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東京電力株式会社福島第一、
第二原子力
発電所事故による原子力損害の範囲の
判定等に関する中間指針第四次追補
(避
難指示の長期化等に係る損害について)
平 成 2 5 年 1 2 月 2 6 日
原 子 力 損 害 賠 償 紛 争 審 査 会
1
第 1 は じ め に
1 現 状
原 子 力 損 害 賠 償 紛 争 審 査 会
( 以 下
「 本 審 査 会 」
と い う 。
)
は 、
平 成 2 3 年 8 月 5 日 に 決 定 ・ 公 表 し た 「 東 京 電 力 株 式 会 社 福
島 第 一 、 第 二 原 子 力 発 電 所 事 故 に よ る 原 子 力 損 害 の 範 囲 の 判
定 等 に 関 す る 中 間 指 針 」
( 以 下 「 中 間 指 針 」 と い う 。
) に お い
て 、 政 府 に よ る 避 難 等 の 指 示 等 に 係 る 損 害 の 範 囲 に 関 す る 考
え 方 を 示 し た 。 ま た 、 政 府 ( 原 子 力 災 害 対 策 本 部 ) が 、 平 成
2 3 年 9 月 3 0 日 に 緊 急 時 避 難 準 備 区 域 を 解 除 し 、 同 年 1 2
月 2 6 日 に は 「 ス テ ッ プ 2 の 完 了 を 受 け た 警 戒 区 域 及 び 避 難
指 示 区 域 の 見 直 し に 関 す る 基 本 的 考 え 方 及 び 今 後 の 検 討 課 題
に つ い て 」 を 新 た に 決 定 し 従 来 の 避 難 指 示 区 域 を 見 直 す と し
た こ と 等 を 踏 ま え 、
「 東 京 電 力 株 式 会 社 福 島 第 一 、第 二 原 子 力
発 電 所 事 故 に よ る 原 子 力 損 害 の 範 囲 の 判 定 等 に 関 す る 中 間 指
針 第 二 次 追 補 ( 政 府 に よ る 避 難 区 域 等 の 見 直 し 等 に 係 る 損 害
に つ い て )
」
( 以 下「 第 二 次 追 補 」と い う 。
)を 平 成 2 4 年 3 月
1 6 日 に 決 定 ・ 公 表 し た 。
そ の 後 、 平 成 2 5 年 8 月 に は 、 す べ て の 避 難 指 示 対 象 市 町
村 に お い て 、 避 難 指 示 区 域 の 見 直 し が 完 了 し た 。 新 た な 3 つ
の 避 難 指 示 区 域 の う ち 、 居 住 制 限 区 域 及 び 避 難 指 示 解 除 準 備
区 域 に つ い て は 、 区 域 内 へ の 自 由 な 立 入 り が 可 能 と な っ た ほ
か 、 復 旧 ・ 復 興 ・ 帰 還 に 向 け 、 除 染 実 施 計 画 や イ ン フ ラ 復 旧
工 程 表 に 基 づ き 除 染 や イ ン フ ラ 復 旧 等 が 進 め ら れ る と と も に 、
企 業 の 営 業 活 動 も 一 部 再 開 さ れ て い る 。 ま た 、 除 染 や イ ン フ
ラ 復 旧 等 が 進 捗 し た 一 部 の 区 域 に お い て は 、 住 民 の 帰 還 に 向
け た 準 備 の た め に 特 例 宿 泊 も 実 施 さ れ て お り 、 避 難 指 示 の 解
除 に 向 け た 検 討 が 始 ま っ て い る 。
一 方 、 帰 還 困 難 区 域 に つ い て は 、 将 来 に わ た っ て 居 住 を 制
限 す る こ と が 原 則 と さ れ て お り 、
区 域 内 の 立 入 り は 制 限 さ れ 、
本 格 的 な 除 染 や イ ン フ ラ 復 旧 等 は 実 施 さ れ て お ら ず 、 現 段 階
2
で は 避 難 指 示 解 除 ま で の 見 通 し す ら 立 た な い 状 況 で あ り 、 避
難 指 示 が 長 期 化 す る こ と が 想 定 さ れ る 。 こ の よ う に 長 期 間 の
避 難 を 余 儀 な く さ れ る 住 民 に 対 し て は 、 住 居 確 保 の た め の 原
発 避 難 者 向 け 災 害 公 営 住 宅 の 整 備 や 町 外 コ ミ ュ ニ テ ィ の 整 備
が 進 め ら れ て い る 。 ま た 、 帰 還 困 難 区 域 の 住 民 へ の ア ン ケ ー
ト 調 査 に よ る と 、 帰 還 ま で の 間 、 区 域 外 の 持 ち 家 で 居 住 す る
こ と を 希 望 し て い る 住 民 も 多 い 。
以 上 の よ う な 状 況 の 中 、
避 難 を 余 儀 な く さ れ て い る 住 民 は 、
具 体 的 な 生 活 再 建 を 図 ろ う と し て い る が 、 特 に 築 年 数 の 経 過
し た 住 宅 に 居 住 し て い た 住 民 に お い て は 、 第 二 次 追 補 で 示 し
た 財 物 と し て の 住 宅 の 賠 償 金 額 が 低 額 と な り 、 帰 還 の 際 の 修
繕 ・ 建 替 え や 長 期 間 の 避 難 等 の た め の 他 所 で の 住 宅 の 取 得 が
で き な い と い う 問 題 が 生 じ て い る 。 ま た 、 長 期 間 の 避 難 等 の
た め に 他 所 へ 移 住 す る 場 合 に は 、 従 前 よ り も 相 対 的 に 地 価 単
価 の 高 い 地 域 に 移 住 せ ざ る を 得 な い 場 合 が あ る こ と か ら 、 移
住 先 の 土 地 を 取 得 で き な い と い う 問 題 も 生 じ て い る 。
さ ら に 、 本 格 的 な 除 染 や イ ン フ ラ 復 旧 等 が 行 わ れ ず 避 難 指
示 の 解 除 の 見 通 し が 立 た な い 状 況 で 事 故 後 6 年 後 を 大 き く 超
え る 長 期 避 難 が 見 込 ま れ る 帰 還 困 難 区 域 等 の 住 民 か ら は 、 将
来 の 生 活 に 見 通 し を つ け る た め 、 避 難 指 示 解 除 の 見 通 し が つ
か ず 避 難 が 長 期 化 す る 場 合 の 精 神 的 損 害 等 に 係 る 賠 償 の 考 え
方 を 示 す こ と が 求 め ら れ て い る 。
2 基 本 的 考 え 方
上 記 で 述 べ た 避 難 指 示 区 域 の 状 況 を 踏 ま え 、 こ の 度 の 中 間
指 針 第 四 次 追 補( 以 下「 本 指 針 」と い う 。
)に お い て は 、避 難
指 示 区 域 に お い て 避 難 指 示 解 除 後 に 避 難 費 用 及 び 精 神 的 損 害
が 賠 償 の 対 象 と な る 相 当 期 間 の 具 体 的 な 期 間 、 新 た な 住 居 の
確 保 の た め に 要 す る 費 用 の う ち 賠 償 の 対 象 と な る 範 囲 及 び 避
難 指 示 が 長 期 化 し た 場 合 に 賠 償 の 対 象 と な る 範 囲 に つ い て 、
こ れ ま で 示 し て き た 指 針 に 加 え 、 現 時 点 で 可 能 な 範 囲 で 損 害
3
の 範 囲 等 を 示 す こ と と し 、 今 後 の 迅 速 、 公 平 か つ 適 正 な 賠 償
の 実 施 に よ る 被 害 者 救 済 に 資 す る も の と す る 。
な お 、 本 審 査 会 の 指 針 に お い て 示 さ れ な か っ た も の が 直 ち
に 賠 償 の 対 象 と な ら な い と い う も の で は な く 、 個 別 具 体 的 な
事 情 に 応 じ て 相 当 因 果 関 係 の あ る 損 害 と 認 め ら れ る も の は 、
指 針 で 示 さ れ て い な い も の も 賠 償 の 対 象 と な る 。 ま た 、 本 指
針 で 示 す 損 害 額 の 算 定 方 法 が 他 の 合 理 的 な 算 定 方 法 の 採 用 を
排 除 す る も の で は な い 。 東 京 電 力 株 式 会 社 に は 、 被 害 者 か ら
の 賠 償 請 求 を 真 摯 に 受 け 止 め 、 本 審 査 会 の 指 針 で 賠 償 の 対 象
と 明 記 さ れ て い な い 損 害 に つ い て も 個 別 の 事 例 又 は 類 型 毎 に 、
指 針 の 趣 旨 を 踏 ま え 、 か つ 、 当 該 損 害 の 内 容 に 応 じ て 、 そ の
全 部 又 は 一 定 の 範 囲 を 賠 償 の 対 象 と す る 等 、 合 理 的 か つ 柔 軟
な 対 応 と 同 時 に 被 害 者 の 心 情 に も 配 慮 し た 誠 実 な 対 応 が 求 め
ら れ る 。
さ ら に 、 東 京 電 力 株 式 会 社 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 及 び 福 島
第 二 原 子 力 発 電 所 に お け る 事 故 ( 以 下 「 本 件 事 故 」 と い う 。
)
に よ る 被 害 は 極 め て 広 範 か つ 多 様 で あ り 、 被 害 者 一 人 一 人 の
損 害 が 賠 償 さ れ た と し て も 、被 災 地 に お け る 生 活 環 境 、産 業・
雇 用 等 の 復 旧 ・ 復 興 が な け れ ば 、 被 害 者 の 生 活 再 建 を 図 る こ
と は 困 難 で あ る 。 こ の た め 、 本 審 査 会 と し て も 、 東 京 電 力 株
式 会 社 の 誠 実 な 対 応 に よ る 迅 速 、 公 平 か つ 適 正 な 賠 償 の 実 施
に 加 え 、 被 害 者 が 帰 還 し た 地 域 や 移 住 先 に お け る 生 活 や 事 業
の 再 建 に 向 け 、 就 業 機 会 の 増 加 や 就 労 支 援 、 農 林 漁 業 を 含 む
事 業 の 再 開 や 転 業 等 の た め の 支 援 、 被 災 地 に お け る 医 療 、 福
祉 サ ー ビ ス 等 の 充 実 な ど 、 政 府 等 に よ る 復 興 施 策 等 が 着 実 に
実 施 さ れ る こ と を 求 め る 。
4
第 2 政 府 に よ る 避 難 指 示 等 に 係 る 損 害 に つ い て
1 避 難 費 用 及 び 精 神 的 損 害
中 間 指 針 第 3 の [ 損 害 項 目 ] の 2 の 避 難 費 用 及 び 6 の 精 神
