指
摘
し
て
い
る
。︵
注
３
︶
﹃
日
経
ビ
ジ
ネ
ス
﹄
２
０
０
６
年
７
月
２４
日
号
戦
後
の
日
本
の
教
育
制
度
は
大
学
受
験
を
ク
リ
ア
す
る
こ
と
を
目
標
に
し
て
、
﹁
個
性
や
長
所
を
伸
ば
す
よ
り
も
欠
点
の
な
い
﹂
子
供
を
育
て
る
た
め
の
詰
め
込
み
教
育
で
あ
っ
た
。
他
の
人
が
考
え
つ
か
な
い
創
造
性
よ
り
も
、
他
の
人
が
考
え
た
知
識
の
丸
暗
記
が
強
調
さ
れ
た
。
正
解
が
必
ず
あ
る
前
提
で
、
い
か
に
速
く
正
解
に
辿
り
着
く
か
の
競
争
で
あ
っ
た
。
し
か
し
、
知
業
時
代
で
は
、
何
よ
り
も
創
造
性
が
重
要
で
あ
る
。
ま
た
、
知
業
社
会
の
変
化
に
対
応
す
る
た
め
に
は
、
内
容
よ
り
も
方
法
、
判
断
力
、
柔
軟
性
、
目
的
指
向
が
必
要
と
さ
れ
る
。
﹁
今
後
３
年
間
の
情
報
量
は
、
現
在
ま
で
の
人
類
に
お
け
る
す
べ
て
の
デ
ー
タ
量
を
上
回
る
﹂
と
い
う
﹁
情
報
爆
発
﹂
の
時
代
だ
。︵
注
４
︶
情
報
は
人
間
の
脳
の
処
理
能
力
を
超
え
る
ペ
ー
ス
で
増
え
て
い
る
。
舘
岡
康
雄
﹃
利
他
性
の
経
済
学
﹄、
２
０
０
６
年
こ
の
よ
う
な
時
代
で
は
、﹃
ど
れ
だ
け
﹄
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
の
教
育
に
学
び
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
を
超
え
よ
う
北
海
道
東
海
大
学
教
授
川
崎
一
彦
起
業
家
教
育
実
践
研
究
、
全
道
４２
小
中
高
校
で
実
施
HOPPOKEN ２００７SPRING VOL．１３９５６

2. 情
報
を
吸
収
す
る
か︵
howmuch
︶、よ
り
も
﹃
何
を
選
ん
で
﹄︵
what
︶
吸
収
す
る
か
と
い
う
判
断
力
が
大
切
に
な
る
。
速
読
多
読
よ
り
も
、
ど
の
本
を
読
む
か
が
重
要
だ
。
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
の
バ
ー
サ
モ
デ
ル
北
欧
の
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
は
こ
の
よ
う
な
変
化
に
早
く
か
ら
注
目
し
、
教
育
で
も
成
果
を
出
し
て
今
世
界
的
に
注
目
さ
れ
て
い
る
。
OECD
︵
経
済
協
力
開
発
機
構
︶
が
実
施
し
た
１５
歳
児
の
学
習
到
達
度
の
国
際
比
較
調
査
PISA
︵
２
０
０
３
年
︶
に
お
い
て
、
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
は
読
解
力
と
科
学
的
リ
テ
ラ
シ
ー
が
１
位
、
数
学
的
リ
テ
ラ
シ
ー
が
２
位
、
問
題
解
決
能
力
３
位
と
好
成
績
で
あ
っ
た
の
が
直
接
の
き
っ
か
け
で
あ
る
。同
時
に
、
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
は
世
界
経
済
フ
ォ
ー
ラ
ム
の
経
済
競
争
力
の
ラ
ン
ク
で
も
近
年
世
界
ト
ッ
プ
ク
ラ
ス
に
あ
る
。
つ
ま
り
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
は
福
祉
と
経
済
を
両
立
さ
せ
て
お
り
、
そ
の
鍵
が
﹁
知
業
時
代
に
対
応
す
る
教
育
シ
ス
テ
ム
﹂
に
あ
る
、
と
考
え
ら
