2019年のGoogleの動きについてまとめたレポート。彼らのビジネスの動向をstatistaのデータ等を元に整理しています。

1. Google2019
report

2. 2019年のサマリーと2020年に向けた動き
• 創業者であるラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリンの退任、ピチャイのアルファベットCEO就任や、
DeepMind共同創業者のGoogle AI Labへの異動でGoogleはAIドリブンなビジネスを加速。
• 機械学習のツールや、コンテナ技術の提供により、企業向けのクラウドソリューション提供に注⼒。
LookerをはじめとするSaaS企業の買収や、⼤⼿ITベンダーの⼈材採⽤を強化。
• ユーザーデータの収集およびデバイス販売による収益源の分散化の観点からPixel、Nest hubを販売。
Fitbitの買収により、今後ウェアラブルへの進出とそこから得られるデータを活⽤した医療ビジネスへ
の進出が予測される。
• サービスからダイレクトに販売に結びつけるユーザー導線を作り、マージンを得るといったビジネス
モデルを加速。Google TravelはExpediaやTrip Advisorのビジネスと競合、Google Shopping、Google Lens、
Google Assistantは検索結果からダイレクトに販売サイトにつなぐことでアマゾンと競合。
• Stadiaというコンソールレスのサブスクリプション型ゲームプラットフォームの提供を開始。今後ソ
ニー、任天堂、MSに対抗できるサービスになるか。
• ロボタクシーのWaymo Oneがサービスインし、今後⽶国で利⽤拡⼤する可能性あり。
• 量⼦コンピューターの研究開発チームが量⼦超越性を実現。実⽤化に向けた動きが進む。
• ⽶欧における独禁法対応が増す⼀⽅で、対中国の関係で国家安全保障の観点から⽶国政府もGoogleに
働きかけ。武⼒に関わるプロジェクトに関与しない形で⽶国国防省のプロジェクトにも再度参⼊か。

3. ラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリンのCEO退任 • サンダー・ピチャイがCEOに
• Deep MindのMustafa SuleymanがGoogle の
AI Labに
AI中⼼の経営体制へ
• ラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリンがCEOを退任することで彼らは今後⼆⼈は
よりGoogle X(社会課題解決のためのムーンショットプロジェクト)に注⼒する
形になるか。
• ピチャイの体制のもとでDeep Mindと Google Brainの融合がさらに進み、AIの
サービス実装が進む可能性が⾼い。

6. 5年でX２.３

10. Googleビジネスを動かす7つのドライビングフォース
1. デバイスとAIソフトウェアの統合
2. 広告・アプリ・ペイメントに加え、ダイレクト販売へ
3. エンタープライズクラウドのビジネス加速
4. エンターテイメントビジネスのサブスクリプション化
5. ロボタクシーサービスの拡⼤
6. 量⼦コンピュータの実⽤化へ
7. 各国政府との緊張関係

11. 1.デバイスとAIソフトウェアの統合

12. デバイス＋AIソフトウェアの垂直
統合モデル
ウェアラブルへの参⼊＋健康データ
のAIによる医療分野での活⽤
Pixel４ Nest Hub Fitbit買収
Transcribe
(⾳声＋テキスト)
Google Assistant
（⾳声解析）
Deep Mindによる医療データの機械学習Google Lens
（画像解析）
Duplex
（⾳声＋⾃動化）

13. VRのデバイスDaydreamは終了 Google maps でARを利⽤した道案内
を導⼊。
VRからARにXR技術の軸をシフトし、実⽣活での利⽤を進める。

16. 2.広告・アプリ・ペイメントに加え、
ダイレクト販売へ

17. 広告でなくダイレクトにショッピングサイトとつなぎ、マージン
を得るビジネスモデルが多様化
ウェブECサイト・広告
から購⼊
Google Assistantを⾳声
で購⼊
Google Lensで撮った写真
から購⼊
ユーザーの様々なタッチポイントから商品購⼊へ

18. ユーザーの旅⾏をサポートするGoogle TravelやGoogle Mapsで
の交通混雑情報、レストラン情報等の充実が他社サービスに
とって脅威に。
Google TravelはExpedia等の
旅⾏サイトの脅威に。
Google MapsがYelp等のグ
ルメサイトの脅威に。
Google Mapsは到着時間予測、
混雑状況も表⽰。他の路線
検索サイトの脅威に。
⾃社プラットフォームで他社より優れたUXを提供。