的 損 害 は 、 中 間 指 針 及 び 第 二 次 追 補 で 示 し た も の の ほ か 、 次
の と お り と す る 。
( 指 針 )
Ⅰ ) 避 難 指 示 区 域 の 第 3 期 に お い て 賠 償 す べ き 精 神 的 損 害
の 具 体 的 な 損 害 額 に つ い て は 、 避 難 者 の 住 居 が あ っ た 地
域 に 応 じ て 、 以 下 の と お り と す る 。
① 帰 還 困 難 区 域 又 は 大 熊 町 若 し く は 双 葉 町 の 居 住 制 限
区 域 若 し く は 避 難 指 示 解 除 準 備 区 域 に つ い て は 、
第 二 次
追 補 で 帰 還 困 難 区 域 に つ い て 示 し た 一 人 6 0 0 万 円 に
一 人 1 ,0 0 0 万 円 を 加 算 し 、 右 6 0 0 万 円 を 月 額 に 換
算 し た 場 合 の 将 来 分
( 平 成 2 6 年 3 月 以 降 )
の 合 計 額
( た
だ し 、 通 常 の 範 囲 の 生 活 費 の 増 加 費 用 を 除 く 。
) を 控 除
し た 金 額 を 目 安 と す る 。具 体 的 に は 、第 3 期 の 始 期 が 平
成 2 4 年 6 月 の 場 合 は 、
加 算 額 か ら 将 来 分 を 控 除 し た 後
の 額 は 7 0 0 万 円 と す る 。
② ① 以 外 の 地 域 に つ い て は 、
引 き 続 き 一 人 月 額 1 0 万 円
を 目 安 と す る 。
Ⅱ )後 記 2 の Ⅰ )及 び Ⅱ )で 示 す 住 居 確 保 に 係 る 損 害 の 賠 償
を 受 け る 者 の 避 難 費 用( 生 活 費 増 加 費 用 及 び 宿 泊 費 等 )が
賠 償 の 対 象 と な る 期 間 は 、特 段 の 事 情 が な い 限 り 、住 居 確
保 に 係 る 損 害 の 賠 償 を 受 け る こ と が 可 能 に な っ た 後 、
他 所
で 住 居 を 取 得 又 は 賃 借 し 、転 居 す る 時 期 ま で と す る 。た だ
し 、合 理 的 な 時 期 ま で に 他 所 で 住 居 を 取 得 又 は 賃 借 し 、転
居 し な い 者 に つ い て は 、 合 理 的 な 時 期 ま で と す る 。
Ⅲ )
中 間 指 針 に お い て 避 難 費 用 及 び 精 神 的 損 害 が 特 段 の 事 情
が あ る 場 合 を 除 き 賠 償 の 対 象 と は な ら な い と し て い る
「 避
難 指 示 等 の 解 除 等 か ら 相 当 期 間 経 過 後 」の「 相 当 期 間 」は 、
5
( 備 考 )
1 ) Ⅰ ) に つ い て 、 帰 還 困 難 区 域 は 、 避 難 区 域 見 直 し 時 、 将
来 に わ た っ て 居 住 を 制 限 す る こ と を 原 則 と し 、 依 然 と し て
住 民 等 の 立 入 り が 制 限 さ れ て お り 、 か つ 、 本 格 的 な 除 染 や
住 民 帰 還 の た め の イ ン フ ラ 復 旧 等 を 実 施 す る 計 画 す ら 策 定
さ れ て い な い 。 こ の た め 、 現 在 に お い て も 避 難 指 示 解 除 及
び 帰 還 の 見 通 し す ら 立 た ず 、 避 難 指 示 が 事 故 後 6 年 後 を 大
き く 超 え て 長 期 化 す る こ と が 見 込 ま れ る 。 ま た 、 大 熊 町 及
び 双 葉 町 は 、町 の 大 半( 人 口 の 96% )が 帰 還 困 難 区 域 で あ
っ て 、 人 口 、 主 要 イ ン フ ラ 及 び 生 活 関 連 サ ー ビ ス の 拠 点 が
帰 還 困 難 区 域 に 集 中 し て お り 、 居 住 制 限 区 域 又 は 避 難 指 示
解 除 準 備 区 域 で あ っ て も 、 帰 還 困 難 区 域 の 地 域 の 避 難 指 示
が 解 除 さ れ な い 限 り 住 民 の 帰 還 は 困 難 で あ る た め 、 帰 還 困
難 区 域 と 同 様 に 避 難 指 示 解 除 及 び 帰 還 の 見 通 し す ら 立 っ て
い な い と 認 め ら れ る 。
こ れ ら の 地 域 に 居 住 し て い た 住 民 の 精 神 的 損 害 の 内 容 は 、
理 論 的 に は 最 終 的 に 帰 還 が 可 能 と な る か 否 か に よ っ て 異 な
る と 考 え ら れ る が 、 ① 長 期 間 の 避 難 の 後 、 最 終 的 に 帰 還 が
可 能 か 否 か 、 ま た 、 帰 還 可 能 な 場 合 で も い つ そ の 見 通 し が
立 つ か を 判 断 す る こ と が 困 難 で あ る こ と 、 ② 現 在 も 自 由 に
立 入 り が で き ず 、 ま た 、 除 染 計 画 や イ ン フ ラ 復 旧 計 画 等 が
な く 帰 還 の 見 通 し が 立 た な い 状 況 に お い て は 、 仮 に 長 期 間
経 過 後 に 帰 還 が 可 能 と な っ た と し て も 、 帰 還 が 不 能 な た め
に 移 住 を 余 儀 な く さ れ た と し て 扱 う こ と も 合 理 的 と 考 え ら
れ る こ と 、 ③ こ れ ら の 被 害 者 が 早 期 に 生 活 再 建 を 図 る た め
に は 、 見 通 し の つ か な い 避 難 指 示 解 除 の 時 期 に 依 存 し な い
賠 償 が 必 要 と 考 え ら れ る こ と 等 か ら 、 最 終 的 に 帰 還 す る か
否 か を 問 わ ず 、
「 長 年 住 み 慣 れ た 住 居 及 び 地 域 が 見 通 し の つ
避 難 指 示 区 域 に つ い て は 、1 年 間 を 当 面 の 目 安 と し 、個 別
の 事 情 も 踏 ま え 柔 軟 に 判 断 す る も の と す る 。
6
か な い 長 期 間 に わ た っ て 帰 還 不 能 と な り 、 そ こ で の 生 活 の
断 念 を 余 儀 な く さ れ た 精 神 的 苦 痛 等 」 を 一 括 し て 賠 償 す る
こ と と し た 。
2 ) Ⅰ ) ① の 対 象 地 域 に つ い て は 、 本 指 針 決 定 後 、 被 害 者 の
東 京 電 力 株 式 会 社 に 対 す る Ⅰ ) ① に 基 づ く 損 害 賠 償 請 求 が
可 能 に な る と 見 込 ま れ る 、 平 成 2 6 年 3 月 時 点 に お け る 状
況 を 踏 ま え て 判 断 す る こ と と し 、 仮 に 、 そ れ ま で の 間 に 区
域 が 見 直 さ れ た り 、 帰 還 困 難 区 域 で あ っ て も 除 染 計 画 や イ
ン フ ラ 復 旧 計 画 等 が 整 い 帰 還 の 見 通 し が 明 ら か に な っ た り
す る な ど 、
上 記 1 )
で 述 べ た 状 況 に 変 更 が あ っ た 場 合 に は 、
そ の 変 更 さ れ た 状 況 に 応 じ て 判 断 す る も の と す る 。 な お 、
大 熊 町 又 は 双 葉 町 に 隣 接 し 、 帰 還 困 難 区 域 の 境 界 が 人 口 密
度 の 比 較 的 高 い 町 内 の 地 域 を 横 切 っ て い る 富 岡 町 及 び 浪 江
町 に お い て は 、 帰 還 困 難 区 域 に 隣 接 す る 高 線 量 地 域 ( 区 域
見 直 し 時 、 年 間 積 算 線 量 が 5 0 ミ リ シ ー ベ ル ト 超 と さ れ た
地 域 ) の 取 扱 い に つ い て 、 警 戒 区 域 解 除 後 の 区 域 見 直 し の
経 緯 、 除 染 等 に よ る 線 量 低 減 の 見 通 し 等 個 別 の 事 情 を 踏 ま
え 、 柔 軟 に 判 断 す る こ と が 考 え ら れ る 。
3 ) Ⅰ ) ① の 加 算 額 の 算 定 に 当 た っ て は 、 過 去 の 裁 判 例 及 び
死 亡 慰 謝 料 の 基 準 等 も 参 考 に し た 上 で 、 避 難 指 示 が 事 故 後
1 0 年 を 超 え た 場 合 の 避 難 に 伴 う 精 神 的 損 害 額 ( 生 活 費 増
加 費 用 は 含 ま な い 。
) の 合 計 額 を 十 分 に 上 回 る 金 額 と し た 。
ま た 、 第 二 次 追 補 に お い て 、 長 期 に わ た っ て 帰 還 で き な い
こ と に よ る 損 害 額 を 5 年 分 の 避 難 に 伴 う 慰 謝 料 と し て 一 律
に 算 定 し て い る こ と か ら 、 こ の う ち 、 平 成 2 6 年 3 月 以 降
に 相 当 す る 部 分 は 、
「 長 年 住 み 慣 れ た 住 居 及 び 地 域 が 見 通 し
の つ か な い 長 期 間 に わ た っ て 帰 還 不 能 と な り 、 そ こ で の 生
活 の 断 念 を 余 儀 な く さ れ た 精 神 的 苦 痛 等 」 に 包 含 さ れ る と
考 え ら れ る た め 、そ の 分 を 加 算 額 か ら 控 除 す る こ と と し た 。
な お 、 本 金 額 は 、 被 害 者 の 被 災 地 で の 居 住 年 数 等 を 問 わ ず
Ⅰ ) ① の 対 象 者 全 員 に 一 律 に 支 払 う 損 害 額 を 目 安 と し て 示
7
す も の で あ り 、 個 別 具 体 的 な 事 情 に よ り こ れ を 上 回 る 金 額
が 認 め ら れ 得 る 。
4 ) Ⅰ ) ② の 対 象 者 に つ い て 、 精 神 的 損 害 の 具 体 的 な 損 害 額
の 合 計 額 は 、 避 難 指 示 解 除 ま で の 期 間 が 長 期 化 し た 場 合 に
は 、
賠 償 の 対 象 と な る 期 間 に 応 じ て 増 加 す る が 、
そ の 場 合 、
最 大 で も Ⅰ ) ① の 対 象 者 の 損 害 額 の 合 計 額 ま で を 概 ね の 目
安 と し 、 仮 に 合 計 額 が 当 該 目 安 に 達 す る 蓋 然 性 が 高 ま っ た
場 合 に は 、 後 記 2 の Ⅰ ) で 示 す 住 居 確 保 に 係 る 損 害 の 賠 償
を 受 け る こ と が 考 え ら れ る 。
5 )Ⅱ )に つ い て 、
