Successfully reported this slideshow.
We use your LinkedIn profile and activity data to personalize ads and to show you more relevant ads. You can change your ad preferences anytime.

障害者差別解消法のエッセンスと電子書籍に関する技術の社会的意義

1,331 views

Published on

2016年4月1日に障害者差別解消法が施行されます。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai_leaflet.html
 この法律は、民間および公共施設における障害を理由とする差別の解消、合理的配慮の義務もしくは努力義務を求めるものです。
 この法律の施行によって、障害者(視覚・学習等)にたいして教育機関や図書館なども対応が求められるようになります。出版社が知らなければならない障害者差別解消法のエッセンスと対応についてわかりやすく解説してもらいました。

Published in: Law

障害者差別解消法のエッセンスと電子書籍に関する技術の社会的意義

  1. 1. 障害者差別解消法のエッセンスと 電子書籍に関する技術の社会的意義 静岡県立大学 青木千帆子 2016/3/9 JEPAセミナー 青木 1
  2. 2. 障害者差別解消法のエッセンス 22016/3/9 JEPAセミナー 青木
  3. 3. 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法<平成25年法律第65号>)の概要 障害者基本法 第4条 基本原則 差別の禁止 第1項:障害を理由とする 差別等の権利侵害 行為の禁止 第2項:社会的障壁の除去を怠る ことによる権利侵害の防止 第3項:国による啓発・知識の 普及を図るための取組 何人も、障害者に対して、障害 を理由として、差別することそ の他の権利利益を侵害する行為 をしてはならない。 社会的障壁の除去は、それを必要としてい る障害者が現に存し、かつ、その実施に伴 う負担が過重でないときは、それを怠るこ とによつて前項の規定に違反することとな らないよう、その実施について必要かつ合 理的な配慮がされなければならない。 国は、第一項の規定に違反する行為の 防止に関する啓発及び知識の普及を図 るため、当該行為の防止を図るために 必要となる情報の収集、整理及び提供 を行うものとする。 施行日:平成28年4月1日(施行後3年を目途に必要な見直し検討) 具体化 Ⅰ.差別を解消するための措置 Ⅱ.差別を解消するための支援措置 差別的取扱いの禁止 合理的配慮の提供 国・地方公共団体等 民間事業者 民間事業者 国・地方公共団体等 法的義務 努力義務 法的義務 政府全体の方針として、差別の解消の推進に関する基本方針を策定(閣議決定) 具体的な対応 ● 主務大臣による民間事業者に対する報告徴収、助言・指導、勧告実効性の確保 ● 国内外における差別及び差別の解消に向けた取組に関わる情報の収集、整理及び提供情報収集等 ● 相談・紛争解決の体制整備 ⇒ 既存の相談、紛争解決の制度の活用・充実紛争解決・相談 ● 障害者差別解消支援地域協議会における関係機関等の連携地域における連携 ● 普及・啓発活動の実施啓発活動 ※ 地方の策定は努力義務 ● 国・地方公共団体等 ⇒ 当該機関における取組に関する要領を策定※ ● 事業者 ⇒ 事業分野別の指針(ガイドライン)を策定 2016/3/9 JEPAセミナー 青木 3
  4. 4. 障害者差別解消法 基本方針 (内閣府) 対応要領・対応指針 (各府省庁等) ガイドライン (自治体・事業者等) 4 •差別の2類型を定義 •キーワード:「社会的障壁」 「合理的配慮」 「環境の整備」 •政府全体としての方針 •合理的配慮や環境整備に関する基本的 な考え方 •省庁の所管分野ごとのガイドライン •不当な差別的取り扱いや合理的配慮に関 する具体例 •自治体や事業分野ごとのガイドライン •不当な差別的取り扱いや合理的配慮に関 する具体例 ※自治体による策定は努力義務、任意で策定 する事業者団体も http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/kihonhoushin/honbun.html http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/taioyoryo.html http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/taioshishin.html http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html 2016/3/9 JEPAセミナー 青木
  5. 5. 合理的配慮 5 • 個々の場面において、障害者から社会的障壁の 除去を必要としている旨の意思の表明があった 場合に行われる必要かつ合理的な取組であり、 実施に伴う負担が過重でないもの • 社会的障壁の除去のための手段及び方法につ いて、代替措置の選択も含め、建設的対話によ る相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、 柔軟に対応がなされるもの (障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針) 2016/3/9 JEPAセミナー 青木
