1.目的
日本作業療法士協会は作業療法5カ年計画、第二次作業療法5カ年計画を策定し、地域生活移行・地域生活定着支援の推進をしている。しかし地域で働く作業療法士数は伸び悩んでいる。そこで本研究では地域作業療法の発展に貢献する地域作業療法学の教育方法の開発を目的とし、地域作業療法学を受講したにも関わらず地域作業療法に関わりたいと思わなかった理由を明らかにすることを目的とした。
2.対象と方法
対象:山形県内作業療法士を対象とした地域作業療法に対する意識と実践状況のアンケート調査結果。分析方法:地域作業療法学受講経験有の265人のデータから、在学中地域作業療法に関わりたいと「思った」「思わなかった」、それらの理由についての自由記述データの使用語の出現頻度との関連についてText Mining Studioを用いたテキストマイニングによる分析を行った。重要な名詞等については原文参照を行い、文脈からその意味内容を明らかにした。なお,本研究は山形県立保健医療大学倫理委員会の承認(1606-05)を得て実施した.
3.結果
地域作業療法に関わりたいと「思った」が170人、「思わなかった」が95人であった。「思った」の重要な名詞等の上位3語は「生活」「地域」「対象者」であり、「思わなかった」では「イメージ」「具体的」「病院」であった。原文参照により、「思った」では、作業療法士が支援する場、人として「地域」「生活」、「対象者」が想定されていた。それに対して「思わなかった」では、「具体的なイメージができない」「地域作業療法のイメージができない」「医療機関での作業療法イメージが強い」があがった。
4.考察
授業を受けた後に関わりたいと「思わなかった」人たちは、地域生活支援や対象者を具体的にイメージしていなかった。その克服のための教育方法として、地域生活支援や対象者をイメージ化しやすい視聴覚化したナラティブ教材等を用い間接的経験によるリアリティのある講義内容の提供が必要である。