「 合 理 的 な 時 期 」と は 、例 え ば 、Ⅰ )① の
対 象 者 に つ い て は 、 原 発 避 難 者 向 け 災 害 公 営 住 宅 の 整 備 が
進 捗 し 、 希 望 者 が 当 該 住 宅 に 転 居 す る こ と が 可 能 に な る と
想 定 さ れ る 事 故 後 6 年 後 ま で を 目 安 と す る こ と が 考 え ら れ
る 。
6 ) Ⅲ ) に つ い て 、 既 に 除 染 や イ ン フ ラ 復 旧 等 が 進 捗 し 、 避
難 指 示 解 除 が 検 討 さ れ て い る 区 域 の 現 状 を 踏 ま え 、 ① 避 難
生 活 が 長 期 に わ た り 、 帰 還 す る に は 相 応 の 準 備 期 間 が 必 要
で あ る こ と 、 ② 例 え ば 学 校 の 新 学 期 な ど 生 活 の 節 目 と な る
時 期 に 帰 還 す る こ と が 合 理 的 で あ る こ と 、 ③ 避 難 指 示 の 解
除 は 、 平 成 2 3 年 1 2 月 の 原 子 力 災 害 対 策 本 部 決 定 に 基 づ
き 、 日 常 生 活 に 必 須 な イ ン フ ラ や 生 活 関 連 サ ー ビ ス が 概 ね
復 旧 し た 段 階 に お い て 、 子 供 の 生 活 環 境 を 中 心 と す る 除 染
作 業 の 十 分 な 進 捗 を 考 慮 し て 、 県 、 市 町 村 及 び 住 民 と 十 分
な 協 議 を 行 う こ と と な っ て い る こ と 、 ④ こ う し た 住 民 と の
協 議 に よ り 、 住 民 と し て も 解 除 時 期 を 予 想 し て 避 難 指 示 解
除 前 か ら あ る 程 度 の 帰 還 の た め の 準 備 を 行 う こ と が 可 能 で
あ る こ と 等 を 考 慮 し た 上 で 、 当 面 の 目 安 を 1 年 間 と し た 。
た だ し 、 こ の 「 1 年 間 」 と い う 期 間 は 、 避 難 指 示 解 除 が 検
討 さ れ て い る 区 域 の 現 状 を 踏 ま え て 当 面 の 目 安 と し て 示 す
も の で あ り 、 今 後 、 避 難 指 示 解 除 の 状 況 が 異 な る な ど 、 状
況 に 変 更 が 生 じ た 場 合 は 、 実 際 の 状 況 を 勘 案 し て 柔 軟 に 判
8
断 し て い く こ と が 適 当 で あ る 。ま た 、相 当 期 間 経 過 後 の「 特
段 の 事 情 が あ る 場 合 」 に つ い て は 、 第 二 次 追 補 で 示 し た も
の の ほ か 、 帰 還 に 際 し て 従 前 の 住 居 の 修 繕 等 を 要 す る 者 に
関 し て は 業 者 の 選 定 や 修 繕 等 の 工 事 に 実 際 に 要 す る 期 間 、
工 事 等 の サ ー ビ ス の 需 給 状 況 等 を 考 慮 す る 等 、 個 別 具 体 的
な 事 情 に 応 じ て 柔 軟 に 判 断 す る こ と が 適 当 で あ る 。
そ の 際 、
避 難 費 用 に つ い て は 、 個 別 の 事 情 に 応 じ た よ り 柔 軟 な 対 応
を 行 う こ と が 適 当 で あ る 。
7 ) Ⅲ ) に つ い て 、 精 神 的 損 害 に つ い て は 、 第 二 次 追 補 で 示
し た と お り 、 多 数 の 避 難 者 に 対 し て 速 や か か つ 公 平 に 賠 償
す る た め 、 避 難 指 示 の 解 除 後 相 当 期 間 経 過 前 に 帰 還 し た 場
合 で あ っ て も 、 原 則 と し て 、 個 々 の 避 難 者 が 実 際 に ど の 時
点 で 帰 還 し た か を 問 わ ず 、 当 該 相 当 期 間 経 過 の 時 点 を 一 律
の 終 期 と し て 損 害 額 を 算 定 す る こ と が 合 理 的 で あ る 。
8 ) Ⅲ ) に つ い て 、 営 業 損 害 及 び 就 労 不 能 損 害 の 終 期 は 、 中
間 指 針 及 び 第 二 次 追 補 で 示 し た と お り 、 避 難 指 示 の 解 除 、
同 解 除 後 相 当 期 間 の 経 過 、 避 難 指 示 の 対 象 区 域 へ の 帰 還 等
に よ っ て 到 来 す る も の で は な く 、 そ の 判 断 に 当 た っ て は 、
基 本 的 に は 被 害 者 が 従 来 と 同 等 の 営 業 活 動 を 営 む こ と が 可
能 と な っ た 日 を 終 期 と す る こ と が 合 理 的 で あ り 、 避 難 指 示
解 除 後 の 帰 還 に よ り 損 害 が 継 続 又 は 発 生 し た 場 合 に は 、 そ
れ ら の 損 害 も 賠 償 の 対 象 と な る と 考 え ら れ る 。
2 住 居 確 保 に 係 る 損 害
( 指 針 )
Ⅰ ) 前 記 1 の Ⅰ ) ① の 賠 償 の 対 象 者 で 従 前 の 住 居 が 持 ち 家 で
あ っ た 者 が 、 移 住 又 は 長 期 避 難 ( 以 下 「 移 住 等 」 と い う 。
)
の た め に 負 担 し た 以 下 の 費 用 は 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ
る 。
① 住 宅( 建 物 で 居 住 部 分 に 限 る 。
)取 得 の た め に 実 際 に 発
9
生 し た 費 用( た だ し 、③ に 掲 げ る 費 用 を 除 く 。以 下 同 じ 。
)
と 本 件 事 故 時 に 所 有 し 居 住 し て い た 住 宅 の 事 故 前 価 値
( 第 二 次 追 補 第 2 の 4 の 財 物 価 値 を い う 。以 下 同 じ 。
)と
の 差 額 で あ っ て 、 事 故 前 価 値 と 当 該 住 宅 の 新 築 時 点 相 当
の 価 値 と の 差 額 の 75% を 超 え な い 額
② 宅 地( 居 住 部 分 に 限 る 。以 下 同 じ 。
)取 得 の た め に 実 際
に 発 生 し た 費 用( た だ し 、③ に 掲 げ る 費 用 を 除 く 。
)と 事
故 時 に 所 有 し て い た 宅 地 の 事 故 前 価 値 ( 第 二 次 追 補 第 2
の 4 の 財 物 価 値 を い う 。 以 下 同 じ 。
) と の 差 額 。 た だ し 、
所 有 し て い た 宅 地 面 積 が 400 ㎡ 以 上 の 場 合 に は 当 該 宅 地
の 400 ㎡ 相 当 分 の 価 値 を 所 有 し て い た 宅 地 の 事 故 前 価 値
と し 、 取 得 し た 宅 地 面 積 が 福 島 県 都 市 部 の 平 均 宅 地 面 積
以 上 で あ る 場 合 に は 福 島 県 都 市 部 の 平 均 宅 地 面 積 ( た だ
し 、 所 有 し て い た 宅 地 面 積 が こ れ よ り 小 さ い 場 合 は 所 有
し て い た 宅 地 面 積 ) を 取 得 し た 宅 地 面 積 と し 、 取 得 し た
宅 地 価 格 が 高 額 な 場 合 に は 福 島 県 都 市 部 の 平 均 宅 地 面 積
( た だ し 、 所 有 し て い た 宅 地 面 積 が こ れ よ り 小 さ い 場 合
は 所 有 し て い た 宅 地 面 積 ) に 福 島 県 都 市 部 の 平 均 宅 地 単
価 を 乗 じ た 額 を 取 得 し た 宅 地 価 格 と し て 算 定 す る 。
③ ① 及 び ② に 伴 う 登 記 費 用 、 消 費 税 等 の 諸 費 用
Ⅱ ) 前 記 1 の Ⅰ ) ① の 賠 償 の 対 象 者 以 外 で 避 難 指 示 区 域 内 の
従 前 の 住 居 が 持 ち 家 で あ っ た 者 で 、 移 住 等 を す る こ と が 合
理 的 で あ る と 認 め ら れ る 者 が 、
移 住 等 の た め に 負 担 し た Ⅰ )
① 及 び Ⅰ )③ の 費 用 並 び に Ⅰ )② の 金 額 の 75% に 相 当 す る
費 用 は 、 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。
Ⅲ ) Ⅰ ) 又 は Ⅱ ) 以 外 で 従 前 の 住 居 が 持 ち 家 だ っ た 者 が 、 避
難 指 示 が 解 除 さ れ た 後 に 帰 還 す る た め に 負 担 し た 以 下 の 費
用 は 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。
① 事 故 前 に 居 住 し て い た 住 宅 の 必 要 か つ 合 理 的 な 修 繕 又
は 建 替 え( 以 下「 修 繕 等 」と い う 。
)の た め に 実 際 に 発 生
し た 費 用( た だ し 、③ に 掲 げ る 費 用 を 除 く 。
)と 当 該 住 宅
10
( 備 考 )
1 ) Ⅰ ) に つ い て 、 前 記 1 の Ⅰ ) ① の 精 神 的 損 害 が 賠 償 の 対
象 と な る 地 域 は 、 避 難 指 示 解 除 時 期 の 見 通 し す ら 立 た な い
状 況 で あ り 、 本 件 事 故 時 に 当 該 地 域 に 居 住 し て い た 避 難 者
は 、 移 住 等 を 行 う こ と が 必 要 と 認 め ら れ る 。
2 )Ⅱ )に つ い て 、
「 移 住 等 を す る こ と が 合 理 的 と 認 め ら れ る
場 合 」 と は 、 例 え ば 、 帰 還 し て も 営 業 再 開 や 就 労 の 見 通 し
が 立 た な い た め 避 難 指 示 の 解 除 前 に 新 し い 生 活 を 始 め る こ
と が 合 理 的 と 認 め ら れ る 場 合 、 現 在 受 け て い る 医 療 ・ 介 護
が 中 断 等 さ れ る こ と に よ り 帰 還 が 本 人 や 家 族 の 医 療 ・ 介 護
に 悪 影 響 を 与 え る 場 合 、 避 難 先 に お け る 生 活 環 境 を 変 化 さ
せ る こ と が 子 供 の 心 身 に 悪 影 響 を 与 え る 場 合 等 が 考 え ら れ
る 。
3 ) Ⅰ ) ① 、 Ⅱ ) 及 び Ⅲ ) ① に つ い て 、 特 に 築 年 数 の 経 過 し
