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行政の情報化と文字情報基盤
政府CIO補佐官
経済産業省CIO補佐官
平本 健二
取組みの概要
 氏名に使える漢字は約6万文字あり、多くのシステムで外字管理コストが課題であった。
 システム構築を他社に変更できない理由にもなっていて、企業間の競争を阻害していた。
文字情報基盤:IPAmj明朝フォント(漢字58,814文字)
戸籍統一文字(漢字55,270文字)
住民基本台帳ネットワークシステム統一文字(漢字19,563文字)
JIS漢字コード(10,050文字)
常用漢字(2,136文字)
法令、公用文書、新聞、雑誌、放送
等、一般の社会生活において、現
代の国語を書き表す場合の漢字使
用の目安を示す。
実用上の情報交換の必要
性から、出現頻度等を元に
文字を選定
(JISX2013:2004)
戸籍のオンライン手続に使用することを目的として整理
した文字(辞書をベースに整理)
多くの住民が氏名に使う文字を整理
• すべての国民の氏名をコンピュータで扱うことが可能になるよう、無償のフォントを整備し提供
• 日常生活での利便性も確保するため、簡易な文字で代替する対応表を平成26年度中に整備
• マイナンバー導入までに、氏名や法人名を正確に情報交換できる環境が整備完了
渡
渡辺
戸籍や住民票での表記
日常事務での表記
コンピュータ導入時からの課題で、平成9年「行政情報化基本計画(改定)」で方針を閣議決定し
た内容を、平成25年「世界最先端IT国家創造宣言」で、ついに原則化。
導入支援ツールを提供する等により、導入を促進。
文字情報基盤全体像
2
IPAmj明朝
フォント
変体仮名
フォント
文字
情報
一覧
一覧
導入ガイド
テクニカルスタ
ディ
文字
データベース
仕様例縮退マップ
文字 ガイド
支援ツール
導入事例
IPAmj明朝フォント
拡大縮小が自由にできるOpentypeフォーマット
文字の画像ファイルも併せて提供
文字情報一覧表
各種文字コード間の関係や部首などの文字の基本情報を一覧で整理
文字情報基盤導入ガイド
業務によって使うべき文字範囲の例示など基本的方針
文字情報基盤導入テクニカルスタディ
コード化完了までの暫定運用推奨案
文字縮退変換マップ(H26予定)
文字情報基盤からJIS第4水準までの縮退対応表
参考:変体仮名一覧
変体仮名のフォントを提供し、文字情報基盤の運用を補助
導入事例
札幌市等での文字情報基盤導入実証の結果を整理
調達仕様書記載例(H26予定)
調達仕様書への記載例を提示
文字データベース(構築中)
文字をだれでも使いやすくするデータベース
適用業務と文字の範囲(参考)
(*A)必要に応じ、文字情報基盤で整備された文字図形以外の文字図形を、「外字」等として利用すること
が有り得るが、できる限り文字情報基盤の文字範囲に収まるよう、調整することが望ましい。
(*B)市場にある一般的情報機器の対応状況に応じ、変化する。
(*C)JIS X 0213範囲以外の文字については、図形イメージによる表示、伝送を検討する。
(*D)JIS X 0213範囲以外の文字については、表示を図形イメージによるものとするほか、Web上に漢字
入力を支援するサービスを設けることを検討する。
(*) IVS(字形選択子)を使用するシステムでは文字情報基盤で整備した全ての文字(約6万文字図形)
を区別可能。使用しないシステムでは約5万文字図形を区別可能。
普及セミナー
歴史
年 発行主体等 内容
1978(S53) 日本規格協会 JIS C 6226 「情報交換用漢字符号系」
1994(H6) 法務省 戸籍事務の電算化開始
1997(H9) 閣議決定 「行政情報化推進基本計画(改定)」JIS3,4水準制定により解消。残る外字の交換ルール策定。
2000(H12) 日本規格協会 JIS X0213 「情報交換用符号化拡張漢字集合」(JIS第3,4水準)
2002(H14) 総務省 住民基本台帳ネットワーク統一文字
2002(H14) 経済産業省他 汎用電子情報交換環境整備プログラム開始(戸籍、住民基本台帳ネットワーク、登記を検証)
2003(H15) IT戦略本部決定 「e-Japan 戦 略 Ⅱ」公開用文字情報データベースの構築。文字コード規格を整備。
2004(H16) 法務省 戸籍統一文字(戸籍手続オンラインシステムの構築のための標準仕様書)
2005(H17) IT戦略本部決定 「IT 政策パッケージ-2005」
2008(H20) IT戦略本部決定 「IT政策ロードマップ」
2010(H22) 経済産業省、IPA 文字情報基盤プロジェクト開始
2011(H23) IT戦略本部決定 「電子行政推進に関する基本方針」文字情報基盤の活用
2011(H23) 経済産業省、IPA 文字情報基盤プロジェクト成果公開 IPAmj明朝フォント、文字情報対応表
2013(H25) 閣議決定 「世界最先端IT国家創造宣言」文字情報基盤を原則
2014(H26) 総務省 「電子自治体の取組みを加速するための10の指針」
2014(H26) CIO連絡会議 「電子行政分野におけるオープンな利用環境整備に向けたアクションプラン」
導入ガイドの活用、縮退マップの整備
導入の促進
 文字情報基盤を知らない人への普及
 ユーザへの普及
• パンフレットによる普及、戦略などを通じた普及、ベンダを通じた普及、講演
 ベンダへの普及(特に住民情報系システム、校務系システムベンダ)
• 積極的なプッシュ営業
 文字情報基盤を知っている人への普及
• 導入ガイド等による導入の促進
• 文字情報基盤未対応ベンダに困る自治体の相談対応
市販フォント
独自プラット
フォーム
既存のフォ
ント
Unicode対応
プラット
フォーム
外字 外字
IPA
mj
対
応
表
他システムとの連携不可 他システムとの連携可
従来 今後
オープンな利用環境整備のためのアクションプラン
 政府の情報提供基盤の抜本的な改革。
表面的な改革でなく、基盤から整理し、2020年に機動的にサービスを創出する環境を実現
5
Web用の政策関連情報
データ
カタログ
文字
用語
コード
ドメイン
ルール 標準化・共通化した基盤
・基本情報の共通化
・持続的に発展可能な標準の採用
・設計・開発の共通化
新たな利便性の高いサービス
・情報の組み合わせ
・プロセスの見直し
・APIを通じた民間サービス開発
府省の
web
サイト
テーマ別
の
web
サイト
民間のweb
サイト
調達
・制度
情報等の
改革
組み合わせ自由な素材群
・情報構造の共通化
・見出しデータの共通化
・重要な情報の集積
ハードウェア・基盤ソフト(共通プラットフォーム)
サービス
政府のサービス、民間のサービス
コンテンツ
ガバナンス
従来は統一方針なく
独自サービスを構築
アクションプランでは基盤から積み上げるので
サービス構築、連携、更新が容易
未整理
未整理

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2014.05.27 行政電子化と文字情報基盤