19. ⽉約800億アクセス

22. ⽇本の広告費の約２.７倍

24. Apple Payの2分の１まで
成⻑予測

25. 3.エンタープライズクラウドのビ
ジネス加速

26. LookerAnthos
エンタープライズ向けクラウドサービス
• オンプレミスや他社のクラウドも含
めた開発環境を実現し、ハイブリッ
ドクラウド、マルチクラウドに対応。
• コンテナ技術やマイクロサービス化
を容易に。
• データをビジュアライズするソフト
ウェア（ビジネスインテリジェンス
ツール）のLookerを買収。
• GCP上のデータと連携させて分析可能
にすることでシナジーを狙う。

29. 4.エンターテイメントビジネスの
サブスクリプション化

30. Stadia Youtube music
ゲーム・⾳楽・動画サブスクリプション
• Spotifyを意識したUIで⾳楽スト
リーミングサービスを開始
• Youtube Premiumは、⽉980円で広
告なしでYoutubeも⾒放題に。
• ゲーム版のNetflixとも呼ばれるスト
リーミング型ゲームサービス。
• ⽉10ドルでゲームが無制限にプレイ
できるプランと、30ドル〜60ドルで
１タイトルを買い切るプランが存在。

33. 5.ロボタクシーサービスの拡⼤

34. • Waymo OneはGoogle PlayだけでなくiOSでもアプリダウンロードが可能に
• アリゾナ州フェニックスで⽉間1500件の利⽤
• 間も無く完全なドライバーレスになるとのメールが顧客に展開
• ⾃動運転トラックはカリフォルニア、アリゾナ、ジョージア、アトランタ
で実証が進む
⾃動運転

36. 6.量⼦コンピュータの実⽤化へ

37. Googleが量⼦超越性を実現
＜利⽤イメージ＞
• 複雑な最適化問題。最⼩限のエネルギー消費、最短の時間で荷物を配送する⽅法などを計算。そうした問題に対処すれば、コ
ストを削減でき、環境の保護にもつながる可能性がある。
• 乱数を発⽣させることで、暗号技術を強化。Googleの量⼦チームは、現在のSycamoreコンピューター⽤に既に開発している乱
数発⽣器を使うよう、同社の暗号化キー⽣成チームに伝えている。
• 偽の政治的動画など、リアルとフェイクを⾒分けるといった処理が得意な機械学習システムを構築。Googleの研究者も量⼦コ
ンピューティングの可能性が実⽤される最初の分野になるかもしれないと考えている。
• 分⼦レベルで素材の物理特性をシミュレーション。ソーラーパネルの効率化や、少ないエネルギー消費で窒素肥料を⽣産できる
新技術の開発、電気⾃動⾞⽤バッテリーの改善などにつながるとして、おそらく最も注⽬されている分野。
この成果により量⼦コンピューターの実⽤化に向けた⼀歩が踏み出された形に。

39. 7.各国政府との緊張関係

40. ＜⽶国＞
• トランプによる政治的な情報に関するGoogle検索結果にバイアスがかかっているので
はないかとの指摘
• ⽶国では司法省だけでなく50州で独占禁⽌法の調査を実施。
• Googleが中国政府に技術協⼒していないかとの批判
＜欧州＞
• EUはオンライン広告の不正な敢⾏を理由に14億9000万ユーロを制裁⾦として課徴。
(2019/3)
• フランスがテック企業に課税。加えて2005年から2013年の課税逃れを理由に9億6500
万ユーロを⽀払い要求。(2019/9)
＜中国＞
• 政府の中国禁輸政策に呼応してHuaweiに対するアンドロイドのアップデートを停⽌、
Huaweiは独⾃OSを開発。
• Googleは本制裁がセキュリティ上の課題を増加させる可能性に関する懸念を表明。
• Googleによるオンラインビジネスの独占に対する制裁が⽶欧で展開。
• 中国のデジタルデバイスに関する貿易摩擦に加え、国家安全保障に関する懸念を背景に
GoogleはHuaweiに対するOSアップデートを⾃粛する⼀⽅で、社員の反対を受けていた国
防省のプロジェクトに復帰する可能性もあり。
Googleの⽶欧中政府との摩擦

44. テック企業のビザ発⾏拒否はコ
ンサル、⼤⼿ITベンダー、銀⾏
等に⽐べれば限定的か。