た 住 宅 の 事 故 前 価 値 が 減 価 償 却 に よ り 低 い 評 価 と な ら ざ る
を 得 な い こ と を 考 慮 し 、公 共 用 地 取 得 の 際 の 補 償 額( 築 48
年 の 木 造 建 築 物 で あ っ て も 新 築 時 点 相 当 の 価 値 の 5 割 程 度
の 事 故 前 価 値 と の 差 額 で あ っ て 、 事 故 前 価 値 と 当 該 住 宅
の 新 築 時 点 相 当 の 価 値 と の 差 額 の 75% を 超 え な い 額
② 必 要 か つ 合 理 的 な 建 替 え の た め に 要 し た 当 該 住 居 の 解
体 費 用
③ ① 及 び ② に 伴 う 登 記 費 用 、 消 費 税 等 の 諸 費 用
Ⅳ ) 従 前 の 住 居 が 避 難 指 示 区 域 内 の 借 家 で あ っ た 者 が 、 移 住
等 又 は 帰 還 の た め に 負 担 し た 以 下 の 費 用 は 賠 償 す べ き 損 害
と 認 め ら れ る 。
① 新 た に 借 家 に 入 居 す る た め に 負 担 し た 礼 金 等 の 一 時 金
② 新 た な 借 家 と 従 前 の 借 家 と の 家 賃 の 差 額 の 8 年 分
Ⅴ ) Ⅰ ) な い し Ⅳ ) の 賠 償 の 対 象 と な る 費 用 の 発 生 の 蓋 然 性
が 高 い と 客 観 的 に 認 め ら れ る 場 合 に は 、 こ れ ら の 費 用 を 事
前 に 概 算 で 請 求 す る こ と が で き る も の と す る 。
11
を 補 償 ) を 上 回 る 水 準 で 賠 償 さ れ る こ と が 適 当 と 考 え ら れ
る 。
4 ) Ⅰ ) ② 及 び Ⅱ ) に つ い て 、 避 難 者 が 実 際 に 避 難 し て い る
地 域 や 移 住 等 を 希 望 す る 地 域 が 、 従 前 の 住 居 が あ る 地 域 に
比 し て 地 価 単 価 の 高 い 福 島 県 都 市 部 で あ る 場 合 が 多 い こ と
か ら 、 移 住 等 に 当 た っ て 、 移 住 等 の 先 の 宅 地 取 得 費 用 が 所
有 し て い た 宅 地 の 事 故 前 価 値 を 超 え る 場 合 が 多 く 生 じ 得 る
こ と を 考 慮 し た 。 所 有 し て い た 宅 地 面 積 の 基 準 は 、 福 島 県
の 平 均 宅 地 面 積 を 考 慮 し 400 ㎡ と し た 。 ま た 、「 福 島 県 都
市 部 の 平 均 宅 地 面 積 」
及 び
「 福 島 県 都 市 部 の 平 均 宅 地 単 価 」
は 、 福 島 市 、 会 津 若 松 市 、 郡 山 市 、 い わ き 市 、 二 本 松 市 及
び 南 相 馬 市 に つ い て 、 専 門 機 関 に 委 託 し て 調 査 し た 結 果 、
当 面 は 250 ㎡ 及 び 38,000 円 /㎡ を 目 安 と す る こ と が 考 え ら
れ る 。
5 ) Ⅱ ) に つ い て 、 対 象 と な る 地 域 は 居 住 制 限 区 域 及 び 避 難
指 示 解 除 準 備 区 域 で あ り 、 避 難 指 示 の 解 除 等 に よ り 土 地 の
価 値 が 回 復 し 得 る こ と を 考 慮 し た 。
6 ) Ⅲ ) に つ い て 、 建 替 え の 必 要 性 を 客 観 的 に 判 断 す る に 当
た っ て は 、 管 理 不 能 に 伴 う 雨 漏 り 、 動 物 の 侵 入 、 カ ビ の 増
殖 等 の 事 態 を 受 け 、 建 替 え を 希 望 す る と い う 避 難 者 の 意 向
に も 十 分 に 配 慮 し て 柔 軟 に 判 断 す る こ と が 求 め ら れ る 。 そ
の た め 、 例 え ば 、 木 造 建 築 物 に あ っ て は 、 雨 漏 り 、 動 物 の
侵 入 、 カ ビ の 増 殖 等 に よ り 、 建 物 の 床 面 積 又 は 部 屋 数 の 過
半 が 著 し く 汚 損 し て い る と 認 め ら れ る 場 合 は 建 替 え を 認 め
る 等 の 客 観 的 な 基 準 に よ り 判 断 す る こ と が 妥 当 で あ る と 考
え ら れ る 。
7 ) Ⅳ ) に つ い て 、 避 難 者 が 実 際 に 避 難 し て い る 地 域 や 移 住
等 を 希 望 す る 地 域 が 、 従 前 の 住 居 が あ る 地 域 に 比 し て 地 価
単 価 の 高 い 福 島 県 都 市 部 で あ る 場 合 が 多 い こ と か ら 、 移 住
等 に 当 た っ て 、 移 住 等 の 先 の 借 家 の 家 賃 等 が 事 故 前 に 賃 借
し て い た 借 家 の 家 賃 等 を 超 え る 場 合 が 多 く 生 じ 得 る こ と を
12
考 慮 し 、 公 共 用 地 取 得 の 際 の 補 償 を 上 回 る 水 準 で 賠 償 さ れ
る こ と が 適 当 と 考 え ら れ る 。 差 額 が 賠 償 の 対 象 と な る 「 新
た な 借 家 の 家 賃 」 と は 、 前 記 1 の Ⅰ ) ① の 賠 償 の 対 象 者 、
及 び 前 記 1 の Ⅰ ) ② の 賠 償 の 対 象 者 で あ っ て 移 住 等 を す る
こ と が 合 理 的 で あ る と 認 め ら れ る 者 に つ い て は 、 本 件 事 故
時 に 居 住 し て い た 借 家 の 面 積 等 に 応 じ た 福 島 県 都 市 部 の 平
均 的 な 家 賃 を 上 回 る 場 合 に は 当 該 平 均 的 家 賃 と し 、 帰 還 の
際 に 従 前 の 借 家 へ の 入 居 が 不 可 能 で あ る 者 に つ い て は 、 本
件 事 故 時 に 居 住 し て い た 借 家 の 面 積 等 に 応 じ た 被 災 地 周 辺
の 平 均 的 な 家 賃 を 上 回 る 場 合 に は 当 該 平 均 的 家 賃 と す る 。
8 ) Ⅴ ) に つ い て 、 住 居 確 保 に 係 る 損 害 は 、 原 則 と し て 、 現
実 に 費 用 が 発 生 し な い 限 り は 賠 償 の 対 象 と は な ら な い が 、
避 難 者 の 早 期 の 生 活 再 建 を 期 す る た め 、 東 京 電 力 株 式 会 社
に は 、 例 え ば 、 Ⅰ ) 又 は Ⅱ ) の 対 象 と な る 者 に つ い て は 、
移 住 等 の 蓋 然 性 が 高 い と 客 観 的 に 認 め ら れ る 場 合 や 住 宅 を
取 得 せ ず 借 家 に 移 住 等 を す る 場 合 、 Ⅲ ) の 対 象 と な る 者 に
つ い て は 、 従 前 の 住 居 の 修 繕 等 の 蓋 然 性 が 高 い と 客 観 的 に
認 め ら れ る 場 合 や 帰 還 が 遅 れ る 場 合 に は 、 移 住 等 の 先 で の
住 居 の 取 得 費 用 や 修 繕 等 の 費 用 が 実 際 に 発 生 し て い な く て
も 、 移 住 等 の 先 の 平 均 的 な 土 地 価 格 や 工 事 費 の 見 積 り 額 等
を 参 考 に し て 事 前 に 概 算 で 賠 償 し 、 事 後 に 調 整 す る 等 の 柔
軟 か つ 合 理 的 な 対 応 が 求 め ら れ る 。
9 ) Ⅰ ) 及 び Ⅱ ) の 賠 償 の 対 象 者 が 、 移 住 等 の 後 に 従 前 の 居
住 場 所 に 帰 還 す る 場 合 、 帰 還 に 必 要 な 事 故 前 に 居 住 し て い
た 住 宅 の 修 繕 、 建 替 え 費 用 等 に つ い て は 、 特 段 の 事 情 の な
い 限 り 、 移 住 等 の 先 の 宅 地 及 び 住 宅 の 価 値 等 に よ っ て 清 算
す る こ と が 考 え ら れ る 。
1 0 ) 被 害 者 が 移 住 等 の 先 を 決 め る に 当 た っ て は 、 営 業 や 就
労 に 関 す る 条 件 が 大 き な 判 断 要 素 と な る と 考 え ら れ 、 移 住
等 の 場 合 、 移 住 等 の 先 に お い て 営 業 又 は 就 労 を 行 う こ と が
期 待 さ れ る ほ か 、 移 住 等 を 要 し な い 場 合 で あ っ て も 、 避 難
13
先 に お い て 営 業 又 は 就 労 の 再 開 に 向 け た 努 力 が 期 待 さ れ る
と 考 え ら れ る 。 こ れ ま で 必 ず し も 将 来 の 生 活 に 見 通 し を つ
け る こ と が で き ず 、 営 業 又 は 就 労 を 再 開 し て い な か っ た 者
も 、 移 住 等 の 先 又 は 避 難 先 に お い て 、 営 業 又 は 就 労 の 再 開
に 向 け た 努 力 が 期 待 さ れ る 。
な お 、 移 住 等 の 先 や 避 難 先 で の 営 農 や 営 業 に つ い て は 、
こ れ ま で の 指 針 に お い て 、 逸 失 利 益 や 財 物 の 賠 償 に 加 え 、
事 業 に 支 障 が 生 じ た た め に 負 担 し た 追 加 的 費 用 や 事 業 へ の
支 障 を 避 け る た め 又 は 事 業 を 変 更 し た た め に 生 じ た 追 加 的
費 用 と し て 、 商 品 や 営 業 資 産 の 廃 棄 費 用 、 事 業 拠 点 の 移 転
費 用 、 営 業 資 産 の 移 動 ・ 保 管 費 用 等 も 、 必 要 か つ 合 理 的 な
範 囲 で 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め て い る 。 事 業 者 の 多 様 性 等 に
鑑 み れ ば 、 こ れ ら に つ い て 一 律 の 基 準 を 示 す こ と は 困 難 で
あ る た め 、 東 京 電 力 株 式 会 社 に お い て は 、 被 害 者 が 移 住 等
の 先 や 避 難 先 で 営 農 や 営 業 を 再 開 し 生 活 再 建 を 図 る た め 、
農 地 や 事 業 拠 点 の 移 転 等 を 行 う 場 合 、 当 該 移 転 等 に 要 す る
追 加 的 費 用 に 係 る 賠 償 に つ い て も 、 損 害 の 内 容 に 応 じ た 柔
軟 か つ 合 理 的 な 対 応 が 求 め ら れ る 。
( 以 上 )