れ
る
。
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
の
現
状
を
み
る
と
、
福
祉
と
経
済
の
両
立
は
可
能
で
あ
り
、
知
業
社
会
で
は
、
む
し
ろ
福
祉
と
経
済
が
相
互
補
完
関
係
に
あ
る
構
図
が
見
え
て
く
る
。
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
国
民
は
、﹁
誰
で
も
、
い
つ
で
も
、
必
要
な
こ
と
﹂
を
学
べ
る
こ
と
が
保
証
さ
れ
て
い
る
。
そ
し
て
、
学
び
続
け
る
こ
と
は
、
そ
れ
自
体
が
楽
し
く
、
喜
び
で
あ
り
、
自
己
実
現
の
手
法
で
あ
る
。
つ
ま
り
、
個
々
の
国
民
は
幸
せ
で
あ
り
、
同
時
に
経
済
の
国
際
競
争
力
も
強
化
出
来
る
、
と
い
う
構
図
で
あ
る
。
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
で
は
、
１
９
９
０
年
代
か
ら
バ
ー
サ
モ
デ
ル
と
言
わ
れ
る
﹁
就
学
前
か
ら
の
起
業
家
精
神
教
育
﹂
を
ス
タ
ー
ト
さ
せ
た
。
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
の
起
業
家
精
神
教
育
は
狭
義
の
起
業
家
教
育
で
は
な
く
、
実
は
知
業
時
代
に
対
応
す
る
広
範
な
教
育
の
意
識
改
革
で
あ
る
。
当
時
の
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
は
、
ソ
連
と
バ
ブ
ル
経
済
の
崩
壊
の
二
重
の
大
打
撃
を
受
け
、
未
曾
有
の
経
済
危
機
に
あ
っ
た
。
そ
の
克
服
の
た
め
に
、
教
育
の
分
野
で
も
、
検
定
教
科
書
制
度
の
廃
止
︵
１
９
９
２
年
︶
や
思
い
切
っ
た
分
権
化
を
含
む
新
学
習
指
導
要
領
の
導
入
︵
１
９
９
４
年
︶
な
ど
が
実
施
さ
れ
た
。
１
９
９
０
年
代
の
教
育
改
革
は
、
①
分
権
化
、
す
な
わ
ち
、
予
算
に
よ
る
管
理
か
ら
目
標
に
よ
る
管
理
へ
の
移
行
、
お
よ
び
②
学
習
到
達
度
や
教
育
の
効
率
の
評
価
シ
ス
テ
ム
の
導
入
を
中
核
と
す
る
大
き
な
変
革
で
あ
っ
た
。
中
央
政
府
は
目
標
の
み
を
設
定
し
て
結
果
を
評
価
し
、
そ
の
方
法
や
具
体
的
な
授
業
の
内
容
は
、
地
方
自
治
体
、
学
校
、
そ
し
て
個
々
の
教
師
に
権
限
が
委
譲
さ
れ
た
の
で
あ
る
。
北
欧
の
初
等
中
等
教
育
の
教
師
を
対
象
に
実
施
さ
れ
た
、
教
師
の
重
要
な
役
割
の
意
識
に
つ
い
て
の
ア
ン
ケ
ー
ト
調
査
で
最
も
重
視
さ
れ
て
い
た
役
割
は
、
生
徒
の
提
案
・
ア
イ
デ
ア
・
イ
ニ
シ
ャ
チ
ブ
を
奨
励
す
る
こ
と
や
自
分
で
責
任
を
負
う
こ
と
を
助
長
す
る
こ
と
で
、
知
識
の
伝
達
は
何
と
最
下
位
で
あ
っ
た
。
教
師
は
あ
く
ま
で
コ
ー
チ
で
あ
り
コ
ー
デ
ィ
ネ
ー
タ
ー
で
あ
る
べ
き
な
の
だ
。
バ
ー
サ
モ
デ
ル
の
具
体
的
な
手
法
は
多
岐
に
わ
た
る
が
、
基
本
的
な
考
え
方
は
、
﹁
教
え
る
教
育
か
ら
学
ぶ
教
育
へ
﹂、﹁
内
容
よ
り
も
方
法
を
重
視
す
る
﹂、﹁
起
業
家
精
神
教
育
と
い
う
特
定
の
科
目
を
作
る
の
で
は
な
く
、
全
て
の
科
目
に
わ
た
っ
て
!