  6. 6. • 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営 む上で障壁となるような社会における事物、制度、 慣行、観念その他一切のもの(障害者基本法第2条2項) ↓ • 社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合 理的な配慮を的確に行うため、[…]環境の整備に努 めなければならない。(障害者差別解消法第5条) • 障害者から現に社会的障壁の除去を必要としてい る旨の意思の表明があった場合[…]社会的障壁の 除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしな ければならない。(第7条・第8条2項) 社会的障壁 62016/3/9 JEPAセミナー 青木
  7. 7. 例えば・・・ • 障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合に行われる必要かつ合理的な取組であり、実施に伴う負担が 過重でないもの ↓ • 障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の 意思の表明があった場合に行われる必要かつ合理 的な取組であり、実施に伴う負担が過重でないもの ↓ 1. 障害者が困っている時 2. その人の障害に合った必要な工夫や方法を伝え 3. 対応してもらうこと ※費用がかかりすぎる場合は、他のやり方を考えます ✔本来の業務に付随するもの ✔機会の均等を目的とするもの 72016/3/9 JEPAセミナー 青木
  8. 8. 環境の整備 ハード面でのバリアフリー化 情報アクセシビリティ向上 職員に対する研修等 • 合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場 合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、 その都度の合理的配慮の提供ではなく、環境の整備 を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削 減・効率化につながる点は重要である。 (障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針) 82016/3/9 JEPAセミナー 青木
  9. 9. なぜ差別解消法が必要なのか 92016/3/9 JEPAセミナー 青木
  10. 10. 従来の社会保障=結果の平等 年金 医療 費助 成 福祉 サービス 手当 10 健康で文化的な最低 限度の生活を営む 権利を保障 教育や労働の機会に はつながりにくい 2016/3/9 JEPAセミナー 青木
  11. 11. 進学率(%) (文部科学省学校基本調査より)11 56.8 56.7 56.2 55.1 53.8 54.5 3.0 2.8 2.7 2.4 2.1 2.1 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 一般校 特別支援学校 2016/3/9 JEPAセミナー 青木
  12. 12. • 1973年 リハビリテーション法 合理的配慮の概念が導入される • 1981年 国際障害者年「完全参加と平等」 • 1990年 障害のあるアメリカ人法 ↓ • 2006年 障害者権利条約成立 • 2011年 障害者基本法改正 国内法として初めて合理的配慮の概念を規定 • 2013年 障害者差別解消法成立 • 2016年 障害者差別解消法施行 12 機会の均等を保障する政策へと舵が切られた 「今後の課題と思っていま すことは…アクセスの確 保、機会の均等ということ の達成」(1990年6月1日第118回国 会参議員社会労働委員会議事録) 2016/3/9 JEPAセミナー 青木
  13. 13. 電子書籍に関する技術の社会的意義 132016/3/9 JEPAセミナー 青木
  14. 14. JEPA会員の皆様の場合 14 合理的配慮 書籍のアクセシビリティを 確保するための代替手段 電子データの提供 音訳 点訳 環境整備 書籍のアクセシビリティを高 めること 端末のアクセシビリティ ビューアーのアクセシビリティ フォーマットのアクセシビリティ 録音図書の販売・普及 点字・拡大本の販売・普及 読書機会の均等 2016/3/9 JEPAセミナー 青木
  15. 15. 視覚障害者の読書を可能にする技術 点字 音声 活字/墨字 1950年代 点字版 テープレコーダー 1960年代 点字タイプライ ター 1970年代 音声読み上げ機能 1980年代 点字ソフト JEPA設立 1990年代 自動点訳ソフト DAISY 日本語音声読み上げ 機能の成熟 2000年代 2010年代 電子書籍の普及 デ ジ タ ル 化 152016/3/9 JEPAセミナー 青木
  16. 16. 電子書籍のアクセシビリティ対応状況 • 端末の音声読み上げ機能実装:99.7% • フォーマットの音声読み上げ機能対応: 90.8% 16 EPUB リフロー 91% EPUB フィックス 4% XMDF 4% MCC 1% iOS 54% Android 45% Black Berry 1% KANTARWORLDPANEL“SmartphoneOSmarketshare”http://www.kantarworldpanel.com/global/smartphone-os-market-share/ 青木千帆子2016「2015年電子書籍フォーマットのアクセシビリティ対応状況に関する実態調査」http://www.arsvi.com/2010/1602ac2.htm 2016/3/9 JEPAセミナー 青木