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今村ニュース2014

  • 2. 1 第 1 は じ め に 1 現 状 原 子 力 損 害 賠 償 紛 争 審 査 会 ( 以 下 「 本 審 査 会 」 と い う 。 ) は 、 平 成 2 3 年 8 月 5 日 に 決 定 ・ 公 表 し た 「 東 京 電 力 株 式 会 社 福 島 第 一 、 第 二 原 子 力 発 電 所 事 故 に よ る 原 子 力 損 害 の 範 囲 の 判 定 等 に 関 す る 中 間 指 針 」 ( 以 下 「 中 間 指 針 」 と い う 。 ) に お い て 、 政 府 に よ る 避 難 等 の 指 示 等 に 係 る 損 害 の 範 囲 に 関 す る 考 え 方 を 示 し た 。 ま た 、 政 府 ( 原 子 力 災 害 対 策 本 部 ) が 、 平 成 2 3 年 9 月 3 0 日 に 緊 急 時 避 難 準 備 区 域 を 解 除 し 、 同 年 1 2 月 2 6 日 に は 「 ス テ ッ プ 2 の 完 了 を 受 け た 警 戒 区 域 及 び 避 難 指 示 区 域 の 見 直 し に 関 す る 基 本 的 考 え 方 及 び 今 後 の 検 討 課 題 に つ い て 」 を 新 た に 決 定 し 従 来 の 避 難 指 示 区 域 を 見 直 す と し た こ と 等 を 踏 ま え 、 「 東 京 電 力 株 式 会 社 福 島 第 一 、第 二 原 子 力 発 電 所 事 故 に よ る 原 子 力 損 害 の 範 囲 の 判 定 等 に 関 す る 中 間 指 針 第 二 次 追 補 ( 政 府 に よ る 避 難 区 域 等 の 見 直 し 等 に 係 る 損 害 に つ い て ) 」 ( 以 下「 第 二 次 追 補 」と い う 。 )を 平 成 2 4 年 3 月 1 6 日 に 決 定 ・ 公 表 し た 。 そ の 後 、 平 成 2 5 年 8 月 に は 、 す べ て の 避 難 指 示 対 象 市 町 村 に お い て 、 避 難 指 示 区 域 の 見 直 し が 完 了 し た 。 新 た な 3 つ の 避 難 指 示 区 域 の う ち 、 居 住 制 限 区 域 及 び 避 難 指 示 解 除 準 備 区 域 に つ い て は 、 区 域 内 へ の 自 由 な 立 入 り が 可 能 と な っ た ほ か 、 復 旧 ・ 復 興 ・ 帰 還 に 向 け 、 除 染 実 施 計 画 や イ ン フ ラ 復 旧 工 程 表 に 基 づ き 除 染 や イ ン フ ラ 復 旧 等 が 進 め ら れ る と と も に 、 企 業 の 営 業 活 動 も 一 部 再 開 さ れ て い る 。 ま た 、 除 染 や イ ン フ ラ 復 旧 等 が 進 捗 し た 一 部 の 区 域 に お い て は 、 住 民 の 帰 還 に 向 け た 準 備 の た め に 特 例 宿 泊 も 実 施 さ れ て お り 、 避 難 指 示 の 解 除 に 向 け た 検 討 が 始 ま っ て い る 。 一 方 、 帰 還 困 難 区 域 に つ い て は 、 将 来 に わ た っ て 居 住 を 制 限 す る こ と が 原 則 と さ れ て お り 、 区 域 内 の 立 入 り は 制 限 さ れ 、 本 格 的 な 除 染 や イ ン フ ラ 復 旧 等 は 実 施 さ れ て お ら ず 、 現 段 階
  • 3. 2 で は 避 難 指 示 解 除 ま で の 見 通 し す ら 立 た な い 状 況 で あ り 、 避 難 指 示 が 長 期 化 す る こ と が 想 定 さ れ る 。 こ の よ う に 長 期 間 の 避 難 を 余 儀 な く さ れ る 住 民 に 対 し て は 、 住 居 確 保 の た め の 原 発 避 難 者 向 け 災 害 公 営 住 宅 の 整 備 や 町 外 コ ミ ュ ニ テ ィ の 整 備 が 進 め ら れ て い る 。 ま た 、 帰 還 困 難 区 域 の 住 民 へ の ア ン ケ ー ト 調 査 に よ る と 、 帰 還 ま で の 間 、 区 域 外 の 持 ち 家 で 居 住 す る こ と を 希 望 し て い る 住 民 も 多 い 。 以 上 の よ う な 状 況 の 中 、 避 難 を 余 儀 な く さ れ て い る 住 民 は 、 具 体 的 な 生 活 再 建 を 図 ろ う と し て い る が 、 特 に 築 年 数 の 経 過 し た 住 宅 に 居 住 し て い た 住 民 に お い て は 、 第 二 次 追 補 で 示 し た 財 物 と し て の 住 宅 の 賠 償 金 額 が 低 額 と な り 、 帰 還 の 際 の 修 繕 ・ 建 替 え や 長 期 間 の 避 難 等 の た め の 他 所 で の 住 宅 の 取 得 が で き な い と い う 問 題 が 生 じ て い る 。 ま た 、 長 期 間 の 避 難 等 の た め に 他 所 へ 移 住 す る 場 合 に は 、 従 前 よ り も 相 対 的 に 地 価 単 価 の 高 い 地 域 に 移 住 せ ざ る を 得 な い 場 合 が あ る こ と か ら 、 移 住 先 の 土 地 を 取 得 で き な い と い う 問 題 も 生 じ て い る 。 さ ら に 、 本 格 的 な 除 染 や イ ン フ ラ 復 旧 等 が 行 わ れ ず 避 難 指 示 の 解 除 の 見 通 し が 立 た な い 状 況 で 事 故 後 6 年 後 を 大 き く 超 え る 長 期 避 難 が 見 込 ま れ る 帰 還 困 難 区 域 等 の 住 民 か ら は 、 将 来 の 生 活 に 見 通 し を つ け る た め 、 避 難 指 示 解 除 の 見 通 し が つ か ず 避 難 が 長 期 化 す る 場 合 の 精 神 的 損 害 等 に 係 る 賠 償 の 考 え 方 を 示 す こ と が 求 め ら れ て い る 。 2 基 本 的 考 え 方 上 記 で 述 べ た 避 難 指 示 区 域 の 状 況 を 踏 ま え 、 こ の 度 の 中 間 指 針 第 四 次 追 補( 以 下「 本 指 針 」と い う 。 )に お い て は 、避 難 指 示 区 域 に お い て 避 難 指 示 解 除 後 に 避 難 費 用 及 び 精 神 的 損 害 が 賠 償 の 対 象 と な る 相 当 期 間 の 具 体 的 な 期 間 、 新 た な 住 居 の 確 保 の た め に 要 す る 費 用 の う ち 賠 償 の 対 象 と な る 範 囲 及 び 避 難 指 示 が 長 期 化 し た 場 合 に 賠 償 の 対 象 と な る 範 囲 に つ い て 、 こ れ ま で 示 し て き た 指 針 に 加 え 、 現 時 点 で 可 能 な 範 囲 で 損 害
  • 4. 3 の 範 囲 等 を 示 す こ と と し 、 今 後 の 迅 速 、 公 平 か つ 適 正 な 賠 償 の 実 施 に よ る 被 害 者 救 済 に 資 す る も の と す る 。 な お 、 本 審 査 会 の 指 針 に お い て 示 さ れ な か っ た も の が 直 ち に 賠 償 の 対 象 と な ら な い と い う も の で は な く 、 個 別 具 体 的 な 事 情 に 応 じ て 相 当 因 果 関 係 の あ る 損 害 と 認 め ら れ る も の は 、 指 針 で 示 さ れ て い な い も の も 賠 償 の 対 象 と な る 。 ま た 、 本 指 針 で 示 す 損 害 額 の 算 定 方 法 が 他 の 合 理 的 な 算 定 方 法 の 採 用 を 排 除 す る も の で は な い 。 東 京 電 力 株 式 会 社 に は 、 被 害 者 か ら の 賠 償 請 求 を 真 摯 に 受 け 止 め 、 本 審 査 会 の 指 針 で 賠 償 の 対 象 と 明 記 さ れ て い な い 損 害 に つ い て も 個 別 の 事 例 又 は 類 型 毎 に 、 指 針 の 趣 旨 を 踏 ま え 、 か つ 、 当 該 損 害 の 内 容 に 応 じ て 、 そ の 全 部 又 は 一 定 の 範 囲 を 賠 償 の 対 象 と す る 等 、 合 理 的 か つ 柔 軟 な 対 応 と 同 時 に 被 害 者 の 心 情 に も 配 慮 し た 誠 実 な 対 応 が 求 め ら れ る 。 さ ら に 、 東 京 電 力 株 式 会 社 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 及 び 福 島 第 二 原 子 力 発 電 所 に お け る 事 故 ( 以 下 「 本 件 事 故 」 と い う 。 ) に よ る 被 害 は 極 め て 広 範 か つ 多 様 で あ り 、 被 害 者 一 人 一 人 の 損 害 が 賠 償 さ れ た と し て も 、被 災 地 に お け る 生 活 環 境 、産 業・ 雇 用 等 の 復 旧 ・ 復 興 が な け れ ば 、 被 害 者 の 生 活 再 建 を 図 る こ と は 困 難 で あ る 。 こ の た め 、 本 審 査 会 と し て も 、 東 京 電 力 株 式 会 社 の 誠 実 な 対 応 に よ る 迅 速 、 公 平 か つ 適 正 な 賠 償 の 実 施 に 加 え 、 被 害 者 が 帰 還 し た 地 域 や 移 住 先 に お け る 生 活 や 事 業 の 再 建 に 向 け 、 就 業 機 会 の 増 加 や 就 労 支 援 、 農 林 漁 業 を 含 む 事 業 の 再 開 や 転 業 等 の た め の 支 援 、 被 災 地 に お け る 医 療 、 福 祉 サ ー ビ ス 等 の 充 実 な ど 、 政 府 等 に よ る 復 興 施 策 等 が 着 実 に 実 施 さ れ る こ と を 求 め る 。