起
業
家
精
神
教
育
"
的
考
え
方
を
導
入
す
る
﹂
な
ど
の
コ
ン
セ
プ
ト
か
ら
な
る
。
そ
し
て
、
主
と
し
て
次
の
三
点
を
主
眼
と
し
た
教
育
を
行
っ
て
い
る
。﹁
自
分
で
考
え
判
断
さ
せ
る
態
度
の
育
成
﹂、﹁
学
ぶ
動
機
の
維
持
﹂、
そ
し
て
﹁
実
社
会
と
の
壁
を
取
り
払
う
こ
と
﹂
で
あ
る
。
こ
の
よ
う
な
、
知
的
財
産
立
国
が
奏
功
し
、
１
９
９
０
年
代
後
半
以
降
の
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
は
驚
く
べ
き
経
済
復
興
を
遂
げ
、
世
界
最
高
水
準
の
経
済
競
争
力
を
持
つ
に
至
っ
た
の
だ
。
た
と
え
ば
、
人
口
が
北
海
道
よ
り
も
少
な
い
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
か
ら
、
世
界
一
の
携
帯
電
話
メ
ー
カ
ー
、
ノ
キ
ア
社
が
生
ま
れ
こ
と
は
よ
く
知
ら
れ
て
い
る
。
北
海
道
で
の
試
行
私
は
東
海
大
学
﹁
知
的
財
産
教
育
﹂
研
究
チ
ー
ム
の
一
員
と
し
て
、
１
９
９
０
年
代
の
半
ば
か
ら
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
の
バ
ー
サ
モ
デ
ル
に
注
目
し
、
道
内
で
初
等
中
等
教
育
に
お
い
て
実
践
研
究
を
行
っ
て
き
た
。
学
校
法
人
東
海
大
学
の
知
的
財
産
教
育
﹁
東
海
モ
デ
ル
﹂
は
、
知
的
財
産
を
生
み
出
す
創
造
性
と
、
そ
れ
を
活
用
す
る
起
業
家
精
神
の
両
方
を
育
成
す
る
目
的
で
実
践
東海大付属自由が丘幼稚園主催のシンポジウム
５７ HOPPOKEN ２００７SPRING VOL．１３９

3. 研
究
を
行
っ
て
い
る
。
全
国
の
付
属
高
校
１４
校
・
中
学
校
６
校
・
小
学
校
１
校
・
幼
稚
園
４
園
す
べ
て
で
毎
年
知
的
財
産
教
育
が
カ
リ
キ
ュ
ラ
ム
に
取
り
入
れ
ら
れ
て
い
る
。中
で
も
札
幌
の
東
海
大
学
付
属
第
四
高
校
お
よ
び
中
等
部
︵
四
中
︶
は
、
学
園
内
の
知
的
財
産
教
育
の
モ
デ
ル
校
に
指
定
さ
れ
て
お
り
、
学
園
の
実
践
研
究
を
リ
ー
ド
し
て
き
た
。
こ
れ
ま
で
四
高
や
四
中
で
実
施
し
た
プ
ロ
ジ
ェ
ク
ト
や
単
元
で
は
以
下
の
よ
う
な
も
の
が
と
く
に
注
目
さ
れ
た
。
・
も
の
づ
く
り
と
学
園
祭
で
の
実
践
販
売
︵
２
０
０
３
︶
・
オ
リ
ジ
ナ
ル
札
幌
ツ
ア
ー
の
企
画
︵
２
０
０
４
︶
・
南
区
活
性
化
プ
ロ
ジ
ェ
ク
ト
︵
２
０
０
５
︶
・
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
か
ら
の
国
際
イ
ン
タ
ー
ン
シ
ッ
プ
生
の
受
け
入
れ
︵
２
０
０
５
︶
・
生
徒
に
よ
る
新
校
舎
プ
ラ
ン
Before&
After
︵
２
０
０
６
︶
北
海
道
庁
は
、
２
０
０
４
︵
平
成
１６
︶、
０５
︵
同
１７
︶
年
度
に
起
業
家
教
育
実
践
研
究
事
業
を
全
道
４２
の
小
中
高
校
で
実
施
し
て
以
下
の
よ
う
な
成
果
を
あ
げ
た
。︵
注
５
︶
﹃
北
海
道
に
お
け
る
起
業
家
教
育
の
実
践
﹄
北
海
道
教
育
委
員
会
、
２
０
０
６
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.