  17. 17. 文字 拡大 色の 変更 画面 輝度 音声 有効化 音声 購入 音声 書棚 音声 読み順 音声 文字読 音声位 置指定 Amazon Kindleストア Android ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ - ○ iOS ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ BookLive! Android ○ ○ - ○ ○ - - - - iOS ○ ○ - ○ ○ - - - - BOOK☆ WALKER Android ○ ○ ○ ○ ○ - - - - iOS ○ ○ ○ ○ ○ - - - - Google Play Books Android ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ - ○ iOS ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ - - honto Android ○ ○ ○ ○ ○ ○ - - - iOS ○ ○ ○ ○ ○ - - - - iBook Store iOS ○ ○ ○ ○ ○ ○ 選択行 - - 紀伊國屋書店 Kinoppy Android ○ ○ ○ ○ ○ - - - - iOS ○ ○ ○ ○ ○ - - - - 楽天Kobo Android ○ ○ ○ ○ - ○ - - - iOS ○ ○ ○ ○ - - 選択行 - - 172016/3/9 JEPAセミナー 青木
  18. 18. ビューアーの対応/実装が求められる要素 1. 文字サイズを調整することができる 2. 文字や背景の色を選択することができる 3. 輝度を調整できる 4. 音声読み上げ機能を有効化できる 5. 音声読み上げ機能を用いて、ストアに行き本を購入することがで きる 6. 音声読み上げ機能を用いて、書棚を開き、書籍を選択できる 7. 音声読み上げ機能を用いて、表示されている順序で読むことが できる 8. 音声読み上げ機能を用いて、文字ごとに読み進めることができる 9. 指定した箇所から、音声読み上げ機能を用いて読み進めること ができる 18 既に対応済み 青木千帆子2016「電子書籍ビューアーのアクセシビリティ機能に関する関係者会議報告書」http://www.arsvi.com/2010/1602ac2.htm 2016/3/9 JEPAセミナー 青木
  19. 19. ロングアイランドの橋 • 「The Bowery Boys New York City History: Nostalgia for Astoria Pool, an early Robert Moses project with a high diving, Olympic-sized history」 http://theboweryboys.blogspot.jp/2012/05/nostalgia-for-astoria-pool-early-robert.html(2012年11月15日最終アクセス) • Winner, L. 1986 “ Do Artifacts Have Politics?” The whale and the reactor: a search for limits in an age of high technology. Chicago, University of Chicago Press, 19-39. 192016/3/9 JEPAセミナー 青木
  20. 20. 文献 • 青木千帆子 2016「2015年電子書籍フォーマットのアクセシビリティ対応状況に関する実態 調査」http://www.arsvi.com/2010/1602ac2.htm • 青木千帆子 2016 「電子書籍ビューアーのアクセシビリティ機能に関する関係者会議報告 書」http://www.arsvi.com/2010/1602ac2.htm • 浅川千恵子 2006「IT pro:浅川智恵子のアクセシビリティ論」 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20060920/248534/ • Book Industry Study Group (BISG) 2016“EPUBTEST 0300 -Fundamental Accessible Reading System Tests”http://www.epubtest.org/testsuite/ • KANTAR WORLDPANEL “Smartphone OS market share”http://www.kantarworldpanel.com/global/smartphone-os-market-share/ • 日本点字図書館 2011 「録音図書について」 http://www.nittento.or.jp/about/scene/recording.html • 障害者差別解消法 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html • 障害者差別解消法に関する基本方針 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/kihonhoushin/honbun.html • “The Bowery Boys New York City History: Nostalgia for Astoria Pool, an early Robert Moses project with a high diving, Olympic-sized history” http://theboweryboys.blogspot.jp/2012/05/nostalgia-for-astoria-pool-early-robert.html • 植村 要・山口翔・青木千帆子 2011 「日本におけるスクリーンリーダー開発の歴史と情報保 障」第2回 障害学国際研究セミナー http://www.arsvi.com/2010/1111ukysac-k.pdf • Winner, L. 1986 “ Do Artifacts Have Politics?” The whale and the reactor: a search for limits in an age of high technology. Chicago, University of Chicago Press, 19-39. 202016/3/9 JEPAセミナー 青木

×