  • 5. 4 第 2 政 府 に よ る 避 難 指 示 等 に 係 る 損 害 に つ い て 1 避 難 費 用 及 び 精 神 的 損 害 中 間 指 針 第 3 の [ 損 害 項 目 ] の 2 の 避 難 費 用 及 び 6 の 精 神 的 損 害 は 、 中 間 指 針 及 び 第 二 次 追 補 で 示 し た も の の ほ か 、 次 の と お り と す る 。 ( 指 針 ) Ⅰ ) 避 難 指 示 区 域 の 第 3 期 に お い て 賠 償 す べ き 精 神 的 損 害 の 具 体 的 な 損 害 額 に つ い て は 、 避 難 者 の 住 居 が あ っ た 地 域 に 応 じ て 、 以 下 の と お り と す る 。 ① 帰 還 困 難 区 域 又 は 大 熊 町 若 し く は 双 葉 町 の 居 住 制 限 区 域 若 し く は 避 難 指 示 解 除 準 備 区 域 に つ い て は 、 第 二 次 追 補 で 帰 還 困 難 区 域 に つ い て 示 し た 一 人 6 0 0 万 円 に 一 人 1 ,0 0 0 万 円 を 加 算 し 、 右 6 0 0 万 円 を 月 額 に 換 算 し た 場 合 の 将 来 分 ( 平 成 2 6 年 3 月 以 降 ) の 合 計 額 ( た だ し 、 通 常 の 範 囲 の 生 活 費 の 増 加 費 用 を 除 く 。 ) を 控 除 し た 金 額 を 目 安 と す る 。具 体 的 に は 、第 3 期 の 始 期 が 平 成 2 4 年 6 月 の 場 合 は 、 加 算 額 か ら 将 来 分 を 控 除 し た 後 の 額 は 7 0 0 万 円 と す る 。 ② ① 以 外 の 地 域 に つ い て は 、 引 き 続 き 一 人 月 額 1 0 万 円 を 目 安 と す る 。 Ⅱ )後 記 2 の Ⅰ )及 び Ⅱ )で 示 す 住 居 確 保 に 係 る 損 害 の 賠 償 を 受 け る 者 の 避 難 費 用( 生 活 費 増 加 費 用 及 び 宿 泊 費 等 )が 賠 償 の 対 象 と な る 期 間 は 、特 段 の 事 情 が な い 限 り 、住 居 確 保 に 係 る 損 害 の 賠 償 を 受 け る こ と が 可 能 に な っ た 後 、 他 所 で 住 居 を 取 得 又 は 賃 借 し 、転 居 す る 時 期 ま で と す る 。た だ し 、合 理 的 な 時 期 ま で に 他 所 で 住 居 を 取 得 又 は 賃 借 し 、転 居 し な い 者 に つ い て は 、 合 理 的 な 時 期 ま で と す る 。 Ⅲ ) 中 間 指 針 に お い て 避 難 費 用 及 び 精 神 的 損 害 が 特 段 の 事 情 が あ る 場 合 を 除 き 賠 償 の 対 象 と は な ら な い と し て い る 「 避 難 指 示 等 の 解 除 等 か ら 相 当 期 間 経 過 後 」の「 相 当 期 間 」は 、
  • 6. 5 ( 備 考 ) 1 ) Ⅰ ) に つ い て 、 帰 還 困 難 区 域 は 、 避 難 区 域 見 直 し 時 、 将 来 に わ た っ て 居 住 を 制 限 す る こ と を 原 則 と し 、 依 然 と し て 住 民 等 の 立 入 り が 制 限 さ れ て お り 、 か つ 、 本 格 的 な 除 染 や 住 民 帰 還 の た め の イ ン フ ラ 復 旧 等 を 実 施 す る 計 画 す ら 策 定 さ れ て い な い 。 こ の た め 、 現 在 に お い て も 避 難 指 示 解 除 及 び 帰 還 の 見 通 し す ら 立 た ず 、 避 難 指 示 が 事 故 後 6 年 後 を 大 き く 超 え て 長 期 化 す る こ と が 見 込 ま れ る 。 ま た 、 大 熊 町 及 び 双 葉 町 は 、町 の 大 半( 人 口 の 96% )が 帰 還 困 難 区 域 で あ っ て 、 人 口 、 主 要 イ ン フ ラ 及 び 生 活 関 連 サ ー ビ ス の 拠 点 が 帰 還 困 難 区 域 に 集 中 し て お り 、 居 住 制 限 区 域 又 は 避 難 指 示 解 除 準 備 区 域 で あ っ て も 、 帰 還 困 難 区 域 の 地 域 の 避 難 指 示 が 解 除 さ れ な い 限 り 住 民 の 帰 還 は 困 難 で あ る た め 、 帰 還 困 難 区 域 と 同 様 に 避 難 指 示 解 除 及 び 帰 還 の 見 通 し す ら 立 っ て い な い と 認 め ら れ る 。 こ れ ら の 地 域 に 居 住 し て い た 住 民 の 精 神 的 損 害 の 内 容 は 、 理 論 的 に は 最 終 的 に 帰 還 が 可 能 と な る か 否 か に よ っ て 異 な る と 考 え ら れ る が 、 ① 長 期 間 の 避 難 の 後 、 最 終 的 に 帰 還 が 可 能 か 否 か 、 ま た 、 帰 還 可 能 な 場 合 で も い つ そ の 見 通 し が 立 つ か を 判 断 す る こ と が 困 難 で あ る こ と 、 ② 現 在 も 自 由 に 立 入 り が で き ず 、 ま た 、 除 染 計 画 や イ ン フ ラ 復 旧 計 画 等 が な く 帰 還 の 見 通 し が 立 た な い 状 況 に お い て は 、 仮 に 長 期 間 経 過 後 に 帰 還 が 可 能 と な っ た と し て も 、 帰 還 が 不 能 な た め に 移 住 を 余 儀 な く さ れ た と し て 扱 う こ と も 合 理 的 と 考 え ら れ る こ と 、 ③ こ れ ら の 被 害 者 が 早 期 に 生 活 再 建 を 図 る た め に は 、 見 通 し の つ か な い 避 難 指 示 解 除 の 時 期 に 依 存 し な い 賠 償 が 必 要 と 考 え ら れ る こ と 等 か ら 、 最 終 的 に 帰 還 す る か 否 か を 問 わ ず 、 「 長 年 住 み 慣 れ た 住 居 及 び 地 域 が 見 通 し の つ 避 難 指 示 区 域 に つ い て は 、1 年 間 を 当 面 の 目 安 と し 、個 別 の 事 情 も 踏 ま え 柔 軟 に 判 断 す る も の と す る 。
  • 7. 6 か な い 長 期 間 に わ た っ て 帰 還 不 能 と な り 、 そ こ で の 生 活 の 断 念 を 余 儀 な く さ れ た 精 神 的 苦 痛 等 」 を 一 括 し て 賠 償 す る こ と と し た 。 2 ) Ⅰ ) ① の 対 象 地 域 に つ い て は 、 本 指 針 決 定 後 、 被 害 者 の 東 京 電 力 株 式 会 社 に 対 す る Ⅰ ) ① に 基 づ く 損 害 賠 償 請 求 が 可 能 に な る と 見 込 ま れ る 、 平 成 2 6 年 3 月 時 点 に お け る 状 況 を 踏 ま え て 判 断 す る こ と と し 、 仮 に 、 そ れ ま で の 間 に 区 域 が 見 直 さ れ た り 、 帰 還 困 難 区 域 で あ っ て も 除 染 計 画 や イ ン フ ラ 復 旧 計 画 等 が 整 い 帰 還 の 見 通 し が 明 ら か に な っ た り す る な ど 、 上 記 1 ) で 述 べ た 状 況 に 変 更 が あ っ た 場 合 に は 、 そ の 変 更 さ れ た 状 況 に 応 じ て 判 断 す る も の と す る 。 な お 、 大 熊 町 又 は 双 葉 町 に 隣 接 し 、 帰 還 困 難 区 域 の 境 界 が 人 口 密 度 の 比 較 的 高 い 町 内 の 地 域 を 横 切 っ て い る 富 岡 町 及 び 浪 江 町 に お い て は 、 帰 還 困 難 区 域 に 隣 接 す る 高 線 量 地 域 ( 区 域 見 直 し 時 、 年 間 積 算 線 量 が 5 0 ミ リ シ ー ベ ル ト 超 と さ れ た 地 域 ) の 取 扱 い に つ い て 、 警 戒 区 域 解 除 後 の 区 域 見 直 し の 経 緯 、 除 染 等 に よ る 線 量 低 減 の 見 通 し 等 個 別 の 事 情 を 踏 ま え 、 柔 軟 に 判 断 す る こ と が 考 え ら れ る 。 3 ) Ⅰ ) ① の 加 算 額 の 算 定 に 当 た っ て は 、 過 去 の 裁 判 例 及 び 死 亡 慰 謝 料 の 基 準 等 も 参 考 に し た 上 で 、 避 難 指 示 が 事 故 後 1 0 年 を 超 え た 場 合 の 避 難 に 伴 う 精 神 的 損 害 額 ( 生 活 費 増 加 費 用 は 含 ま な い 。 ) の 合 計 額 を 十 分 に 上 回 る 金 額 と し た 。 ま た 、 第 二 次 追 補 に お い て 、 長 期 に わ た っ て 帰 還 で き な い こ と に よ る 損 害 額 を 5 年 分 の 避 難 に 伴 う 慰 謝 料 と し て 一 律 に 算 定 し て い る こ と か ら 、 こ の う ち 、 平 成 2 6 年 3 月 以 降 に 相 当 す る 部 分 は 、 「 長 年 住 み 慣 れ た 住 居 及 び 地 域 が 見 通 し の つ か な い 長 期 間 に わ た っ て 帰 還 不 能 と な り 、 そ こ で の 生 活 の 断 念 を 余 儀 な く さ れ た 精 神 的 苦 痛 等 」 に 包 含 さ れ る と 考 え ら れ る た め 、そ の 分 を 加 算 額 か ら 控 除 す る こ と と し た 。 な お 、 本 金 額 は 、 被 害 者 の 被 災 地 で の 居 住 年 数 等 を 問 わ ず Ⅰ ) ① の 対 象 者 全 員 に 一 律 に 支 払 う 損 害 額 を 目 安 と し て 示