jp/hk/kki/kigyouka.htm
中
学
生
の
ネ
ー
ミ
ン
グ
が
ア
イ
ス
ク
リ
ー
ム
に
採
用
︵
八
雲
町
立
熊
石
第
一
中
︶
高
校
内
で
会
社
の
立
ち
上
げ
︵
下
川
商
業
高
︶
ホ
タ
テ
な
ど
寿
都
の
食
材
を
利
用
し
た
グ
ル
メ
料
理
づ
く
り
︵
寿
都
中
︶
沼
小
ブ
ラ
ン
ド
の
野
菜
づ
く
り︵
沼
田
小
︶
修
学
旅
行
で
Ｊ
Ｒ
札
幌
駅
に
お
け
る
昆
布
の
サ
ン
プ
ル
配
布
︵
厚
岸
中
︶
修
学
旅
行
中
の
企
業
訪
問
︵
羅
臼
中
︶
ス
チ
ュ
ー
デ
ン
ト
シ
ョ
ッ
プ
︵
島
松
小
︶
留
萌
を
ア
ピ
ー
ル
す
る
マ
ス
コ
ッ
ト
づ
く
り
︵
沖
見
小
︶
温
根
湯
温
泉
街
復
活
の
巻
︵
留
辺
蘂
高
︶
下
川
子
ど
も
祭
り
の
企
画
実
施
︵
下
川
小
︶
フ
リ
ー
マ
ー
ケ
ッ
ト
︵
稚
内
東
中
︶
イ
ン
タ
ー
ン
シ
ッ
プ
︵
留
萌
北
光
中
、
沼
田
中
、
寿
都
高
、
熊
石
高
︶
小
中
学
生
の
イ
ン
タ
ー
ン
シ
ッ
プ
の
指
導
︵
下
川
商
業
高
︶
さ
ら
に
、
キ
ッ
ズ
ベ
ン
チ
ャ
ー
事
業
︵
岩
見
沢
市
︶、
小
樽
の
産
業
資
産
を
活
用
し
た
キ
ャ
リ
ア
教
育
な
ど
、
産
業
界
を
中
心
に
教
育
改
革
に
乗
り
出
す
動
き
も
活
発
だ
。札
幌
市
立
幌
南
小
学
校
で
は
﹁
子
供
が
動
く
、
授
業
が
動
く
﹂
を
共
通
テ
ー
マ
に
、
３０
年
も
前
か
ら
問
題
解
決
型
の
学
習
に
取
り
組
み
、
成
果
を
あ
げ
て
い
る
。﹁
幌
南
小
の
学
力
テ
ス
ト
の
結
果
は
伸
び
て
き
て
い
ま
す
。
そ
れ
は
、
計
算
学
習
、
プ
リ
ン
ト
中
心
の
学
習
で
育
て
て
き
た
も
の
で
は
あ
り
ま
せ
ん
。
真
摯
に
問
題
解
決
型
の
学
習
に
取
り
組
ん
で
き
た
成
果
な
の
で
す
﹂。︵
注
６
︶
幌
南
小
学
校
第
３７
回
北
海
道
小
学
校
教
育
研
究
大
会
報
告
書
、
２
０
０
６
私
は
、
こ
れ
ら
の
北
海
道
の
起
業
家
精
フィンランドからの国際インターンシップ生
岩見沢のキッズベンチャー事業計画書
HOPPOKEN ２００７SPRING VOL．１３９５８

4. 神
教
育
の
動
き
に
、
実
は
さ
ら
に
大
き
な
期
待
を
寄
せ
て
い
る
。
日
本
的
一
元
論
の
グ
ロ
ー
バ
ル
な
普
遍
性
教
育
以
外
の
分
野
で
も
、
知
業
社
会
を
構
築
す
る
た
め
に
、
日
本
が
解
決
す
べ
き
問
題
は
山
積
し
て
い
る
が
、
問
題
に
つ
い
て
の
認
識
は
、
個
人
の
レ
ベ
ル
、
地
域
の
レ
ベ
ル
で
確
実
に
高
ま
っ
て
い
る
。
新
た
な