  • 8. 7 す も の で あ り 、 個 別 具 体 的 な 事 情 に よ り こ れ を 上 回 る 金 額 が 認 め ら れ 得 る 。 4 ) Ⅰ ) ② の 対 象 者 に つ い て 、 精 神 的 損 害 の 具 体 的 な 損 害 額 の 合 計 額 は 、 避 難 指 示 解 除 ま で の 期 間 が 長 期 化 し た 場 合 に は 、 賠 償 の 対 象 と な る 期 間 に 応 じ て 増 加 す る が 、 そ の 場 合 、 最 大 で も Ⅰ ) ① の 対 象 者 の 損 害 額 の 合 計 額 ま で を 概 ね の 目 安 と し 、 仮 に 合 計 額 が 当 該 目 安 に 達 す る 蓋 然 性 が 高 ま っ た 場 合 に は 、 後 記 2 の Ⅰ ) で 示 す 住 居 確 保 に 係 る 損 害 の 賠 償 を 受 け る こ と が 考 え ら れ る 。 5 )Ⅱ )に つ い て 、 「 合 理 的 な 時 期 」と は 、例 え ば 、Ⅰ )① の 対 象 者 に つ い て は 、 原 発 避 難 者 向 け 災 害 公 営 住 宅 の 整 備 が 進 捗 し 、 希 望 者 が 当 該 住 宅 に 転 居 す る こ と が 可 能 に な る と 想 定 さ れ る 事 故 後 6 年 後 ま で を 目 安 と す る こ と が 考 え ら れ る 。 6 ) Ⅲ ) に つ い て 、 既 に 除 染 や イ ン フ ラ 復 旧 等 が 進 捗 し 、 避 難 指 示 解 除 が 検 討 さ れ て い る 区 域 の 現 状 を 踏 ま え 、 ① 避 難 生 活 が 長 期 に わ た り 、 帰 還 す る に は 相 応 の 準 備 期 間 が 必 要 で あ る こ と 、 ② 例 え ば 学 校 の 新 学 期 な ど 生 活 の 節 目 と な る 時 期 に 帰 還 す る こ と が 合 理 的 で あ る こ と 、 ③ 避 難 指 示 の 解 除 は 、 平 成 2 3 年 1 2 月 の 原 子 力 災 害 対 策 本 部 決 定 に 基 づ き 、 日 常 生 活 に 必 須 な イ ン フ ラ や 生 活 関 連 サ ー ビ ス が 概 ね 復 旧 し た 段 階 に お い て 、 子 供 の 生 活 環 境 を 中 心 と す る 除 染 作 業 の 十 分 な 進 捗 を 考 慮 し て 、 県 、 市 町 村 及 び 住 民 と 十 分 な 協 議 を 行 う こ と と な っ て い る こ と 、 ④ こ う し た 住 民 と の 協 議 に よ り 、 住 民 と し て も 解 除 時 期 を 予 想 し て 避 難 指 示 解 除 前 か ら あ る 程 度 の 帰 還 の た め の 準 備 を 行 う こ と が 可 能 で あ る こ と 等 を 考 慮 し た 上 で 、 当 面 の 目 安 を 1 年 間 と し た 。 た だ し 、 こ の 「 1 年 間 」 と い う 期 間 は 、 避 難 指 示 解 除 が 検 討 さ れ て い る 区 域 の 現 状 を 踏 ま え て 当 面 の 目 安 と し て 示 す も の で あ り 、 今 後 、 避 難 指 示 解 除 の 状 況 が 異 な る な ど 、 状 況 に 変 更 が 生 じ た 場 合 は 、 実 際 の 状 況 を 勘 案 し て 柔 軟 に 判
  • 9. 8 断 し て い く こ と が 適 当 で あ る 。ま た 、相 当 期 間 経 過 後 の「 特 段 の 事 情 が あ る 場 合 」 に つ い て は 、 第 二 次 追 補 で 示 し た も の の ほ か 、 帰 還 に 際 し て 従 前 の 住 居 の 修 繕 等 を 要 す る 者 に 関 し て は 業 者 の 選 定 や 修 繕 等 の 工 事 に 実 際 に 要 す る 期 間 、 工 事 等 の サ ー ビ ス の 需 給 状 況 等 を 考 慮 す る 等 、 個 別 具 体 的 な 事 情 に 応 じ て 柔 軟 に 判 断 す る こ と が 適 当 で あ る 。 そ の 際 、 避 難 費 用 に つ い て は 、 個 別 の 事 情 に 応 じ た よ り 柔 軟 な 対 応 を 行 う こ と が 適 当 で あ る 。 7 ) Ⅲ ) に つ い て 、 精 神 的 損 害 に つ い て は 、 第 二 次 追 補 で 示 し た と お り 、 多 数 の 避 難 者 に 対 し て 速 や か か つ 公 平 に 賠 償 す る た め 、 避 難 指 示 の 解 除 後 相 当 期 間 経 過 前 に 帰 還 し た 場 合 で あ っ て も 、 原 則 と し て 、 個 々 の 避 難 者 が 実 際 に ど の 時 点 で 帰 還 し た か を 問 わ ず 、 当 該 相 当 期 間 経 過 の 時 点 を 一 律 の 終 期 と し て 損 害 額 を 算 定 す る こ と が 合 理 的 で あ る 。 8 ) Ⅲ ) に つ い て 、 営 業 損 害 及 び 就 労 不 能 損 害 の 終 期 は 、 中 間 指 針 及 び 第 二 次 追 補 で 示 し た と お り 、 避 難 指 示 の 解 除 、 同 解 除 後 相 当 期 間 の 経 過 、 避 難 指 示 の 対 象 区 域 へ の 帰 還 等 に よ っ て 到 来 す る も の で は な く 、 そ の 判 断 に 当 た っ て は 、 基 本 的 に は 被 害 者 が 従 来 と 同 等 の 営 業 活 動 を 営 む こ と が 可 能 と な っ た 日 を 終 期 と す る こ と が 合 理 的 で あ り 、 避 難 指 示 解 除 後 の 帰 還 に よ り 損 害 が 継 続 又 は 発 生 し た 場 合 に は 、 そ れ ら の 損 害 も 賠 償 の 対 象 と な る と 考 え ら れ る 。 2 住 居 確 保 に 係 る 損 害 ( 指 針 ) Ⅰ ) 前 記 1 の Ⅰ ) ① の 賠 償 の 対 象 者 で 従 前 の 住 居 が 持 ち 家 で あ っ た 者 が 、 移 住 又 は 長 期 避 難 ( 以 下 「 移 住 等 」 と い う 。 ) の た め に 負 担 し た 以 下 の 費 用 は 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 ① 住 宅( 建 物 で 居 住 部 分 に 限 る 。 )取 得 の た め に 実 際 に 発
  • 10. 9 生 し た 費 用( た だ し 、③ に 掲 げ る 費 用 を 除 く 。以 下 同 じ 。 ) と 本 件 事 故 時 に 所 有 し 居 住 し て い た 住 宅 の 事 故 前 価 値 ( 第 二 次 追 補 第 2 の 4 の 財 物 価 値 を い う 。以 下 同 じ 。 )と の 差 額 で あ っ て 、 事 故 前 価 値 と 当 該 住 宅 の 新 築 時 点 相 当 の 価 値 と の 差 額 の 75% を 超 え な い 額 ② 宅 地( 居 住 部 分 に 限 る 。以 下 同 じ 。 )取 得 の た め に 実 際 に 発 生 し た 費 用( た だ し 、③ に 掲 げ る 費 用 を 除 く 。 )と 事 故 時 に 所 有 し て い た 宅 地 の 事 故 前 価 値 ( 第 二 次 追 補 第 2 の 4 の 財 物 価 値 を い う 。 以 下 同 じ 。 ) と の 差 額 。 た だ し 、 所 有 し て い た 宅 地 面 積 が 400 ㎡ 以 上 の 場 合 に は 当 該 宅 地 の 400 ㎡ 相 当 分 の 価 値 を 所 有 し て い た 宅 地 の 事 故 前 価 値 と し 、 取 得 し た 宅 地 面 積 が 福 島 県 都 市 部 の 平 均 宅 地 面 積 以 上 で あ る 場 合 に は 福 島 県 都 市 部 の 平 均 宅 地 面 積 ( た だ し 、 所 有 し て い た 宅 地 面 積 が こ れ よ り 小 さ い 場 合 は 所 有 し て い た 宅 地 面 積 ) を 取 得 し た 宅 地 面 積 と し 、 取 得 し た 宅 地 価 格 が 高 額 な 場 合 に は 福 島 県 都 市 部 の 平 均 宅 地 面 積 ( た だ し 、 所 有 し て い た 宅 地 面 積 が こ れ よ り 小 さ い 場 合 は 所 有 し て い た 宅 地 面 積 ) に 福 島 県 都 市 部 の 平 均 宅 地 単 価 を 乗 じ た 額 を 取 得 し た 宅 地 価 格 と し て 算 定 す る 。 ③ ① 及 び ② に 伴 う 登 記 費 用 、 消 費 税 等 の 諸 費 用 Ⅱ ) 前 記 1 の Ⅰ ) ① の 賠 償 の 対 象 者 以 外 で 避 難 指 示 区 域 内 の 従 前 の 住 居 が 持 ち 家 で あ っ た 者 で 、 移 住 等 を す る こ と が 合 理 的 で あ る と 認 め ら れ る 者 が 、 移 住 等 の た め に 負 担 し た Ⅰ ) ① 及 び Ⅰ )③ の 費 用 並 び に Ⅰ )② の 金 額 の 75% に 相 当 す る 費 用 は 、 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 Ⅲ ) Ⅰ ) 又 は Ⅱ ) 以 外 で 従 前 の 住 居 が 持 ち 家 だ っ た 者 が 、 避 難 指 示 が 解 除 さ れ た 後 に 帰 還 す る た め に 負 担 し た 以 下 の 費 用 は 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 ① 事 故 前 に 居 住 し て い た 住 宅 の 必 要 か つ 合 理 的 な 修 繕 又 は 建 替 え( 以 下「 修 繕 等 」と い う 。 )の た め に 実 際 に 発 生 し た 費 用( た だ し 、③ に 掲 げ る 費 用 を 除 く 。 )と 当 該 住 宅
  • 11. 10 ( 備 考 ) 1 ) Ⅰ ) に つ い て 、 前 記 1 の Ⅰ ) ① の 精 神 的 損 害 が 賠 償 の 対 象 と な る 地 域 は 、 避 難 指 示 解 除 時 期 の 見 通 し す ら 立 た な い 状 況 で あ り 、 本 件 事 故 時 に 当 該 地 域 に 居 住 し て い た 避 難 者 は 、 移 住 等 を 行 う こ と が 必 要 と 認 め ら れ る 。 2 )Ⅱ )に つ い て 、 「 移 住 等 を す る こ と が 合 理 的 と 認 め ら れ る 場 合 」 と は 、 例 え ば 、 帰 還 し て も 営 業 再 開 や 就 労 の 見 通 し が 立 た な い た め 避 難 指 示 の 解 除 前 に 新 し い 生 活 を 始 め る こ と が 合 理 的 と 認 め ら れ る 場 合 、 現 在 受 け て い る 医 療 ・ 介 護 が 中 断 等 さ れ る こ と に よ り 帰 還 が 本 人 や 家 族 の 医 療 ・ 介 護 に 悪 影 響 を 与 え る 場 合 、 避 難 先 に お け る 生 活 環 境 を 変 化 さ せ る こ と が 子 供 の 心 身 に 悪 影 響 を 与 え る 場 合 等 が 考 え ら れ る 。 3 ) Ⅰ ) ① 、 Ⅱ ) 及 び Ⅲ ) ① に つ い て 、 特 に 築 年 数 の 経 過 し た 住 宅 の 事 故 前 価 値 が 減 価 償 却 に よ り 低 い 評 価 と な ら ざ る を 得 な い こ と を 考 慮 し 、公 共 用 地 取 得 の 際 の 補 償 額( 築 48 年 の 木 造 建 築 物 で あ っ て も 新 築 時 点 相 当 の 価 値 の 5 割 程 度 の 事 故 前 価 値 と の 差 額 で あ っ て 、 事 故 前 価 値 と 当 該 住 宅 の 新 築 時 点 相 当 の 価 値 と の 差 額 の 75% を 超 え な い 額 ② 必 要 か つ 合 理 的 な 建 替 え の た め に 要 し た 当 該 住 居 の 解 体 費 用 ③ ① 及 び ② に 伴 う 登 記 費 用 、 消 費 税 等 の 諸 費 用 Ⅳ ) 従 前 の 住 居 が 避 難 指 示 区 域 内 の 借 家 で あ っ た 者 が 、 移 住 等 又 は 帰 還 の た め に 負 担 し た 以 下 の 費 用 は 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 ① 新 た に 借 家 に 入 居 す る た め に 負 担 し た 礼 金 等 の 一 時 金 ② 新 た な 借 家 と 従 前 の 借 家 と の 家 賃 の 差 額 の 8 年 分 Ⅴ ) Ⅰ ) な い し Ⅳ ) の 賠 償 の 対 象 と な る 費 用 の 発 生 の 蓋 然 性 が 高 い と 客 観 的 に 認 め ら れ る 場 合 に は 、 こ れ ら の 費 用 を 事 前 に 概 算 で 請 求 す る こ と が で き る も の と す る 。
  • 12. 11 を 補 償 ) を 上 回 る 水 準 で 賠 償 さ れ る こ と が 適 当 と 考 え ら れ る 。 4 ) Ⅰ ) ② 及 び Ⅱ ) に つ い て 、 避 難 者 が 実 際 に 避 難 し て い る 地 域 や 移 住 等 を 希 望 す る 地 域 が 、 従 前 の 住 居 が あ る 地 域 に 比 し て 地 価 単 価 の 高 い 福 島 県 都 市 部 で あ る 場 合 が 多 い こ と か ら 、 移 住 等 に 当 た っ て 、 移 住 等 の 先 の 宅 地 取 得 費 用 が 所 有 し て い た 宅 地 の 事 故 前 価 値 を 超 え る 場 合 が 多 く 生 じ 得 る こ と を 考 慮 し た 。 所 有 し て い た 宅 地 面 積 の 基 準 は 、 福 島 県 の 平 均 宅 地 面 積 を 考 慮 し 400 ㎡ と し た 。 ま た 、「 福 島 県 都 市 部 の 平 均 宅 地 面 積 」 及 び 「 福 島 県 都 市 部 の 平 均 宅 地 単 価 」 は 、 福 島 市 、 会 津 若 松 市 、 郡 山 市 、 い わ き 市 、 二 本 松 市 及 び 南 相 馬 市 に つ い て 、 専 門 機 関 に 委 託 し て 調 査 し た 結 果 、 当 面 は 250 ㎡ 及 び 38,000 円 /㎡ を 目 安 と す る こ と が 考 え ら れ る 。 5 ) Ⅱ ) に つ い て 、 対 象 と な る 地 域 は 居 住 制 限 区 域 及 び 避 難 指 示 解 除 準 備 区 域 で あ り 、 避 難 指 示 の 解 除 等 に よ り 土 地 の 価 値 が 回 復 し 得 る こ と を 考 慮 し た 。 6 ) Ⅲ ) に つ い て 、 建 替 え の 必 要 性 を 客 観 的 に 判 断 す る に 当 た っ て は 、 管 理 不 能 に 伴 う 雨 漏 り 、 動 物 の 侵 入 、 カ ビ の 増 殖 等 の 事 態 を 受 け 、 建 替 え を 希 望 す る と い う 避 難 者 の 意 向 に も 十 分 に 配 慮 し て 柔 軟 に 判 断 す る こ と が 求 め ら れ る 。 そ の た め 、 例 え ば 、 木 造 建 築 物 に あ っ て は 、 雨 漏 り 、 動 物 の 侵 入 、 カ ビ の 増 殖 等 に よ り 、 建 物 の 床 面 積 又 は 部 屋 数 の 過 半 が 著 し く 汚 損 し て い る と 認 め ら れ る 場 合 は 建 替 え を 認 め る 等 の 客 観 的 な 基 準 に よ り 判 断 す る こ と が 妥 当 で あ る と 考 え ら れ る 。 7 ) Ⅳ ) に つ い て 、 避 難 者 が 実 際 に 避 難 し て い る 地 域 や 移 住 等 を 希 望 す る 地 域 が 、 従 前 の 住 居 が あ る 地 域 に 比 し て 地 価 単 価 の 高 い 福 島 県 都 市 部 で あ る 場 合 が 多 い こ と か ら 、 移 住 等 に 当 た っ て 、 移 住 等 の 先 の 借 家 の 家 賃 等 が 事 故 前 に 賃 借 し て い た 借 家 の 家 賃 等 を 超 え る 場 合 が 多 く 生 じ 得 る こ と を
  • 13. 12 考 慮 し 、 公 共 用 地 取 得 の 際 の 補 償 を 上 回 る 水 準 で 賠 償 さ れ る こ と が 適 当 と 考 え ら れ る 。 差 額 が 賠 償 の 対 象 と な る 「 新 た な 借 家 の 家 賃 」 と は 、 前 記 1 の Ⅰ ) ① の 賠 償 の 対 象 者 、 及 び 前 記 1 の Ⅰ ) ② の 賠 償 の 対 象 者 で あ っ て 移 住 等 を す る こ と が 合 理 的 で あ る と 認 め ら れ る 者 に つ い て は 、 本 件 事 故 時 に 居 住 し て い た 借 家 の 面 積 等 に 応 じ た 福 島 県 都 市 部 の 平 均 的 な 家 賃 を 上 回 る 場 合 に は 当 該 平 均 的 家 賃 と し 、 帰 還 の 際 に 従 前 の 借 家 へ の 入 居 が 不 可 能 で あ る 者 に つ い て は 、 本 件 事 故 時 に 居 住 し て い た 借 家 の 面 積 等 に 応 じ た 被 災 地 周 辺 の 平 均 的 な 家 賃 を 上 回 る 場 合 に は 当 該 平 均 的 家 賃 と す る 。 8 ) Ⅴ ) に つ い て 、 住 居 確 保 に 係 る 損 害 は 、 原 則 と し て 、 現 実 に 費 用 が 発 生 し な い 限 り は 賠 償 の 対 象 と は な ら な い が 、 避 難 者 の 早 期 の 生 活 再 建 を 期 す る た め 、 東 京 電 力 株 式 会 社 に は 、 例 え ば 、 Ⅰ ) 又 は Ⅱ ) の 対 象 と な る 者 に つ い て は 、 移 住 等 の 蓋 然 性 が 高 い と 客 観 的 に 認 め ら れ る 場 合 や 住 宅 を 取 得 せ ず 借 家 に 移 住 等 を す る 場 合 、 Ⅲ ) の 対 象 と な る 者 に つ い て は 、 従 前 の 住 居 の 修 繕 等 の 蓋 然 性 が 高 い と 客 観 的 に 認 め ら れ る 場 合 や 帰 還 が 遅 れ る 場 合 に は 、 移 住 等 の 先 で の 住 居 の 取 得 費 用 や 修 繕 等 の 費 用 が 実 際 に 発 生 し て い な く て も 、 移 住 等 の 先 の 平 均 的 な 土 地 価 格 や 工 事 費 の 見 積 り 額 等 を 参 考 に し て 事 前 に 概 算 で 賠 償 し 、 事 後 に 調 整 す る 等 の 柔 軟 か つ 合 理 的 な 対 応 が 求 め ら れ る 。 9 ) Ⅰ ) 及 び Ⅱ ) の 賠 償 の 対 象 者 が 、 移 住 等 の 後 に 従 前 の 居 住 場 所 に 帰 還 す る 場 合 、 帰 還 に 必 要 な 事 故 前 に 居 住 し て い た 住 宅 の 修 繕 、 建 替 え 費 用 等 に つ い て は 、 特 段 の 事 情 の な い 限 り 、 移 住 等 の 先 の 宅 地 及 び 住 宅 の 価 値 等 に よ っ て 清 算 す る こ と が 考 え ら れ る 。 1 0 ) 被 害 者 が 移 住 等 の 先 を 決 め る に 当 た っ て は 、 営 業 や 就 労 に 関 す る 条 件 が 大 き な 判 断 要 素 と な る と 考 え ら れ 、 移 住 等 の 場 合 、 移 住 等 の 先 に お い て 営 業 又 は 就 労 を 行 う こ と が 期 待 さ れ る ほ か 、 移 住 等 を 要 し な い 場 合 で あ っ て も 、 避 難
  • 14. 13 先 に お い て 営 業 又 は 就 労 の 再 開 に 向 け た 努 力 が 期 待 さ れ る と 考 え ら れ る 。 こ れ ま で 必 ず し も 将 来 の 生 活 に 見 通 し を つ け る こ と が で き ず 、 営 業 又 は 就 労 を 再 開 し て い な か っ た 者 も 、 移 住 等 の 先 又 は 避 難 先 に お い て 、 営 業 又 は 就 労 の 再 開 に 向 け た 努 力 が 期 待 さ れ る 。 な お 、 移 住 等 の 先 や 避 難 先 で の 営 農 や 営 業 に つ い て は 、 こ れ ま で の 指 針 に お い て 、 逸 失 利 益 や 財 物 の 賠 償 に 加 え 、 事 業 に 支 障 が 生 じ た た め に 負 担 し た 追 加 的 費 用 や 事 業 へ の 支 障 を 避 け る た め 又 は 事 業 を 変 更 し た た め に 生 じ た 追 加 的 費 用 と し て 、 商 品 や 営 業 資 産 の 廃 棄 費 用 、 事 業 拠 点 の 移 転 費 用 、 営 業 資 産 の 移 動 ・ 保 管 費 用 等 も 、 必 要 か つ 合 理 的 な 範 囲 で 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め て い る 。 事 業 者 の 多 様 性 等 に 鑑 み れ ば 、 こ れ ら に つ い て 一 律 の 基 準 を 示 す こ と は 困 難 で あ る た め 、 東 京 電 力 株 式 会 社 に お い て は 、 被 害 者 が 移 住 等 の 先 や 避 難 先 で 営 農 や 営 業 を 再 開 し 生 活 再 建 を 図 る た め 、 農 地 や 事 業 拠 点 の 移 転 等 を 行 う 場 合 、 当 該 移 転 等 に 要 す る 追 加 的 費 用 に 係 る 賠 償 に つ い て も 、 損 害 の 内 容 に 応 じ た 柔 軟 か つ 合 理 的 な 対 応 が 求 め ら れ る 。 ( 以 上 )