動
き
は
、
二
十
一
世
紀
に
日
本
の
社
会
と
経
済
を
再
起
さ
せ
る
胎
動
と
見
る
べ
き
で
あ
る
。
知
業
社
会
に
お
い
て
、
日
本
発
の
グ
ロ
ー
バ
ル
ス
タ
ン
ダ
ー
ド
を
発
信
す
る
こ
と
も
不
可
能
で
は
な
い
。
東
洋
の
一
元
論
は
西
洋
の
二
元
論
と
比
較
さ
れ
る
。
私
は
、
日
本
的
思
考
の
歴
史
的
な
強
み
は
、
こ
れ
ら
を
統
合
し
て
、
全
体
と
し
て
と
ら
え
る
考
え
方
だ
と
思
う
。
旭
山
動
物
園
の
人
気
の
一
つ
は
﹁
あ
ざ
ら
し
館
﹂
だ
。
小
菅
正
夫
園
長
に
北
欧
の
留
学
生
と
一
緒
に
ご
案
内
頂
い
た
時
、﹁
あ
ざ
ら
し
と
人
間
が
一
体
と
な
り
、
一
緒
に
楽
し
む
発
想
で
す
。
夜
間
見
学
者
が
居
な
く
な
る
と
、
あ
ざ
ら
し
も
つ
ま
ら
な
い
の
で
降
り
て
き
ま
せ
ん
﹂
と
伺
っ
た
。
人
と
動
物
を
一
元
的
に
と
ら
え
る
日
本
的
思
考
で
な
け
れ
ば
浮
か
ば
な
い
発
想
で
あ
ろ
う
。
日
本
に
と
っ
て
、
こ
れ
か
ら
の
チ
ャ
レ
ン
ジ
は
、
二
元
論
的
な
考
え
方
の
限
界
を
超
え
、
一
元
論
的
な
考
え
方
で
新
た
な
﹁
世
界
標
準
﹂
を
創
出
す
る
こ
と
で
は
な
か
ろ
う
か
。
そ
し
て
日
本
離
れ
し
て
い
る
北
海
道
ス
タ
ン
ダ
ー
ド
は
実
は
グ
ロ
ー
バ
ル
ス
タ
ン
ダ
ー
ド
に
近
く
、
一
元
論
的
な
思
考
で
新
た
な
世
界
標
準
を
創
出
す
る
、
と
い
う
日
本
の
新
た
な
挑
戦
で
も
、
北
海
道
は
先
端
的
な
役
割
を
果
た
せ
る
大
き
な
可
能
性
を
も
っ
て
い
る
。
北
海
道
に
お
け
る
起
業
家
精
神
教
育
の
試
行
に
﹁
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
に
学
び
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
を
超
え
る
﹂
大
き
な
期
待
を
持
っ
て
い
る
所
以
で
あ
る
。
参
考
文
献
川
崎
一
彦
等
﹁
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
に
学
ぶ
教
育
と
学
力
﹂︵
明
石
書
店
、
２
０
０
５
︶
川
崎
一
彦
等
﹁
明
日
を
変
え
る
創
造
性
教
育
−
出
る
杭
を
伸
ば
せ
！
−
知
的
財
産
教
育
東
海
大
学
モ
デ
ル
﹂︵
発
明
協
会
、
２
０
０
７
︶
岩見沢でのキッズベンチャー事業から
北海道職人義塾大学校（小樽）での藤田和久氏によるキャリア教育
５９ HOPPOKEN ２００７SPRING VOL．１３９